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2012年1月の31件の記事

2012年1月31日 (火)

NHKBSプレミアム・特選オーケストラ・ライブ 東日本大震災のためのチャリティ・コンサート(2012年1月29日放送)

2012年1月29日早朝に、NHKBSプレミアムの「特選オーケストラ・ライブ」で、
昨年の5月30日にベルリンで行なわれた
東日本大震災のためのチャリティ・コンサート」を放送していました。
ベルリン・フィルの有志と
マルタ・アルゲリッチミッシャ・マイスキーなどによる豪華な室内楽コンサートでした。
遠い国ドイツで、東日本大震災のためにチャリティコンサートを催してくださるというのは、
実にありがたいことですね・・・

放送された演奏曲目及び演奏者をNHK番組表から転載します。
※作曲者名は筆者による追記
(引用)
「赤とんぼ」(山田耕筰)
(ピアノ)マルタ・アルゲリッチ、(ピアノ)イタマール・ゴラン
「4手のためのピアノ・ソナタニ長調K.381」
(モーツァルト)
(ピアノ)イタマール・ゴラン、(ピアノ)マルタ・アルゲリッチ
「夜想曲 変ホ長調 D897」
(シューベルト)
(バイオリン)樫本 大進、(チェロ)ミーシャ・マイスキー、(ピアノ)イタマール・ゴラン
「ピアノ三重奏曲 第2番 ホ短調 作品67」
(ショスタコーヴィチ)
(バイオリン)ガイ・ブラウンシュタイン、(チェロ)趙 静(ちょうちん)、(ピアノ)イタマール・ゴラン
「2つのバイオリンとビオラのための弦楽三重奏曲 ハ長調 作品74」
(ドヴォルザーク)
(第1バイオリン)樫本 大進、(第2バイオリン)ガイ・ブラウンシュタイン、(ビオラ)アミハイ・グロス
「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44」
(シューマン)
(第1バイオリン)ガイ・ブラウンシュタイン、(第2バイオリン)樫本 大進、(ビオラ)アミハイ・グロス、(チェロ)ミーシャ・マイスキー、(ピアノ)マルタ・アルゲリッチ
(引用終)

番組冒頭は、コンサートの趣旨と
日本語の「赤とんぼ」の歌詞を英訳したものの朗読で始まりました。
童謡の「赤とんぼ」、名手アルゲリッチゴランが弾くと第一級の芸術品になっていました。
4手のためのピアノ・ソナタ」は第1楽章で
「フィガロの結婚」の「恋とはどんなものかしら」に出てくる旋律そっくりの部分があって
「この曲と『フィガロ』、どっちが先だっけ・・・」と一瞬思ってしまいました。
愉悦感に満ちたステキな演奏でした。

シューベルト~ドヴォルザークまでのはあまり印象に残らないのでコメントを控えます。
この放送のメインはやっぱりシューマンのピアノ五重奏曲でしょう。
ピアノの女王様アルゲリッチの堂々たる演奏で、
小さなピアノ協奏曲といった印象さえ受けました。
アルゲリッチのピアノの前にベルリン・フィルのコンサートマスター2人とチェロのマイスキー
ベルリン・フィルの首席ヴィオラ奏者も霞んでしまうほど・・・
もしかしたら、シューマンの演奏の本質にはほど遠いのかもしれませんが、
この曲の楽しさ、美しさ、ダイナミックさを味わわせてくれました。

上記で取り上げた曲の、アルゲリッチのCDを紹介します。

モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集(ラビノビッチとの共演)

シューマン:ピアノ五重奏曲
(国内盤)
シューマン室内楽ボックス3枚組
※シューマンの室内楽を集めたもの

(輸入盤)
Martha Argerich Edition-Chamber Music
※シューマン以外の作曲家の作品も含まれた8枚組

⇒こちらでは、シューマンのピアノ五重奏曲が2種類収録されています。
なお、HMVの方がマルチバイを利用すれば安く手に入りますよ(※2012年1月末現在)。

NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部-ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル-」(2012年1月30日放送)

ユリアンナ・アヴデーエワといえば、
2010年のショパン国際コンクールピアノ部門で第1位をとった方ですね。
まぁ、私はナントカ国際コンクールで優勝だからスゴイ、
とすぐには思わないタイプですけど・・・

2012年1月30日早朝に、NHKBSプレミアムの「クラシック倶楽部」で、
昨年11月に東京で行われたユリアンナ・アヴデーエワのピアノリサイタルが放映されていました。
(番組HP⇒コチラ
コンサート内容とプロフィール⇒カジモト
少しだけ期待を込めて、録画しておきました。
リアルタイムでも「一応」観ていましたが(半分寝ていましたが(*^-^))、
ワーグナーの「タンホイザー序曲」をリストがピアノ版に編曲したものは、
さすがにスゴイ!と思いました。

後で大きな音量で視聴しなおしてみました。
演奏曲目は、
ラヴェル: ソナチネ
プロコフィエフ: ピアノ・ソナタ第2番 ニ短調 op.14
ワーグナー=リスト: オペラ「タンホイザー」序曲
チャイコフスキー: 瞑想曲
の4曲でした。
私にとっては初めて聴く作品ばかり(「ソナチネ」だけは聴いたことあるかも・・・)

「ソナチネ」は繊細さとダイナミックさが伺えました。
プロコフィエフのは、まぁまぁ面白い曲なのかも・・・と思えました。
(いつもの私ならプロコフィエフというだけでパス・・・)
この放送での白眉は前述のピアノ版「タンホイザー序曲」でした。
圧倒的なテクニックと面白さ、華麗さ!
ここだけは録画を保存しておくかも・・・
アンコール曲のチャイコフスキーもいい演奏だと思いました。
番組の中では、彼女自身による曲への思いいれも収録されていました。

YouTubeで彼女の演奏の動画を見つけましたので掲載します。
ショパンの「木枯らし」を力強いタッチで演奏しています。

テクニックでバリバリ弾く方面で伸びていくのでしょうか・・・
これからの活躍が楽しみです。
(追記)
CDが何枚か発売されています。

Piano Concerto E Minor/Sonat [Import, From US]

ユリアンナ・アヴデーエワ

2012年1月30日 (月)

リサ・バティアシュヴィリによるブラームス&ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲~N響アワー-端正にして情熱的~バティアシュヴィリのブラームス~-(2012年1月29日放送)

2012年1月29日のN響アワーでは、
グルジア出身の美人ヴァイオリニスト、
リサ・バティアシュヴィリ(Lisa Batiashvili)とデュトワ指揮N響による
ブラームスのヴァイオリン協奏曲全曲を放送していました。
(番組HPはコチラ
それに先立ち、2009年にN響と共演した、
ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番の第4楽章
(指揮:ジンマン)も放送していました。

ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は、
最近よく聴きます。
ヒラリー・ハーンのCDを買ってから、
特に騒々しい第4楽章だけをつまみ聴き・・・

ヒラリー・ハーンのCD)

ただこのCD、少しもの足りない気がしたので、
(特にオーケストラ)リサ・バティアシュヴィリのCDも買って聴いてみました。
時の谺(こだま)」というタイトルと、美しいジャケットが印象的です。
こちらはサロネン指揮バイエルン放送交響楽団がバックです。
最近よく聴いているCDです。
騒々しい第4楽章だけではなく、第2~3楽章の魅力も存分に引き出した名演です。

(国内盤)

(同 輸入盤 Echoes of Time

なお、このCD、2011年度のレコード・アカデミー賞「協奏曲部門」を受賞しています。
CDについてのHPはコチラ⇒

さて、放送での演奏に戻りましょう。
N響と共演したショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番第4楽章は、
ヒラリー・ハーンのCD、リサのCDどちらも上回るのでは、と思える熱演でした。

ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、録音の優秀さが光りました。
第1楽章と第2楽章は「名演」、第3楽章はちょっと軽いかな、と思いました。
ウェットなブラームス像を提示していました。
デュトワとブラームス、というのはあまりイメージにあいませんが、
さすが名指揮者、というサポートを示していました。
リサのヴァイオリンは情熱的というよりも、まさに「端正な」響きですが、
ここぞ、という時には艶っぽい響きも出していました。

我が家には、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のCDは2枚あります。
ヒラリー・ハーンのCDと、ムター/カラヤン&ベルリン・フィルの演奏です。

ヒラリー・ハーンのCD(ブラームス)

ムター/カラヤン&ベルリン・フィルのCD(ブラームス)

ヒラリー・ハーンのCDは、オケが貧相なイメージで、
これはもっぱらカップリングされている
ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲を聴くためのCDと割り切った方がいいです。

ムター/カラヤン&ベルリン・フィルのは、オーケストラが迫力満点で、
「これぞブラームス!」という演奏といえます。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲の「名盤」ですね。

ところで、その日のN響アワーの終わりに、ショックなニュースが・・・
「N響アワー」はついに今年3月で打ち切りになるのですね・・・
時代の流れでしょうか・・・
ただ、BSプレミアムで
いっそうクラシック音楽の番組を増やすなどの「手当」をしてくれれば、
1時間番組のN響アワーが打ち切られても「まぁ、いいか・・・」と喜んで言えます。
NHKさん、頼みますよ~
(ついでに、「名曲探偵アマデウス」の新シリーズを出してくださいませ~)

N響アワー打ち切りに怒り心頭の方を見つけました・・・
N響アワーの終了 ってこれは暴挙だ 許せん!!!!!
ミニ音楽評2012年1月30日記事)
記事に共感しました。

(おまけ)
リサのCDでジャケ買いするなら、
シベリウスのヴァイオリン協奏曲もオススメです。

(同 輸入盤)

※2012年2月14日追記
2012年2月12日の
特選オーケストラ・ライブ N響コンサート-第1716回定期公演-」で
リサの演奏が放送されました。
バルトークのオペラ「青ひげ公の城」(演奏会形式)と一緒のコンサートだったのですね。
(バルトークの作品はそれほど好きではないので、こちらは録画していません。)

2012年1月29日 (日)

映画「しあわせのパン」~主役は洞爺湖畔の風景とおいしそうな食事?

原田知世さん、大泉洋さん主演の映画「しあわせのパン」を
妻と一緒に観てきました。
オール北海道ロケの作品で、舞台は洞爺湖畔の月浦です。

この映画の存在を知ったのは、昨年の秋に洞爺湖方面に行った際、
立ち寄ったレストランにおいてあった映画のチラシによってです。
(記事を書いています⇒洞爺湖・ニセコ 気まぐれな秋の日帰り旅(2011年10月末)
その時から、公開されたらぜひ観たいと思っていました。

さて、映画の感想です。
月浦に移住して1年になる水縞夫妻が営むパンカフェ「マーニ」を舞台に、
美しい洞爺湖の景色とおいしそうな料理を目で堪能できる作品です。
原田知世さん、大泉洋さんが演じる水縞夫妻の役は、
セリフが控え目で、作品全体を落ち着いたものにしています。
この作品の本当の主役は、
美しい洞爺湖畔の風景とおいしそうな料理なのでは、と思いました。
美しい朝焼けや澄み渡った青空、柔らかな月光などによって彩られる洞爺湖の中島は、
観ていて飽きません。

映画の中では、水縞夫妻と隣人たち、
そして3組の男女(恋人、父娘、夫婦)を通して夏、秋、冬が描かれます。
その関わり方は、なんとなく映画「かもめ食堂」と、
青森に実際にある施設「森のイスキア」を想起しました。
美しい風景とおいしい食事によって、癒される人々・・・
劇場では、秋―父娘のところで、何人かの方のすすり泣きが聞こえてきました。

冬のところでは、原田知世さん演じる「りえさん」が、
映画「Love Letter」(岩井俊二監督作品)の有名なシーンを想起させるところがありました。
(横からのアップで、上を見上げるようなアングル)

この映画、台湾や香港等で上映されたら、
洞爺湖ブームが起こるかもしれませんね。
北海道観光の起爆剤になることを期待しています。

この作品の監督、三島有紀子さんが自ら小説化した文庫本が出ています。
映画の冒頭に出てきて作品のライトモチーフのような存在になる絵本
月とマーニ」が巻末に収録されていますよ。

しあわせのパン(ポプラ社文庫)

映画の写真集も出ています。
しあわせのパンの季節

なお、パンカフェ「マーニ」は実在しませんが、
ロケを行ったカフェは実在します。
洞爺湖町の「パン工房ゴーシュ+CAFE」という店です。
(お店のHPあります。⇒「洞爺湖 ゴーシュ」で検索してみてください。)

2012年1月28日 (土)

映画「塔の上のラプンツェル」(原題:Tangled)~心理学風に読み解くと・・・

先日TSUTAYAに立ち寄った際、
昨年3月に公開された映画「塔の上のラプンツェル」(原題:Tangled)のBlu-ray版が、
旧作価格(7泊8日で100円!)でレンタル可能だったので、
借りて妻と一緒に観ました。

