「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知
よく、「カトリック」のことを、
「カソリック」と言ったり、書いたりする人がいますね。
どちらが正しいのでしょうか。
結論から言えば、日本では「カトリック」が正しいのです。
英語読みでは、「カソリック」に近い発音になりますが、
やはり、正しい呼称を使ってほしいものです。
今回、この言葉を取り上げたのは、ある本を立ち読みしていた時に、
ふと考えさせられたらからです。
その本とは、
『葬式にお坊さんは要らない―日本の葬式はなぜ世界で一番高いのか』 (日文新書)です。
その本の中に、確かこういう一文がありました。
「カソリックは、火葬を嫌う」・・・
少なくとも、日本では、葬儀のあり方が、土葬ではなく火葬ですので、
これは誤りといえましょう。
(ヨーロッパやアメリカなら、土葬が主流ですから、確かにそうと言えますが・・・)
(※キリスト教に関する以外なら、興味深いこともいろいろ書いていました。
日本の葬儀のあり方・仏教のあり方を考えるのには、一読の価値がありそうです。
あと、『葬式をしない寺―大阪・應典院の挑戦』 (新潮新書)という本も、
なかなか興味深かったですよ。
葬式仏教から、魂の救いとしての仏教へ・・・
江戸時代に、キリスト教弾圧の道具と、信仰の角を矯めるために、
檀家制度が設けられたことが、現在の仏教堕落の始まりでした・・・
ちょうど、3月1日放送のNHK・クローズアップ現代でも、
「岐路に立つお寺 ~問われる宗教の役割~」という内容で、
日本の仏教のあり方について問いかけるような放送をしていました。
ビジネスとしての仏教は、お釈迦様の心からほど遠いと思います。)
ちょっと寄り道をしてしまいましたね・・・
本題に戻りましょう。
「カソリック」と使われる場合は、一般に、どのような時でしょうか?
私の知っている限りは、主に3つの理由によります。
1・軽蔑的な意味で使う(特にプロテスタントの方)
2・知的に気取って、あえて英語読みを使う(いわゆる「知識人」と自称している人々に多いです。)。
3・上記両方の理由が意識の中で混じっている。
戦前の文学者が気取って「カソリック」と書いているならまだしも、
どこのカトリック教会も使っていない「カソリック」なる名称を未だに使うのは、
知的怠惰といえましょう。
「キリスト教」を「ヤソ教」とか「バテレン」と言うようなものです(隠れキリシタン時代?)。
仏教の世界においても、東南アジアの仏教を、「小乗仏教」とは言わずに、
今では「上座部仏教」という用語を使っています。
(「小乗」とは「小さい乗り物」という意味で、大乗仏教から観た軽蔑的な用語です。)
カトリック教会に対して、それぞれの宗教的・哲学的立場から、どう見るかはいろいろあるでしょう。
しかし、たとえ反対意見や軽蔑の思いがあったとしても、
少なくとも、正式な呼称を使うべきだと思います。
「カソリック」なる語を使うのは、自らの無知をさらけ出すようなものです。
ちょうど、「小乗仏教」という言葉を平気で使うかのように・・・
ちなみに「カトリック」とは、ラテン語で「普遍」を表す言葉です。
ラテン語の使徒信条にも出てきます。
Credo in Spiritum Sanctum, sanctam Ecclesiam catholicam, sanctorum communionem, ・・・
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