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2010年2月21日 (日)

クリスチャンは怒っていいのか?

いつも読んでいるカール・ヒルティの名著、
眠られぬ夜のために 第二部』(岩波文庫)の2月20日のところは、
このような文章でした。
全文引用します。なお、訳者による訳注、傍点は省略します。


二月二十日
 「あなたがたの柔和を、みんなの人に示しなさい。」これは、多くの試練を経て、最後に浄化され気高くされたキリストの大使徒パウロが、その弟子たちに与えた特別に美しい言葉である。われわれは、他人に親切をつくすどんな機会をものがすまいと、生涯に一度は、固く決心しなければならない、たとえそれがただ一つのやさしい言葉や眼差しであっても。わたしたちは親切と金銭とを同一視することにあまりにも慣れすぎている。
 このことと、決して心に怒りを発すまいという、その反対の決意とは、いささかちがったものである。こういう決意は全く無益である。そうするためには、人間の怒りやすい天性が根本からすっかり変化しなければならない。しかしそれは、ただ神の恩寵のみが人の心のなかで成就しうることである。また、怒りの一種、つまり悪に対する嫌悪と手きびしい抗議―――たとえば商人と神の宮を汚す者とに対する聖殿のイエスを見よ―――、こういう怒りは、どんな時にも決して失ってはならない。ただ善い決意とか善い生活規則を守ってさえいれば、いつかあなた自身もこのような境地に達しうるだろう、などと信じてはならない。」


この文章の中心は、後半の、怒りに関するところですね。
「怒り」、「怒る」という言葉は、聖書中に結構出てきます。
そのうち、新約聖書で注目すべきは、次の3ヶ所です。
①「怒ることがあっても、罪を犯してはなりません。
日が暮れるまで怒ったままでいてはいけません。
(エフェソの信徒への手紙4:26新共同訳)
②「人の怒りは神の義を実現しないからです。
(ヤコブの手紙1:20新共同訳)
「肉の業は明らかです。それは、・・・(中略)・・・怒り・・・です。(以下省略)」
(ガラテヤの信徒への手紙5:19~21新共同訳)

「怒る」、「怒り」に類する言葉として、
「兄弟に腹を立てる」(マタイ5:22)、「兄弟を憎む」(Ⅰヨハネ3:15)などがあります。
これらは明らかに「罪」です。

では、「怒る」ことは、即「罪」なのでしょうか?
私はそうは思いません。
カール・ヒルティが書いているとおり、
主イエスが発したような「正義の怒り、聖なる怒り」というものがあります。
(現代で言えば、
幼児虐待とか民族大虐殺に対する怒り・激しい嫌悪感などがそれでしょう。)
また、現実問題、人間は喜怒哀楽という感情があります。
不当で理不尽な扱いを受ければ、誰でも怒り心頭になるはずです。
クリスチャンになる、とは、座禅を究めて不動心を得る、などというのとは違います。
何も感じなくなる、何でもOK、という仏教風の「涅槃」ではなく、
人間としての心を保ちながら、たとえ怒ることがあっても、
それにとらわれない心こそ、価値あるものです。
そうい意味で、新約聖書の中の上記①のような御言葉は、
「安全弁」のような役目を果たしていますね。
(怒ったら、即「罪」だ、と自分を責めなくてもいいと思います。
ただし、ずっと「怒り続けている」ならば、それは罪です。)
とはいえ、これは、単に努力・修養によってではなく
(人によっては、強い意志の力でそれは可能かもしれませんが・・・)、
神様の御力、もっといえば、聖霊様による心の一新が必要です。
聖霊様の愛に満たされる時、(一般的な)怒りなどの罪は打ち破られ、
その悪しき支配から解放されます。
従って、今や、キリスト・イエスに結ばれている者は、
罪に定められることはありません。
キリスト・イエスによって命をもたらす霊の法則が、
罪と死との法則からあなたを解放したからです。
(新約聖書 ローマの信徒への手紙8:1~2新共同訳)

何百トンの鉄の塊は、水面に浮かぶことも、空中に浮かぶこともできません。
重力の法則に支配され、沈むだけです。
しかし、浮力や揚力という力(その他いろいろありますが)により、
別な法則に支配されるとき、本来浮かぶはずのないもの、
飛ぶことがないものが、見事に浮かび、飛びます。
人間も同じです。
人間的な法則から、神の法則に支配されるとき、
奇蹟が起こります。

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