ディズニーの長編映画50作目にあたるこの作品、
日本では公開直前に不幸にも東日本大震災が起こり、
映画どころではなかった状態ですが、興行収入は約25億円にのぼったとか。
ディズニーらしい夢と冒険に満ちたすばらしい傑作です。

主人公のラプンツェルのデザインはなんとなくバービーちゃん人形を連想させますが、
好感がもてました。
全体的に絵が美しく、
特に背景の細部へのこだわりには感動しました。
草が一本一本丁寧に描かれている!
DVDやBlu-rayのパッケージに描かれている幻想的な灯のシーンは圧巻でした。
音楽も魅力的でした。

サブキャラクターも実に生き生きとしているし(特に馬のマキシマス!)、
ストーリー展開や道具立ても実にたくみでありながら、
幼い子どもからオトナまで楽しめる内容でした。

さて、この映画を観て感じたのは、
ラプンツェルと育ての親(マザー・ゴーテル)との関係、
「塔」とそこからの家出における象徴性です。

ラプンツェルは設定では18歳となっていますが、
精神年齢は10~12歳ぐらいなのでは、と思いました。
ラプンツェルにとって「塔」(安全だが窮屈)からの脱出、というのが、
ちょうど思春期や反抗期にかかる頃の心理を象徴的に表しているように思えました。
また、現実にあった痛ましい拉致監禁事件の被害者児童の事も連想してしまいました・・・

ラプンツェルを閉じ込めておきたいマザー・ゴーテルは、
自己愛を満たすため(映画では「永遠の若さを保つため」)に、
子どもを溺愛し、過保護にし、スポイルしてしまう現代の問題親の戯画のようです。
ラプンツェルを「塔」(自分の思い通りにする、
自分の支配下にとどめようとする心の象徴)に閉じ込めておき、
絶えず無力感や外界の危険さをラプンツェルに吹聴する姿は、
親のエゴそのものです。
(子どもをペット扱いするようなもの・・・)

この映画では、主人公ラプンツェルの心の成長と、
アイデンティティ(実は王女だった・・・)の発見が描かれます。
塔や偽りの母親、無力な自分・・・といった強制された自己像から、
外の世界の楽しさと本来の姿である王女としてのアイデンティティを見いだす、
自分探しの物語である、ともいえます。

ラプンツェルが塔から初めて外に出て、
楽しさと後悔で揺れ動く心が描かれていたのは秀逸でした。

ラプンツェルの長い髪がラスト前でバッサリと切られ、
彼女はショートカットになり、同時にマザー・ゴーテルの破滅が描かれます。
これは偽りのアイデンティティとの決別や、
家族よりも愛する人を選ぶオトナの恋の暗喩なのかもしれません。

ところで、「ラプンツェル」の原作の話はかなりキワドイものだそうです。
ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』原作は・・・(タイトル一部省略しました。)
あるいは⇒ラプンツェル(ウィキペディア)
(子どもの頃、「グリム名作劇場」というアニメ番組で観たことがあったような記憶が・・・)
映画は原作の骨組みだけ借りたまったく別物なので、
安心して楽しんで観ることができます。

私は字幕版で観ましたが、吹き替え版も結構評判のようです。
DVDもありますができればBlu-rayの美しい映像でどうぞ!

Blu-ray

Blu-ray 3D版

DVD+Blu-rayセット

DVD(だけ)

オリジナルサウンドトラック

2012年1月26日 (木)

証拠隠滅を図った原子力災害対策本部~おすすめWEB記事「愚者の楽園」(田中良紹の「国会探検」)

原発事故対応、議事録なし 政府対策本部、認識後も放置
(朝日新聞2012年1月25日)という記事、
オドロキだったでしょうか、それとも、「やっぱり・・・」?
民主党政権と保身に走る官僚ならやりかねないと思い、
あきれつつも、あまり驚くことはありませんでした。
民主党政権、特に大震災当時の菅内閣の閣僚らは確信犯といえますが、
同時に、今まで追及してこなかったマスゴミも同罪です。
原発事故の処理という、これから何十年・何百年(最終的には何万年?)かかる事に対して、
議事録を残さなかったというのは、まさに証拠隠滅です。

THE JOURNAL田中良紹氏の記事「愚者の楽園」はこの問題を鋭く衝いています。

(引用)
「普通の国」なら国がひっくり返るほどの大騒ぎになっている問題が大騒ぎにならないからこの国は異常である。

3月11日に発生したフクシマ原発事故で設置された政府の「原子力災害対策本部」が議事録を作っていない事が判明した。国家としてあるまじき行為、民主主義の根幹が否定された話である。ところがメディアは騒がない。日本は極めて静かである。本質的な問題を直視しようとしない国は「愚者の楽園」と言うしかない。
(中略)
この問題を報じたNHKによると、事務局を務めた原子力安全・保安院の担当者は「業務が忙しくて議事録を作成出来なかった」と釈明したという。国民をバカにするのにも程がある。そんなデタラメが通用すると思っているなら国民も随分なめられたものである。

会議でメモを作らない官僚など存在しない。どんな緊急事態でも、どんなに多忙でも、メモを作るのが官僚の仕事である。総理大臣以下全大臣が出席した「原子力災害対策本部」の会議は、いわば行政府の最高レベルの会議であるから記録がない筈はない。それを「議事録がない」事にしたのは「会議の内容を隠蔽したい」と言っているに等しい。

誰が記録を隠蔽しようとしているのか。政治家が官僚に隠蔽を命じたとすればその政治家はもはや国民の代表ではない。国民主権を裏切る側の代表である。それとも政治家の指示もないのに官僚が隠蔽しようとしたのなら官僚は国民の代表を無視した事になる。それも国民主権を裏切る行為である。日本は民主主義国でない事になる。
(引用終)

ぜひ全文をお読みください。
現代日本において原発事故の問題は、
いつの間にか戦前の言論統制体制に戻ったのでしょうか?
日光東照宮の「見ざる、聞かざる、言わざる」の「三猿」になってはいけないのです。
かつて安保闘争華やかな頃、当時の岸信介首相は、
デモに加わらない人々を指して、「私には”声なき声”が聞こえる」と述べました。
反対しない者、抗議しない者は「賛成・信任」ということなのです。
アメリカやヨーロッパとかなら暴動になりかねない事態なのに、
日本国民はじわじわ煮られる「ゆでがえる」のようなものです・・・
政府や官僚の責任逃れをこれ以上許しておいていいのでしょうか?!

なお、この問題に関して、
なぜ原子力災害対策本部の議事録がないのか」(藤田正美の時事日想
という記事もオススメです。

2012年1月25日 (水)

NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」-上原彩子ピアノ・リサイタル-(2012年1月23日放送)

我が家では最近、
NHKBSプレミアムの「クラシック倶楽部」(月~金の朝6:00~)が、
目覚まし時計代わりになっています。
ただし、大きな音がするから一度は目が覚めますが、
演奏が退屈だと二度寝してしまうことがよくあります(*^-^)
しかし、2012年1月23日放送の上原彩子さんの演奏は全然違いました!
朝だから音量を絞っていても、迫力は十分伝わりました。
(あらかじめ録画しておきました。)

2010年7月4日に東京のヤマハホールで開かれたリサイタル。
改めて、音量を上げて、演奏を聴いてみました。
ショパンの演奏のすばらしさは特筆に値します。
わけても、「練習曲集」作品25の、第10番ロ短調から第12番ハ短調までは、
音の小宇宙を思わせるような壮麗な演奏でした。
普段ショパンの曲はあまり聴かないのですが、
上原彩子さんのこの演奏はかれこれ3回ぐらい繰り返して聴きました。
(番組では、2台ピアノ版での「牧神の午後への前奏曲」も放送していましたが、
こちらは曲自体が好きではないのでパスしました。)

上原彩子さんは、チャイコフスキー国際コンクール優勝という輝かしい経歴と、
すばらしい技巧の持ち主ながら、CDの数は現役盤がたった4枚、
しかもロシアものばかりという寂しい状況です。
(ムゾルグスキー、チャイコフスキーのCDはあの宇野センセイも絶賛ものですが・・・)
今回放送されたショパンなど、
ロシアの作曲家以外のもどんどん録音してほしいものですね。

2002年チャイコフスキー国際コンクールライヴ

グランド・ソナタ(チャイコフスキー)

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番&ムソルグスキー:展覧会の絵

※両曲とも宇野センセイ絶賛!

プロコフィエフ作品集

2012年1月24日 (火)

NHKBSプレミアム・プレミアムシアター「ベルリン・フィルのジルヴェスター・コンサート2011」(2012年1月21日放送)附:ウィーン国立歌劇場の「こうもり」(2011年12月31日公演)

2012年1月21日に、NHKBSプレミアムの「プレミアムシアター」で、
ベルリン・フィルのジルヴェスター・コンサート2011」を放送していました。
番組の長さは全体で5時間!
最初の1時間半弱が2011年のベルリン・フィルのジルヴェスターコンサートで、
後の時間は、2011年大晦日のウィーン国立歌劇場の「こうもり」でした。
録画して観ました。
(ただし、「こうもり」の方はまだ全部を観ていません。
約3時間なので・・・そのうちじっくり鑑賞することにします。)
どちらも2011年大晦日の海外公演ですが、
テレビを通して一晩で、
しかもこんなに早くにどちらも楽しむことができるなんて、贅沢~!

NHK番組表から、放送された演奏曲目を転載します。
指揮はもちろんサイモン・ラトル。ピアノ独奏はキーシンです。

(引用)
「スラブ舞曲集 作品46から 第1番」ドボルザーク作曲
                              
「交響的舞曲 作品64」グリーグ作曲
                              
「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」グリーグ作曲
                              
「道化師の朝の歌」ラヴェル作曲
                              
「楽劇“サロメ”から サロメの踊り」リヒャルト・シュトラウス作曲
                              
「バレエ音楽“火の鳥”から」ストラヴィンスキー作曲
                              
「ハンガリー舞曲 第1番」ブラームス作曲
                              
「スラブ舞曲集 作品72から 第7番」ドボルザーク作曲

(引用終)


このうち、「道化師の朝の歌」~「火の鳥」までは聴かないでパスしました。

ドボルザークの「スラブ舞曲集」が最初と最後に置かれていました。
スラブ的要素は皆無ですが、オーケストラの機能美を十分に堪能できました。

録画した翌日から何度も聴いているのが、
グリーグのピアノ協奏曲です。
北欧らしさは感じませんが(かといって、ドイツやロシアも感じませんけど・・・)、
キーシンのピアノ、ラトル&ベルリン・フィルで十分合格点の演奏でした。
ベルリン・フィルの弦の美しさが特に印象に残りました。
第3楽章の終盤のオケの迫力は、
まるでナイアガラの滝を見上げるかのような圧倒的な響きでした。
しばらく頭の中ではグリーグのピアノ協奏曲が鳴り響いていることでしょう・・・

グリーグのピアノ協奏曲の名盤といえば、
ツィメルマン/カラヤン&ベルリン・フィルのが有名ですね。

以前図書館で借りて聴いたことはありますが、
CDを買いたい、というまでには至らなかったように記憶しています。

我が家にはグリーグのピアノ協奏曲のCDはないので、
AmazonやHMVのサイトで今回いろいろ試聴してみました。
ツィメルマン/カラヤン盤の他に有名なリヒテル盤、リパッティ盤をはじめ、
アンスネス/ヤンソンス&ベルリン・フィルや、仲道郁代盤、
ルプー/プレヴィン盤など7、8種類聴いてみましたが、
一番心に響いたのは、
ネルソン・フレイレ/ルドルフ・ケンペ&ミュンヘン・フィルの演奏でした。
第1楽章冒頭が少し早すぎるかな、という気がしますが、
オーケストラが実に雄弁です。
そのうち手にいれようかな・・・

こうもり」の方は前述のとおりまだ1幕目の途中までしか観ていません。
有名な「こうもり」序曲が流れる間、番組を制作したフランスのテレビ局による、
キャスト紹介のイメージ映像が実におしゃれでした。
19世紀の耽美的な雰囲気をよく表していました。
舞台装置はいかにも19世紀~という感じで、落ち着いて作品を堪能できそうです。

ところで、NHKBSでたまに海外オペラの放送をしますが、
演出は本来の舞台設定をぶち壊すような「現代的な」演出のものが多いのは残念です。
演奏がどんなによくても、観る気になれません。
もっとオーソドックスな演出のものを観たいものです。

2012年1月24日の読売新聞夕刊で、
指揮者のマレク・ヤノフスキさんが、
ヨーロッパの歌劇場での現代的な演出を批判して
話の内容と歌手の演技がまったくかみ合っていない。舞台と音楽もしかり。
あれはオペラではありません。
」というコメントを述べていました。
まったく同感です。

映画「かもめ食堂」

NHKBSプレミアムで、2012年1月23日に、
映画「かもめ食堂」が放映されていました。
私と妻は、映画館で一度観たことはありますが、
改めて観ても、結構楽しめる作品でした。
(録画しておきましたが、結局放送をそのまま観てしまいました。)

なんとも不思議な魅力の作品ですよね。
結論も方向性もメッセージ性もない。
日本人の登場人物は謎だらけ・・・
それでも、観ていてゆったりとした気分になれる、ステキな作品です。
小林聡美さん、もたいまさこさん、片桐はいりさんの名演技が実にすばらしいですね。

妻は映画の舞台であるフィンランドのヘルシンキに1日だけ行ったことがありますが、
私はフィンランドには今のところ行ったことはありません。
映画はどちらかというと室内での撮影が多いので、
北欧らしい青空や森は控えめにしか出てきませんが、
料理のアクセントのように、彩りを添えています。
行ってみたいなぁ・・・

時折、目的や目標を追い求めるのに疲れた時に、
この「かもめ食堂」を気軽に観て、
目だけでもちょっと変わったフィンランドの旅を楽しんではいかがでしょうか?

