小公女セーラ(完結版)
世界名作劇場の完結版シリーズの続きです。
「♪わ~たしのむねの~ かたすみにさ~いてる・・・」
(OP曲「花のささやき」より
作詞/なかにし礼 作曲/森田公一 編曲/服部克久 歌/下成佐登子)
冒頭のOP曲のこの部分を聴くだけで、
主人公セーラの涙顔が目に浮かびそうです。
「小公女セーラ」の完結版を観ました。
この作品、私にとっては、世界名作劇場の中で、
唯一、本放送時にある程度きちんと観た作品です。
学校でも、話題になっていました。
ただ、内容の中心がいじめや虐待なので、
なんとなく、観るのが憂鬱になる作品でもあります。
妻は、近年のNHKBS2での再放送時に、熱心に観ていましたが、
私は、精神衛生上、観ないことにしていました。
今回、「世界名作劇場」完結版シリーズを制覇するために、
思い切って、観ることにしました。
完結版の構成は、時系列順なので、無駄がなく、わかりやすかったです。
ただ、拍子抜けしたのは、作品の中心である、
いじめや虐待でした。
セーラをいじめる筆頭である、ラビニアからのいじめは、わずか1シーン。
あとは、ミンチン院長や、コックのジェームスとモーリーからの酷使ぐらい。
しかも、いじめや虐待のシーンは、思ったよりもかなり少なく、
セーラの強さ、気高さ、優しさ、最後の大逆転を中心に構成されていました。
この作品における人物描写は、成長の余地というものがありません。
セーラは完璧なまでの善人として描かれています。
あまりにも完璧なので、ちょっとリアリティがありません。
性格がコロコロ変わるといえば、ミンチン院長ぐらい。
完結版で観ると、ミンチン院長は、怖いを通り越して、滑稽ですらあります。
ラストシーン手前で、クリスフォード氏の跡継ぎとして、
ダイヤモンド・プリンセスらしく、すばらしい衣装をまとって、
ミンチン院長の前に現れるところは、痛快ですね。
最後がハッピーエンドであれば、
途中、観るのがつらくなっても、なんとか耐えられますよね。
あえて、この作品を聖書の御言葉でコメントするとしたら・・・
「わたしは、自分の置かれた境遇に満足することを習い覚えたのです。
貧しく暮らすすべも、豊かに暮らすすべも知っています。
満腹していても、空腹であっても、
物が有り余っていても不足していても、
いついかなる場合にも対処する秘訣を授かっています。」
(新約聖書 フィリピの信徒への手紙4:11~12新共同訳)
「どのようなときにも、友を愛すれば
苦難のときの兄弟が生まれる。」
(旧約聖書 箴言17:17新共同訳)
この作品については、原作を読んだことがあります。
角川文庫版で、訳者はなんと川端康成でした。
残念ながら、絶版のようです。
「セーラ」が「サアラ」と表記されていました。
文豪の訳では、伊藤整の訳(新潮文庫)もあります。
文豪が2人も翻訳している、というのは、すごいことですね。
ただ、新潮文庫版については、読んでいないので、無印です。
この作品は、ストーリー展開で読ませるものですから、
原文どおり、にこだわらなくてもいいのでは、と思います。
そうであれば、児童向けの、講談社青い鳥文庫のは、
表紙がかわいらしくてオススメかもしれません。
ただし、こちらも読んでいないので、無印です。
新潮文庫版と講談社青い鳥文庫版の表紙を見比べると、
なかなか面白いですね。
余談ですが、昨年、TBS系のドラマで、
『小公女セイラ』をやっていましたね。
ちらっとだけ観ましたが、
ドラマよりも、マンガかアニメでやった方がいいのでは、
と思いました。
あまりにもリアリティがなさすぎでした。
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小公女 (新潮文庫)
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リトルプリンセス-小公女 新装版 (講談社青い鳥文庫 94-5)
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