世界名作劇場・赤毛のアン(全編)~『赤毛のアン』(その2)
世界名作劇場シリーズの中で、一番好きな作品は何か、
と質問されたら、私は「アルプスの少女ハイジ」と、
「赤毛のアン」を選びます。
どちらも甲乙つけがたいほど大好きですが、
あえて、どちらか1作だけ、と問われたら、
躊躇なく、「赤毛のアン」をとるでしょう。
「赤毛のアン」の本放送時には、
確かきちんと観ていなかったような気がしますが、
主題歌だけはなぜかだいたい覚えていました。
(本放送後数年たっての再放送で少し観ていたかもしれませんが、
まったくといっていいほど、内容は覚えていませんでした。)
ただ、幼い頃の記憶の一つとして、
幼稚園児向けの雑誌で、
アンの髪の毛が緑色に染まるところ(第30話)の絵があり、
とても不気味に思ったのを、今でも強烈な印象として残っています。
世界名作劇場の「赤毛のアン」をきちんと観たのは、
中3の冬に原作を読んだ後、高校生の時でした。
民放で、夕方に再放送していました。
これは欠かさず観ました。
高校生の時はほとんどテレビを視聴しなかった私ですが、
これは例外的に、楽しみに観ていました。
それから月日が流れて、再び再放送を観たのは、数年前でした。
民放で、朝に再放送をやっていたのと、
その後に、NHK・BS2での再放送も観ました。
さらには、つい数ヶ月前、
我が家で「ひかりTV」を無料で試していたので(結局、契約しませんでしたが・・・)、
その無料期間中、妻と一緒に、
「赤毛のアン」ほぼ全話をかなり駆け足で視聴しました。
(セリフがなさそうなところは飛ばすなど、ちょっと乱暴でしたが・・・)
約4回(「約」がくせものデスネ)、全話を観たことになります。
原作も大変好きなので、セリフを聴いただけで、
だいたいどの辺の話なのか、すぐ想像することができます。
高校生の時に観たよりも、今の方が、
セリフの味わい深さがよくわかります。
また、特に45話以降の展開は、いっそう胸に響きます。
ただ、47話、48話のところは、観るのがつらすぎて、
きちんと観ることができません。
(近年の再放送時も、号泣しそうになるのを予想して、
テレビで放映されている時は観ずに、録画をして後から観ました。
案の定、激しく泣いてしまいました・・・
世界名作劇場で、泣けるシーンの定番と言えば、
「フランダースの犬」のラストですが、
私にとっては、「赤毛のアン」のマシュウの死のところの方が、
ひどくこたえます・・・
もちろん、「フランダースの犬」も感動的ですけど。)
「赤毛のアン」のみどころは、
中間までの、とんだ失敗ばかりするアンの姿も面白いですが、
やはり後半の、アンが落ち着いた女性へと成長するあたりからの方でしょう。
第30話以降の、心の成長や、
特に第37話の「十五歳の春」の、
大きくなったアンの姿に改めて驚くマリラの姿など、
人生の重みを随所に感じさせます。
初めはおしゃべりで空想好きだったアンが、
だんだんと、現実的になっていく姿は、
他の世界名作劇場にはない要素です。
マシュウの死のところ(第47~48話)以外で、
最も感動的なところは、第46話「マシュウの愛」です。
最後の部分は、感涙ものです。
また、第49~50話もすばらしい展開です。
ギルバートと和解するところや、
ブラウニングの有名な詩を引用して終えるところなど、
余韻が実にすばらしいです。
日本のアニメの最高傑作のひとつかもしれません。
主題歌「きこえるかしら」は、とてもロマンティックで、
世界名作劇場のOP曲としては一番好きです。
(ただ、歌詞は、第1話にしかあてはまりませんが・・・)
DVD-BOXはまだ持っていませんが、
いつかぜひ所有したいと考えています。
今回はおまけとして、「赤毛のアン」最終回(原作でも)に引用された、
ブラウニングの詩の全体を、英語と日本語訳で引用します。
引用は、平井正穂編『イギリス名詩選』(岩波文庫)P.240~241からです。
とても短いものです。
(中学生の時、英語の教科書に載っていたような気がしますが・・・)
Pippa's Song by Robert Browning
The year's at the spring
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearled;
The lark's on the wing;
The snail's on the thorn;
God's in his heaven---
All's right with the world !
「ピパの唄」 ロバート・ブラウニング
歳はめぐり、春きたり、
日はめぐり、朝きたる。
今、朝の七時、
山辺に真珠の露煌く。
雲雀、青空を翔け、
蝸牛、棘の上を這う。
神、天にいまし給い、
地にはただ平和!
このシリーズ、次回は、原作と実写版について書く予定です。
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