DVD、Blu-rayと原作です。

DVD

Blu-ray

原作(群ようこ作)

2012年1月23日 (月)

恭喜發財!2012~札幌北広島クラッセホテルの旧暦新年の飾り

2012年の旧暦新年は、1月23日です。
ということで、新年のご挨拶を・・・「恭喜發財!
日本語で言えば、新年の挨拶に相当しますが、
正確な意味は、「お金持ちになる」だそうです。
(あえてカタカナで広東語の発音を書くと、「コンフェイファッチョイ」)
ちなみに、来年は2月10日とのこと。
キリスト教最大の祝日である「復活祭」と同様、毎年祭日が違います。
(クリスマスが最大の祝日なのではアリマセン・・・)

新年なので、おめでたい言葉を書き連ねましょう。
」、「新年快樂」、「身体健康」、「出入平安」、「萬事如意」・・・
皆様に神様の祝福と平安が豊かにありますように!

ところで、1月22日に、
妻と一緒に北広島市(札幌の隣市)の札幌北広島クラッセホテルの温泉へ行きました。
札幌から北広島駅まではJR、
北広島駅前からはホテル行きの無料のシャトルバスがあります。

札幌北広島クラッセホテルへ行くと、玄関のところに、旧暦新年の飾りがありました。
珍しいので、ケイタイで写真を撮りました。
このホテルのロビーには、北京語か広東語で話している家族が何組かいました。
温泉の中でも北京語か広東語かわかりませんが、言葉が響いていました。
きっと、中国・台湾・香港方面からの観光客が多いのでしょうね。


(クリスマスリースの上に、旧暦新年の飾りをつけたものでしょうか?)
201201221


(富がたまりますように!)
20120122_2


(万事うまくいきますように!)
20120122_3


北海道にとって、中国本土・台湾・香港方面からの観光客は、
実にありがたい存在です。
(北海道の観光客で圧倒的に多いのは中国系の人々です。)
札幌の時計台近辺を通ると、たいてい外国語が聞こえてきます。
昨年の3.11後しばらくは寂しい状況が続きましたが、
ようやく平常を取り戻しつつあります。

2012年1月21日 (土)

映画「私をスキーに連れてって」※附:妻をスキーに連れてって・・・

BSフジで、2012年1月21日に、映画「私をスキーに連れてって」を放映していました。
バブル期前に大ヒットした作品ですね。
とても有名な作品ですが、実は今回初めて観ました。
今までスキーにほとんど興味がなかったので、特に観たいと思わなかったのですが、
今年の1月から、必要に迫られて約20年ぶりにスキーに挑戦してみましたので、
作品内容に親近感を持って観ることができました。

映画では、先が尖った旧式スキーでの華麗なシュプールが披露されていますが、
さすがに、今ではスキー場であまり見かけなくなりましたね。
(先日、富良野のスキー場で、
自衛隊の方々が訓練として旧式スキーで滑っているのを見かけました。)
私も久しぶりにスキー場に行って、スキー板の先端がしゃもじのように丸くなっていたのと、
(カービングスキー)とてもスキーがしやすくなっていたのに驚きました。
(かつて旧式スキーのセットを持っていました。
スキーをやって楽しいという記憶はありません。下山するのに大変怖かったかな・・・)
私にとっては、今月生まれて初めて、スキーが楽しいと実感しました。
旧式スキーでは、ハの字ストップをするのがやっとだったはずの私が、
約20年というブランクがありながらも、一度も転ばずに下山しつつ、
軽快にターンをしているなんて・・・
道具の変化の大きさに感謝感激でした!

映画の話題に戻りましょう。
携帯がほとんど普及していない時代なので、トランシーバーで連絡を取り合ったりとか、
時代を感じさせるものがいくつもありましたが、
(その他⇒竹中直人さんの髪がフサフサしている!)
そんなのを気にしないほど、テンポよく映画が進んでいきます。
最初の方に出てくるロングヘアの原田知世さんの白いスキーウェア姿が実にカワイイ~!

原田知世さんがコケるシーンが何回か出てきますが、
その都度、私の妻は深~い共感(?)で観ていました。
特に自分で起き上がることができないシーンなど・・・

先日、妻と一緒に富良野スキー場に行きました。
妻は本格的なゲレンデスキーは初挑戦でした。
事前に何度か近くの公園で練習はしたものの、
やはりあまり上達せず、子供用ゲレンデで滑って止まるのが精一杯でした。
一度だけ、一緒にリフトに乗って初級者コースに行ったのですが、
下山するまでに40~50分かかってしまいました。
(コケたり、起きあがることに手間取ったり・・・)
今シーズン中に、もっと易しいスキー場で練習をして、
もう少しうまくしてあげたいな、と考えています。

映画では、車での派手なアクションシーンや、
スキー初級者(原田知世さんの役)が滑走禁止の危険な道を、
しかも夜に滑走していく、という無茶なシーンが出てきますが、
ご愛嬌でしょう。

スキーする楽しさを伝える魅力的な映画でした。
この映画の後、一大スキーブームが起きたのもうなづけます。
これを観たら、スキー場に行きたくなりますね。
また、ユーミンの歌が実にイイところで入ります。
クリスマス定番の歌「恋人はサンタクロース」は、
主題歌ではなく挿入歌だったのですね。

スキー板の決定的な変化の影響について、
映画から考察した記事がありますので紹介します。
・「銀色のシーズン vs 私をスキーに連れてって
私をスキーに連れてって」から20年後に公開された、
銀色のシーズン」という映画との比較です。
ぜひご一読を。

富良野スキー場は、滑りやすいですし、
富良野市街と十勝岳を見渡す絶景を見渡すことができ、
とてもステキでした。
また行きたいなぁ・・・
ちなみに、富良野へは車やバスではなく、
JRを利用しました。
札幌から滝川又は旭川までの運賃・特急自由席往復と、
滝川又は旭川から富良野までの往復乗車券、
富良野駅からスキー場までのバス往復、
スキーセット(板、ストック、ブーツ)がセットで、
1人5750円(2011-2012シーズン)でした。
手ぶらスキップ富良野(JR北海道のパック旅行商品)

国際養子縁組を考える~NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「過ぎし日々への旋律」(2012年1月20日再放送)

まるで短編映画でも観ているかのような、味わい深いドキュメンタリーでした。
2012年1月20日(1月19日深夜)に、NHKBS1で、
BS世界のドキュメンタリー「過ぎし日々への旋律」が再放送されていました。
幼少時に諸事情で韓国から国際養子縁組でオランダの家庭に引き取られ、
その後国際的なハープ奏者として活躍している、
ラビニア・メイジャー(Lavinia Meijer)さんが、
生まれ故郷である韓国に演奏会で招かれ、実父と会う、というものでした。

番組HPから放送内容を転載します。
(引用)
世界的なハープ奏者、ラビニア・メイジャー(27歳)は韓国生まれのオランダ人。色々な事情で1歳の時、実の兄とともに韓国からオランダに渡り養子となった。愛情深い養父母の元で育てられたラビニアは、音楽の才能を開花させてハープ奏者となり、世界中を回り公演を行っている。そんなラビニアの元に韓国から演奏の誘いが舞い込む。新年コンサートでオーケストラと共演して欲しいというのだ。
始めて訪れた生まれ故郷の韓国。ラビニアは迷いながらも実の父親との面会を決意する。その前年、連絡を取りたいという手紙をもらっていたのだ。養父母は自分を捨てた実の父親とラビニアが会うことに不安を隠せない。
演奏会が始まる直前、一人楽屋で待つラビニア。ドアが開き、父親が入ってくる。優しい笑顔を見せるラビニア。父親は「すまない、すまない」と言いながら号泣・・・。「優しい父母、すばらしい夫に恵まれて私は幸せ。謝ることはないわ」と言いながら、やがて彼女の目にも涙が・・・。
番組ではラビニアの心象が、印象的な映像と彼女自身が演奏するハープの音でつづられる。一人の女性が自らの過去を整理し、一歩前に進む様を描いた秀作ドキュメンタリー。
原題:Play for the Past
制作:PLUGGIN’ Creative Lab (オランダ/韓国 2010年)

(引用終)

このドキュメントでは、音楽がコメント以上に心の内面を語っていました。
特にヘンデルのハープ協奏曲の美しい調べが、明るい中に陰を落として、
まるで涙のように思えるところが印象的でした。

ラビニアさんを引き取った家庭は、相当に裕福な家庭だと想像できます。
もし韓国に留まったままだったなら、
ラビニアさんはおそらく、ハープを演奏するような環境にはなかったはずです。
恵まれた環境であった反面、やはり実の親から引き離されたという「負い目」が、
ずっと心の中にあったのでしょう。
番組の途中では、「父を許すことはできません」というコメントをしていたものの、
最後には、実父と会うまでに至ります。
ドラマよりもドラマティックな展開だと感じました。

私はこの実話を観ながら、旧約聖書・創世記のヨセフの話を思い浮かべました。
ヨセフは兄弟たちにねたまれたあげく、エジプトに売られてしまいます。
奴隷の生活で一時成功したものの、濡れ衣を着せられて牢獄へ。
その後、ファラオの夢を解き明かすことでエジプトの大臣に上り詰めます。
中近東一帯が大飢饉に襲われた時に、彼を売り渡した兄弟たちと再会します。
(詳しくは旧約聖書の創世記37章~50章をお読みください。)
大臣となったヨセフが兄弟たちに自分の正体を明かした際に、
わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。
(創世記45:8新共同訳)とヨセフが言い、兄弟たちと和解します。
メイジャーさんが実の両親と引き離されたのは確かに不幸なことですが、
大きな視点でみれば、やはり神様のはからいであったといえましょう。
実の父に会えたことが、ヨセフと兄弟たちの和解を想起させました。

最終的には、実の父よりも育ての両親の方が、本当の「親」ですね。
この番組を通して、里子の立場の心理を少し垣間見ることができました。

ラビニア・メイジャーさんのハープ演奏の動画を紹介します。
サン=サーンスの曲のハープ独奏です。

番組の中で出てきた、彼女のCDです。
番組の終盤で、実父にサインして渡すシーンが映し出されていました。
(Amazonでは、MP3ダウンロードのみの扱いです。)
※HMVでは、輸入盤SACDの注文ができます。

Divertissements

なお、HMVでの日本語表記は、「ラヴィニア・マイヤー」となっています。
オランダ語の名前をカタカナ表記すると、「ラビニア・メエヘル」だそうです。
彼女のSACDに関する国内情報では、下記のサイトがあります。
【SACD】『ハープのための幻想曲と即興曲』ラヴィニア・マイヤー
本人の公式HPがあります(ただしオランダ語・英語)
http://www.laviniameijer.com/

ヘンデルのハープ協奏曲の第1楽章はとても美しい曲ですね。
現在持っているCDは、昨年の秋に購入しました。
実に典雅な演奏です。
ヘンデル以外の曲は知名度が低いですが、聴き易くて美しいですよ。

ヘンデル/ディッタースドルフ/フレンセ ハープ協奏曲集

2012年1月20日 (金)

おすすめブログ記事~今年の夢―塾を学校へ(自民党衆議院議員・下村博文氏)

現職の国会議員の中でも、
教育について最も優れた見識を持っている、
自民党の衆議院議員、下村博文氏のブログ記事を読みました。
タイトルは「今年の夢―塾を学校へ」(2012.1.17)。
大阪市の橋下市長もビックリするような、大胆な意見です。
短い文章なので、ぜひ全文を読んでいただきたいですが、
要点のみ引用します。
(引用)
私は思い切って「塾を学校として認める」ようにした方が日本の教育は一気に改革が進むと考える。学校設置規準を大幅に緩和し、簡単に学校がつくれるようにすることによって教育の多様性をより理想的な教育にすることが可能となる。
(中略)
民間の塾経営者や実社会で活躍した人達がかつての寺子屋のような発想で学校を開き、日本の津々浦々で百花繚乱の学校教育ができるとしたらどうだろう。

もちろんそれらの新規参入に負けないように既存の公立や私立の学校も頑張る。まさに日本社会総参加の「教育立国」づくりだ。

小・中・高校の生徒の卒業規準は国が厳しくチェックし、知育・徳育・体育と一定規準達成を卒業検定とし、あとはバウチャー制度の導入をして親の経済的負担格差をなくすようにする。

それぐらいのドラスティックな教育改革をしないと、この国は沈んでしまう。

夢で終わらせたくない。
(引用終)

確かに、公立学校の改革は遅々として進まないですよね。
それならいっそ、下村氏が主張するように、
学校設置基準を大幅緩和し、民間参入しやすくした方が、
競争が生まれ、サービスの向上(=学力の向上)が進むでしょう。

東電を筆頭とする電力会社は競争原理が働かないから、
あれだけひどい言い訳をしても平然としていられます。
学校現場はどうでしょうか?
小学校では相変わらず算数の問題解決型授業や、
行事中心の教育課程がまかり通っています。
真の教育を学習塾に丸投げする状態はおかしいものです。
それならいっそ、塾を公的な「学校」にした方が、
子どもたちの未来と日本の明日のためにはいいかもしれません。
下村氏のずいぶん大胆な「夢」に拍手!
ぜひ志ある政治家の方々が、夢を少しでも現実化できることを願います。

下村博文氏の著作について紹介した過去記事です。
書評:下村博文著『下村博文の教育立国論』(河出書房新社)

2012年1月19日 (木)

消費税増税しか道はないのか?~騙され続ける日本国民

全国紙やテレビによる「消費税増税に賛成」という声は、
放射能汚染を「ただちに健康に影響がない」とごまかされたのと同様、
またまた日本国民を騙して、国全体を不幸に陥れるのでしょうか?

