NHK・クローズアップ現代「学ぶことは、生きること ~夜間中学の現場から~」(2011年2月15放送)
山田洋次監督の名作映画『学校』を25分に短縮したような、
心動かされる内容でした。
2月15日放送のNHK・クローズアップ現代では、
「学ぶことは、生きること ~夜間中学の現場から~」という題で、
存続の危機に瀕する夜間中学の現状を扱っていました。
番組HPから、放送内容を転載します。
「夜間中学」で繰り広げられる涙と感動の物語を描いた映画『学校』。西田敏行が演じた教師役のモデルになった松崎運之助先生が、『学校』を書いてから30年を迎える今年、全国の夜間中学を巡り、そこで学ぶ人たちの姿を本にまとめる取り組みを始めている。きっかけは、夜間中学をめぐる大きな動き。今、自治体の財源不足などから給食費など補助の打ち切りや削減が行われ始め、通えなくなる人が出てきている。その一方で、映画をきっかけに全国各地で立ち上がった自主夜間中学に、イジメで不登校になる中学生や、卒業証書はあるものの学びたいと願う人々など、公の夜間中学には入ることができなかった人々が集まってきているのだ。義務教育の就学率100%とされる日本で、そこからこぼれ落ちた人々と支える教師たちの学舎に密着。今改めて、「学びとは何か」を考える。
番組の中で、タイトルにあるとおり、
「学ぶことは、生きること」というすばらしいコメントが出てきます。
86歳になって、ようやく字の読み書きができるようになったある高齢者の方。
貧困や戦争などで、学ぶ機会が失われたままの高齢者は万単位でいるそうです。
一方、いじめや不登校などで、学ぶ権利が失われたまま、
「一応」中学の卒業証書はもらったけれども、実質は全然学んでいない人も、
10万人以上いるそうです。
映画『学校』で西田敏行さんが演じた教師のモデルの一人である、
松崎運之助先生の現在についてもふれていました。
また、民間の夜間中学(そういうものがある、というのを初めて知りました。)の取組も、
大変興味深かったです。
最初の20分間の映像にはとても感動しました。
最後の約5分間、今回の話題をコメントするに一番ふさわしい方が出演しました。
山田洋次監督です。
学びたい、という意欲を持っている限り、国は学ぶ権利を保障すべきだ、
と、夜間中学の存続を訴えていました。
また、現在の義務教育のあり方にも疑問を投じていました。
中学校に不登校でほとんど登校していなくても、卒業証書が手渡される不思議・・・
直接言及されてはいませんでしたが、
義務教育も高校や大学と同様に、単位履修制にした方がいい、との考えなのでしょう。
私もそう思います。
今回の放送内容から少し脱線しますが、
こういう記事を見つけました。
10年ほど前、「分数のできない大学生」というのが問題になり、
学力低下論争が繰り広げられましたね。
今や・・・「底辺大学生 九九できない・アルファベットわからない」とのこと・・・
(※週刊ポスト2011年2月25号)
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/postseven-20110215-12738/1.htm
正直なところ、この記事、デタラメであってほしいと願うばかりです。
でも、もし本当だとすれば、本人にとっても、社会にとっても、国の未来にとっても、
大きな損失ではないでしょうか?
「新卒氷河期」とも言われる今、就職できないのは企業のせいにされることも多いです。
しかし、人事採用担当者の立場なら、少なくとも九九ができないような学生は、
採用したくないでしょう。
そういう人が大学にいる、という自体、大学の価値を下げてしまうものなのでしょうね・・・
その一方、学びたいと切実な思いを抱いて、夜間中学に通う人もいるわけです。
いずれにせよ、いつからでも学びなおすことができる、生涯教育を推進する必要がありますね。
夜間中学は細々とでもいいですから、ぜひ存続してほしいと思いました。
山田洋次監督の『学校』シリーズ、以前NHKBS2で放送されていたのを観ました。
大変心を揺さぶられた映画です。
特に第1作は非常な傑作です。『学校Ⅱ』にも大変感動しました。
機会があれば、『学校』シリーズについて、改めて記事を書いてみたいと願っています。
なお、『学校Ⅱ』、『学校Ⅲ』、『十五才 学校IV』は、現在単独では廃盤らしいです。
『学校』シリーズ四部作をセットにしたものが現在入手可能なようです。
※『十五才 学校IV』だけは、観るのを途中でやめてしまいました。
あまり主人公に共感できなかったかな・・・
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