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2010年10月12日 (火)

おすすめブログ記事~「日本の教育はマイナーチェンジではダメなのでは?」(ニューズウィーク日本版・冷泉彰彦氏)

最近になってよく読むようになったブログの一つが、
ニューズウィーク日本版のサイトにある、
「プリンストン発新潮流アメリカ by冷泉彰彦」です。
日本国内では得られない視点で、アメリカの政治・文化や、
日本の政治・文化を考えるきっかけになります。

冷泉彰彦氏の10月12日の記事、
「日本の教育はマイナーチェンジではダメなのでは?」は、
「なるほど!」と思わされました。
日本の新聞記事(朝日新聞)に出ていた記事を元に、
日本の教育問題の痛いところを突いています。

記事の要点だけを、引用しましょう。
私なりに要旨をまとめるとしたら、
「税金を投入して生活保護世帯の子に塾代の補助をする、という問題解決ではなく、
公教育を正しい形にするのが、真の問題解決なのでは?」でしょうか・・・
なお、注目していただきたい箇所に下線を引きました。
(原文には下線はありません。)

例えば、今日付けの朝日新聞(電子版)には、「生活保護世帯の子に進学支援拡大、無料講習会や塾代補助」という記事がありました。記事中でも熊本県の蒲島知事が「生活保護世帯から大学や専門学校に進む若者向けの生活費貸し付けを始めた」というニュースなどは、政策としては至極当然だと思いますし、動機付けのされた若者であれば給付型の奨学金制度などへ発展させるべきだとも思います。

 ですが、このニュースの中で主要な問題として取り上げられていたのは、自治体が生活保護家庭の子供を対象に塾代の補助を行う例が増えているという話題でした。例えば東京都は生活保護家庭の子が塾に通う費用を補助する制度をスタートし、昨年度は1億2700万円を独自に支出したそうです、また。板橋区ではこの4月に、塾代補助制度を利用した子供の全日制高校進学率は87%で、生活保護世帯全体の進学率71%を上回ったのだそうです。

 その背景には「子どもが教育機会を失い、貧困が次世代に引き継がれる「連鎖」を防ごうとの狙い」があると記事は説明しています。私はこれに大変な違和感を覚えました。勿論、セーフティネットは大切で、少なくとも貧困家庭の子供には社会が教育を保障してゆくのは当然だと思います。ですが、どうして「塾代補助」なのでしょうか? 待ったなしの短期的な施策としては勿論、アリだとは思います。ですが、それはそれとして、公立中学校の正規の課程を履修しただけでは全日制高校へ進学するだけの学力は身につかず、「将来の貧困の連鎖」になってしまうのであれば、その中学校のカリキュラムなり指導者に問題がある、どうしてそう考えられないのでしょう?

記事ではもう一つ、英語教育についても実に痛い指摘をしています。

もう1つ、これは昨日のニュースですが、小中高の英語教員をひとり1000万円かけて米国に留学させるというアイディアがあるというのです。これも「塾代補助」と同根の問題であり、税金が投入されるという点でも、そして根本から改革しなくてはダメという点でも同じです。英語教師というのは英語ができるから人に教えられるのであって、英語ができないために公費で学習し直さなくてはならない人間がどうして英語教師なのかという問題はやはり疑問です。

 現在の英語教育は、水泳指導にたとえるならば、泳げない人間を指導者にして、畳の上で「平泳ぎの格好」の練習をさせているのと同じだと思います。要は畳を取り払って全員をプールに投げ込んでしまえば、先生も生徒も溺れてしまう、そんな悲喜劇に陥っているのです。世の中には英語が読めたり話せる人は沢山いるわけですから、これも「総取り替え」が手っ取り早いのであって、どうして1人1000万円などという話が出てくるのか分かりません。どう考えても、英語のできない「英語教師」を英語ができるようにするよりも、英語のできる人に指導法を教えて教師にする方が効率的だと思うのです。もっと言えば、同じカネを出すのなら学生や院生の若い人をどんどん海外に出して国際人にしたり、ホンモノの英語教師にしたりする方が前向きでしょう。

まさに同感です。
2つの記事とも、日本国内で教育問題を論じる際に欠けている視点を与えてくれます。
それは、端的に言えば、教員の資質向上でしょう。
上の2つなどは、ドブ川の悪臭の原因を絶たないで、香水でごまかすようなものですね。

いずれにしても、教育の目的とは「社会に出て役に立つ」人間の基礎能力を訓練することにあるわけで(英語の場合は「国際社会に」ということです)その最低限の目標が崩れてしまっている現況を考えると、もはや「マイナーチェンジ」ではダメだと言わざるを得ません。

ぜひ、記事そのものをお読みください。
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2010/10/post-208.php

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コメント

zapperさん、コメントと記事紹介ありがとうございます。公教育の充実、教員の資質向上、基礎を徹底して教え込むことが、児童・生徒の将来と日本の明日を拓きますね。

いつも素晴らしい記事をありがとうございます!弊ブログにてご紹介させていただきました。「塾代補助」に関しては、学習塾経営者である私自身も大きな違和感を感じる次第であります。(もっとも、私のところにはそういった制度がありませんが)

この記事へのコメントは終了しました。

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