こんな記事を読みました。
「反増税派を番組に出すのは勇気いる」とTVディレクター証言
(2012.1.18 NEWSポストセブン※週刊ポスト2012年1月27日号から)
記事から引用します。

(引用)
野田佳彦・首相が年頭会見で消費税増税を「ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ」と語るなど、露骨な増税路線が敷かれ始めた。財務省による大新聞、テレビを巻き込んだ世論工作も活発化している。メディアに対しても元経産省官僚の古賀茂明氏ら反増税派言論人の露出をやめさせるべく圧力をかけている。
(中略)
その裏には何があるか。民放テレビのあるディレクターが明かす。
「高橋氏や古賀氏を番組に出すのは勇気がいる。財務省に睨まれて『あの発言の根拠は何か』と抗議が来るからだ。局の上層部はそれが怖いから、せっかく出演してもらっても収録後に発言やデータをチェックし、財務省の心証が悪くなりそうな部分はカットして自主規制する傾向にある」
言論機関の自殺である。

(引用終)

政治家と官僚は大震災以来、
すっかり情報操作に味をしめてしまったのではないでしょうか?

私は日本共産党は好きではありませんが、
しんぶん赤旗」の次の主張は正しいと思います。
大手紙社説 この異常 消費増税先にありき 国民無視し 政権後押し
(2012.1.15)
記事から引用します。
(引用)
消費税増税と比例定数削減の強行に向けて「最強の布陣」とした野田佳彦首相の内閣改造(13日)を受け、大手メディアは14日、いっせいに増税支援の社説を掲載しました。自民、公明両党には「協議から逃げるな」と“3党体制”=事実上の大連立政治の構築を迫っています。消費税増税反対の国民多数の声を無視した“はじめに増税ありき”の横並び社説に、メディアの見識を厳しく問う声があがっています。
(中略)
異常なのは、どの世論調査でも消費税増税に「反対」が多数となる中で、これらのメディアが国民の声を一顧だにせず一方的に増税をあおる姿勢です。
(引用終)

特集~消費税増税は必要ない!」という記事を読みました。
なかなかすばらしい内容ですのでぜひお読みください。
要点だけ引用します。

(引用)
日本経済の立て直しに消費税増税など必要ありません!

2010年になって、自民党だけでなく民主党までもが、消費税増税を言い出しました。マスコミでは「日本の財政再建の為には増税もやむなし」という議論一色となっており、世論調査でも半数程度の国民が「増税は仕方ない」と考えるまでになってきています。確かに日本の財政は世界最悪で、今後も増え続ける社会保障費の道筋は不透明です。何か対策をしなければ、日本政府が財政破綻することは間違いありません。
しかし、最初に断言しておきます。

消費税増税で財政破綻を防ぐ事は絶対に出来ません!

なぜなら消費税は、増税をすれば必ず内需が激減して税収が落ち込む「逆相関」の税制だからです。1%の増税で増える収入が2兆円だの2.5兆円だのと言われますが、これは真っ赤な嘘です。税率が上がれば上がるほど、1%当たりの増収は激減していきます。

例えば、財政健全化の目安である「プライマリーバランス」は、2010年度で20兆円以上もの赤字です。そして2011年以降は、東日本大震災と福島原発事故の影響で、赤字は更に膨らみ、30兆円以上の赤字も予想されます。30兆円を消費税で賄うには、20%でも足りません!税率を上げれば上げるほど、国内消費は冷え込みますし、そうなれば企業の海外移転が加速して、失業率も悪化していきます。消費税が5%に上がった翌年、日本で初めて自殺者が年間3万人の大台を超えました。内需縮小により、中小企業の倒産が増えたり、大企業でもリストラが加速した事で、自殺する人が増えたからです。もし消費税を10%以上に上げれば、自殺者は5万人を超えるとの予想もあり、間違いなく国民生活は破綻してしまいます!
(引用終)

この文章の後、消費税増税ではなく、インフレターゲットを導入すれば、
日本は財政再建できる、と主張されていますが、真偽はご自身で判断願います。

先日、書店で『カジノ解禁が日本を亡ぼす』(祥伝社新書255)という新書を立ち読みしました。
以前紹介した、『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』の続編と言うべき書です。

カジノ解禁が日本を亡ぼす

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか

⇒(過去記事)
立ち読み日記~『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社新書226)

パチンコ依存症は生活習慣病?~NHK・追跡!真相ファイル「パチンコにハマる女たち」(2011年12月27日放送)

カジノ解禁が日本を亡ぼす』の中で、
著者は財政再建に消費税増税をするよりも、パチンコと携帯電話に課税すれば、
あっという間に何兆円もの税収があがる、と主張していました。
確かに、そうかもしれませんね。
(国会議員やマスコミが、パチンコ業界と癒着しているから、かなりムリそうですが・・・)

それ以上にもっと手っ取り早いのは、宗教法人への課税です。
某「●●学会」などは、資産が数兆円あるといわれます。
某「○○の科学」などは、選挙でボロ負けしても平気な顔です。
そんなにカネが余っているなら、日本のためにもっと尽くしてほしい、
それこそ宗教者の道ではないのか、と思うほどです。
宗教法人に課税をしたら、少なく見積もっても4兆円の税収がある、
という試算を読んだことがあります。
仏教、キリスト教、神道、新興宗教問わず、
国難を救うために、自ら「宗教法人に課税を!」と名乗り出る、
潔い宗教団体はないのでしょうか?

2012年1月18日 (水)

「福島県民は誰も甲状腺がんにならない」(札幌医科大・高田純教授)だってさ・・・

MSN産経ニュースで、
あの田母神氏、渡部氏も激賞
「真の近現代史観」放射線論文が最優秀賞
「福島県民は誰も甲状腺がんにならない
』(2012年1月15日)
という記事を読みました。
(引用)
元航空幕僚長の田母神俊雄氏が第1回の最優秀賞に選ばれて騒然となった「真の近現代史観」懸賞論文。第4回の選考では札幌医科大の高田純教授(57)による論文「福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった~東日本現地調査から見えた真実と福島復興の道筋」が最優秀賞(賞金300万円)となった。理系論文での異例の受賞で、現地調査を積み重ねた上での大胆な結論は世間に衝撃を与えそうだ。田母神氏も激賞する論文の中身とは…。(溝上健良)
(引用終)

福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった~
東日本現地調査から見えた真実と福島復興の道筋

最初に結論ありきのスゴ~~イ論文ですねヽ( )`ε´( )ノ
こんな論文を最優秀賞に選んだ、某AP●グループというのは、
アッパッ●ーなのか、ア●なのか・・・
無策な政府の自己弁護に使われそうな内容ですね。

受賞論文から一部引用します。※下線は筆者による。
(引用)
 武田邦彦氏は、被災住民の年間限度を二十ミリシーベルトに政府が上げたことを問題視している。そして、「小児がんは、チェルノブイリの事故では、被曝の四年目から出ています」と言う※8。これは明記されていないが、甲状腺がんを指している。あたかも、その程度の低線量で発生しているような誤解を読者に与えているのは大問題だ。

 現地での甲状腺線量は、最大五十シーベルト、多くが数シーベルトを受けたために、こうした病気が発生したのである。ベラルーシでは、小児人口十万人年間あたり、四年後に四人、九年後に十三人と最大になり、その後減少に転じた。

 福島の場合、県民の甲状腺線量は、チェルノブイリに比べ、一千分の一から一万分の一以下と低い。私が検査した六十六人の最大が八ミリシーベルト。線量から判断すると、福島県民の甲状腺がんリスクは年間一千万人あたり一人以下となる。しかし福島県の人口は二百万人なので、だれも、この低線量で甲状腺がんにならない。素人知識で福島県民や国民を脅すのもいい加減にせよ。

全身の外部被曝では、チェルノブイリ三十km圏内からの避難者の最大線量は、七日間で七百五十ミリシーベルトの高線量を受けていた※9。それに対して、福島二十km圏内からの緊急避難者たちの線量は、当時の屋外空間線量率の推移から想像して、ミリシーベルト程度とチェルノブイリの百分の一以下だ。だから、チェルノブイリの健康被害を持って、福島県民やそれ以外の日本国民の健康影響を脅すことは犯罪に近い
(引用終)

高田純氏の言葉を返して言えば、
犯罪に近い」のはどちらでしょうか・・・
ガンは甲状腺ガンだけではないのです。
確かに、放射線の人体への悪影響は、
統計学的に「リスクが高まる」ということだけで、
正確なことはよくわかっていないようですけども・・・
論文を読む限り、高田氏の主張の多くは論点のすり替えのように思えます。
チェルノブイリやフクシマよりも、中国の核実験による汚染の方がひどかった。
福島県は安全だ・・・
低線量被曝は問題にならない・・・
氏の主張が本当かどうか、数年後にはあきらかになるはずです。
(確かに、「被害なし」になればバンザイなのでしょうが・・・)

学問の自由は憲法で保障されていますから、こういう主張をするのは結構です。
また、気休めを求める人が多いのも事実です。
しかし、福島県民で人体実験をするのはこれ以上やめてほしい!
そう思わずにはいられません。

高田純氏の著作を少し紹介します。
福島に関するものについては、私は読むに価しないと思いますが、
お金と心に余裕がある方はどうぞ。

福島 嘘と真実―東日本放射線衛生調査からの報告 (高田純の放射線防護学入門シリーズ)

福島第一原発事故に学ぶ―放射線防護の基礎知識

世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス)

放射能汚染の問題は、極論を避け(まったく被害がない⇔極めて微量でも危険)、
幅広い意見を検討した上で、自分なりの妥当な安全策を考える必要がありますね。

2012年1月17日 (火)

「プリンストン発 新潮流アメリカ」(冷泉彰彦さんのブログ)の、日本の教育についての記事2つ(2012年1月)

ニューズウィーク日本版のサイトに連載中の、
アメリカ在住の作家、冷泉彰彦さんのブログ
プリンストン発 新潮流アメリカ」を1、2年前から読み続けています。
アメリカの政治やスポーツ、文化などについての記事も興味深いですが、
それ以上に、アメリカという対岸から
日本の政治・文化・教育などを眺める独自視点がユニークです。

今月の記事で、日本の教育に関するものは2つあります。
まずは、1月11日記事の「尾崎豊の再評価が不要な理由」。
成人式にちなんで、朝日新聞の社説で「今の若者に尾崎豊のような反抗を期待」する、
というメッセージと、それに反論した知識人の論争について書いています。
尾崎豊云々にはあまり興味がありませんでしたが、
なぜ80年代後半~90年代に尾崎豊が時代の寵児となり、
同時に校内暴力がはびこったのか、という背景の分析として、
日本のゆとり教育について論じているところが痛快でした。
その部分を引用します。
(前後の記事本文もぜひお読みください。)※下線部は筆者による。

(引用)
 日本が最も豊かであったあの時代に、どうして校内暴力の反抗が起きたのでしょうか? そこには2つの理由があると思います。1つは、日本が高度成長から二度の石油ショックを乗り越え、自動車と電気製品を中心に輸出型ビジネスを大成功させる中、ようやく「豊かな社会」を実現したという時代背景です。物質の豊かさは精神の豊かさ、つまりより高度な抽象概念への関心や、より高度な付加価値創造への欲求へと若者を駆り立てたのです。

