真に宗教的な人とは
「真に宗教的な人とは、神を見出すために教会に行くのでなく、
あらゆるところに神を見出す人のことであり、
多くの聖所を作るのではなく、
通常の場所を聖なるところとする人のことである。」
(ウィリアム・バークレー著・大島良雄訳『マルコ福音書』(ヨルダン社)P.223より)
先日、マルコによる福音書の註解書である上記の本を読んでいたときに、
この言葉のところで、目が止まりました。
この文は、マルコによる福音書8:11~13へのコメントの一部です。
「ファリサイ派の人々が来て、イエスを試そうとして、
天からのしるしを求め、議論をしかけた。」
(新約聖書 マルコによる福音書8:11新共同訳)
「天からのしるし」というのは、ファリサイ派の人々にとっては、
驚天動地の現象をさしていました。
これに対して、イエス様は、「心の中で深く嘆」(同8:12)かれた、
と書かれてあります。
バークレーの註解に戻り、その箇所を引用します。
「さて、イエスの見解ではそのような要求は、
神の支配を見たいという望みからでているのではなく、
むしろ、神の支配に対する無分別からきているのであった。
イエスにとっては、全世界は神のしるしに満ちていた。
畑の小麦、パンの中のパン種、
山の中腹の紅いアネモネなどのすべてが、イエスに神を語っていた。
(中略)誰でも見る目を持つ者にとっては、
神はすでにこの世にいたもうことをイエスは知っておられた。」
(ウィリアム・バークレー著・大島良雄訳『マルコ福音書』(ヨルダン社)P.223より)
そして、冒頭に掲げたあの文につながります。
太字の部分は、イエス様がたとえ話などで使われましたね。
イギリスの詩人、ウィリアム・ブレイクは、彼の有名な詩の中で、
「一粒の砂の中に世界を見
一輪の花に天国を見るには
君の手のひらで無限を握り
一瞬のうちに永遠をつかめ」(「無垢の予兆」壺齋散人訳)
とうたっています。
(この箇所についての記事をもっと読みたい方は、
ぜひ、下記のサイトもごらんください。)
http://kango.betoku.jp/article/0035850.html
異常な現象だけが、神を感じるすべ、ではないのです。
この詩は、日本の茶道の精神などにも通じるものがありますね。
奇蹟は、日常に転がっているのです。
ただ、それを奇蹟と認識していない・認識できないだけです。
神様は、ちっぽけな教会堂の中にだけおられるのでしょうか?
(たとえ、そこに、何千人もの人が集い、
立派なパイプオルガンやステンドグラスがあろうとも・・・
壮麗な神殿を主のために建てたソロモンでさえ、
「神は果たして地上にお住まいになるでしょうか。
天も、天の天もあなた(=神様)をお納めすることはできません。
わたしが建てたこの神殿など、なおふさわしくありません。」
(旧約聖書 列王記上8:27新共同訳)と告白しているほどです。)
いや、神様の栄光は、全世界に満ちあふれているのです!
「天は神の栄光を物語り、
大空は御手の業を示す。」(旧約聖書 詩編19:2新共同訳)
「主よ、御業はいかにおびただしいことか。
あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。
地はお造りになったものに満ちている。」(旧約聖書 詩編104:24新共同訳)
「世界が造られたときから、目に見えない神の性質、
つまり神の永遠の力と神性は被造物に現れており、
これを通して神を知ることができます。」
(新約聖書 ローマの信徒への手紙1:20新共同訳)
大自然だけでなく、身近な人間関係(ことに家族において)にも、
神様の愛は現われています。
「教会に行っている時」だけが「聖なる時」、
というのではなく、歩いているときも、食べているときも、
神様をおぼえて行うのであれば、みな、「聖なる時」となります。
「何を話すにせよ、行うにせよ、すべてを主イエスの名によって行い、
イエスによって、父である神に感謝しなさい。」
(新約聖書 コロサイの信徒への手紙3:17新共同訳)
私も、そうありたいと願っています。
"And I could wish my days to be
Bound each to each by natural piety."
(from"The Rainbow" by William Wordsworth)
(「願わくば、私のこれからの一日一日が、
自然への畏敬の念によって貫かれんことを!」
『イギリス名詩選』(岩波文庫 平井正穂訳)P.156~157より)
「自然への畏敬の念」ではなく、「神への愛・神からの愛」によって!
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