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2009年9月15日 (火)

気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽(重症編)

今回は、
「気分が落ち込んだ時に聴いてみたくなるクラシック音楽」の
「重症編」です。
「適量」使うと、クスリになりますが、「多用」しますと、
「中毒」になるかもしれませんよ。
音楽の「麻薬」みたいなものでしょうか・・・

 

絶望的な思いのときに、なぜか聴いてみたくなるのが、マーラーの曲です。
一番毒が強いのは、やはり「大地の歌」でしょう。
作曲家自身、「この曲を聴いたら自殺者が出るのでは」などと話していたそうです。
ワルター/VPOの1952年盤がやはりベストですね。
ただ、今私はこの盤を持っていません。
持っているだけで、何か虚無がささやいてくるような気がします。
今まで何回も買っては、しばらくすると、手放してしまいました。
次買うときは、おそらく、よほど精神的に混迷の時ではないか、と思います。

 

ワルター盤

 

次が、交響曲第9番。
現在は、ワルター/VPOの1938年盤で聴いています。
以前は、バーンスタインのグラモフォン盤で聴いていましたが、
今ではこちらの方がいいです。
70年前の録音とは思えないほど、音がはっきりとしています。

 

 

私にとって、マーラーの作品は、長大で、分裂的なので、
あまり好きなものではありません。
しかし、この2曲だけは、別格です。

 

続いて、シェーンベルクの「浄夜」。
カラヤン指揮BPOのがすばらしいです。
前半の重苦しさから、
後半の、すべてを受け入れるような愛の場面、
そのカタルシスがすばらしいです。

 

 

R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」もすばらしいです。
これも、カラヤン指揮BPOのがいいです。
今私が持っているのは、1969年録音のものです。
(カラヤンは2回この曲を録音しています。
どちらもすばらしい録音です。
この曲については、他の指揮者のもいろいろ聴いてみましたが、
やはりカラヤン指揮のが一番いいです。
R・シュトラウスのような外面的な音楽には、
カラヤンの指揮が一番ぴったりです。)
現在の苦悩、過去の甘美な記憶、
そして、絶望的な現実に立ち戻る・・・
私はR・シュトラウスの交響詩は全然好きではありませんが、
晩年の諸作品(特に、この「メタモルフォーゼン」と「4つの最後の歌」)は、
クラシック音楽の中でも最高のものでは、と考えます。

 

 

「メタモルフォーゼン」を聴いた後に、クラシック音楽の至宝の一つ、
「4つの最後の歌」を聴くと、すばらしいカタルシス効果になります。
演奏は、これもカラヤン指揮BPO、ヤノヴィッツのソプラノがすばらしいです。
(この曲も、いろいろな盤を聴きましたが、満足できるのは、
この盤だけです。
ただし、伴奏がピアノ版なら、バーバラ・ボニーのがいいです。
※ピアノ版は、ほとんど出ていないはずですが・・・)
最近、実に久しぶりに聴いてみましたが、
美しさのあまり、涙がでました。
(美しさに慣れてしまう、というのは、実にもったいないことです。)
だからこそ、滅多に聴かないようにしています。

 

あと、マイケル・ナイマンの「ピアノ協奏曲」
(映画「ピアノ・レッスン」の曲を再構成して、
ピアノ協奏曲にしたもの)
もオススメです。
作曲者が指揮している盤か、NAXOS盤どちらもすばらしいです。

 

 

モーツァルトのピアノ協奏曲第24番。
モーツァルトには珍しく、苦悩する音楽です。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に近いかな、とも思います。
内田光子/ザンデルリングのがすばらしいですが、
手に入れやすいなら、バレンボイム盤(旧盤、新盤)がオススメです。

 

旧盤

 

旧盤・全集

 

新盤

 

 

最後に、最高のカタルシス効果がある曲といえば、
やはり、ベートーヴェンの「第9」でしょう。
(※バッハの『マタイ受難曲』はさらに別格ですが・・・
これは、またの機会に書きたいと思います。)
"Durch Leiden Freude!"(苦悩を超えて歓喜へ!)
この曲はあまりに有名ですので、オススメ盤はいっぱいあるでしょう。
私が一番よく聴くのは、カツァリスによるピアノ版のCDです。
ピアノを聴きながら、頭の中で、
自分なりのオーケストラや合唱の音を奏でています。
普通の、オーケストラ版なら、ジンマン指揮のが今では一番好きです。
思い入れが深いのは、ショルティ指揮シカゴ交響楽団の盤です。
高校生のときの、希望の光となった盤でした。
(もちろん、フルトヴェングラー指揮のものとか、
もっとすばらしいのはいっぱいありますし、
それ以上に、多少レベルは落ちても、実演はすばらしいです。)

 

 

 

私は、上記の曲は、実はあまり聴きません。
それは、「慣れっこ」にならないためです。
それらの曲を聴くときは、「非日常」、
「精神的な『非常事態』」と位置づけています。
本当にすばらしい曲ならば、秘儀的な位置づけの聴き方にしたほうが、
「ありがたいもの」になると思いますよ。

 

苦悩する音楽を聴いた後に、希望の音楽を聴けば、
まさに自分でできる、ミュージック・セラピー(音楽療法)となります。
参考になれば幸いです。

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