 ところがそこに、教育カリキュラムとのミスマッチが起こりました。教育カリキュラムはせいぜいが「前例を疑わない官僚」や「主任教授の忠実な弟子である研究者」「代々受け継がれてきた職人的な創造者」などをエリートとして養成しつつ、多くの中間層に関しては定型的な労働における効率を追求する人材育成のプログラムしかなかったのです。

 つまり、若者の中には無自覚ではあっても「その先の社会へ」と進むモチベーションが高まっていたのに、教育がそれに応えなかったのです。やがて、ずいぶん後になってから「ゆとりと総合的学習」などという半端なコンセプトが提出されましたが、基礎訓練を強化した上で抽象的な概念のハンドリングへ進むのではなく、基礎訓練の劣化を伴いつつ指導者の育成もせずに「総合」などというのでは破綻するのは当たり前でした。

 ちなみに、この「ゆとり」に関して言えば、前思春期には基礎を叩きこんで、思春期から先に抽象概念にチャレンジさせるという定石も外していました。実際はその反対だったのです。前思春期に「おままごと」のような「総合」をやらせておいて、思春期以降は「受験勉強」に戻って定型的な訓練と規範への盲従を強いるという、まるで人格を成長「させない」ようなプログラムになっていた点も厳しく批判されなくてはなりません。

 もう1つ、校内暴力の背景にあったのは教員の質の低下でした。80年代の世相の中では、「利害相反の中でコミュニケーションの仲介をする」という当たり前の社会的行動を「忌避する」タイプが多く教員になっていったように思います。バブルの拡大を前にして「ビジネス志向」の若者が企業社会に飛び込む中で、「そうではない」タイプが教壇を目指したのです。

 拝金主義を嫌って本質的な人格育成を担う志があるのならまだ良かったのですが、利害相反の調整行動を「イヤ」だ「辛い」というタイプを教員にしたのは間違いでした。世代間のカルチャーがどんどん変化する中で、教員に求められるのも「高度な利害相反の調整能力」であったのです。そのスキルのない教員には、生徒の「変化への衝動」や「権威への疑い」に対処できるはずはありません。

 そこで当然の帰結として管理教育が導入されました。管理教育というのは、強者ゆえに管理に走るのではなく、無能な弱者ゆえに細かな規則などによる管理でしか学級運営(クラス・マネジメント)ができない、教育のレベル低下であったのです。原理原則を軸として柔軟な価値判断や現実的な紛争調整をすることができない無能な教員が、生徒の「変化や破壊の衝動」を圧殺するという悲劇が繰り返されたのでした。
(引用終)

下線を引いた部分は短いながらも、
ゆとり教育と「総合的な学習の時間」の歴史的総括といえましょう。
基礎がないのに、応用も総合もあるわけがないのです。
「総合的な学習の時間」は、壁新聞を作らせて終りとかのレベルです。
資源と時間のムダではないでしょうか?
むしろ、冷泉彰彦さんの主張のとおり、基礎を充実させるほうが優先でしょう。
総合的な学習の時間は、
どんどん縮小すべきか、少なくとも教師用のテキストはきちんと作るべきだと考えます。


話は変わって、2つ目の記事は、先日行なわれたセンター試験についてです。
センター試験の「中身」を辛口批評する(1月16日)
英語のテストと国語のテストの比較と傾向について論じています。
特に国語のテストについては酷評しています。
(引用)
 日本の企業社会は、長い間「ビジネスに役立つ本当の教育は企業が担う」などといって、「大学は入試で基礎能力の選別をしてくれればいい」とか「意味を問うことなく素直に暗号解読や情報の記憶を」する学生が好ましいなどと言って来ました。それを今になって、外国人の若者のほうが使えるなどと「裏切り」に等しいをことを言っているわけです。

 そうした時代状況を考える以前の話として、この「センター試験国語」の問題は何とかならないのかと思います。一番の問題がいい例で、これでは、基礎能力そのものの判定にもならないのではないでしょうか? 試験の直後でもあり、各予備校や新聞社は問題をサイトに公開しています。皆さん、是非一度ご覧になることを薦めます。

 それにしても、問題用紙が遅れたとか、リスニングの機械が足りなかったという話ばかりではなく、問題そのものが「求める人材像の能力要件」や「高校生への学習の方向性のメッセージ」として適切なものかどうか、そうした観点からの議論が必要だと思うのです。
(引用終)
最後の一文は考えさせられますね・・・

なかなか全貌をつかめないマーラーの「一千人の交響曲」~NHKEテレ・N響アワー「マーラー 一千人の交響曲」(2012年1月15日放送)

マーラーの交響曲第8番、通称「一千人(千人)の交響曲」。
高校生の時、初めてこの曲の存在を知った時は、聴く前からワクワクしていました。
どんな響きがするのだろうか・・・
マーラー自身が「大宇宙が響き始める様子」などと書き記しているほどですから、
期待しないわけにはいきませんでした。
しかし・・・
確かに、第1部冒頭の響きはものすごいです。
映像で見ると圧倒されそうです。
ただ、録音バランスが非常に難しい曲なので、
オーケストラの音と合唱の音、どちらかがぼやけてしまうか、
音の団子状態が続くような、もどかしいものばかりといえます。
また、冒頭の響きのような壮麗さはずっと維持されるものではなく、
室内楽みたいな響きもしばしば出てきますし、
何よりも第2部があまりに長くて退屈です。
(最後の部分だけは感動しますが・・・)
なかなか全貌がつかめない曲といえます。

 

Veni, creator spiritus,
来たれ、創造主たる聖霊よ

 

荘厳・華麗な響きで聖霊に呼びかけるこの冒頭部分は、
とても好きです。
私にとってのマーラーの「千人の交響曲」は、
いつもこの冒頭部分で終ってしまうのですが・・・
(あとは退屈・・・)

 

初めて買ったこの曲のCDは、インバル指揮フランクフルト放送響のものでした。
今も現役盤ですね。
録音はかなりクリアですが、迫力不足のように思えました。

 

 

その後、バーンスタイン指揮ウィーン・フィルのCDも手に入れました。
こちらは熱演ですが、録音はイマイチ・・・

 

さて、今回のN響アワーでは、シャルル・デュトワの指揮による、
昨年12月の演奏の一部を放送していました。
第1部と、第2部の最終部のみでした。
一番オイシイところですね。
マーラーの8番を演奏するのは、一大イベント、というよりは「一大事件」のようですね。
N響の長い歴史においても、昨年の演奏は3回目とのこと。
総勢約500人の演奏でした。
マーラーとデュトワ、というイメージがあまり結びつかない気がしましたが、
名指揮者による演奏だから、期待しました。

 

この演奏、実演で聴いたらさぞすばらしかったのかな、と想像できましたが、
録音で大いに損しているのでは、と思いました。
巨大な響きをとらえ切れていない印象を受けました。

 

番組を観終わってから、「口直し」に、バーンスタインの演奏を聴き直してみましたが、
やはり迫力不足のように思えました。
この記事を書く前に、
マーラーの交響曲第8番の名演奏といわれる盤の試聴をいくつかしてみました。
バーンスタイン、ショルティ、ブーレーズ、ラトル、インバル(旧盤)・・・
冒頭部分だけをとるなら、インバルの旧盤とブーレーズのがよかったです。
しかし迫力不足な気はぬぐえませんでした・・・

 

ブーレーズ盤

 

試聴はできませんでしたが、録音で評判がいいのは、
インバルの新盤、都響の演奏です。
機会があれば聴いてみたいかも・・・

 

この作品、音だけで聴くよりも、視覚効果に訴えた方がいいのかもしれません。
バーンスタインやテンシュテットのDVDが出ていますよ。
(字幕を見ながら聴いた方が断然わかりやすいです。)

 

※2012年2月5日追記
2月5日のNHKBSプレミアム「特選オーケストラ・ライブ」の
N響コンサート - 第1715回定期公演 -で、
全曲が放映されていました。

2012年1月16日 (月)

グリモーは好きだけど、曲がねぇ・・・~NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部 -エレーヌ・グリモー ピアノ・リサイタル-(2012年1月16日放送)

エレーヌ・グリモーは私の好きなピアニストの一人です。
2012年1月16日早朝に、NHKBSプレミアムで、
昨年のサントリーホールでのリサイタルを放映していました。
本来は、CD「レゾナンス」と同じ曲目の演奏なのですが、
番組の都合上、モーツァルトのピアノソナタ第8番はカット。
(以前、この曲だけで昨年放送されていました。)

(プログラムは、

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310
Mozart: Piano Sonata in A minor, K. 310

ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
Berg: Piano Sonata, op. 1

リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調
Liszt: Piano Sonata in B minor

バルトーク:ルーマニア民族舞曲
Bartōk: Rumanian Folk Dances

※コンサート主催のJAPAN ARTSのサイトから転載)

番組では、ベルクのピアノ・ソナタ以降の曲が放映されていました。

さて、演奏へのコメントに移りましょう。
ベルクのピアノ・ソナタについてはノーコメントとします。
よくわからない・・・
さすがのグリモーも、楽譜を見て演奏していました。

リストのピアノ・ソナタロ短調は、アルゲリッチ他の演奏で聴きましたが、
どうも好きになれない曲です。
グリモーも、瞬間瞬間だけとれば、熱演といえるのですが、
彼女の演奏でも、この曲を「すばらしいなぁ・・・」と思うことはできませんでした。

一番よかったのは、バルトークのルーマニア民族舞曲でした。
バターと油たっぷりのフルコースを食べてからの、
口直しのデザートのような・・・

今回のプログラムはCD化されています。
(サントリーホールでの演奏を録音したものではありません。)
Resonances


エレーヌ・グリモーのCDは、アシュケナージの指揮で録音した
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番がもっともすばらしいと思います。
このCDを何度聴いたことか・・・
(ツィメルマン/小澤 ボストン響のCDを聴くまで、愛聴盤でした。)
ジャケットの可憐さに惑わされてはなりませぬ・・・

エラートへの録音時代での名盤は、
ザンデルリンクの指揮によるブラームスのピアノ協奏曲第1番です。
この曲のすばらしさにはじめて開眼させられた名演奏です。

現在の、ドイツ・グラモフォンへの録音では、
3つあげておきます。
最新のCDであるモーツァルトのピアノ協奏曲第19番、第23番他。

バッハの曲集Helene Grimaud Plays Bach

バルトーク ピアノ協奏曲全集(※グリモーの演奏は第3番のみ)

マルタ・アルゲリッチがピアノ協奏曲の「女王」だとすれば、
エレーヌ・グリモーは「王女」ではないかと私は思っています。
彼女のピアノ協奏曲のCDはどれを買っても損はないと思います。

映画「大停電の夜に」とビル・エヴァンスの”Waltz for Debby”

映画「大停電の夜に」が2011年のクリスマス頃にテレビ放送されていたので、
録画して観ました。

豊川悦史さんや原田知世さん、吉川晃司さん、寺島しのぶさん、宇津井健さんら、
錚々たる俳優さんたちが共演するこの映画、
観終わってみると、真の主役は誰なのだろう、と少し悩みます。
大停電の夜に、停電よりも暗い心の闇が明らかになる
オトナのためのほろ苦い群像劇。
物語前半はかなり散漫な印象を受けます。
全然関係がなかったそれぞれの物語が、少しずつ接点を持つようになります。
W不倫や隠し子、秘めた想い・・・
しかし物語は深刻にはなりません。
ろうそくのおだやかな明かりと、ビル・エヴァンスの”Waltz for Debby”の第1曲、
「My Foolish Heart」が、優しく包みこむように、人々を寛容さへと誘います。
この映画の本当の主役は、明かりと音楽なのでは、と思いました。
ろうそくの明かりのシーンが実に美しいです。

この映画で印象的に使われている、「My Foolish Heart」がとても気にいったので、
ビル・エヴァンスのCDを買ってしまいました・・・
普段ジャズは聴かないのですが・・・
「My Foolish Heart」は実に美しいですね!

ビル・エヴァンスの”Waltz for Debby”は、輸入盤の方が安いですが、
同じ曲を連続で聴かされるハメになるので、
国内盤の方が評判がいいようです。

(国内盤)

2012年1月15日 (日)

牛牛(ニュウニュウ)によるショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第1番」に驚嘆!~題名のない音楽会「進化し続ける14歳のピアニスト 牛牛」(2012年1月15日放送)

正直言って、あまり期待していなかった演奏だったのですが・・・
題名のない音楽会」2012年1月15日放送では、
14歳の天才ピアニスト、牛牛(ニュウニュウ)を紹介していました。
題名のない音楽会」には2度目の登場とのこと。
いい意味で、期待を見事に裏切ってくれました。

リストの「ラ・カンパネラ」の演奏では、それほどスゴさを感じませんでしたが
(14歳の少年が完璧に弾けるというだけでも、たいしたものなのでしょうけど・・・)、
驚嘆させたのは、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番の第3、4楽章の演奏でした。
ピアノだけなら、アルゲリッチやキーシンの名演に近いような闊達さでした!
(オーケストラはイマイチでしたが・・・)
「天才少年」という枠を外して、もはや一流の演奏家とみなした方がいいでしょう。
番組HPで、試聴できます。)

(アルゲリッチ盤)※ハイドンのピアノ協奏曲は超名盤!

