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2011年1月 7日 (金)

書評:平野耕一著『世界中で語り継がれている希望物語』(鳥影社)

希望が失われ、閉塞感に満ちている現代日本だからこそ、
ぜひ、多くの方にこの本を読んでいただきたい、そう思わずにはいられません。

平野耕一著『世界中で語り継がれている希望物語』(鳥影社)は、
「希望」をテーマに、旧約聖書の創世記~ヨシュア記の人物たちの生き様と、
希望をもつことのすばらしさと困難を見事に描いています。
著者はキリスト教の牧師ですが、
キリスト教の人向けに書かれたような内向きの本ではありません。
日本の人口の1%にすぎないクリスチャンよりも、99%のその他の人々、
特に、希望を失っている人のためにこそ、この本は書かれています。
村上龍氏の小説『希望の国のエクソダス』の有名な言葉、
この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが希望だけがない
というような状況から、希望をつかむことができます。

著者は「はじめに」というところで、本書と聖書についてこう述べています。


 この本では、読者の皆さんが聖書を通して「希望」について読み解くために、少しばかりの手がかりを提供できれば、と私は考えています。聖書は二千年以上にわたる歴史的、民族的、また時代的な背景をもっていますが、そのメッセージはイスラエルの歴史、民族、時代を超えて、普遍的な価値をもっており、そのために、今も世界中の人々に意味のあるものとみなされています。
 事実、聖書は、あらゆる本を凌駕して、世界的なベストセラーです。聖書のことばが数千年という時間のテストに耐えて、古びることも、滅びることもなく、人々に語り続けているからです。人々は、登場人物の生き様から励ましを受け、忍耐を教えられ、希望を燃え立たせられるのです。
 実に聖書こそは、人々に「希望」を与えるために書かれた本なのです。始めから、終わりまで、すべての記述の根底に「希望」がよどみなく流れているのです。
 また、聖書の中で、神は「希望の神、God of Hope」と呼ばれています。聖書が描く神の本質は「希望そのもの」という存在なのです。この希望の神が、暗闇の中にうごめく私たち人間を、希望で満たそうとしているのです。

(同書P.20~21から引用)


旧約聖書のアブラハム、イサクとヤコブ、ヨセフ、モーセ、ヨシュアを、
「希望」という観点から捉え、分析し、
どんな困難があっても忍耐し、
31の「希望の特質」を語っています。
これは、特定の宗教を信じているか否かに関係なく、普遍的なものでしょう。

私が特に惹かれたのは、ヨセフとモーセのところでした。
ヨセフの物語は旧約聖書の中でとても好きな箇所ですが、
「希望」という視点でこの物語を見ると、
現実の生活における有意義な気づきを与えられました。
また、モーセのところに出てくる、「奴隷の特徴」(P.192~195)の記事は、
現代の日本人にとって耳の痛い話です。

私はこの本を、帰省中の列車の中で普段よりもゆっくりと読みました。
妻はどちらかというと読むのが遅い方ですが、この本は珍しく一気に、
しかも私よりも早くに読み終えてしまいました。
妻もこの本を「すばらしい!」と絶賛していました。

同じ著者による『希望とは何ですか』(いのちのことば社)もあわせてお読みください。
また、映画『ショーシャンクの空に』についても、たびたび言及されていますので、
もしこの映画を観ていない方は、ぜひ御覧になってください。
(『希望とは何ですか』と『ショーシャンクの空に』については、
既に記事を書いています。)
書評:平野耕一著『希望とは何ですか』(いのちのことば社)
https://francesco-clara.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-ebe1.html
旧約聖書のヨセフ物語と、映画「ショーシャンクの空に」~希望の物語
https://francesco-clara.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-2f5d.html

希望の源である神が、
信仰によって得られるあらゆる喜びと平和とであなたがたを満たし、
聖霊の力によって希望に満ちあふれさせてくださるように。

(新約聖書 ローマの信徒への手紙15:13新共同訳)

世界中で語り継がれている希望物語

希望とは何ですか

ショーシャンクの空に(DVD)

ショーシャンクの空に(Blu-ray)

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