指揮者という仕事~NHKBSプレミアム・ハイビジョン特集「情熱のタクト~指揮者・佐渡裕 ベルリンフィルへの挑戦~」(2011年6月11日放送)
5月下旬に、指揮者の佐渡裕さんがベルリン・フィルを指揮した、
というのがニュースになりましたね。
長寿番組「題名のない音楽会」の司会者としても有名な佐渡さん。
当然、その「題名のない音楽会」でも2週にわたってその模様がとりあげられますが、
(TBS系でも特番をやっていました・・・)
今回放送されたNHKBSプレミアムの
「ハイビジョン特集「情熱のタクト~指揮者・佐渡裕 ベルリンフィルへの挑戦~」では、
演奏会当日だけではなく、
演奏会の3カ月前からリハーサルまでを丹念に記録していました。
「指揮者とはこういう仕事をするんだ」という教科書になるような好番組でした。
失敗の経験をも含めて語る佐渡さんの数々の言葉は、実に味わい深いものがありました。
夢を持ち続けることのすばらしさと、夢を実現させるための情熱と努力・・・
音楽家を志す若い人々におすすめの番組といえましょう。
番組の中では、「題名のない音楽会」の収録の様子や、
ベルリン・フィル(以下BPO)を指揮するまでの他のコンサートでの様子、
スコア研究をしている様子や、落語を聴いている姿、
(大きな影響を与えているのが落語家とは・・・とても意外でした。)
音楽的経歴など、多角的に佐渡さんの姿をとらえていました。
興味深いのは、本番そのものよりも、スコアリーディングとリハーサルの様子でした。
指揮台で指揮棒を振っている時には、既に指揮者としての仕事の9割が終わっている・・・
また、オーケストラの側から見た指揮者への忌憚ない意見など・・・
ちょうど6月11日に、BS朝日の「題名のない音楽会」で、
佐渡さん指揮BPOのショスタコーヴィチ・交響曲第5番の一部が放映されていました。
その放送とNHKでの放送の演奏は同じはずなのに、
NHKでの放送の方が音にダイナミックさがありました。
BPOに一度は客演に呼ばれても、2度目に呼ばれることは難しいそうです。
佐渡さんが再びBPOに客演できたらいいですね。
「世界のオザワ」の次は、「世界のサド」となるのでしょうか?・・・
佐渡さんの代表的著書です。
「僕はいかにして指揮者になったのか」(新潮文庫)
今回の演奏のCDとDVDです。
CDは6月下旬、DVD&ブルーレイは9月下旬に発売、とのことです。
CD
DVD
Blu-ray
この番組に引き続いて、5月20日の演奏会が放映されました。
武満徹の曲と、ショスタコーヴィチの交響曲第5番の2曲の全曲放送です。
武満徹の曲はよくわからない摩訶不思議な作品でした。
メインである交響曲第5番は・・・
BPOという名器の魅力は感じましたが、指揮者の解釈を示せたか、というと、???でした。
第3楽章(リハーサルの様子でも取り上げられていました)の一部に、
佐渡さんの解釈を示せたかな、という程度でした。
(もちろん演奏としては合格点といえます。)
指揮している姿を見れば、
汗だくになっての熱演(終演時には頭の髪の毛の先まで汗ぐっしょり・・・)なのですが、
映像なしで音だけで聴いたら、どうなのでしょうか?
ところで、ショスタコーヴィチの交響曲第5番、おすすめCDですが、
一般的には、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの新旧2つが定盤と言われています。
新盤の方はかなり前所有していましたが、現在は旧盤だけ持っています。
旧盤での特に第4楽章の躍動感・疾走感は他に類を見ないのでは、と思います。
ただ、少し響きがうすっぺらいようにも思えますが・・・
ごく稀にしか聴きません。
(新盤)
(旧盤)
私の愛聴盤は、クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団のものです。
所有しているのは仏ハルモルニア・ムンディの1966年録音盤ですが、
(クルト・ザンデルリンクが指揮者を引退した記念の5枚組CD→
内田光子さんと共演したモーツァルトのピアノ協奏曲第24番が出色の出来栄え!)
現在入手が難しそうですので、国内版を紹介します。
こちらは1982年の録音です。
ザンデルリンク指揮による演奏は、
まるでドイツの高級車(ベンツとか)に乗っているような、格調高いものに仕上がっています。
ショスタコーヴィチがブラームスのような重厚で深みのある響きになっています。
ロシアというよりも、ドイツ・・・
私はしばしばこのCDでの第4楽章だけ聴くことがあります。
(ショスタコーヴィチの作品はそんなに好きではありませんが・・・)
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