書評:前島誠著『ポケット聖書の教え』
先日、インターネット新聞の「クリスチャントゥデイ」で紹介されていました。
興味を持ったので、すぐ書店で立ち読みしてから、
楽天ブックスで買いました。
ユダヤ的な視点からの短い聖書解説がいっぱいです。
著者は、もともとカトリック司祭でしたが、
その後、玉川大学で教鞭を執った方です。
そのため、カトリック側からの視点も多いです。
この本は、どこから読んでもかまわないと思います。
気が向いたら、あるいは、興味があるところだけ
つまみ読みする、といった程度のつきあいでいいかな、と思います。
私が読んで、なるほど!と思ったところは何か所かありますが、
そのひとつを紹介しましょう。
「体のともし火は目である。目が澄んでいれば、
あなたの全身は明るいが、
濁っていれば、全身が暗い。(以下省略)」
(新約聖書 マタイによる福音書6:22~23新共同訳)
いろんな解釈が可能なところですが、
たいていは、「目」を「精神」のあらわれるところ、
とするのが、一般的ではないでしょうか。
それに対して、前島氏のこの著作における解釈を引用しましょう。
まず、上記の聖書箇所を、独自に訳しています。
(念のため、独自訳であるか、
口語訳やフランシスコ会訳を調べて対照してみました。OKです。)
「体のともしびは目である。
あなたの、目が健やかであれば、全身も明るい。
目が悪ければ、全身もまっ暗になる。」
(マタイ6:22~23 上記P.52から引用)
「 さて、引用をごらんください。目が良いか悪いかという話です。
でも何を言いたいのかわかりません。
わからないはずです、これはヘブライ語の慣用表現なのでした。
ヘブライ語で「目が良い」と言えば、気前が良い人のこと。
「目が悪い」というのは、けちん坊のことを意味します。
けちな人は何となく暗い感じがする。
逆に気前のよい人はキラキラ輝いて見える。
そうではないか、とイエスは言った―――
これならわかるでしょう。
イエスはけちな人が大嫌いだったのです。
残念なことに、新約聖書はギリシア語で書かれました。
そのため実際にイエスの話されたヘブライ語の意味内容が、
正確に伝わらない面がある。
他方、元のヘブライ語表現を推し量ることも可能というわけです。」
(上記P.52~53から引用)
※下線は私による強調です。
NHKの「ためしてガッテン」なら、
「ガッテン!」とたたきたいところです。(*^-^)
持っていて損はない本だと思います。
ポケット 聖書の教え (中経の文庫)
ポケット 聖書の教え (中経の文庫)
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