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2010年8月12日 (木)

「おばけ」の生き方は楽しいか?~「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌から読み解く現代社会

真夏なので、「おばけ」の話をしましょう・・・
「おばけ」といっても、心霊スポットとか、墓場にいるわけではありません。
実は、案外身近なところに、ひっそりといるものです・・・

最近はやりの「おばけ」、というか「妖怪」は、いろいろ出没していますね。
113歳のミイラとか、125歳で公園に住んでいる(はずの)おばけとか・・・
あるいは、「しつけ」と称してむごい虐待をする鬼父・鬼母とか・・・
こういう「おばけ」、「妖怪」についても語りたいところですが、
今回はもっと正統派の「おばけ」について論じてみましょう。

日本の妖怪ブームのきっかけは、
水木しげるさんによる「ゲゲゲの鬼太郎」ですね。
「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌には、こんな一節があります。

朝は寝床でグーグーグー
たのしいな たのしいな おばけにゃ学校も
しけんも なんにもない」(1番から)

おばけにゃ会社も 仕事もなんにもない」(2番から)
(「ゲゲゲの鬼太郎」作詞:水木しげる 作曲:いずみたく)

この歌詞を読むと、何か気づきませんか?
そう、現代の「おばけ」とは、
ひきこもりやニート、そして大量の失業者たちです。

日本では、現在推計160万人のひきこもりと、
344万人の失業者がいます。
(ひきこもりの数は、「NPO法人全国ひきこもりKHJ親の会」HPから、
失業者の数は、総務省「労働力調査」2010年6月によります。)
合計500万の「おばけ」が、日本にいるわけです・・・

ひきこもりになると、よく、昼夜逆転の生活になると言われます。
だから、「朝は寝床でグーグーグー」というわけです。
そして、「学校も、しけんも、会社も、仕事も、なんにもない」生活になってしまうわけです。
人間として「なんにもない」・・・
社会からすると、いないのと同じような存在、まさに「おばけ」です。

会社勤めの人からすると、
朝は好きなだけ寝ていられる生活にうらやましさを覚えないでしょうか?
確かに、2、3日ならいいでしょう。
しかし、毎日だったら、どうでしょうか?
自分の存在の無意味さ、無価値さに打ちのめされてしまいます。
昼まで寝ていても、誰からも文句を言われない。
これは、自分で自分を辱めているようなものです。

人には生命の奥底から湧いてくる五つの深い願いがある。
それは、
生きること、
愛すること、
愛されること、
みとめられること、
何ものかの役に立ちたいことである。
(谷口雅春著『聖経 真理の吟唱』P.98から引用)

認められたい、人の役に立ちたい、という切なる願いが、
実現されないのは、人としてつらいものがあります。

「おばけ」は「おばけ」の生活を楽しんでいるうちはまだマシですが、
「おばけ」をやめたくなる時がそのうちきます。
そのとき、「早く人間になりたい!」(別な妖怪話ですね・・・)と願っても、
教育がなかったり、スキルやキャリアがないため、
さらに「おばけ」生活を強いられてしまうことが多いのではないでしょうか。

「おばけ」を減らすこと、可能な限り発生させないためには、
どうすればいいのでしょうか。
お祓いや塩をまいても効果がありません。
塩の代わりに子供手当をまいても同様です(?)
幼いころからの保護者との関係、学校教育、
病院や職業訓練など、社会的な取り組みによって、
発生はある程度防ぐことができるかもしれませんね。
特に有効なのは、「教育」の力でしょう。

「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌3番では、
おばけは死なない 病気も なんにもない」と歌われています。
しかし、現実世界の「おばけ」たちは、病気になるし、
自ら死を選ぶことさえあります。
リアル「おばけ」になってしまうのでしょうか・・・

「おばけ」の生活は、決して「たのしいな たのしいな」といったものではありません。
むしろ、「苦しいな、苦しいな」か「むなしいな、むなしいな」の方がぴったりです。
インターネット世界を徘徊してまわるのが精いっぱい、といったところでしょうか。
家族にとっても、「おばけ」の存在は苦しいものです。

NHKでは、「ひきこもり情報」という特集サイトを設けています。
興味・関心のある方はぜひご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/fnet/hikikomori/index.html
本文中でとりあげた、「NPO法人全国ひきこもりKHJ親の会」のHPは以下です。
http://www.khj-h.com/index.htm

ところで、NHKの「ゲゲゲの女房」の人気はすごいものですね。
最近では、我が家の朝の定番となっています。
近年の朝ドラでは1番すばらしいものかもしれません。

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