2012年3月のNHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」から~タリス・スコラーズ、ユリアンナ・アヴデーエワ、デニス・コジュヒン、リーズ・ドゥ・ラ・サール・・・
NHKBSプレミアムの「クラシック倶楽部」と共に、私の一日は始まります。
今月放送の「クラシック倶楽部」のうち、既に2本の放送については、
記事を書いていますので、
(⇒NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部
-ギル・シャハムが奏でるバッハ無伴奏-(2012年3月6日放送)
⇒ラ・ストラヴァガンツァ東京のオドロキな「冬」
~NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部
-ラ・ストラヴァガンツァ東京 演奏会-(2012年3月7日放送))
それ以外の放送で、録画保存したものについて今回は取り上げます。
①タリス・スコラーズ演奏会(2012年3月12日放送)
ただ一言に尽きます。「美しい!」
曲目はスペインの作曲家ヴィクトリアのレクイエム他でした。
人間の声がここまで美しく響きあうとは・・・
ルネサンス期のポリフォニー音楽は、天国の響きを予感します。
タリス・スコラーズでは、
アレグリの「ミゼレーレ」と
パレストリーナの「教皇マルチェリスのミサ」を収めたCDが代表盤です。
耳の法悦郷、かも?
初めて聴いた時は衝撃でした・・・
Miserere / Palestrina / Missa Papae Marcelli
今回放送された、ヴィクトリアのレクイエムも代表盤の一つです。
エル・グレコの「オルガス伯の埋葬」をCDジャケットに使っているところもステキです。
Requiem
②アラカルト(5)ポール・ルイス/ユリアンナ・アヴデーエワ(2012年3月20日放送)
ポール・ルイスの名は初耳でした。
巨匠ピアニスト、アルフレッド・ブレンデルの弟子とのこと。
4つの即興曲D.899の演奏は模範的なものですが、
それ以上の印象は残りませんでした。
注目すべきはユリアンナ・アヴデーエワの演奏です。
既に、2012年1月31日に、記事を書いています。
⇒NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部
-ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル-」(2012年1月30日放送)
その時の放送では収まらなかった部分の放送でした。
演奏はショパンの「舟歌」とマズルカ作品33-2、ノクターン作品62ー2でした。
前回の放送と同様、今後の活躍が期待できそうなすばらしい演奏でした。
③クラシック・アラカルト6 デニス・コジュヒン/リーズ・ドゥ・ラ・サール
(2012年3月21日放送)
お目当てはフランスの若手女性ピアニスト、リーズ・ドゥ・ラ・サールでしたが、
意外にも、デニス・コジュヒンが掘り出し物でした。
(デニス・コジュヒンの名は初耳でした。)
コジュヒンの演奏曲目はブラームスのピアノ・ソナタ第1番作品1でした。
ブラームスのピアノ作品といえば、地味で晦渋、とっつきにくい、というイメージがありますが、
コジュヒンの演奏は若々しく、少しも暑苦しくない形で、
この作品の魅力を引き出していました。
テクニックは抜群でした。
この演奏は2012年2月25日、東京の浜離宮ホールでの収録です。
当日のコンサートを聴いた人のブログを見つけましたので紹介します。
⇒類稀な才能、デニス・コジュヒン Denis Kozhukhin, an Amazing Talent, Performs in Tokyo
ブラームスのピアノソナタ第1番について書いたところだけ、
この方の記事から引用します。
(引用)
ここで自分は、あまりのコジュヒンの演奏の素晴らしさにすっかり気分が高揚し、ブラームスはどんなことになるのか、リストは、と期待で踊りださんばかりであった。
