世界を変えた思想
「主人たち、同じように奴隷を扱いなさい。
彼らを脅すのはやめなさい。
あなたがたも知っているとおり、
彼らにもあなたがたにも同じ主人が天におられ、
人を分け隔てなさらないのです。」
(新約聖書 エフェソの信徒への手紙6:9新共同訳)
ここを読んで、すぐに感動する人は、おそらく皆無に近いのでは、と思います。
なぜなら、現在「奴隷」は存在しないからです。
縁遠い古代世界の話、と片付けてしまいがちです。
(一部の国で今もなお、人身売買がなされているのを例外とすれば・・・
ただし、「罪の『奴隷』」はたくさんいますね。)
バークレーによる新約聖書註解のシリーズを以前から読んでいますが、
「エフェソの信徒への手紙」のところで、特に心に残ったのは、
6章のところの註解でした。
当時、奴隷は、人間とみなされていませんでした。
(かのアメリカ合衆国においても、150年くらい前までは、そうでしたね。)
物が壊れると廃棄処分をするように、「使えなくなった」奴隷は、
「処分」されていました。主人による理不尽な虐待は日常茶飯事でした。
ちょっとしたミスが、残酷な刑罰を招きました。
そういう実際の事例がいろいろと書かれていました。
そのような背景を頭に入れて、冒頭に掲げた聖句を読んでみると、
いかに「革命的な」発言なのか、驚くばかりです。
「人を分け隔てなさらない」父なる神がおられる・・・
そこには、「主人」も「奴隷」もない。
神様の前での平等が宣言されています。
新約聖書があるから、今日の、「奴隷」が存在しない世界があります。
まさに、「世界を変えた思想」の一つです。
(もちろん、使徒パウロは「奴隷廃止」を訴えたわけではありませんが・・・)
確かに、正義の完全な実現には、相当な年数がかかりましたが、
真実はいつか星のように輝くものです。
そういう意味で、改めて、新約聖書とキリスト教のすばらしさを再認識しました。
神様の深い愛に感謝します。
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