「海がきこえる」と氷室冴子の小説
2011年7月15日に、「海がきこえる」が放送されていました。
調べてみると、最初にテレビで放映されてから、実に18年2ヶ月ぶりの放送とのこと。
私は94年の最初の放送は観ていませんが、DVDでは7、8年前に観たことがあります。
放送冒頭で、
「この作品には、未成年の飲酒・喫煙シーンがありますが、
原作の作品性、原作者の意図を尊重しオリジナルのまま放送いたします。」
とのおことわり表示があったのには少し驚きました。
そういえば、同窓会のシーン(大学生になってから数ヵ月後)や、
拓と里伽子が東京に行ったシーン(高校時代)で、
未成年者の飲酒や喫煙がありますね。
言われてみれば、そのとおり・・・
なるほど~
この作品は、里伽子という女性の描き方が魅力です。
用意周到さや大人びた面、容易に心を許さない面と、
子どもじみた面・・・
まるで気まぐれな猫のようです。
主人公は困惑しながらも次第に惹かれていきます。
一方で、主人公・杜崎拓と松野豊との友情、リアルな高知と高知弁も魅力です。
10代の時に観るよりも、20代後半以降に観た方が、
青春の輝きとほろ苦さを再実感できるかもしれません。
私はDVDで初めて観てから、原作も読んでみたくなりました。
原作は氷室冴子の同名の小説です。
この「海がきこえる」と、
続編の「海がきこえる〈2〉アイがあるから」は、
文句なしに彼女の最高傑作です。
語り口は、主人公・杜崎拓の独白調です。
アニメを読んでから原作を読んだ方が、ハマルと思います。
私は20歳を過ぎてからあまり小説を読まなくなったのですが、
30歳をすぎてから、久しぶりに小説の面白さを味わいました。
すっかり魅了された私は、氷室冴子の小説を片っ端から買いあさって読みふけりました。
「なんて素敵にジャパネスク」シリーズなどの、平安朝を舞台にした作品や、
「クララ白書」などの学園ものなど、書店や古本屋で可能な限り捜しては次々に読みました。
「クララ白書」を読んで、
小説に出てくる「くるみやのシフォンケーキ」をわざわざ買いに行ったこともあります。
(「くるみや」は札幌市中央区にあります。
シフォンケーキもおいしいですが、濃厚なソフトクリームもおいしいですよ。)
出版されている全作品中、おそらく7割は読んだと思います。
最近では氷室冴子の作品は、絶版か、古本屋でないと手に入らないものが多い、
というのが残念ですね。
おすすめはやはり「海がきこえる」とその続編と、
「なんて素敵にジャパネスク」シリーズです。
「なんて素敵にジャパネスク」シリーズはマンガ版もまだ現役ですよ。
今回の放送を機に、氷室冴子の作品群が再評価されてほしいものです。
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