ハイドンで、すでに彼の技術的な完成度の高さは見え隠れしていたが、ブラームスの冒頭、なぜか弾きにくそうな面持で始める。しかしすぐに軌道を戻す。早すぎず、遅すぎないテンポで、再び完全にコントロールされたタッチでこの勇ましい曲を進めていく。第一主題の和音の連打は、これもまた、リズム感とセンスが全てを決定する様な音楽であり、面白くも、非常につまらなく(つまりダサく)もなり得る音楽である。コジュヒンは、決してぶっ叩かないし、(この曲は派手に演奏すれば取りあえず恰好がつく)、早く弾くわけでもなく、あくまで凛とした態度で、考え尽くされた構成を持って荘重に音楽を造り上げる。そして彼のセンスは抜群である。繊細かつ清澄でクールなルバート、そして、水晶調の音色がちりばめられ、色彩が変転する。そして、彼の技術があまりにも優れているために、技術は完全に音楽に従属し、彼の意のままになる。それらの全てが、ひたすら彼の音楽的感性の豊かさから奇跡的なバランスを保たれているのである。
誰が聴いても、文句のつけようがないだろう。何たる才能、魅力だろう。一点だけ、重箱の隅をつつけば、彼は派手に弾き上げないため、最後のコーダだけはもう少し大音量でもいいかな、とボンヤリ思った程度である。
それにしても、ペダルの扱い、つまり残響そして音の重なりの扱いは、ここ数年で聴いたピアニストの中でも、最高レベルである。深い響きを鳴らしながら、決して濁らない。音の重層を隅々まで的確に響かせ、明確に和音の美しさの粋を伝えてくる。これは凄いことである。
もう自分は、この時点で大満足であり、メインであるはずの超絶は、もはや聴かなくてもいい、とすら感じていた。素晴らしい演奏に、単純に胸が詰まり、後半がどうあれ、このピアニストは紛れもなく天才であるし、必ずまた聴きに行くし、後半を聴くまでもなく、この数年に自分が訪れたピアノリサイタルの内でも最高のものの一つだ、と確信し、感動していたのである。
(引用終)
大絶賛ですね。
私もこの演奏を聴いて、才能を確信しました。
あまり人気のないこの曲を、名曲だと思わせるとは・・・
お目当てのリーズ・ドゥ・ラ・サールの演奏はといえば・・・
リストの超有名曲「愛の夢第3番」では、
高音部のピアニッシモがとても美しいとは思ったものの、
音が強いところでは、ただガンガン弾いている、という印象しか受けなかったです。
「ダンテを読んで」は、テクニックが圧倒的でしたが(特に終盤!)、
「ダンテを読んで」自体を名曲だとは思うことができませんでした。
(ただ、リーズ・ドゥ・ラ・サールが没入型のすごいピアニストだというのはわかりました。)
これも、以前放送した際に、放送できなかった部分をやっただけです。
30分で一人、という中途半端な放送は少し残念です。
リーズ・ドゥ・ラ・サールのCDはいくつも出ています。
思わずジャケット買いしてしまいそうなものばかりですね・・・
2011年7月に放送されたものを視聴した人のブログを見つけました。
⇒リーズ・ドゥ・ラ・サール"Lise De La Salle" ピアノ・リサイタル 2011
(◆♪◆箱庭的ピュアオーディオシステムの薦め AUDIO STYLE◆♪◆)
その中で紹介されている、
彼女の動画(プロコフィエフのロミオとジュリエットからモンタギュー家とキャピュレット家)は、
圧倒的な迫力がありました。
今回の放送ではまだ全貌がわからなかった、ともいえますので、
また演奏を観てみたいものです。
Lise De La Salle(リスト作品集)
上記国内盤
リスト:ダンテを読んで - ソナタ風幻想曲、他
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21/バラード第1番ト短調 Op.23 他
[輸入盤・日本語解説書付]
W.A.モーツァルト、プロコフィエフ;W.A.モーツァルト:ロンド イ短調 K.511 他 (2CD/DISC-2はデュアルディスク仕様(裏面がボーナスDVD)、ドキュメンタリー26分収録(PAL)) (Piano Works by Mozart & Prokofiev [includes DVD])
バッハ、リスト;バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903 (Lise de la Salle plays Bach, Liszt)
ショスタコーヴィチ、リスト、プロコフィエフ;ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 (Shostakovich: Piano Concerto No. 1; Liszt: Piano Concerto No. 1; Prokofiev: Piano Concerto No. 1)
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