(キーシン盤※4枚組の中の1枚)

キーシンの名演は彼が16歳の時に録音されたものです。
「巨匠」だからスゴイ演奏になる、というわけでもないはずです。

番組最後の、
平湖秋月」(穏やかな湖面に映る秋の月)という中国の曲もすばらしかったです。
ショスタコーヴィチの曲のような、「爆演」系のものばかりではなく、
繊細な叙情性もあわせもっていることが伺えました。
牛牛君のこれからの活躍に期待したいものです。

現在までに出されている牛牛のCDです。

プレイズ・モーツァルト(10歳の時)

ショパン・エチュード全集(12歳の時)

2012年1月14日 (土)

アニメ版「フランダースの犬」は教育上よくない?

北海道では、テレビ北海道(テレビ東京系)で、
世界名作劇場の「フランダースの犬」の再放送をやっています。
2012年1月13日は最終回の1話前、第51話を放送していました。
(1月16日で再放送終了です。)
実は「フランダースの犬」の再放送をきちんと観るのはこれが初めてでした。
第51話では、気になるセリフがありました。
ネロは自分で死を選んだことをうかがわせるものです。
劇場版を観た時は気になりませんでしたが、
(⇒2012年1月5日記事
劇場版「フランダースの犬」とテレビ版「フランダースの犬」~軍配は劇場版の方!」)
アニメ版の「フランダースの犬」では、まだ「救い」があるにも関わらず、
ネロは生きるのを諦めてしまいました。
多くの人が知っていて、涙する感動の最終回は、
実のところ、緩慢な自死ということがはっきりわかって少し幻滅しました。
これじゃ、天使さんは現れてくれるはずないのでは?・・・

(フランダースの犬 メモリアルDVDボックス)

(同 完結版)

(同 劇場版)

直接のきっかけは、絵画コンクールの落選。
間接的には、身内の不幸(おじいさんの死)、世間からの誤解と貧乏。
それならば、いじめを受けたり、世間から誤解を受けたり、
受験に失敗するなら、自死は許されるのか?という思いを、
子どもに与えないでしょうか?
そういう時に死を選ぶなら、天使が迎えに来てくれるのでしょうか?
「いじめを受けたから自殺」の報道に見られるような、
「死による復讐」、「死による解放」を讃美するようなものです。

「世界名作劇場」では、激しいいじめを耐え忍ぶ「小公女セーラ」をはじめとして、
困難や貧乏に負けない姿が描かれます。
フランダースの犬」で緩慢な死を迎えるネロの姿に涙するのは、
実は教育上よくないのではないか、という思いがしました。
(名作にかみついてゴメンナサイ・・・)

(小公女セーラ DVDメモリアルボックス)

(同 完結版)

2012年1月11日 (水)

書評:井出洋一郎著『聖書の名画はなぜこんなに面白いのか』(中経の文庫)

キリスト教美術入門書として、大変読みやすい本です。
堅苦しくない聖書入門書としてもオススメです。

東京純心女子大学教授で府中市美術館館長の井出洋一郎さんによる、
聖書の名画はなぜこんなに面白いのか』(中経の文庫)を読みました。
何気なく文庫本コーナーをぶらついていた時に手にとり、即買ってしまいました。
本書の構成は、
第1章 旧約聖書の物語
第2章 マリアとキリストの物語
第3章 聖女、聖人の物語とアレゴリー

となっています。

第1章では、天地創造からソロモンの物語までと、
旧約続編にあたるユーディット(ユディト)や、
ダニエル書補遺のスザンナの物語を取り上げています。
第2章は、新約聖書のうち聖母マリアとキリストの生涯に焦点をあてて書いています。
第3章では、使徒やマグダラのマリア、サロメ、何人かの聖人(聖フランチェスコなど)、
静物画に出てくるモチーフの「ヴァニタス」(空しさ)などについて書いています。

単に名画を「ありがたく」(=正しいけどつまらない)解説するのではなく、
ひととおり名画の背景を簡潔にまとめた後、
「ギャラリートーク」という形で、聖書と名画への薀蓄を楽しく語っているのが魅力です。
また、「コラム」では名画の背景を意外な角度から取り上げています。
たとえば、「バベルの塔」から「高所恐怖症」というテーマで、
パリのエッフェル塔を取り上げたり・・・(P.39)
まるでワインでも飲みながら楽しく美術談義をしているかのような感じになります。

ギャラリートークのうち、特に興味深かったものの一部を引用します。
ミケランジェロの「最後の審判」について語った、
ギャラリートーク31 ミケランジェロが描く曖昧な表情のキリストと不安げな聖人たち
では、最後の審判を行うキリストの「瞳」について印象的な記述があります。
「(対話者)キリストのポーズも新しいのですよね?右手を振り上げて、左手は何かを押さえるようなポーズ・・・
(井出さん)うん、一説にはゼウスが雷電を投げるような、自分から左側の亡者を指さして失墜させるためのポーズだ、というのだけど何か違う気がする。顔の表情も大切だし・・・
これはね、この祭壇画が修復を終える少し前だから、もう十数年前になるかな、調査で修復現場に上がらせてもらった時に、キリストの顔を間近で見て考えたことなんだけど、キリストも迷って動けなくなった、つまりフリーズしてしまった瞬間じゃないか、というのが私の説。少なくとも当時のミケランジェロは、怒れるキリストも、慈愛のキリストも描けない、判断停止の状態ではなかったか。写真だと瞳は見えないけど、至近距離で見ると実に優しい瞳をしているんだな。顔はすごく怖いのにね。不思議な体験でした。

(P.192から引用)
裁きと赦しのキリスト・・・

カトリックの方からすれば、
第2章での聖母マリアの取り上げ方は賞賛に値するでしょうが、
プロテスタントの立場からすれば、「マリアに甘く、キリストに少し冷たいのでは?」
という印象を受けますが、それはご愛嬌なのでしょう。

この本で私が初めて知った美術用語としては、
アットリビュート」(attribute)があります。
巻末の「本書中のキリスト教・美術用語」(P.244~249)に出ています。
付属物の意味だが、美術では表現された表現された人物が誰であるかを示す持物の意味。ヴィーナスではリンゴ。ゼウスにおける鷲のように動物のこともある。」(P.244から引用)
本文によく出てきます。
こういう専門用語も、用語解説を読めばわかりますね。

キリスト教美術入門はいろいろ出ていますが、
値段と面白さでは、本書を1番にオススメします。


なお、同じ著者の『ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか』(中経の文庫) 、
ルーヴルの名画はなぜこんなに面白いのか』(中経の文庫)も面白いです。
けれども3冊の中で私にとって一番面白いのは、
聖書の名画はなぜこんなに面白いのか』でした。

ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか

ルーヴルの名画はなぜこんなに面白いのか

2012年1月10日 (火)

書評:江上剛著『聖書に学ぶビジネスの極意100』(ワニブックス【PLUS】新書)

江上剛という作家を知ったのは、
週刊ダイヤモンドのオンライン版「ダイヤモンド・オンライン」の
逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」という連載記事によってです。
2011年11月下旬から始まったこの連載、
第1回目は中国の古典『孫子』の言葉からでしたが、
第2回目は新約聖書の言葉でした。
(第3~5回はまた中国の古典から。)
「この人、クリスチャンなのかな?」と思って読み進めましたが、
クリスチャンではないとのこと。
しかし、「覆われているもので現わされないものはない」(マタイ10:26)
という新約聖書の言葉から、当時勤めていた銀行の不祥事を隠蔽するのをやめた、
という記事を読み、感銘を受けました。
ぜひ元記事をお読みください。
⇒「其の2「覆われているもので現わされないものはない」(新約聖書)
「隠蔽の天才」と言われた私を変えた

なお、2012年1月10日の連載第6回目の記事も新約聖書からです。
⇒「其の6「木が良ければその実も良い」(新約聖書)
土台の荒らされたポストを、どう引き継ぐか

人格のおおらかさ、高潔さがにじみ出てくるような文章です。

さて、江上剛さんの著作に興味を抱き、いろいろ調べてみると、
2010年10月に『聖書に学ぶビジネスの極意100』(ワニブックス【PLUS】新書)
という本を出しているのを知り、さっそく購入して読んでみました。

著者は「まえがき」で、
 私は、キリスト教徒ではないが、聖書を愛読している。それはイエスの言葉が、ビジネスで困難に遭遇したときの判断基準、揺るぎなき背骨になるからだ。
 例えば「明日のことまで思い悩むな」明日のことは、明日自らが思い悩むであろう」という言葉に触れるだけで、どんなトラブルに巻き込まれていてもぐっすり眠ることができる。「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道は広い」という言葉は安易な道を選択しようとする自分をいつも諫めてくれる。
 なぜイエスの言葉がビジネスに役立つのか。それはイエスがとてつもないオルガナイザーであり、歴史上最高の経営者だからだ。なにせ彼は全世界に20億人以上の信者を持つキリスト教を創業したのだ。

(P.3~4から引用)と書いています。

クリスチャンの立場からすると、
「イエス様が『歴史上最高の創業者』だと~」と目くじら立てる人がいるかもしれません。
(逆に、「言われてみればそのとおりかも?」と思う人もいるかも・・・私もその一人です。)
しかし、あのイエス様も、
わたしたちに逆らわない者は、わたしたちの味方なのである。」(マルコ9:40新共同訳)
という寛大な御言葉をのこしています。
クリスチャンにもそうでない人にも
、ビジネスの指針となる「強い味方」となる一冊かもしれません。
ビジネスの修羅場をくぐる確かな灯が、イエス様の言葉だったとは・・・

本書はマタイ福音書の言葉をビジネスの目で読み解いた、
徹頭徹尾「実利的な」書といえます。
時折、「主」、「神」、「イエス」といった絶対的存在を、
「経営者(であるあなた)」、「上司」、「お客様」といった存在に置き換えて読んでいるのは、
信仰者の立場としては気になりますが、
どの頁をめくっても、具体的な実例と的確な指針が書かれています。
一般的な牧師先生や神父様の「ありがたい」(けれども実用的ではない)お説教とは違って、
「聖書はこのようにも読むことができるのか・・・・」と驚嘆することが多かったです。

たとえば・・・
有名な「5つのパンと2匹の魚」(マタイ14章)の奇蹟のところから、
江上剛さんは「ビジネス上の極意」として次のように書いています。

 「手元には、5つのパンと2匹の魚しかない。それでもイエスは、聴衆に満腹させるまでパンを与えたといいます。
 この奇跡はイエスの教えが、多くの聴衆の空腹を満たしたと読むこともできると思います。たとえ少しの食材でも、多くの人々と分け合うことで、空腹が満たされ、心に深い満足を得られるという意味も込められています。
 これはビジネスそのものです。
 あなたの手には少ない資本金しかありません。しかしあなたはそれを元にしてビジネスを起業します。そして多くの人々を満足させるほどの成功をおさめます。
 ビジネスは何のためにするのでしょうか?イエスは何のために少ないパンを数千人分に増やしたのでしょうか?
 それはすべての人々の満足、満腹、幸せのためです。自分のためではないのです。あくまで他の人々のためなのです。
 増やしたパンをイエスは惜しみなく人々に与えました。自分で食べたとはどこにも書いていません。ましてや自分でため込んだなどということはありません。
 あなたのビジネスも少ないパンを元手に大きく増やし、自分が食べたり、自分がため込んだりしないで、多くの人に喜びを分かち合うものとしなければならないのです。
 イエスは、パンを自分にため込むことをせず、人々に分かち与えたため、死後もその教えは生き続け、大きな宗教へと発展していったのです。
 「パンを裂いて弟子たちにお渡しになった」というこの精神は、ビジネスで成功しようと思う者、すべてが心に刻まねばなりません。

(P.176~177から引用)

イエス様がこの本を読まれたら・・・
きっと、「あなたは、神の国から遠くない」(マルコ12:34)とおっしゃるのでは?
経営者の方へプレゼントするのに最適かもしれません。

500円のドニチカキップで地下鉄に乗り4000円の初音ミクデザイン「TOYOTA BIG AIR 2012」招待券をGET!

地下鉄に乗って車内広告を眺めていると、
初音ミクのスノーボード姿の絵がありました。
(大通の地下街にも大きな広告があります。)
その隣の広告を見ると、2012年1月7日~2月5日の間に、
地下鉄や市電に乗ってスタンプを集めたら、
2月11日・12日に札幌ドームで行なわれるスノーボードの一大イベントである、
TOYOTA BIG AIR2012」の招待チケットが先着1000名にもらえる、とのことでした。
私と妻は昨日(1月9日)に、スタンプ集めに挑戦してみたした。
まずは、土日祝日に地下鉄1日乗り放題の券である「ドニチカキップ」を2枚購入。
南北線と東豊線を使い、スタンプを6つ押しました。
押印場所は大通、南平岸、真駒内(南北線)と豊水すすきの、福住、栄町(東豊線)でした。

スタンプ台紙の写真です。

20120109_hatsunemiku_1

押したスタンプの写真です。

20120109_hatsunemiku_2

6つのスタンプを集めたので、いざ、大通駅の招待券贈呈場所へ!

