秋(リルケ)【自作曲】※日本語版、ドイツ語版
窓を開けると、はや木々が色づいてきています。
もう秋ですね・・・
ということで、今回は、秋にちなむ自作曲を紹介します。
R・M・リルケの有名な詩の一つ、『秋』への作曲です。
日本語版とドイツ語版(原詩)両方です。
日本語版テキストは、新潮文庫の、富士川英郎訳によります。
まずは、テキスト全文を紹介します。
秋
木の葉が落ちる 落ちる 遠くからのように
大空の遠い園生(そのふ)が枯れたように
木の葉は否定の身ぶりで落ちる
そして夜々には 重たい地球が
あらゆる星の群から 寂寥(せきりょう)のなかへ落ちる
われわれはみんな落ちる この手も落ちる
ほかをごらん 落下はすべてにあるのだ
けれども ただひとり この落下を
限りなくやさしく その両手に支えている者がある
日本語版の曲の冒頭は、木の葉が舞い落ちる有様を、
音で表しています。
そして、テキスト中の「否定の身ぶりで」をも表しています。
そう、落ちていくのが、「いやだ、いやだ・・・」とつぶやくかのように・・・
テキストは、「けれども・・・」のところから、調子が変わっていますね。
宇宙の深淵に下っていく絶望。そこを救う「御手」。
音楽も、そこで短調から長調に変わります。
聖書の、人間のむなしさと神の永遠性を対比したような箇所を想起させます。
「人は皆、草のようで、その華やかさはすべて、草の花のようだ。
草は枯れ、花は散る。
しかし、主の言葉は永遠に変わることがない。」
(新約聖書 ペトロの手紙Ⅰ1:24~25新共同訳)
ドイツ語版の方は、前奏、後奏をつけていません。
こちらも、日本語版同様、短調から長調へ変わります。
テキストは、以下のとおりです。
Herbst
Die Blätter fallen, fallen wie von weit,
als welkten in den Himmeln ferne Gärten;
sie fallen mit verneinender Gebärde.
Und in den Nächten fällt die schwere Erde
aus allen Sternen in die Einsamkeit.
Wir alle fallen. Diese Hand da fällt.
Und sieh dir andre an: es ist in allen.
Und doch ist Einer, welcher dieses Fallen
unendlich sanft in seinen Händen hält.
この詩との出会いについては、次の回で書く予定です。
メロディ(midiファイル)と楽譜(PDFファイル)とは、
下記からダウンロード願います。もちろん無償です。
なお、"in japanese"と書いてあるのが、日本語版、
"in german"と書いてあるのが、ドイツ語版です。
(追記:ドイツ語版のPDFにおいて、
ウムラウトが正しく表記されていません。残念ながら・・・)
「20090924_herbst_by_rilke_in_japanese.MID」をダウンロード
「20090924_herbst_by_rilke_in_japanese.pdf」をダウンロード
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