バッハ/ブゾーニ「シャコンヌ」聴き比べ~グリモー、ニコラーエワ、サイ、曽根麻矢子
エレーヌ・グリモーのピアノ・指揮による、
「バッハ・トランスクライブド」(DG)というCDを購入しました。
(ただし、これは邦題で、
元々は「Helene Grimaud Plays Bach」又は「Helene Grimaud Bach」というタイトル。
私が購入したのは輸入盤の方です。)
このCDでの聴き所は、ピアノ協奏曲第1番の弾き振りと、
バッハ/ブゾーニの「シャコンヌ」でしょう。
(バッハはそもそも「ピアノ協奏曲」なんてものは作らなかった、
チェンバロで演奏しなければおかしい!という意見もありますが・・・
美しければ、ピアノかチェンバロかというのは、たいして意味のない議論のように思えます。)
私としては、「ピアノ協奏曲第1番」の方は結構満足できました。
また、平均律クラヴィーア集第1巻第2番などの演奏もすばらしいと思っています。
さて、今回取り上げたいのは、「シャコンヌ」の演奏です。
「シャコンヌ」は元々ヴァイオリン・パルティータ第2番BWV1004に含まれる曲ですね。
原曲のヴァイオリン独奏もそれなりに好きですが(たまにしか聴きませんが・・・)、
私はブゾーニがピアノ編曲した版の方が断然好きで、よく聴きます。
険しい岩山を登山していくようなイメージの曲ではないでしょうか?
峻厳なる短調の響きから始まって、
途中で、山頂から平野を見下ろすかのような展望が開ける長調の部分が、
つかの間の幸福感・達成感を味わわせてくれます。
しかしそこをも越えて、さらなる高みを目指していく・・・
バッハの鍵盤作品(他の作曲家による編曲も含めて)では一番好きです。
ブゾーニ編曲による「シャコンヌ」は、今まで何人かの演奏で聴いていますが、
グリモーは独特な感性の演奏といえます。
「こういうアプローチもあるんだ・・・」と、演奏の多様性を聴かせてくれました。
私にとっての「シャコンヌ」演奏の規範は、
かつてはタチアナ・ニコラーエワの演奏でした。
厳粛・厳格というイメージがピッタリです。
ただ、気晴らしに聴くような演奏とはいえませんでした。
(残念ながら、現在廃盤中のようです・・・)
近年では、ファジル・サイの演奏が最もすばらしいと感じています。
ニコラーエワの演奏が、「神々の世界」だとすれば、
サイの演奏は、人間的なバッハといえます。
(貶める意味ではありません・・・)
何度でも聴きたくなるような演奏です。
ファジル・サイのCDの中でもベストを争うものではないでしょうか。
ピアノによる演奏ではありませんが、
チェンバロによる演奏も実にステキです。
曽根麻矢子さんの演奏です。
こちらはブゾーニ編曲のものではなく、
石坂慶彦氏によるもの、とのこと。
ありそうでなかなかない編曲です。
チェンバロの典雅な音色が、墨絵のような印象をかなり和らげています。
こちらもオススメです。
(下記CDどちらにも、「シャコンヌ」が収録されています。)
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