じゃ~ん!!
私と妻の分2枚の招待券をGET!!

20120109_hatsunemiku_3

2月11日、12日通しで使用できる券です。
通常の前売券は3000円ですが、
初音ミクのデザインの限定チケットは購入すれば4000円もします。
ということは、1人500円のドニチカキップで2枚(=1000円)で、
4000円のチケット2枚(=8000円)を無料入手できたということですので、
差引7000円のオトク!
2月が楽しみです。
札幌とその近郊に住んでいる方は、
ぜひチャレンジしてみてはいかがですか?

なお、このイベントの詳細については、
TOYOTA BIG AIR2012のHPを御覧ください。

2012年1月 9日 (月)

NHKBSプレミアム・プレミアムシアター「プロムス2011 ラスト・ナイト・コンサート」(2012年1月8日放送)

2012年1月8日午前0時から、NHKBSプレミアムで、
プレミアムシアター プロムス2011 ラスト・ナイト・コンサート」が放送されていました。
2011年9月8日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた、
プロムスを締めくくるラスト・ナイト・コンサートの様子を収めた3時間番組でした。
(番組自体はプロムスに関係のない1時間の「おまけ」がついて4時間の放送でしたが・・・)
深夜の長丁場なので、録画して視聴しました。

プロムスといえば、最後の定番であるエルガーの「威風堂々第1番」~「蛍の光」が見物で、
それ以前のところは多少とばしてもいいような内容が多いです。
実際、今回の放送の全部は観ていません。
冒頭のところからワーグナーのところまでは全然視聴せずにバッサリとカット。
ラン・ラン(郎朗)がリストのピアノ協奏曲第1番を演奏するところから本格的に観ました。

ラン・ランのリストのピアノ協奏曲第1番の演奏は、
祝祭的な華やかさがあり、豪快で、
難曲を実に楽しそうに弾いているところが魅力でした。
実際、録音状態もよく、「名演」まではいかなくとも、「快演」といえる出来でした。
曲のラストなど、特に音楽する歓びがあふれていました。
初めて、ラン・ランのピアノに魅力を覚えました。
昨年10月にウィーン・フィルとの来日公演で、
同じ曲を演奏していますが、こちらの演奏の方が断然魅力的に思えました。
思わず、2回連続で視聴してしまいました・・・

ただ、続いてのショパンの「華麗な大ポロネーズ」は、
録音に会場のざわつきが多く混じっているのと、
演奏自体も精彩を欠いていたように思えたのは少し残念・・・
リストの「慰め第3番」は合格点でした。

番組案内の女性が、ラン・ランとリストの出会いを紹介していました。
「トムとジェリー」で、トムがリストの「ハンガリー狂詩曲」を弾くのを2歳半の時に観たのが、
ピアノを始めるきっかけになったそうです。

私もその作品を小さい時にテレビで観たことがあります。
きちんと調べてみると、「ピアノ・コンサート」という作品でした。
なんと、1947年にアカデミー賞を受賞していたのですね!
You Tubeで「Tom & Jerry - Cat Concerto」を検索するか、
トムとジェリー ハンガリー狂詩曲」で検索したら、
動画を観ることができます。
一応、DVDも販売されていますので、紹介しておきます。

ラン・ランは昨年、ゲルギエフ指揮ウィーン・フィルの伴奏による、
リストのピアノ協奏曲第1番他のCDを出していますよ。

続いての、「わが褐色の髪の乙女」という合唱曲は視聴をパスし、
ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」はなかなかよかったです。
ブリテン自身の指揮した盤が出ていますね。

その後のソプラノのスーザン・バロックの声は、
さほど魅力的とはいえませんでした。
いよいよ、「プロムス」のお楽しみである、
定番の「威風堂々」以降へ!
何度観ても、高揚感と開放感があってすばらしいです!
会場が一体となって、昔の「大英帝国」の栄光を高らかに歌う・・・
「帝国主義」丸出し、愛国心むき出しですが、感銘を覚えます。
(昨年、「BBCプロムス ラスト・ナイト・コンサート2010と、健全な愛国心
という記事を書きましたので、愛国心云々については、そちらをお読みください。)

「ルール・ブリタニア」では、ソプラノのスーザン・バロックが、
ワーグナーの「ワルキューレ」のパロディめいた衣装で登場!
(我らが小林幸子サンには及びませんが・・・)
健全な愛国心って、いいなぁ・・・・・・・・

エルガーの「威風堂々」だけなら、ショルティ指揮ロンドン・フィルの演奏がオススメです。
実に豪快!爽快!

エルガーの作品全般の入門なら、
威風堂々THE BEST OF EDWARD ELGAR」というCDがオススメです。
「愛のあいさつ」のようなかわいらしい曲から、
「威風堂々第1番」のような作品まで、エルガーの作品の概観を知ることができます。

プロムスの様子をDVD化したもの(ただし、ちょっと古いですが・・・)が輸入盤であります。
2000年のプロムス・ラスト・ナイトの映像化で、あのヒラリー・ハーンが出ているとか・・・

プロムス・ラスト・ナイトコンサートは、演奏に聞き惚れるよりも、
祝祭的な雰囲気を楽しむので十分なのではないでしょうか。

2012年1月 7日 (土)

Blu-ray"Chris Botti in Boston"と音の「お年玉」

普段ジャズを聴かない私が、ジャズ好きの父親のために買ったのが、
このBlu-ray"Chris Botti in Boston"です。
きっかけは・・・

年末年始の帰省時に、父親と話していた時、
「テレビをいい音で聴きたい」という話が出ました。
私の実家には、40型のブルーレイレコーダー付のAQUOSテレビがありますが、
外部機器とつないでいないため、テレビ音声のままでした。
(レコーダーは全然使っていないようです・・・)
オーディオ好きの父親にとっては、残念な状態だったのでしょう。
そこで私は大晦日に電器量販店で商品をリサーチし
(実家にはインターネット回線がないため)、
いろいろ検討した結果、父母への「お年玉」として、
パイオニアのブルーレイディスク5.1chサラウンドシステム HTZ-616BD
プレゼントすることに決めました。

HTZ-616BD

再生専用です。

さっそく、1月1日に購入し、私がセッティングしました。
購入価格は32800円(HDMIケーブルをおまけしてもらいました。)。
(後でインターネット経由で贈ろうか、とも考えましたが、
セッティングの事を考え、即購入出来る方を選びました。)
また、光デジタルケーブル(約2000円)も買いました。

すぐに、以前プレゼントしたBlu-rayの映画を鑑賞したり、
1月1日なので、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート2012を観たりしました。
音のすばらしさと迫力に感動しました。
(オーディオマニアの人から言わせればまだまだ「甘い」のでしょうけど・・・)
また、そろそろ耳が遠くなってきている面もあるので、
普段のテレビの音をはっきり聴くにも好都合だったようです。

せっかくブルーレイディスク5.1chサラウンドシステムを購入しても、
それを楽しむソフトがないと、つまらないですよね。
父親は元々オーディオマニアで、ジャズが好きだったので、
Blu-rayのジャズのソフトをプレゼントすることにしました。
実家から家に戻った後、HMVやAmazonのサイトで調べました。
ジャズに疎い私でも、「マイルス・デイビス」や「チック・コリア」などの名前は知っています。
メジャーなジャズプレイヤーのBlu-rayソフトはないかといろいろ調べました。
試聴(視聴)できるものは可能な限り試してみました。
結局、HMVでもAmazonでも評価・レビューが高く多い、
Chris Botti in Boston [Blu-ray]”をAmazonで購入しました。
正直に言えば、”Chris Botti”という名前、初耳でした。


ジャケットからカッコイイですよね~

直接実家には送らず、一旦私の家に取り寄せてから、
手紙等をつけて送付予定です。

すぐに商品が到着したので、一応、視聴してみました。
冒頭の「AVE MARIA」は実にステキでした。
もっともすばらしかったのは、
チェロのヨー・ヨー・マと共演した
「CINEMA PARADISO」(映画「ニュー・シネマ・パラダイス」から)です。
(このコンサート、ゲストが実に豪華デス・・・)
クラシックとジャズが映画音楽で手を結びあう・・・
私にとってはこのディスクでの白眉でした。
最後の「CON TE PARTIRO(タイム・トゥ・セイ・グッバイ)」もステキです。

ところで、ヨー・ヨー・マが作曲家モリコーネの指揮で演奏したCDは私のお気に入りの一枚です。
こちらもオススメですよ。

我が家には残念ながら、5.1chサラウンドシステム(ホームシアターシステム)はありません。
この”Chris Botti in Boston [Blu-ray]”、
実家ではさぞすばらしく響くのだろうなぁ・・・などと想像しながら視聴していました。
映像も実に凝っていて、まるで映画のようです。
オトナの濃密な時間・・・

なお、このBlu-ray、国内盤はありません。
DVD付CDも発売されています(こちらも輸入盤)。

ジャズ好きにはもちろん、
一般の音楽愛好家がBlu-rayを堪能できるすぐれたソフトだとオススメできます。

2012年1月 6日 (金)

映画「ハッピー・フライト」(原題:View from the Top)~日本映画ではありません

先日、UHB(北海道・フジテレビ系)で2012年1月3日深夜に、
アメリカ映画「ハッピー・フライト」(原題:View from the Top)が放映されていましたので、
録画して妻と一緒に観ました。
グウィネス・パルトロウ主演の2003年の映画です。
(なお、2008年公開の日本映画「ハッピーフライト
(真ん中に・があるかないか)と紛らわしいので注意・・・
この映画を検索するなら、「ハッピー・フライト パルトロウ」と入力を。)

田舎育ちの主人公が、一念発起してキャビンアテンダント(CA)になり、
国内線勤務を経て、憧れの国際線のCAとなるまでの話です。
最後には、仕事も恋もどちらもつかんでしまう、
女性の憧れをストレートにまとめたなかなか面白い作品でした。

CAになって初めてのセクシーな制服姿と、
CA自らパニックになってしまうところなどは笑えました。
お色気・おバカのコメディ路線がずっと続くのかと思いきや、
まじめに仕事と恋の板挟みで悩んだりする方に焦点がいきます。
なお、DVDのパッケージに出てくるオレンジの衣装でのパルトロウの登場はありません。
最初、けばけばしいファッションと髪型だったのが、
最後の方の国際線勤務では、実にエレガントな立ち振る舞いになるのは魅力でした。
みにくいアヒルの子が白鳥になるようなヨロコビ?
教官役のマイク・マイヤーズの吹き替え(広川太一郎さん)はオヤジギャグ満載でした。

2012年1月 5日 (木)

劇場版「フランダースの犬」とテレビ版「フランダースの犬」~軍配は劇場版の方!

2011年12月30日に、NHKBSプレミアムで、
劇場版 フランダースの犬」(アニメ)が放映されていました。
録画して、「そのうち」観るつもりでしたが(観るとたぶん泣いてしまうため)、
妻に録画の冒頭を少しだけ見せたところ、みたいと言ったので、
泣くのを覚悟で一緒に観ました。
(そういえば、以前、「世界名作劇場」の完結版について連載しましたが、
結局「フランダースの犬」については書きませんでした。
観ると泣いてしまうから、つらいので・・・
ゆえに「フランダースの犬」の完結版は未だに観ていません。
先日、1月2日にBSフジで放映していましたけど。)

ところで、北海道地区では、テレビ北海道(テレビ東京系)で、
朝8:00から、世界名作劇場の「フランダースの犬」を再放送中で、
最終回が日一日と迫ってきているような状態です。
(2012年1月17日に放送終了予定)
私は1話から全部録画し、全52話なので13話ずつで1巻として、
全4巻のBlu-rayに分けて保存予定です。
(余計なテロップとか、時刻とかいろいろ入っていますけど・・・)

テレビ版は、妻は全話欠かさず観ていますが、
私はかなりとばして観ています。
ことに、40話以前はたいして観なくてもいいのでは、と思っています。
本筋にあまり関係ないので・・・

テレビ版に見慣れた目で、劇場版を観ると、
映像の美しさ、緻密さに驚きます。
特に、背景の美しさはすばらしいです。
また、アロアの家の壁紙・装飾の豊かさと、
ネロの家の粗末さ・貧しさなどが実に細かく描かれています。
テレビ版を観ても、作品の舞台に行ってみたいとはあまり思いませんでしたが、
劇場版なら、舞台が魅力的に見えました。

映像とともに、劇場版では音楽の美しさもすばらしいです。
岩代太郎さんの曲が、美しい背景と物語をより鮮やかに、悲劇的に彩っています。
(サントラは廃盤・・・)

