カテゴリー「クラシック音楽・チャイコフスキー」の2件の記事

2018年12月 3日 (月)

映画「くるみ割り人形と秘密の王国」(原題:The Nutcracker and the Four Realms)

バレエの「くるみ割り人形」は、何度観ても楽しいものです。
私と妻はどちらも大好きです。
NHKBSプレミアム等でその放送があれば、必ず録画して観ています。
たとえ、ミョーな演出だとしても・・・
(一番???だったのは、
「くるみ割り人形」から突然世界の終わりの話が導き出される、
意味不明な演出、というものでした・・・)
バレエ全体を観るよりも、さらに好きなのは、
「くるみ割り人形組曲」です。
クナッパーツブッシュがウィーン・フィルを振ったものか、
カラヤン&BPOの演奏(または、カラヤン&VPO)があれば、
十分です。

(参考)
【SACDハイブリッド】
ポピュラーコンサート、
<特別収録>ワーグナー: ジークフリート牧歌<タワーレコード限定>

Ballet Suites CD, Import(カラヤン指揮ベルリン・フィル)

Ballet Suites Import(カラヤン指揮ウィーン・フィル)

さて、その「くるみ割り人形」を、ディズニーが映画化した、とあっては、
ぜひ観たいと思いましたので、映画公開日(2018年11月30日)の翌日、
12月1日(映画の日)に、妻と一緒に観に行きました。

映像そのものは美しいものの、特に前半は少し退屈でした。
一番残念なのは、チャイコフスキーの名曲が、
せいぜいBGM程度に、ちょっぴり使われていることでした・・・

バレエの中で楽しい、お菓子の国の話(名曲揃い!)は、
ほとんど触れられず、アメリカ人好みの、
ヒロインが戦って勝利を収める話に改変されてしまっていました・・・
妻も観終わってからビミョーな感想でした・・・

主人公が「敵」をついにやっつけるところ(ネタバレを避けるため、
あえて書きませんが・・・)は、心理学的にみると、
自己処罰なのかな、とも思いました。
そのキャラは、主人公の心の中にある、
もう一人の自分なのかも知れません。

タイトルにある「くるみ割り人形」の役は、確かにそれなりに活躍しますが、
バレエ版のように、王子様には変身しません。
ディズニーではもはや王子様は不要なのかも・・・なんて穿った見方さえしてしまいました。

本作は、「くるみ割り人形」に、「オズの魔法使い」と、
モーツァルトの「魔笛」と、C・S・ルイスの「ナルニア国物語」の「ライオンと魔女」、
ついでにディズニーの「ファンタジア」をちょっと足して、
4か5で割ったような作品なのかな、と思いました。
映像そのものや主役は美しいですが、中身はちょっと・・・

バレエファンの方なら、観てガッカリするかも・・・
バレエそのものを観た方が満足します。

映像付でオススメは、ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団のBlu-rayです。
Nutcracker / [Blu-ray] [Import]

一応、映画のサントラ盤を紹介しておきます。

くるみ割り人形と秘密の王国 (オリジナル・サウンドトラック)

2017年9月17日 (日)

チャイコフスキー:交響曲第5番聴き比べ(SACD編)

チャイコフスキーの番号付交響曲全6曲(未完と「マンフレッド」は数えないとして)中、
頻繁に取り上げられ、録音が多いのが、第4・5・6番です。
そのうち、どれが一番好きか、と言われれば、
私なら、「運命動機」が全体を支配する、豪快な第5番を挙げます。
特に好きなのは、第4楽章です。
時折第4楽章だけ聴く時もあります。

実演では、十数年前(だったと記憶していますが・・・)に、
岩城宏之指揮・札幌交響楽団の演奏をKitara大ホールで聴いたことがあります。

第5番はモノラル録音時代からたくさんの盤がありますが、
今回は、SACDに限定した聴き比べとしました。

それでは、聴き比べです。
今回は、評価低→高の順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1971年9月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
※チャイコフスキー後期交響曲集(3枚組)

☆3.0
第1楽章 15:54
第2楽章 14:30
第3楽章 06:23
第4楽章 12:45

チャイコフスキー:交響曲第4番 第5番 第6番 悲愴 Hybrid SACD

録音でかなり損をしている演奏といえます。
天下のベルリン・フィルが、
なにやらガチャガチャした響きに聴こえる時がしばしばあります。
残響が多すぎ?
もちろんカラヤン・ファンにとってはお宝なのでしょうが、
同じ70年代の演奏なら、後述のDG盤の方をオススメします。
ただ、やかましいぐらいに金管パートが鳴り響くのが快感!というなら、
持っていてOKかもしれませんね・・・


