Kenosis(ケノーシス)(03)(フィリピ2:6~11)【自作曲】
聖週間にちなむ作品として、今回は、福音書からではなく、
使徒パウロの手紙からの曲を紹介します。
テキストは、新約聖書 フィリピ2:6~11新共同訳です。
キリストの受難、へりくだり(謙遜・無化)、十字架を通しての栄光が、
簡潔に、そして壮大に描かれていますので、ぜひお読みください。
曲は、ニ短調から始まります。苦しみ、受難を表します。
四旬節の詠唱に影響を受けています。
そして、10節のところ「こうして・・・」から、
栄光の調性であるニ長調へ転調します。光が現われます。
最後は、キリストの勝利を讃えて、曲は締めくくられます。
タイトルの「ケノーシス」とは、神学用語で、
キリスト教神学の概念では、
「神が人間になること、神が自らを低くすること、
神が自らを空しくすること、とりわけ神が僕=奴隷の姿形をとること。」
(下記サイトから引用)
http://d.hatena.ne.jp/desdel/20080315
もっとわかりやすく言うと、神のへりくだり、無化です。
手元の「ジーニアス英和大辞典」(電子辞書版)には、
「kenosis・・・
〔神学〕ケノーシス《キリストが人間と一体化するために
自らの意志で行なった神性の放棄》」とあります。
そして、参照として、フィリピ2:6~7が書かれてあります。
「ケノーシス」を理解するのに参考になると思われる適切なサイトを紹介しておきます。
大阪ハリストス正教会の司祭 ダヴィド水口優明氏の文章です。
「言葉のパラクレートス」
http://www.sutv.zaq.ne.jp/osaka-orthodox/kotopara/kotopara05_012.htm
なお、「ハリストス」とは、「キリスト」と同じです。
また、「パラクレートス」は、
ギリシャ語で「弁護者、慰め主」という意味で、
普通は、イエス様がヨハネ16章で約束された「聖霊」を指します。
「ケノーシス」という観点からすれば、クリスマスの飼い葉おけも、
十字架の悲惨な苦しみも、すべて神の狂おしいばかりの愛の表れなのです。
「ケノーシス」という言葉を私が初めて知ったのは、
確か、20世紀フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの著作か、
彼女の生涯についての本だったと思います。
フィリピ2:6~11への作曲は、この曲も含めて3曲与えられています。
いずれも新共同訳です。
最初の2曲は、長調で、転調はありません。
この3番目の曲が、その中では一番気に入っています。
テキスト・楽譜と、メロディは、下記からダウンロード願います。
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