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2010年11月21日 (日)

米国における5歳児プログラム~小一プロブレム解決のヒントになるかも?

教育関係で、ここ数年よく聞くようになった言葉の一つが、
小一プロブレム」です。
授業が始まってもふらふらと廊下を歩いているとか、
教室を歩き回ったりしている、などの問題行動を起こす児童によって、
授業にならない状況が発生することです。
(以前、ある小学校での小1の音楽の授業を拝見したことがありますが、
さすがにそこまでの状況はなかったものの、
小1の段階で、まったく授業についていけない子・参加しようとしない子を何人も見つけました。)

これについて、教育システムを改善するとか、
学校の教師の指導力が足りないとか、
幼稚園・保育園との連携がもっと必要だとか、
いろいろな改善策・問題点の指摘がされています。
しかし、一番問題なのは、教師の指導力などではなく、
「親によるしつけ」の問題でしょう。
「親によるしつけ」がおろそかになったツケを学校に廻すのは、本来お門違いです。
とはいえ、マスコミ等で「親によるしつけ」を棚上げにして、
教師・学校を叩く構造になっているのは、時代の流れなのでしょうね・・・
ますます小学校が「保育園」化するばかりです。
本当の「教育」は学習塾が引き受け、
経済的に厳しい家庭は真の教育を受けるチャンスを逃し、
さらに経済格差が拡大・固定化してしまう、という悪循環に陥るだけです。
貧困層の増加は社会不安・雇用不安を招くばかり・・・


それでは、この問題をどうすれば少しでも改善できるのでしょうか。
「幼児教育ポータルサイト」というHPでは、

この小一プロブレム(小一問題)に対して、どのような対策を行っていったら良いのでしょうか?
基本は幼少期から各家庭自分の子供に対してきちんとしつけを行っていくことが大切です。
その後、保育園や幼稚園、更には小学校の先生方との連携により対策を行っていくことでより良い状態に改善をしていくことが必要だと思います。
小一プロブレム(小一問題)がすでに起こっている学級では、即効性のある打開策は難しく、各学校の先生方も大変な問題として受け止めています。
現在の子供達は親とも友達に近く、先生とも友達のような関係であることが当たり前のようになってきていますので、目上の人に対する尊敬・敬う心が育ちにくい環境であるため、親や先生の言うことも聞かない子供達が増えてきているようです。
親の過保護・過干渉によるモンスターチルドレンなどの似たようなケースも見逃せません。
子供と親の関係として友達関係でも良い関係は築ける場合もあるかもしれませんが、親(特に父親)は怒ると怖いという感覚(悪いことをしたらいけないという気持ち)も大切です。
親と子供・大人と子供には上下関係があるという当たり前の関係が現代社会では崩れてきています。
学校での問題は複雑な要因などが絡み合いますが、基本的に各家庭でのしつけ教育が崩れてきていることが原因ですので、我々親達は幼児期のしつけや教育、親子関係に対してもっと学習していく必要があるように思います。
小一プロブレムやその他、現代の子供達に起こっている問題の多くは我々親のしつけや教育意識の低下が問題なのです。

という問題の分析と提言を行っています。
http://www.sehimiry.com/syouiti-p.html
しかし、これでは「親によるしつけ」の欠如を補うことは無理ですね。
強制力あるやり方が必要です。

先日、ニューズウィーク日本版公式サイトを閲覧していると、
冷泉彰彦氏のブログ「プリンストン発新潮流アメリカ」で、
日本の幼保一元化の問題について、米国での取り組みを基にした独自の提言がありました。
非常に興味深い記事ですので、ぜひご一読を!
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2010/11/post-225.php

米国の5歳児の教育プログラムは、公立小学校の「慣らし運転期間」のような位置づけで、
無償の公教育の初学年となっているそうです。
その教育内容については、記事から一部引用しましょう。

 「ビル・クリントン時代にアメリカが進めた教育改革も「K・トゥ・16」つまりキンダーから16年生(大学4年生)までの統一カリキュラムをガイドラインとして筋を通すことが中心でした。この「キンダー」は多くの場合は小学校に併設されていますが、午前午後の長時間保育ではなく、午前だけ、あるいは午後だけとの複式という形で子供の負担を軽減して(自治体のコストも軽減して)いる学区もあります。

 その教育内容ですが、学年終了時の到達度目標としては、非常に明確に定義されています。主要なものとしては以下のようになっています。

1)アルファベットの一部がわかる。数は10まで数えられる。
2)鉛筆やクレヨンなどを正しく持てる。はさみやノリなどが使える。
3)ボールをポンポン弾ませることができる。
4)モノの大小、多寡がわかる。
5)自分の名前が言える。着替え、トイレ、片付けができる。
6)一人遊びと集団遊びが区別してできる。指示に従える。
7)読み聞かせに集中できる。
8)親から抵抗なく離れることができる。

 何だか幼稚園にしては厳しそうだし、学校にしては目標が低すぎて不安だしという印象を持たれる方も多いと思いますが、それもそのはずであり、アカデミックなスキルも、社会性のスキルについても、正に「幼稚園・保育園」と「学校」の接続の機能を持たせた「ちょうど橋渡し」のカリキュラムになっているのです。

 その効果として、アメリカでは「小一プロブレム」は顕在化していません。」(以下省略)


日本においても、「子ども手当て」を増額したり、
保育園を増やすとかよりも、
もっと、子ども自身の将来を見据えた効果的な教育に、
貴重な税金を有効に投資すべきではないでしょうか?
上記であれば、明確な「到達度目標」があるのはすばらしいです。
(小学校の義務教育であれば、「読み・書き・計算」といった基礎・基本を、
到達目標をもって教えるべきでしょう。
「学力はテストでは測定できない」などと逃げ口上を言っているのでは、
いつまでたっても現実は変わりません。)

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