フランクの交響曲ニ短調~ラテン的演奏とドイツ的演奏、どちらがいいか?
2011年10月16日早朝に放送された、
NHKBSプレミアム・
「特選オーケストラ・ライブ -東京フィルハーモニー交響楽団演奏会-」を
録画で視聴しました。
2011年6月8日に静岡県の裾野市民文化センターで収録されたものです。
曲目は、リストの「交響詩“レ・プレリュード”」、
シューマンの「ピアノ協奏曲イ短調」、
そしてフランクの「交響曲ニ短調」でした。
(他にアンコールとしてマスカーニの「歌劇“カヴァレリア・ルスティカーナ”間奏曲」。)
指揮は円光寺雅彦さんでした。
フランクの「交響曲ニ短調」はこのプログラムの中で一番出来がよかったと思います。
それでも、かろうじて合格点程度の演奏だったかな、と思います。
フランクの交響曲は、ラテン的な要素とドイツ(ゲルマン)的要素どちらも兼ね備えています。
どちらを強調するかによって、印象がかなり変わります。
東京フィルの演奏は、どっちつかずな感じでした。
フランクの交響曲の代表的名盤の一つが、
ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団の演奏です。
『宇野功芳のクラシック名曲名盤総集版』(講談社)でも、
「名盤」として紹介されています。
これはラテン的演奏の雄というべきものだと思います。
ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団
先日ようやく手に入れて聴いてみました。
1959年の録音なのに音が生々しいのがすばらしかったです。
ラテン的な豪快さがあり、勢いがあります。
(カップリングのラフマニノフ「交響曲第2番」はイマイチですが・・・)
第1楽章、第2楽章が陰鬱な北フランスの海辺で、
第3楽章が明るい太陽が燦燦と輝く南フランスの海辺を思わせます。
一方、ドイツ的な演奏の代表としては、
モノラル録音ならフルトヴェングラー指揮の演奏がありますが、
ステレオ録音なら、クレンペラーの演奏がベストではないでしょうか。
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
クレンペラー指揮のCDについては、下記の記事がとても参考になりました。
「クレンペラーのフランク」(An die MusikクラシックCD試聴記)
「クレンペラーのページ」(同上)
(最終的には、CDを試聴して「これだ!」と思ったわけですが・・・)
クレンペラーの指揮にかかると、まさに「ドイツの響き」がします。
特にすばらしいのは、第3楽章です。
私にとってはいままで聴いたどのCDよりも輝かしい響きがしました。
パレー指揮の第3楽章の演奏が南フランスの海辺だったら、
クレンペラー指揮の第3楽章の演奏は、荘厳な教会か古城のようです。
細部がハッキリしており、初めてこの曲の全貌を垣間見たような感じになりました。
フランクの「交響曲ニ短調」の演奏、
ラテン的演奏(たいていはこちら)をとるか、ドイツ的演奏(クレンペラー他)をとるか、
好みの問題ですが、今はドイツ的演奏に共感を覚えます。
なお、先月、フランクの交響曲ニ短調について記事を書いていますので、
よろしければお読みください。
・題名のない音楽会
「調性ってなに?名曲百選(12)フランク「交響曲ニ短調」(2011年9月18日放送)
ついでにおまけ情報・・・
長らく廃盤になっていた(らしい)、
マリー=クレール・アランによるフランクのオルガン曲全集を、
タワーレコードで見つけました。
(タワーレコード店頭では1100円ぐらい。)
昔は2枚組で6千円とか4千円とかしていたのですが、
いまや2枚組で1000円ちょっと・・・
フランクのオルガン曲はバッハのオルガン作品に唯一匹敵する傑作揃いです。
(ブクステフーデとかほかにもいるとはいえ・・・)
「交響曲ニ短調」、「ヴァイオリン・ソナタ」と共に、
多くの人に聴いてもらいたいものです。
(Kitaraでマリー=クレール・アランの実演を聴いたことがあります。
今までのコンサート経験の中で屈指の名演でした・・・)
フランク:オルガン作品集
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