YTV系ドラマ「日本人の知らない日本語」
2010年7月15日(木)から放送が始まった、
「日本人の知らない日本語」という深夜ドラマ、結構おもしろいです。
原作は、日本語学校で外国人に日本語を教える教師が書いた、
日本語学校でのユニークな質問やエピソードの数々をマンガと文章でまとめた本です。
(先日ちょっと立ち読みしました。なかなか楽しそうです。)
それを、ドラマ化したものです。
といっても、本来はエピソードの羅列みたいなものですから(立ち読みした限りでは)、
ドラマの筋など原作にはありません(と思います)。
主役の仲里依紗さんを狂言回し的に使うことで、
見事にコミカルなドラマに仕立てています。
(といっても、半分マンガのようなものですが・・・)
主役は仲里依紗さんですが、
彼女の役割はいわば客寄せパンダのようなものです。
本当の主役は、日本語を学んでいる外国人役のキャスト達です。
そして、隠れた主役は、日本語そのものです。
第1話で、印象深いエピソードは、
「マグロの数え方」でした。
マグロは、海を泳いでいると「一匹」、
釣り上げると「一本」(よく「一本釣り」と言いますね。)、
それを市場で切り分けると「一丁」、
さらに切り分けると「ひとかたまり」という意味で「一塊(ひところ)」、
スーパーでパック詰めされると、短冊に似ているので「一冊(ひとさく)」、
そして、人の口に入る時には、「一切れ」・・・
う~ん、なるほど!
まさに「一本取られた!」という感じでした。
マグロにおける「一丁」と「「一塊」はまったく聞いたこともありませんでした。
私もまだまだ日本語の豊かさに気付いていないな、と思わされました。
(ちなみに、上記はもっと視覚的にわかりやすく、番組HPに掲載されています。)
http://www.ytv.co.jp/nihongo/review/index01.html
ちなみに、「男」の数え方は?
「男一匹」だから、「一匹」?
第2話は、敬語がテーマでした。
これも、なかなかおもしろかったです。
コンビニとかファミレスで一時使われていた(今もよく使われているようですが)、
「1000円になります。」とか、「こちらが麻婆豆腐になります。」
とかの「なります」。じゃあ、これは今は麻婆豆腐ではないの?・・・
ドラマの中で、日本語を学ぶ外国人がバイトをするところがよく出てきます。
これを見て思ったことは・・・
そのうち、10年、20年後には、
「正しい日本語」、「正しい敬語」を話せる若い日本人は「希少動物」並みになり、
むしろ、外国人の方が正しい日本語や正しい敬語を使いこなしているのでは、
と危惧しました。
学力世界1の国、フィンランドでは、
小学校教育で、母国語を外国語のように学ぶ、と、ある本で読んだことがあります。
日本における国語教育はどうでしょうか。
相変わらず、人物の感情はどうだったとかの低レベルなものにとどまっています。
言語力を豊かにする取り組みがあまりないように思えます。
「心を豊かにする教育」は、本来、家庭がすべきであるし、
もし学校教育でするなら、道徳ですべきものです。
しかし、教職員は「道徳」をきちんと教えていません。
NHK教育の番組を見せたり、時々やる程度で終わることが多いようです。
(「日の丸・君が代」反対など、規範意識を欠くような教組が、道徳教育に反対しています。)
私は社会人になってから、職場の研修で初めて「敬語の正しい使い方」を学びました。
少なくとも、学校で敬語についてきちんと学んだ、という記憶がありません。
(もしかしたら、少しやっていたのかもしれませんが・・・)
日本人だから日本語がわかってあたりまえだろう、という暗黙の了解のもとで、
現在の「国語科」教育は成り立っています。
しかし、実態として、外国人を片親または両親に持つ子は増えているわけです。
当然、日本語の語彙が乏しいとか、学習に障害が出る場合もあります。
思い切って、日本語を外国語のように体系的に学ぶ、といった形態の授業に、
今の「国語科」を切り替えた方がいいのでは、と思います。
あと、漢字の読み書き同習というやり方も、よくないものだと思います。
「話せる、読める」が先で、「書ける」は後でもいいはずです。
日本の国語教育は根本から再構築する必要があると思います。
人物の感情をあれこれ想像させるだけの国語から、
読解力を養う国語への転換が必要でしょう。
「国語科」で「道徳」を教える、というのは、もう卒業すべきでしょう。
原作
原作2巻目
追記
ドラマDVD-BOX
« 八つの幸い(マタイ5:3~10)【自作曲】 | トップページ | NHK・おはよう日本(7月25日放送)~「年間5万人 相次ぐ中退者に大学は?」 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 2022年12月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2023.01.12)
- 2022年9月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2022.10.03)
- 2022年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2022.09.01)
- グリーグ:「ペール・ギュント」聴き比べ~第1組曲を中心に(2022.07.29)
- プリキュアシリーズ全話見終えて(2022.07.20)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 藤岡幸夫 著『音楽はお好きですか?』(敬文舎)(2021.01.12)
- 2020年11月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2020.12.01)
- 上西充子著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)(2020.09.21)
- 映画”Toc Toc”(邦題:「OCD 〜メンタル・クリニックは大騒ぎ〜」)※OCD=TOC=強迫性障害(2020.08.26)
- 小友聡著『NHKこころの時代~宗教・人生~それでも生きる 旧約聖書「コヘレトの言葉」』 (NHKシリーズ NHKこころの時代)(2020.07.05)
「教育」カテゴリの記事
- 2022年10月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2022.11.03)
- 2022年9月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2022.10.03)
- 2021年6月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2021.07.01)
- 2021年2月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2021.03.01)
- 2021年1月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧(2021.02.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント