書評:末次由紀『ちはやふる』
「今、かるたが熱い!」
そんなコメントが実にぴったりな、熱血かるたマンガです。
「マンガ大賞2009」、
宝島社「このマンガがすごい!」2009年オンナ編3位・2010年オンナ編1位など、
注目を集めている作品です。
このマンガのタイトルや、受賞のことはなんとなく知っていましたが、
つい最近まで、興味はなかったので、どんな内容かは知りませんでした。
子どもたちに、百人一首のかるたを教えるのに、
何かいいマンガなどはないかな、と思って調べているうちに、
このマンガに出会いました。
事情があって、1巻からではなく、3巻から読み始めました。
3巻では、主人公の千早が高校生になって、
かるた部を発足させるところから始まります。
淡い恋愛&友情の話を背景にしていますが、
注目すべきは、かるたのシーンの描写でしょう。
実に迫力があります。
「かるた」という、いかにも室内のゲーム、文化系部活の話なのに、
あたかも「キャプテン翼」や「スラムダンク」のような激しさです。
また、友情による力は、「キン肉マン」とかの系譜に連なりそうです。
女性向きマンガなのに、十分男性でも楽しめます。
「文化系格闘技」という感じです。
百人一首かるたの面白さ、激しさ、知的興奮をすばらしく描写しています。
また、読んでいるうちに、自分もやってみたい、と思う人が続出しそうです。
ルールや攻略法も覚えられます。
3巻の後で、1、2巻を読みました。
1巻の冒頭で、たぶん物語のクライマックスが既に書かれています。
物語は、そのシーンに向かって疾走するのでしょうね。
1、2巻を読むと、3巻の背景がよくわかりました。
友情のシーン(特に1巻)は感動します。
まだ3巻までしか読んでいませんが、今後も楽しめそうですし、
小学生にもすすめることができそうです。
ちなみに、タイトルは、百人一首からとられています。
「ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは」
(在原業平朝臣)
主人公・千早(ちはや)がこの札をとるのを得意にしています。
以前紹介した、荻野文子氏の本によると、
この歌の意味は、
「神が奇跡を起こした時代にも聞いたことのない不思議さだ。
龍田川の水面(みなも)一面を鮮やかな紅色に絞(くく)り染めにするなんて・・・
それほどに美しいもみじの錦織りであるよ。」
(荻野文子著『マドンナ先生古典を語る』(学研M文庫)P.278~279より)
とのことです。
ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)
ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)
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ちはやふる (2) (Be・Loveコミックス)
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ちはやふる (3) (Be・Loveコミックス)
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