数字をどう読むかによって見えてくる現実は違う~「内向き志向」と言われる若者と日本の犯罪件数、就職氷河期
たとえば、1万円札を1枚持っていたとします。
これを「事実」とすれば、
「真実」は3通り(あるいは、それ以上)出てくるでしょう。
・1万円「を」持って「いる」・・・客観的な事実
・1万円「も」持って「いる」・・・肯定的な見方
・1万円「しか」持って「いない」・・・否定的な見方
「事実」は一つですが、それをどう解釈するかで、「真実」が違ってみえてきます。
1月19日のNHK・おはよう日本では、
「ジャパンシンドロームを乗り越えろ③若者の内向き志向 “負の連鎖”を断て」
という特集を放映していました。
なかなか興味深い内容でしたが、
ただ、この「ジャパンシンドローム」シリーズ、かなり無理があるようにも思えます。
相当裕福な家庭や、超優秀な若者にしかあてはまらないようなものを、
「日本の抱える問題」として無理やり提示しているように思えるからです。
番組中では、「若者の内向き志向」ということを如実に示す数字の一つとして、
日本人の海外留学生生数の減少を挙げていました。
08年に海外の大学などに留学した日本人の数は6万6833人。
前年比11.1%減、8323人減で、4年連続の減少となり、
減少幅は過去最高、と報道されていましたね。
だからといって、この数字をもって、
「日本の若者は内向き志向だ」と決めつけていいのでしょうか。
「東洋経済」オンライン版に、興味深い記事がありました。
「日本人の海外留学生数は増加!若者は内向き志向にあらず」という見出しです。
http://www.toyokeizai.net/business/management_business/detail/AC/982429fb948bbed1b8190fd3849ffcba/page/1/
詳しくは記事そのものをぜひ読んでいただきたいですが、
「若者全体の内向き志向が強まっているのではない。内向き志向を強めている若者が増加している一方で、海外志向も強まっている。即ち、海外志向の二極化が進んでいるのだ。「ゆとり教育を受けた草食系の若者が、内向き志向を強めている」というのは、いかにもありそうな話であるが実態は違う。」
(記事から引用)
と、一般的に流布している俗説を、数字の見方を変えて見事に論破しています。
数字の見方、といえば、もう一つ。
「日本の治安は悪化しているか?」と問われたら、
たいていの人は、「凶悪犯罪が増え、治安が悪化している」と答えると思います。
しかし、実態はどうなのでしょうか?
先日、全国の警察が認知した刑法犯の数が発表されました。
実は、刑法犯の総数は年々減っている、というのが実態です。
(もちろん、性犯罪など部分的には増えているものもありますが・・・)
これについては、まず新聞記事自体を読んでみてください。
日本経済新聞2011年1月14日記事「刑法犯、23年ぶり低水準 昨年6.9%減の158万件に 」
(※記事はリンクできないようです。)
これを受けて、宗教法人「生長の家」総裁、谷口雅宣氏が、
実に適切なブログ記事を書いています。
「日経新聞が日時計ニュース?」
(2011年1月14日の記事です。「谷口雅宣 小閑雑感」で検索してみてください。)
一つの事実に対して、各新聞社で、違ったアプローチをしているのがわかります。
マスゴミは、とかく世の中を暗いものとして見たがりますよね・・・
データは一つなのに、暗い・否定的なものをことさら強調したがる悪い癖があります。
少し古い記事(2008年)ですが、
「凶悪犯罪増加の誤解を解くページ」というブログの、
「日本の凶悪犯罪は減少してます。」という記事はおすすめです。
http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/515564/
感情的・主観的に現象を見るのではなく、
客観的に、冷静に、数字を眺めてみると、
日本って、ホントはすばらしい安全な国である、というのを再認識できます。
マスゴミに踊らされて、「日本は危険な国」と思い込むから、
ますます人々の愛と善意は冷えていくわけです。
そろそろ、日本を悪く言い続けるのは、やめたいと思いませんか?
数字をどう読むかによって、見えてくる現実は違ってきます。
ここ数日間、新聞・テレビで大きく取り上げられている、
大卒の就職内定率は68.8%、過去最低で就職氷河期・・・という話題。
しかし、ちょっと考えてみてください。
100人中約69人は就職できている、ということですよね。
(話を単純化するため、100人という単位で考えてみます。)
残りの31人ばかりに目を向けていると、不満しか見えてきませんが、
就職内定が決まった大卒者が69人「も」いるわけです。
「寄らば大樹の陰」的発想で、大企業ばかりに目を向けず、
本当に人材を必要としている中小企業などにも視野を広げれば、
大卒者の就職内定率だってもっと向上するはずです。
同じ現実を見るなら、肯定的に見たいものです。
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