「善意」という名の悪意
先日のハイチ大地震に関して、興味深い記事を読みました。
mixiで、地震被害地に「千羽鶴」を送ろう、という呼びかけをした女性がいたそうです。
呼びかけにこたえて、全国各地から千羽鶴が届いたものの、
その行為に対して非難が殺到し、ついには断念となったそうです。
いろいろなサイトで取り上げられていました。
(参考)
http://news.cocolog-nifty.com/cs/article/detail/blog-201001291048/1.htm
20歳前後の頃、カトリック作家で、
難民救援活動家としても知られる犬養道子氏の著作に傾倒していました。
どの著作に書いてあったかは忘れましたが、こういう内容の文がありました。
アフリカのある国に、やはり千羽鶴を贈った人たちがいたそうです。
現地では、衛生状態が悪いし、人々は飢えに苦しんでいました。
そんな中、千羽鶴が入ったダンボール箱が届きました。
担当の職員たちは、折り紙の中に、医薬品や食料品が入っていないか、
期待して全部開いて(つまり、折った鶴を一枚の紙に戻して)調べました。
しかし、何も入ってなくて、たいそうがっかりしたそうです。
今回の、「ハイチに千羽鶴を」の運動に関して、
あるサイトでは、「ハイチでは、鳥は不吉なもの、悪魔の使い」だから、
全然喜ばれない、というコメントがありました。
国が違えば、文化も違う。
贈り物は、自分がうれしいものよりも、相手がもらってうれしいものを選ぶべきですね。
たとえば、自分が豚肉大好きだからといって、
イスラム教の国に豚肉を送ったら、どうなりますか?
下手すると国際紛争のもとになりかねません。
今回の大地震なら、救助団体に献金するとか、
医薬品を送るとか、そういうことが、相手に本当に喜ばれるものです。
相手のことを考えない「善意」は、かえって人を傷つけます。
(【2月2日追記】今回の記事を書いた後、私も何かしなければ、と思い、
ささやかながら、募金に協力しました。
私が募金したサイトは、以下のとおりです。
たまに、テレビの30分番組をやっている、キリスト教系の、
「国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン」です。
http://www.worldvision.jp/news/report_0020.html?banner_id=goog_mc4170
あと、Yahoo!でもインターネット募金をやっています。
こちらは日本赤十字社への募金です。
http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1301013/
「世の富を持ちながら、
兄弟が必要な物に事欠くのを見て同情しない者があれば、
どうして神の愛がそのような者のうちにとどまるでしょう。
子たちよ、言葉や口先だけではなく、行いをもって誠実に愛し合おう。」
(新約聖書 ヨハネの手紙Ⅰ3:17~18新共同訳)
↑今朝、ちょうどこの箇所を読みました。神様からの呼びかけだと思いました。)
さて、千羽鶴の話はここまでにして、
今回はさらに、教育における「善意」という名の悪意について考えましょう。
1月31日の読売新聞の「Pick Up」という、テレビ番組を紹介する記事は驚きでした。
フジテレビ系で毎週日曜21時から放送されている、
タモリさん司会の「エチカの鏡」を取り上げていました。
記事を引用します。
執筆者は「辻本芳孝」氏です。
「鹿児島県で通山保育園など三つの保育園を経営する・・・(中略)横峰さんは、
『子供はすべて天才である』をモットーに、『読み、書き、そろばん』を重視。
園児たちは、卒園まで3年間で2000冊の絵本を読み、
小学校2年の漢字まで習得するという。
『教育をダメにしたのは現場を知らない大学教授』が持論だ。
毎朝徒競走で競わせたり、泳ぎを覚えるためにプールに投げ込んだりと、
スパルタ教育風に見える。その背景には、
『子供には平等にありとあらゆる才能があり、才能のスイッチを入れるのが、
我々の仕事。スイッチが入れば、子供は勝手に学んでいく』という信念がある。」
教育の世界では、ゆとり教育、という形で、
「競争は悪」と排除されてきました。
できる限り、怪我などのリスクを避けるよう、危ないことはさせません。
その結果、本来子供が持つ、能力を開花させる機会を、
必要以上に奪っていなかったでしょうか?
マンガの『巨人の星』に出てくる、「大リーグ養成ギブス」みたいなものを、
子供に強制することは、児童虐待の領域に入りますが、
「読み書き計算」の能力と「体力」は、徹底的に育てるほうが、
本当の意味での「愛」につながります。
それは、一生ものの財産になりますね。
「およそ鍛錬というものは、当座は喜ばしいものではなく、
悲しいものと思われるのですが、
後になるとそれで鍛え上げられた人々に、
義という平和に満ちた実を結ばせるのです。」
(新約聖書 ヘブライ人への手紙12:11新共同訳)
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