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2011年5月 3日 (火)

アンパンマンの「正義」とアメリカ合衆国の「正義」

正義」って、一体何でしょう?・・・
やなせたかしさんについての記事と、
ビンラディン殺害についての記事を読み比べて、
同じ「正義」という言葉を使っていても、
アンパンマンの「正義」と、
アメリカ合衆国の「正義」は違うなぁ・・・とつくづく思いました。

東日本大震災の被災地では、
アンパンマンのマーチ」(作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし)が大変な人気、
とのこと。
そこから、アンパンマンの原作者であり、
92歳(現在)で今も現役のやなせたかしさんにインタビューした記事を読みました。

アンパンマンから日本人へ「なんのために生まれて生きるのか」」(5月2日記事)
やなせたかし氏 日本人の正義とは困った人にパン差し出すこと」(5月3日記事)
(いずれも、「NEWSポストセブン」の記事)
とてもすばらしい記事ですので、ぜひ全文お読みください。

記事中で印象に残ったところを引用します。

(引用)
コラムニストの石原壮一郎氏は、震災直後、事務所で付けっぱなしにしていたラジオから『アンパンマンのマーチ』が流れてきたのを聞き、思わず落涙した。そして自分がレギュラーを務めているラジオ番組の企画で「被災者を元気づける曲」として、この曲を躊躇わずイチ押ししたという。なぜそれほどまでに心を揺さぶられたのか。

「震災で被災地の悲惨な状況を見て心を痛めたり、原発事故で不安を感じたり、モヤモヤとした複雑な感情が入り交じっていたと思うんです。その中でこの歌が、たとえいろいろなことがあっても人は生きて行かなくてはならないんだということを教えてくれました。漠然とした生きる事への不安に対して、それでも生きていけと励ましてくれたのです」(中略)

やなせ:「アンパンマン」を創作する際の僕の強い動機が、「正義とはなにか」ということです。正義とは実は簡単なことなのです。困っている人を助けること。ひもじい思いをしている人に、パンの一切れを差し出す行為を「正義」と呼ぶのです。なにも相手の国にミサイルを撃ち込んだり、国家を転覆させようと大きなことを企てる必要はありません。アメリカにはアメリカの“正義”があり、フセインにはフセインの“正義”がある。アラブにも、イスラエルにもお互いの“正義”がある。つまりこれらの“正義”は立場によって変わる。でも困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても「正しいこと」には変わりません。絶対的な正義なのです。
(中略)
やなせ:うん。だから正義って相手を倒すことじゃないんですよ。アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ。だってバイキンマンにはバイキンマンなりの正義を持っているかも知れないから。それに正義って、普通の人が行うものなんです。政治家みたいな偉い人や強い人だけが行うものではない。普通の人が目の前で溺れる子どもを見て思わず助けるために河に飛び込んでしまうような行為をいうのです。ただし普通の人なので、助けに行って自分が代わりに溺れ死んでしまうかも知れない。それでも助けざるを得ない。

つまり、正義を行う人は自分が傷つくことも覚悟しなくてはいけない。今で喩えると、原発事故に防護服を着て立ち向かっている人々がいます。自分たちが被爆する恐れがあるのに、事故をなんとかしなくてはという想いで放射能が満ちた施設に向かっていく。あれをもって、「正義」というのです。怪獣を倒すスーパーヒーローではなく、怪獣との闘いで壊された街を復元しようと立ちあがる普通の人々がヒーローであり、正義なのです。
(引用終)
(下線は筆者による)

私が「アンパンマン」と出会ったのは、幼稚園の時読んだ絵本によります。
自分の顔を分けて食べさせる変わったヒーロー・・・
アニメでは、汚れた顔を交換してバイキンマンをやっつけるところしか目立ちませんが、
ア~ンパ~~ン~チ!バイバイキ~ン!、のお決まりパターン)
深い哲学があったのですね。
アンパンマンのマーチ」の歌詞、
なんのため生まれてなにをして生きるのか」は実に深い問いかけですね。
日本国民で、アンパンマンのように、「そうだ、おそれないでみんなのために」を考え、
行動する人が多く現れることを期待しています。
私も、そのような一人になりたい・・・

話は変わって、別な「正義」について・・・
5月2日のビッグニュースは、「ビンラディン殺害」でしたね。
正義」という観点からは、確かに死に価する人物でしたが、
アメリカ市民が、歓喜の声をあげ、「USA!USA!」と連呼する姿には、
違和感をおぼえました。
そんな中、「ひとを殺して歓喜する国民にはなりたくない」という記事を読みました。
(「金平茂紀の「茫界偏視」」5月3日記事)

記事の中心部を引用します。
ぜひ全文をお読みください。

(引用)
「Justice has been done.」とオバマ大統領はテレビ演説の締めくくりで言った。ニューヨークのグランド・ゼロやホワイトハウス前にたくさんの人々が集まり「USA!」を連呼した。ひとを殺して歓喜する国民がそこにいる。

 10年前の9月11日のワールド・トレードセンター崩落後に世界中に配信された映像があったのを覚えている。事件後、パレスチナの地で歓喜するパレスチナ人たちの様子だった。そのテレビ映像をみて「文明国」の人々は言った。何という人々だ。あんな悲劇に歓喜する人々がいるなんて。だから僕らはいま同じように言おう。ひとを殺して歓喜する国民にはなりたくない。
(引用終)

みなさんなら、どちらの「正義」を選ぶでしょうか?・・・
ちなみに、ウィキペディアによると、やなせたかしさんは聖公会所属とのこと。
アメリカのオバマ大統領も「一応」、クリスチャンですが・・・

アンパンマンのマーチ

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