« 身代わり | トップページ | わたしの魂よ、主をたたえよ(詩篇103:01(01))【自作曲】 »

2009年6月23日 (火)

主の祈り(その8)「わたしたちの日ごとの糧を・・・」(2)

「主の祈り」シリーズ第8回目です。
今回は、前回に引き続き、
「わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。」
の箇所について、考察します。
前回は、なぜこの句が主の祈りの中間部に位置しているか、
についてでしたね。
今回は、いよいよその内容について論じます。

この箇所については、おそらく古今東西さまざまな人々が、
解釈を述べていることでしょう。
私が読んだことのある中で、一番記憶に残っているのは、
D・カーネギー著『道は開ける』(創元社)の中にある一節です。
以下、引用します。
なお、原文には、「、、、」が強調のためつけられている箇所がありますが、
その部分には、下線を引きました。

 『心に留めてほしいのは、この祈りが今日の食物のみを求めている点だ。
この祈りは、昨日口にせざるをえなかった古いパンのことで不平を言っているのではない。
まして「おお神よ、穀倉地帯はカラカラに乾ききっており、
旱魃に見舞われるかもしれません・・・
そうなると、来年の秋にはどのようにしてパンを作ればよいのでしょう?」とか
「私が失業したら、神よ、私はどのようにしてパンを得たらよいのでしょう?」
などとは言っていない。
 そうだ。この祈りは私たちに今日のパンだけを求めるように教えている。
今日のパンこそ、人間が口にしうる唯一のパンなのだ。』
(D・カーネギー著『道は開ける』(創元社※文庫版)P30~31から引用)

上記の引用部分は、「今日、一日の区切りで生きよ」(第一章のタイトル)
ということを説明する中で、書かれています。
『道は開ける』には、悩みを克服するためのノウハウがたくさん書かれています。
ビジネス書コーナーには必ず置いてある本なので、
読んだことのある方は多いでしょう。

本文に戻りましょう。
「日ごとの糧」とは、まず、単に、その日その日の食事のことを指します。
もう少し拡大解釈すると、その日その日に必要なもの・ことをも指します。

日本では、よほどでない限り、
今日食べるものに困るということはありませんが、
(もちろん、日本でも、貧困が深刻化しているのは事実ですが・・・)
アフリカなどに行けば、子どもたちの将来の「夢」が、
「腹いっぱい食べること」だったりします。
そういう中では、まず、「今日」食べるものがあるだけで、
すばらしく感謝すべきことなのです。
飽食の国では、なかなか理解できないことですよね。

旧約聖書の「出エジプト記」から「申命記」において、
エジプトを出たイスラエルの民の荒野での生活が描かれています。
荒野では、普通の食べ物はなく、
神様が「マナ」を「毎日必要な分だけ」(旧約聖書 出エジプト記16:4新共同訳)
民に与えた、という記述があります。
「マナ」は、安息日という例外的な日を除いて、
保存することができませんでした。

なぜ、神様は、「日ごとの糧を今日もお与えください」と祈れ、
と命じたのでしょうか?
日ごとの糧を、「明日も、いつまでも」ではいけないのでしょうか?

おそらく、人間が自分の力に思いあがって、
神様に信頼するのを忘れてしまわないように、という意味かな、
と私は解釈しています。
飽食の国ほど、無神論や不可知論がはびこっていますね。

旧約聖書の「箴言」には、次のような言葉が書かれています。
『(神よ、私を)貧しくもせず、金持ちにもせず
わたしのために定められたパンで わたしを養ってください。
飽き足りれば、裏切り 主など何者か、と言うおそれがあります。
貧しければ、盗みを働き
わたしの神の御名を汚しかねません。』
(旧約聖書 箴言30:8~9新共同訳※()内は補足説明)

「明日のことまで思い悩むな」(新約聖書 マタイによる福音書6:34新共同訳)
と、イエス様は言われました。
父なる神様が、私たちを養ってくださるからだ、心配するな!
必要なものは、神様が与えてくださいます。
神様は、私たちを愛してくださる、恵み深い天の父だからです。

「あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。
神があなたがたのことを心配してくださるからです。」
(新約聖書 ペテロの手紙Ⅰ5:7新改訳)

私のようなものでさえ、「心配して」心にかけてくださるお方がいるのです!
だからこそ、日々の感謝を忘れずに、神様にささげていきたいものです。

« 身代わり | トップページ | わたしの魂よ、主をたたえよ(詩篇103:01(01))【自作曲】 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

聖なる言葉」カテゴリの記事

主の祈り」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2023年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

にほんブログ村

  • クラシックCD鑑賞
  • にほんブログ村
無料ブログはココログ