劇場版とテレビ版では、声優さんが全然違いますが、
私には違和感がない(というよりは、まったくベツモノと割り切っていたので)です。
ネロの声は、現在「サザエさん」でワカメちゃんの声を担当している津村まことさん、
アロアの声は、「カードキャプターさくら」などの声をやっている丹下桜さん。
テレビ版よりもこちらの方が私は好きかな・・・

テレビ版では、アロアは民族衣装姿だけでずっと過ごしますが、
劇場版では、制服姿など、いくつか違う服装が出てきます。
最初と最後に、成人して修道女となったアロアの姿が出てきて、
アロアがネロの事を回想していくことによって、物語が展開しますから、
ある意味、劇場版の真の主役はアロアといえましょう。

キャラクターの描かれ方も違います。
テレビ版のネロはとても子どもらしいのに対して、
劇場版のネロはりりしく描かれています。
Amazonの「フランダースの犬 劇場版」のレビューの一つに、
(引用)「一方、キャラクターデザインについては、昔のTV版のイメージを大切にしつつも、『ロミオの青い空』の佐藤好春さんが担当したため、ネロが『ロミオ』のアルフレドを幼くしたような雰囲気になっていました。(TV版は、森やすじさんが担当) 」(引用終)
というのを見つけました。
確かに、世界名作劇場の「ロミオの青い空」に
キャラクターデザインが少し似たものになっているかもしれませんね。


(ロミオの青い空 DVDメモリアルボックス)

(ロミオの青い空 完結版)

テレビ版がかなり冗長(40話以前はほとんどがオリジナルストーリー)なのに対して、
劇場版は原作に近く、非常にひきしまって、
一気に悲劇へと向かっていきます。
ネロが大聖堂でルーベンスの絵を見るところで、妻は号泣・・・
私もかなり我慢しましたが、
パトラッシュが聖堂に入ってきたあたりで涙腺が決壊・・・
腹の底から悲しさが込み上げ、ボロボロと泣いてしまいました・・・
大聖堂の十字架を伝って天使が降りてくるところとかは、
まともに観ていられませんでした・・・
ここの音楽は、岩城太郎さんのオリジナル曲
(Kirie eleison・・・を使った「pie jesu」)もすばらしいですが、
テレビ版の讃美歌(主よ、みもとに【讃美歌320】)も捨て難いですね。
この部分のみ、テレビ版と劇場版どちらも引き分けとしたいです。

テレビ版と劇場版、どちらがオススメかと言えば、
結論から言えば、断然劇場版のほうです。
作品の完成度、音楽どちらもすばらしいからです。
テレビ版は、全話観なくても、「完結版」だけで十分なのでは、とも思います。
なにしろ、原作は文庫本で60ページぐらいですので・・・
(ぜひ一度は原作もお読みください)

劇場版 フランダースの犬(DVD)

※Amazonのレビューでは、
実写版の「フランダースの犬」(アメリカ映画)へのレビューがいくつか紛れ込んでいます・・・

フランダースの犬(世界名作劇場・完結版)DVD

フランダースの犬・DVDメモリアルボックス(DVD)

原作(新潮文庫)

2012年1月 4日 (水)

年末年始のクラシック音楽番組あれこれ(2011-2012)

年末年始にかけて、いろいろとクラシック音楽の番組が放映されていましたね。
その中で、いくつか心に残ったものについて書きます。


2011年12月25日放送
NHK・特選オーケストラ・ライブ N響コンサート - 第1711回定期公演 -

リアルタイムでは、旅先のホテルで途中まで観ました。
ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番、
モーツァルトの交響曲第36番「リンツ」、
R・シュトラウスの「ばらの騎士」組曲という演目。
指揮は、アンドレ・プレヴィン。

出色は、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番でした。
ホテルで観たのは、途中(第3楽章)からでしたが、
ボリュームを絞っていても、そのすばらしさがよくわかりました。
ヴァイオリン独奏は、韓国のチェ・イェウンという女性。
初耳でしたが、ショスタコーヴィチのこの曲のロマンティズムを引き出していました。
ヒラリー・ハーンの演奏で聴いたことがありましたが、
少なくとも、それほど魅力的には思えなかった(晦渋さばかり・・・)この曲の真価を、
初めて開眼させてくれた演奏といえました。
(ハチャメチャな第4楽章だけは以前から好きでしたが・・・)

ヒラリー・ハーンのCD

(メインはショスタコーヴィチのよりも、メンデルスゾーンの方です。)

ちなみに、2011年の音楽之友社・レコード・アカデミー賞で、
リサ・バティアシュヴィリ(Vn)「時の谺(こだま)」(Echoes of Time )というアルバムが、
協奏曲部門で受賞しました。
アルバムのメインは、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番です。
そのうち聴いてみる予定です。

時の谺(Echoes of Time )

旅行から戻って、改めてこの放送を観直しました。
チェ・イェウンさんの演奏のスゴさを再度実感しました。
(チェ・イェウンさんのCDはまだ出ていないようです。)
ショスタコーヴィチからロマンティックさを引き出せるとは・・・
プレヴィンの伴奏も実にすばらしかったです。

モーツァルトの「リンツ」は平凡でしたが、
R・シュトラウスの「ばらの騎士」組曲は名演といえましょう。
(既に、N響アワーで放映済みでした。)
N響がウィーンの響きを醸し出していたような・・・
老境のプレヴィンが指揮台に上がるまでは痛々しそうですが、
音楽が始まるともうそんなことは忘れてしまい、
夢のような時間を紡ぎだしてくれました。

プレヴィンとウィーン・フィルによる「ばらの騎士」組曲のCDがあります。
「ばらの騎士」組曲も名演ですが、
カップリングの歌劇「カプリッチョ」の「序奏」、「月の光の音楽」はさらにすばらしい!
初めて聴いたときは、「世の中にこんな美しい曲があるのか」と驚いたほどです。
晩年のR・シュトラウスの作品はものすごく美しいものが多いですね。
(「4つの最後の歌」やオーボエ協奏曲、「変容」など・・・)


2011年12月31日放送
NHKEテレ「N響“第9”演奏会」

毎年恒例のN響の第9。
今年はスタニスラフ・スクロヴァチェフスキの指揮。
リアルタイムで観たかったのですが、裏番組の紅白が優先され、
第4楽章の歌が始まるところからようやく観ることができました。
この演奏では、ソリストが舞台左袖という微妙な位置に立たされていたのが???でした。
あとで録画したものを視聴しましたが、
ソリストをその位置に立たせる効果はあったのでしょうか?
第1楽章~第3楽章は平凡、第4楽章では合唱がすばらしかったのが救いでした。


2011年12月31日~2012年1月1日放送
テレビ東京・BSジャパン「東急ジルベスターコンサート2011-2012

いつもはNHKの「ゆく年くる年」で、
除夜の鐘を聞きながら地味~に新年を迎えますが、
今年は東急ジルベスターコンサート2011-2012
華々しくハッピーニューイヤー!
ラヴェルの「ボレロ」でぴったり新年、と思いきや、
新年の5秒前に息切れして終ってしまったのがちょっと残念・・・
ちょっと、金聖響さ~ん!・・・・・・・

今年最初に聴いた音楽は、
バーンスタインの「ウェスト・サイド物語」の「トゥナイト」でした。
幸田浩子さんの声は大変美しかったですが、
男性の方の声は???でした。


2012年1月3日放送
テレビ朝日系「新春クラシックスペシャル2012
~ラ・プティット・バンド バッハの真髄~
」4:25 ~ 5:50

1月3日早朝に、サラウンド放送でやっていたこの番組。
当然、録画による視聴です。
シギスヴァルト・クイケン率いる「ラ・プティット・バンド」による
バッハの「ブランデンブルク協奏曲」から第2番、第6番、第5番、第3番の4曲の演奏。
民放でこういう「通」な番組を放送してくれるというのはうれしい限りです。
演奏は極上でした。
一番印象的なのは、トランペットが活躍する第2番。
音の危うさがあるものの、ひなびた音色が魅力でした。
古楽ファンにとっては、
クイケンによる「肩のチェロ」といわれる「ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ」の演奏が「拝める」など、
見どころ満載でした。

クイケンとラ・プティット・バンドによる「ブランデンブルク協奏曲」のCD

SACDハイブリッド(2011年6月発売)

2012年1月 3日 (火)

NHK・ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2012(2012年1月1日放送)

毎年楽しみにしているウィーン・フィルのニューイヤーコンサート。
2012年はマリス・ヤンソンスの指揮。
いざ蓋を開いてみたら、かなり「通」な選曲が多かったように思えます。
前半はパロディ的要素が多い曲が中心でした。
シュトラウス自身の「美しく青きドナウ」などを織り合わせた「祖国行進曲」に始まり、
ラデツキー行進曲やロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」の有名な旋律の一部、
はては「カルメン」まで・・・
楽しい、というよりは、思わず苦笑してしまいそうなものが多かったです。

有名な「トリッチ・トラッチ・ポルカ」と「鍛冶屋のポルカ」では、
ウィーン少年合唱団付のバージョンを聴くことができました。
これはなかなかよかったです。
鍛冶屋のポルカ」は、ヤンソンスの「鍛冶屋」も楽しかったです。

観ていて一番楽しかったのは、「コペンハーゲン蒸気機関車のギャロップ」でしょう。
ヤンソンスが車掌さんみたいに笛を吹き、
ウィーン・フィルの楽団員が鉄道員の帽子をかぶって、
列車が走るような特殊楽器を使ったりするなどしていました。
鉄道ファン感涙モノ?

演奏として一番聴きごたえがあったのは、ウィンナ・ワルツよりも、
チャイコフスキーの「眠れる森の美女」の「ワルツ」でした。
ロシアものとは、とても珍しい選曲でしたね。
(ヤンソンスはロシア出身の指揮者)
NHKBSプレミアムで毎週土曜日に放送されている「プレミアムシアター」を
よく観ている方なら、
「あっ、『プレミアムシアターのオープニング曲だ!」
と思わず言わなかったですか?

ちなみに、ヘルメスベルガー作曲の「悪魔の踊り」の演奏後に、
観客席にいたジュリー・アンドリュースさんがチラッと映っていましたよ。
(何回か映っていましたね。)

最後の「ラデツキー行進曲」では、
ヤンソンスの観客の扱い(手拍子)が見事だったと思いました。
サービス精神を発揮しながら、音楽的な流れも保っていました。

演奏そのものはどれもすばらしかったですが、
選曲がイマイチというのが、2012年のニューイヤーコンサートというのが、
私の感想でした。
もう少し、なじみある曲を聴きたかったかな・・・

1月25日には、今回のコンサートのCDが発売され、
2月15日には、DVDとブルーレイも発売されますよ。
なお、CDの曲順や現地での視聴率等については、以下の記事が詳しいですよ。
ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート、視聴率64%(MSNエンタメ1月8日)

CD

DVD

Blu-ray

謹賀新年2012&2011年12月のアクセス数ベスト10記事一覧

あけましておめでとうございます。
今年もこのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
皆さまに神様の祝福と平安が豊かにありますように!

旅行先で撮った、2011年最後の落日の写真を紹介します。
ケイタイで撮りました。
原野と海の彼方に、夕日が落ちていく・・・
20111231_sunset

見よ、新しいことをわたしは行う。
今や、それは芽生えている。
あなたたちはそれを悟らないのか。
わたしは荒れ野に道を敷き
砂漠に大河を流れさせる。

(旧約聖書 イザヤ書43:19新共同訳)
新しい年に期待をこめて・・・


さて、2011年12月のアクセス数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位. ウコンは肝臓に悪い?~NHK・ためしてガッテン「肝臓の健康を守れSP」
(2011年6月29日放送)

二位.パチンコ依存症は生活習慣病?~
NHK・追跡!真相ファイル「パチンコにハマる女たち」(2011年12月27日放送)

三位.「代受苦」と十字架~瀬戸内寂聴さんの青空説法から
四位. NHKニュースに出てきた「大丈夫だおばさん」~
セシウム入粉ミルクの報道への疑問と暫定基準値

五位.BS日テレ・ぶらぶら美術・博物館~
茨城県近代美術館「ウルトラマン・アート!展」~
祝!誕生45周年 永遠のヒーロー~(2011年12月6日放送)

六位. ICRP勧告は、実は根拠がない!~
NHK・追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」(2011年12月28日放送)

七位.2011NHK杯フィギュア女子シングル~
印象に残った曲はレオノワ選手使用の「弦楽のためのアダージョ」

八位.2011年秋~冬に観ていた連続ドラマ~
「専業主婦探偵 私はシャドウ」と「家政婦のミタ」

九位.枯れた味わい、ブーレーズとバレンボイムによるリストのピアノ協奏曲~
NHKBSプレミアム・プレミアムシアター
「リスト生誕200年記念ガラ ブーレーズ&バレンボイムのリストへのオマージュ」
(2011年12月11日放送)

十位.実はカッコ悪い無神論者~聖書の言う「愚か者」になりたいですか?

テレビネタが相変わらず圧倒的に強いですね・・・
2012年1月もご愛読よろしくお願いします。

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