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2010年9月12日 (日)

9・11に宗教的寛容を考える

忌まわしい9・11テロから早9年。
人々に平和をもたらすはずの宗教が、かえって憎しみを拡げてしまった、
悲しむべき事件でした。

テレビであの事件の報道を初めて見たときは、
映画でも観ているのかと錯覚しました。
まったく信じられない・・・
私がリアルタイムでテレビ報道を見た中では、
阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件と並ぶ衝撃的な映像の一つです。

今、そのアメリカでは、9・11テロに関して2つのニュースが話題になっています。
1つは、ニューヨークのグラウンド・ゼロ(世界貿易センター跡)の近くに、
イスラム教のモスクが建設予定となっていることに反対運動が起きていること、
もう1つは、フロリダ州の牧師が、コーランを焼却する、と騒いでいたことです。
どちらも、宗教的不寛容を現すようなものです。
イスラム教への嫌悪感・恐怖感・憎しみが、目に見える形で現われたものですね。
自由の国アメリカらしからならぬものです。
コーラン焼却については、他国で死者まで出ているそうです。
メディアを使った悪質な宣伝といえましょう。

聖書(特に旧約)を単純に読むと、偶像礼拝と他宗教に屈することは「悪」で、
他の宗教の神殿を破壊したりすることは最大の善のようにさえ思えます。
それが、狂信や中世の異端審問につながっているのでしょう。
「コーランか剣か」といえば、イスラム教の専売特許のように言われますが、
それ以上にひどいことをやってきたのは、残念ながらキリスト教の側でした・・・

カトリックは第2ヴァチカン公会議後、かなり宗教的寛容さを持つようになりましたが、
つい50年前までは、偏狭なものでした。
(他宗教には寛容ですが、プロテスタントに対しては今も不寛容な場合が多いです。)
プロテスタントは、リベラル派のところを除けば、概して偏狭です。
イエス様から見れば、地上の教会の分裂は、どれほど心が痛むことでしょうか・・・

上の2つのニュースに関して、興味深いブログ記事がありますので紹介します。
1つは、水谷潔牧師のブログ「命と性の日記~日々是命、日々是性」の9月10日の記事です。
コーラン焼却が中止に。これが、日本なら教会はどうする?
http://blog.chiisana.org/?day=20100910
もう1つは、生長の家総裁・谷口雅宣氏のブログ「小閑雑感」9月10日の記事、
アメリカの2つの出来事」です。(「小閑雑感」で検索してみてください。)
どちらも妥当な見解です。

聖書、特に新約聖書から、宗教的寛容について御言葉の根拠を引き出せないものでしょうか。
いくつかありますが、3つだけ引用しましょう。いずれも新共同訳からです。
敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。」(マタイ5:44)
人に憐れみをかけない者には、憐れみのない裁きが下されます。
憐れみは裁きに打ち勝つのです。
」(ヤコブ2:13)
悪をもって悪に、侮辱をもって侮辱に報いてはなりません。かえって祝福を祈りなさい。
祝福を受け継ぐためにあなたがたは召されたのです。
」(Ⅰペトロ3:9)

聖書は使いようによっては、人種差別の根拠とさえなりうるものです。
より多くの人が幸福になることを求め、進んで真の平和をつくり出す信仰こそ、ホンモノです。
自分と同じ宗教の色にすべての人を染め、塗りつぶしてしまおうとするのはニセモノです。

伝道はすべきですが、政治勢力と結びついたものは、かえって信仰を堕落させてしまいますね。
寛容さはこれからの信仰にぜひとも必要な徳といえましょう。

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