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2010年8月10日 (火)

フィンランド式教育を考える2冊~『フィンランド・メソッド超「読解力」』&『欲張り過ぎるニッポンの教育』

先日、必要があって書店の保育書コーナーで本を探していました。
(フレーベルについての本を探していました)
幼児教育では、「モンテッソーリ教育」とか、
かなりオカルト系の「シュタイナー教育」とかと並んで、
フィンランド式の教育の本も並んでいました。
フィンランド式教育は、
いわゆる「オルタナティブな教育」の一つとして考えられているのでしょうか。

あと、教育書コーナーを闊歩していると、
国語教育の専門誌が(相当マイナーな雑誌みたいです・・・)、
フィンランド式の教育を批判していました。
「オレたちの教育がイチバン!」とでも言わんばかりに・・・

フィンランドの教育制度を、手放しで絶賛すること、
あるいはよく検討もせず反対すること、どちらも避けたいものです。

今回紹介する2冊は、全然違う著者によるものですが、
2冊あわせて読むことにより、賛否両論がわかります。

1冊目は、早稲田大学教授の田中博之氏による、
『フィンランド・メソッド超「読解力」』(経済界)です。
副題は、「6つのステップで伸びる『言葉の力』」です。
フィンランド式の教育を、学校のみならずビジネスにも応用させよう、
という意欲的な新書です。
コミュニケーション能力の向上、という面では役に立ちます。
また、教育への応用も期待できます。
「論理力・表現力」、「コミュニケーション力」、「創造力」、
「責任力」、「自信力」、「評価力」で新たな自分を開拓できる!

と帯にうたっているとおりです。
フィンランド式の教育のプラス面を知り、ビジネスや生活に生かすことができる1冊です。

2冊目は、フィンランド式教育の本、というよりは、
「ゆとり教育」に至るまでの日本の教育改革について論じた、
苅谷剛彦氏と増田ユリヤ氏の共著、
『欲ばり過ぎるニッポンの教育』(講談社現代新書)です。
この中で、フィンランド式教育を日本でそのまま実現させることは、
制度上不可能であり、むしろ、「ゆとり教育」以前の日本の教育制度の方が、
実は優れていたのではないか、ということが具体的な資料に基づいて論じられています。
また、「総合的な学習の時間」も、否定的な見解が述べられています。
(教師が皆優秀である、というありえない仮定のもとに成り立っているものだからです。)
私としては、とても参考になりました。
教育は、「あれもこれも」と1+1+1+・・・=・・・というものでは、
かえって効果を減じてしまう、というのは、「なるほど!」と思わされました。
日本もフィンランド式の教育を見習うべき、という意見に冷や水をかけるような1冊です。
冷静な立場で、日本の教育制度を考察するのに最適な本、とも言えましょう。

安易に、外国の新理論に振り回されない方がいいのかもしれませんね。


フィンランド・メソッド超「読解力」―6つのステップで伸びる「言葉の力」 (リュウ・ブックス アステ新書)



フィンランド・メソッド超「読解力」―6つのステップで伸びる「言葉の力」 (リュウ・ブックス アステ新書)


著者:田中 博之




フィンランド・メソッド超「読解力」―6つのステップで伸びる「言葉の力」 (リュウ・ブックス アステ新書)


欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)



欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)


著者:苅谷 剛彦,増田 ユリヤ




欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

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