映画「私がクマにキレた理由(わけ)」
2011年10月25日に、BSジャパンで、
映画「私がクマにキレた理由(わけ)」が放映されていました。
録画して妻と一緒に観ました。
原題は「The Nanny Diaries(直訳すると「ナニーの日記」)」。
「ナニー」とはベビーシッター(子守)のことです。
これは、原題よりも邦題の方がひねりがあって秀逸です。
ゴールドマン・サックスに面接に行って、大失敗した、
人類学を学んだ若い女性、アニー(スカーレット・ヨハンソン)。
ひょんなことから、セレブのナニーとなって、大奮闘・・・
(「ナニー」と「アニー」が語呂合わせになっていますね。)
この映画は、子育てという視点で、
庶民から観た上流階級のおかしさを取り上げています。
ストーリー自体なかなか面白いですが、
興味深かったのは、
映画「メリー・ポピンズ」へのオマージュともいうべき場面・設定の数々でした。
重ね合わせて観ると楽しみが増します。
主人公が、ナニー未体験であることを独白するところで、
「ナニーの映画は1本だけ観たことがある。」というようなセリフがでてきます。
もちろん、「メリー・ポピンズ」のことです。
(ただし、映画でははっきりとは語られていません。)
そのすぐ後に、「チムチムチェリー」のメロディが流れてきたり、
空から傘が降りてきたり、
傘につかまって主人公がニューヨークの空を飛ぶシーンなどが出てきます。
(もちろん主人公の空想・・・)
主人公のケイタイの着メロにも「メリー・ポピンズ」の曲が・・・
「最も長い英単語(Supercalifragilisticexpialidocious)」も出てきます。
主人公が預かる子どもの両親が、
子育てに全く関心なし、というのも共通です。
しかし、「メリー・ポピンズ」のような魔法は出てこないし、
夢の国ではなく、毎度の夜勤とか休日勤務のような「奴隷の国」に迷いこんでしまいます。
せっかく子どもに愛着を持ってきた矢先、
雇用主には理不尽な理由で解雇され、退職金はわずかでした。
ラスト手前で、邦題にもなった、
隠しカメラ入りのクマのぬいぐるみに向かって、
今までの思いのたけを怒りながら吐き出すところが痛快です。
「メリー・ポピンズ」では、
メリー・ポピンズが去った後、家族がナニーなしでも仲良くなるところで終わりますが、
この映画では、夫婦が離婚して、母親が子を引き取って、
母子で仲良く暮らす、というところで終っています。
子どもの立場からすれば、一応は「めでたし、めでたし」なのかもしれませんが・・・
映画では、突然アニメっぽくなるシーンや、
博物館の解説を模したシーンなどがあり、
映像表現としてユニークなところがいろいろあります。
この映画の原作が日本でも出版されています。
『ティファニーで子育てを』(文春文庫)という題です。
映画の邦題よりも洒落ていますね。
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