見つかった息子(ルカ15章から)【自作曲】
この絵は、レンブラントの有名な作品の一つ、「放蕩息子の帰還」です。
絵をクリックすると、拡大して見ることができます。
(なお、ヘンリ・ナウエンの名著として、この絵にインスピレーションを得て書かれた、
『放蕩息子の帰郷―父の家に立ち帰る物語』(出版社:あめんどう)がありますので、
興味がある方はぜひ一読をおすすめします。)
新約聖書 ルカによる福音書15章の、
有名な「放蕩息子のたとえ」に基づいています。
今回紹介する私の作品も、同じく、「放蕩息子のたとえ」を題材にしたものです。
聖書中の言葉だけで構成されています。
できれば、息子役と父親役の2人で歌うといいでしょう。
テキストは以下のとおりです。
(息子→父に向かって)
「お父さん、わたしは
天に対しても、
またお父さんに対しても罪を犯しました。
もう息子と呼ばれる資格はありません・・・」
(父→その僕たちに向かって)
「急いで いちばん 良い服を持って来て、
この子に (この子に) 着せ、
手に指輪をはめてやり、
足に履物を履かせなさい。
それから、肥えた子牛を連れて来て
屠りなさい。
食べて祝おう。
この息子は、死んでいたのに生き返り、
いなくなっていたのに 見つかったからだ。」
(新約聖書 ルカによる福音書15:21~24新共同訳)
この箇所は、新共同訳では、「『放蕩息子』のたとえ」と見出しがついています。
しかし、この曲では、あえて、放蕩息子が帰ってきた、ということよりも、
父親にとって、「息子が生きていた、見つかったぞ!」という喜びに焦点をあてて、
「見つかった息子」というタイトルにしました。
(ところで、どうして息子が父親のもとを離れたのか、については、
様々な解釈がありますが、
その中の一つとして、リルケの『マルテの手記』の最後の部分は有名ですね。)
冒頭、息子が、力なく、やつれきったような感じで、父親に呼びかけます。
本文の19節を見ると、息子の言葉にはさらに、「雇い人の一人にしてください。」、
という続きがありました。
家に来るまでに、もしかしたら、一生懸命練習したのかもしれません。
しかし、父親は、息子が見つかったという喜びで、
もうその先は言わせませんでした。
父親は息子をひしと抱きしめ、歓喜の涙を流しているはずです。
父親の喜びは、テンポが少し早くなるところと、音域の広さで表現されています。
父親が息子を発見した時の様子は、新共同訳ではこう書いてあります。
ルカによる福音書15章20節を引用します。
「そして、彼(=息子)はそこ(=異教・異郷の地)をたち、父親のもとに行った。
ところが、まだ遠く離れていたのに、父親は息子を見つけて、憐れに思い、
走り寄って首を抱き、接吻した。」
太字で強調した「憐れに思い」という訳は、
たいていの訳では、同様な表現になっていますが、
原語に一番忠実に訳されている(ただし、いろいろ問題点はありますが・・・)
岩波書店訳では、「腸(はらわた)のちぎれる想いに駆られ」となっています。
北森嘉蔵の名著『神の痛みの神学』を彷彿とさせる表現ですね。
腹が痛むほどに、激しく、息子、いや私たちを愛しておられる。
これこそ、天の神様が、私たちに示された愛です!
イエス様の十字架の言語を絶するような苦しみは、私たちへの愛のきわみです!
私は、この曲が自作曲ながら、36小節最後から始まる、
「♪この息子は・・・」のところを歌うたびに、新たな感動を覚えます。
神様にとっては、過去、私たちが何をしてきたか、何をしてこなかったか、よりも、
今、神様のもとに立ち戻っている、その事実がうれしいのです!
「わたし(神様)の目には、
あなた(直接的にはイスラエル、間接的には私たちすべて)は高価で尊い。
わたしはあなたを愛している。」(イザヤ43:4新改訳)
と神様は言われます。
神様の目には、私たちはものすごい高価な宝石よりも、価値があるのです!
「言っておくが、このように、悔い改める一人の罪人については、
悔い改める必要のない九十九人の正しい人についてよりも
大きな喜びが天にある。」(新約聖書 ルカによる福音書15:7新共同訳)
神様の無限の愛を賛美します!
テキスト・楽譜と、メロディは、下記からダウンロード願います。
「20090703luke1521.MID」をダウンロード
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