塩の柱~過去に生きてはならない
「彼らがロトたちを町外れへ連れ出したとき、主は言われた。
『命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。
低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる。』」
(旧約聖書 創世記19:17新共同訳)
「ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱となった。」
(旧約聖書 創世記19:26新共同訳)
創世記中の有名なエピソードの一つ、
「ソドムの滅亡」(創世記19章)の中の一節です。
なぜ死海に「塩の柱」がいっぱいあるかの伝承ですね。
「後ろを振り返ると」、「死の世界」に赴く・・・
実はこれ、聖書だけの専売特許ではなく、
ギリシャ神話や日本の神話にもあります。
ギリシャ神話のオルフェウスの話で、関係するところを、
ウィキペディアから引用します。
下線部は私が強調のためにつけました。
オルペウスの妻エウリュディケーが毒蛇にかまれて死んだとき、オルペウスは妻を取り戻すために冥府に入った。彼の弾く竪琴の哀切な音色の前に、ステュクスの渡し守カローンも、冥界の番犬ケルベロスもおとなしくなり、冥界の人々は魅了され、みな涙を流して聴き入った。ついにオルペウスは冥界の王ハーデースとその妃ペルセポネの王座の前に立ち、竪琴を奏でてエウリュディケーの返還を求めた。オルペウスの悲しい琴の音に涙を流すペルセポネに説得され、ハーデースは、「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件を付け、エウリュディケーをオルペウスの後ろに従わせて送った。目の前に光が見え、冥界からあと少しで抜け出すというところで、不安に駆られたオルペウスは後ろを振り向き、妻の姿を見たが、それが最後の別れとなった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%82%A6%E3%82%B9
日本の神話のエピソードも紹介しましょう。
こちらもウィキペディアからの引用です。
天地開闢において神世七代の最後にイザナギとともに生まれた。国産み・神産みにおいてイザナギとの間に日本国土を形づくる多数の子を設ける。その中には淡路島・隠岐島からはじめやがて日本列島を生み、更に山・海など森羅万象の神々を生んだ。
火の神カグツチを産んだために陰部に火傷を負って病に臥せのちに亡くなるが、その際にも尿や糞や吐瀉物から神々を生んだ。なきがらは、『古事記』によれば出雲と伯伎(伯耆)の境の比婆山(現在の島根県安来市伯太町)に、『日本書紀』の一書によれば紀伊の熊野の有馬村(三重県熊野市有馬の花窟神社)に葬られたという。
死後、イザナミは、自分に逢いに黄泉国までやってきたイザナギに腐敗した死体(自分)を見られたことに恥をかかされたと大いに怒り、恐怖で逃げるイザナギを追いかける。しかし、黄泉国と葦原中津国(地上)との境である黄泉比良坂(よもつひらさか)で、イザナミに対してイザナギが大岩で道を塞ぎ、会えなくしてしまう。そして、イザナミとイザナギは離縁した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%8A%E3%83%9F
オルフェウス神話とイザナギ・イザナミの神話では、
どちらも死んだ妻を求めて、死の世界に行き、
生の世界に連れ戻そうとしますが、
「生の世界につくまで後ろを振り返ってはいけない」という条件が出されます。
そしてどちらも、途中で後ろを振り返って、
その妻は死の世界に引き戻されます。
これらの話は、何を伝えようとしているのでしょうか。
いずれも、「後ろを振り返るな」というのがキーワードになっています。
「後ろを振り返るな」すなわち、「過去に生きてはならない。」ということです。
聖書的なメッセージとして、レムナント出版を主宰する久保有政牧師が、
「過去に生きてはならない~生き方の提言」という名エッセイを、
ネット上で公開しています。ぜひお読みください。
http://www2.biglobe.ne.jp/~remnant/057kakoni.htm
「覆水盆に返らず」という故事成語がありますね。
原因を分析するのもある程度大切ですが、
それよりも、「覆水」をどうするか、の方がもっと大切です。
たとえば雑巾でふき取る、別の水を用意する・・・
いろいろありますね。
同様に、過去の失敗を反省したりするのはある程度重要ですが、
それよりも、「今、何をなすべきか」の方が、もっと重要です。
過去はさすがに神様でさえも変えることはできません。
しかし、それをどう見るか、は変えることができます。
(神様は、「なぜWhy?」という問いにはお答えにならないですが、
これから「いかにHow?」ということには、
必ず道を示してくださると、私は信じています。)
考えてみてください。
「神の独り子を十字架にかけて殺す」という、
人類最大最悪の失敗ですら、
神様は最大の益と変えてくださいました。
だからこそ、過去にとらわれず、前を向いて、
神様とともに歩んでいきたいものですね。
「神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、
万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。」
(新約聖書 ローマの信徒への手紙8:28新共同訳)
私の最も好きな聖句の一つです。
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