映画「塔の上のラプンツェル」(原題:Tangled)~心理学風に読み解くと・・・
先日TSUTAYAに立ち寄った際、
昨年3月に公開された映画「塔の上のラプンツェル」(原題:Tangled)のBlu-ray版が、
旧作価格(7泊8日で100円!)でレンタル可能だったので、
借りて妻と一緒に観ました。
ディズニーの長編映画50作目にあたるこの作品、
日本では公開直前に不幸にも東日本大震災が起こり、
映画どころではなかった状態ですが、興行収入は約25億円にのぼったとか。
ディズニーらしい夢と冒険に満ちたすばらしい傑作です。
主人公のラプンツェルのデザインはなんとなくバービーちゃん人形を連想させますが、
好感がもてました。
全体的に絵が美しく、
特に背景の細部へのこだわりには感動しました。
草が一本一本丁寧に描かれている!
DVDやBlu-rayのパッケージに描かれている幻想的な灯のシーンは圧巻でした。
音楽も魅力的でした。
サブキャラクターも実に生き生きとしているし(特に馬のマキシマス!)、
ストーリー展開や道具立ても実にたくみでありながら、
幼い子どもからオトナまで楽しめる内容でした。
さて、この映画を観て感じたのは、
ラプンツェルと育ての親(マザー・ゴーテル)との関係、
「塔」とそこからの家出における象徴性です。
ラプンツェルは設定では18歳となっていますが、
精神年齢は10~12歳ぐらいなのでは、と思いました。
ラプンツェルにとって「塔」(安全だが窮屈)からの脱出、というのが、
ちょうど思春期や反抗期にかかる頃の心理を象徴的に表しているように思えました。
また、現実にあった痛ましい拉致監禁事件の被害者児童の事も連想してしまいました・・・
ラプンツェルを閉じ込めておきたいマザー・ゴーテルは、
自己愛を満たすため(映画では「永遠の若さを保つため」)に、
子どもを溺愛し、過保護にし、スポイルしてしまう現代の問題親の戯画のようです。
ラプンツェルを「塔」(自分の思い通りにする、
自分の支配下にとどめようとする心の象徴)に閉じ込めておき、
絶えず無力感や外界の危険さをラプンツェルに吹聴する姿は、
親のエゴそのものです。
(子どもをペット扱いするようなもの・・・)
この映画では、主人公ラプンツェルの心の成長と、
アイデンティティ(実は王女だった・・・)の発見が描かれます。
塔や偽りの母親、無力な自分・・・といった強制された自己像から、
外の世界の楽しさと本来の姿である王女としてのアイデンティティを見いだす、
自分探しの物語である、ともいえます。
ラプンツェルが塔から初めて外に出て、
楽しさと後悔で揺れ動く心が描かれていたのは秀逸でした。
ラプンツェルの長い髪がラスト前でバッサリと切られ、
彼女はショートカットになり、同時にマザー・ゴーテルの破滅が描かれます。
これは偽りのアイデンティティとの決別や、
家族よりも愛する人を選ぶオトナの恋の暗喩なのかもしれません。
ところで、「ラプンツェル」の原作の話はかなりキワドイものだそうです。
⇒ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』原作は・・・(タイトル一部省略しました。)
あるいは⇒ラプンツェル(ウィキペディア)
(子どもの頃、「グリム名作劇場」というアニメ番組で観たことがあったような記憶が・・・)
映画は原作の骨組みだけ借りたまったく別物なので、
安心して楽しんで観ることができます。
私は字幕版で観ましたが、吹き替え版も結構評判のようです。
DVDもありますができればBlu-rayの美しい映像でどうぞ!
Blu-ray
Blu-ray 3D版
DVD+Blu-rayセット
DVD(だけ)
オリジナルサウンドトラック
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