どの聖書が一番いいか?(新約聖書編)
読売新聞2010年3月15日朝刊に、聖書翻訳についての記事が出ていました。
「聖書協会 新たな翻訳」という見出しで、
日本聖書協会が2016年6月に出版を予定している、
新たな翻訳、「標準訳聖書(仮称)」についての概要が書かれています。
→日本聖書協会の「新翻訳事業について」
(なお、クリスチャントゥディの記事もどうぞ。)
http://www.christiantoday.co.jp/theology-news-484.html
新しい聖書の訳が出る、ということは、とてもうれしいものです。
私はいろいろな訳の聖書を集め、読むのが好きなので、楽しみです。
ただ、2016年というのは、まだまだ先ですね。
直近の期待は、聖霊派による、「現改訳聖書」です。
ここ数年のうちに年出版予定らしいです。
(2011年追記:出版予定といいつつ、いつになったら出るのでしょうか・・・)
そのニュースと、現改訳聖書については、以下のサイトでどうぞ。
http://www.christiantoday.co.jp/main/theology-news-457.html
2010年現在、すでに出版されている聖書(新約聖書だけも含む)で、
一番新しい訳は、
エマオ出版訳(後述)の新約聖書です。
次が、幻冬舎から出ている、新和訳の新約聖書です。
(新改訳第3版とかもありますが・・・それはさておき。)
さて、本題の、「どの聖書が一番いいか?」の新約編です。
この問いは、視点によって、いろいろな答えが出ると思います。
そこで、4つの視点から、それぞれのベスト3を列挙します。
なお、1冊で5000円以上するようなものや、
フランシスコ会聖書研究所訳の分冊版、
あるいは、岩波文庫で部分的に出ているようなものは含みません。
訳の斬新さで定評の、岩波書店訳(5250円)のも含みません。
新約全体で、3000円以下か、あるいは聖書全体でも3000円以下、
という制限をあえてつけます。
1.買いやすさ
1位 新共同訳
2位 口語訳
3位 新改訳
2.注解の豊富さ・便利さ
1位 フランシスコ会聖書訳
2位 共同訳(講談社学術文庫)
3位 バルバロ訳(講談社)
3.訳文のすばらしさ
1位 エマオ出版訳
2位 文語訳
3位 新共同訳
3位 フランシスコ会訳
4.わかりやすさ
1位 リビングバイブル
2位 創造主訳聖書
3位 フランシスコ会聖書研究所訳
3位 新約聖書新共同訳スタディバイブル
総合でいえば、ファースト・チョイスするべき新約聖書は、
新共同訳かフランシスコ会聖書研究所訳です。
(新改訳を使っているところは、それに従うしかありませんが・・・)
あえて1冊なら、フランシスコ会聖書研究所訳を強くすすめますよ。
注解のつかない聖書は、初めての1冊にはあまりおすすめできません。
ただ、新共同訳は買いやすいので、まずはそこからスタートするのは悪くありません。
もう1ランク上を目指すなら、
ぜひとも少なくともメインで使っている聖書の他に、2、3種類持つべきでしょう。
(できれば、新約聖書だけではなく、聖書全体を読みたいものです。
いのちのことば社の「Bible Navi 聖書 新改訳」か、
日本聖書協会の「聖書 スタディ版 改訂版 新共同訳」、
あるいはサンパウロの「聖書―原文校訂による口語訳(フランシスコ会聖書研究所訳)」
のどれかか、3冊とも持つことをオススメします。
デボーション的に使いたいなら「Bible Navi 聖書 新改訳」、
言葉の解説なら「聖書 スタディ版 改訂版 新共同訳」、
邪魔にならない訳注なら、
「聖書―原文校訂による口語訳(フランシスコ会聖書研究所訳)」がオススメです。
BIBLE navi (バイブルナビ) 聖書 新改訳 解説・適用付
聖書 スタディ版 改訂版 新共同訳
聖書―原文校訂による口語訳(フランシスコ会聖書研究所訳)
また、聖書は一人で読んでも、よくわからないものです。
できれば、教会の牧師先生や神父様、
あるいは教会の信徒の方と一緒に読み進めたり、
適切な注解書をきちんと手元に置いて読んだ方がいいです。
「何よりもまず心得てほしいのは、聖書の預言は何一つ、
自分勝手に解釈すべきではないということです。
なぜなら、預言は、決して人間の意志に基づいて語られたのではなく、
人々が聖霊に導かれて神からの言葉を語ったものだからです。」
(新約聖書 ペトロの手紙Ⅱ1:20~21新共同訳)
私が今一番いいな、と思っている訳は、エマオ出版訳です。
訳者の山岸登氏の依って立つ考え方(ディスペンセイション主義)には、
賛同できませんが、
ギリシャ語の時制をきちんと訳しているところは絶賛に値します。
たとえば、一般の聖書であれば、「求めなさい」と訳されているところが、
「求め続けなさい。」となっています。
継続する必要がある、ということを再認識できますね。
また、要所要所で、翻訳上の適切なコメントを入れているところも好感が持てます。
読むたびに、新しい発見が常にある訳です。
キリスト教書店以外では取扱がないのがとても残念です。
エマオ出版の出版物については、以下のサイトをご覧ください。
http://tsukuno.com/press/press_m.htm
エマオ出版訳の新約聖書についてのブログ紹介があります。
ttp://blogs.yahoo.co.jp/g_topspeed/21876881.html
あと、キリスト者のビジネスマン向けコミニティ、
「インターナショナルVIPクラブ」で扱っている、
VIP聖書はおすすめです。
1冊1575円で、旧約・新約の聖書全巻が読めます。
これは一般書店扱いをしていませんので、
インターナショナルVIPクラブのHPからお求めください。
表紙の装丁もおしゃれで、私は気にいっています。
http://www.vip-club.tv/index.htm
※VIP聖書は今どうなっているのでしょう?
その代わり、創造主訳聖書―旧新約聖書というのが出ています。
「神」を「創造主」と置き換えた訳です。
元々は尾山令仁氏の「現代訳」です。
こちらもオススメです。
創造主訳聖書―旧新約聖書
私自身は、聖句は新共同訳を基準にして覚えています。
一番使いなれた聖書が新共同訳なので、引用はこれをメインにしています。
一番最初に手にした聖書が、新共同訳だったからなのでしょうね。
たぶん、口語訳や新改訳を一番最初に読んだ人なら、
それが一番いい聖書になるのでしょう。
問題は、訳の優劣ではありません。
各人が、どの訳でもいいですから、御言葉を自分の血肉にまですることです。
「いかに幸いなことか・・・(中略)・・・
主の教えを愛し その教えを昼も夜も口ずさむ人。」
(旧約聖書 詩編1:1、2新共同訳より)
「この書物(=聖書)は、キリスト・イエスへの信仰を通して救いに導く知恵を、
あなたに与えることができます。
聖書はすべて神の霊の導きの下に書かれ、
人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。」
(新約聖書 テモテへの手紙Ⅱ3:15~16新共同訳)
皆様に神様の祝福と平安が豊かにありますように!
※2015年2月1日(日)追記
本文の一部を改訂しました。
本文で紹介した「新約だけで3000円以内」という趣旨からは外れますが、
新教出版社の「塚本虎二訳新約聖書」は訳の美しさ、わかりやすさ、
そして読みやすさ(字が大きい!)で2015年1月末現在で、
一番オススメの新約聖書だと思っています。
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