◯ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団(PENTATONE)
2010年6月
SACDハイブリッド(SACD Mulch、CD)
※チャイコフスキー交響曲全集

☆3.5
第1楽章 14:48
第2楽章 13:55
第3楽章 05:43
第4楽章 12:22

Tchaikovsky: the Symphonies & Hybrid SACD, SACD, Import

標準的な録音・演奏です。
あえていえば、第2楽章の抒情性はなかなかすばらしかったです。
第4楽章のエンディングも模範的。


◯アンドレア・バッティストーニ指揮RAI国立交響楽団(DENON)
2016年7月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング なし

☆4.0
第1楽章 15:41
第2楽章 13:17
第3楽章 06:06
第4楽章 13:07

チャイコフスキー:交響曲第5番 SACD

実は初めて聴いた時は、それほど感銘を受けませんでしたが、
3回目に聴いた時、「これ、結構凄い演奏なのでは?」
と思えるようになりました。
録音のメリハリが効いて、細部もよく聴こえ、
その上、ダイナミックさに欠けることがありません。
若武者が颯爽と駆け抜けていくようなイメージです。
欲を言えば、マルチチャンネルにしてほしかったのと、
第4楽章はもっと派手でも良かったのでは、と思いました。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)
1975年10月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
※チャイコフスキー交響曲全集

☆4.0
第1楽章 15:49
第2楽章 14:35
第3楽章 06:35
第4楽章 12:40

チャイコフスキー:交響曲全集 Limited Edition, SACD

カラヤンらしい、聴かせどころがたっぷりある演奏です。
弦や金管の力強さも、本場ロシアに負けていません。
第1楽章の、序盤から盛り上がってくるところが、
この盤での一番の聴きどころでしょう。
余談ですが、SACDシングルレイヤーの凄いところは、
交響曲第5番と第6番「悲愴」を1枚に収めてしまっているところです。
(チャイコフスキー交響曲全集としては、SACD3枚組)


◯ドミトリー・キタエンコ(Dmitri Georgievich Kitaenko)指揮
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(OEHMS CLASSICS)
2011年3月
SACDハイブリッド(SACD Mulch、CD)
カップリング:歌劇「スペードの女王」序曲

☆4.5
第1楽章 15:48
第2楽章 14:40
第3楽章 06:05
第4楽章 13:01

チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64/歌劇「スペードの女王」序曲 Hybrid SACD, Import

録音が超優秀です!
この曲のスケールの大きさ、力強さ、そして繊細さがよく収録されています。
最も録音が良く、迫力ある演奏で聴きたい、というなら、
第一にオススメします。
(後述のムラヴィンスキー盤とこの盤があれば十分なのかも・・・)
ムラヴィンスキー盤より張り詰めた感じがしないので、
繰り返し聴くにも最適です。


◯ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(DG)
1960年11月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング なし

☆4.5
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章

チャイコフスキー:交響曲第5番 Limited Edition, SACD

名盤中の名盤ですね。
オケがまるで、一つの楽器であるかのように、
唖然とするしかない統率力で一丸となって感傷がみじんもない、
剛毅でパワフルな(極めて男性的な)演奏を繰り広げています。
カラヤンの演奏もすばらしいですが、
ムラヴィンスキーの辛口に比すると甘口に感じてしまいます。
チャイコフスキーの第4・5・6番といえば、
この演奏しか考えられないほどで、
一度この演奏の凄さに圧倒されてしまうと、
他は聴けなくなってしまうかもしれません・・・
あえてこの演奏の「欠点」を挙げるとすれば、
他の演奏がどれも物足りなく感じてしまうことでしょうか・・・
なお、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルの5番は、
他のレーベルでも出ていますが(Altusとか・・・)、
よほどのムラヴィンスキー・ファンでもない限り、
この1枚で十分です。
(演奏そのものはともかく、録音がどれもイマイチ・・・)

ということで、やっぱりチャイコの「第5」の極めつけは、
定盤のムラヴィンスキー盤となってしまいましたね・・・

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