ヒルティが考える「天国と地獄」~『眠られぬ夜のために』第一部(四月十日)から
「天国と地獄」について、
ヒルティの名著『眠られぬ夜のために』第一部の「四月十日」に、
興味深い一文が書いてありましたので、紹介します。
「 一般にわれわれはむしろ善い行いをする機会を避けようとするが、本当に聡明な人であれば、できるだけその機会を願い求めるであろう。それゆえに、われわれは天国をば、際限なく善を行う機会と、それをなす限りない力と意欲とが与えられる場所だと考える。これと違った天国は、いやしくもものを考える人間にとってふっさわしいものとは思われない。われわれが時どき感じる安息欲は、全生涯を、いわんや永遠の生活を満たすことはできない。それはただつかのまの感情にすぎない。
これとは反対に、目の前になすべき善の機会がなく、またそれをする意欲も力もないということは、すでにこの世ながらの地獄である。ところが、多くの人びとは、さらにすぐれた人生をおくることができるのに、いたずらになすこともなく過ごしている。(以下省略)」
※下線筆者による。
天国とは、怠惰と安逸をむさぼるところではなく、
「際限なく善を行う機会と、それをなす限りない力と意欲とが与えられる場所」
と考えたのは実に興味深いですね。
反対に、
「目の前になすべき善の機会がなく、またそれをする意欲も力もないということ」が、
「すでにこの世ながらの地獄」と断じているところも全く同感です。
使徒パウロといえば、プロテスタントでは「信仰義認」ばかり強調されますが、
「善を行う」ことへの勧めが随所に書かれていることは、看過されがちですね。
「祈る手」と「行動する足」どちらも必要なのです。
「おのおの善を行って隣人を喜ばせ、互いの向上に努めるべきです。」
(新約聖書ローマの信徒への手紙15:2新共同訳)
イエス様の御言葉
「目を上げて畑を見るがよい。色づいて刈り入れを待っている。」(ヨハネ4:35新共同訳から)、
霊的な意味での「刈り入れ」に限らず、良い行いに対しても、あてはまるのではないでしょうか。
「今や、恵みの時、今こそ、救いの日」(Ⅱコリント6:2新共同訳)です。
日本で、世界で、私達に今できることはたくさんありますよ。
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