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2017年9月17日 (日)

チャイコフスキー:交響曲第5番聴き比べ(SACD編)

チャイコフスキーの番号付交響曲全6曲(未完と「マンフレッド」は数えないとして)中、
頻繁に取り上げられ、録音が多いのが、第4・5・6番です。
そのうち、どれが一番好きか、と言われれば、
私なら、「運命動機」が全体を支配する、豪快な第5番を挙げます。
特に好きなのは、第4楽章です。
時折第4楽章だけ聴く時もあります。

実演では、十数年前(だったと記憶していますが・・・)に、
岩城宏之指揮・札幌交響楽団の演奏をKitara大ホールで聴いたことがあります。

第5番はモノラル録音時代からたくさんの盤がありますが、
今回は、SACDに限定した聴き比べとしました。

それでは、聴き比べです。
今回は、評価低→高の順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1971年9月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
※チャイコフスキー後期交響曲集(3枚組)

☆3.0
第1楽章 15:54
第2楽章 14:30
第3楽章 06:23
第4楽章 12:45

チャイコフスキー:交響曲第4番 第5番 第6番 悲愴 Hybrid SACD

録音でかなり損をしている演奏といえます。
天下のベルリン・フィルが、
なにやらガチャガチャした響きに聴こえる時がしばしばあります。
残響が多すぎ?
もちろんカラヤン・ファンにとってはお宝なのでしょうが、
同じ70年代の演奏なら、後述のDG盤の方をオススメします。
ただ、やかましいぐらいに金管パートが鳴り響くのが快感!というなら、
持っていてOKかもしれませんね・・・


◯ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団(PENTATONE)
2010年6月
SACDハイブリッド(SACD Mulch、CD)
※チャイコフスキー交響曲全集

☆3.5
第1楽章 14:48
第2楽章 13:55
第3楽章 05:43
第4楽章 12:22

Tchaikovsky: the Symphonies & Hybrid SACD, SACD, Import

標準的な録音・演奏です。
あえていえば、第2楽章の抒情性はなかなかすばらしかったです。
第4楽章のエンディングも模範的。


◯アンドレア・バッティストーニ指揮RAI国立交響楽団(DENON)
2016年7月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング なし

☆4.0
第1楽章 15:41
第2楽章 13:17
第3楽章 06:06
第4楽章 13:07

チャイコフスキー:交響曲第5番 SACD

実は初めて聴いた時は、それほど感銘を受けませんでしたが、
3回目に聴いた時、「これ、結構凄い演奏なのでは?」
と思えるようになりました。
録音のメリハリが効いて、細部もよく聴こえ、
その上、ダイナミックさに欠けることがありません。
若武者が颯爽と駆け抜けていくようなイメージです。
欲を言えば、マルチチャンネルにしてほしかったのと、
第4楽章はもっと派手でも良かったのでは、と思いました。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)
1975年10月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
※チャイコフスキー交響曲全集

☆4.0
第1楽章 15:49
第2楽章 14:35
第3楽章 06:35
第4楽章 12:40

チャイコフスキー:交響曲全集 Limited Edition, SACD

カラヤンらしい、聴かせどころがたっぷりある演奏です。
弦や金管の力強さも、本場ロシアに負けていません。
第1楽章の、序盤から盛り上がってくるところが、
この盤での一番の聴きどころでしょう。
余談ですが、SACDシングルレイヤーの凄いところは、
交響曲第5番と第6番「悲愴」を1枚に収めてしまっているところです。
(チャイコフスキー交響曲全集としては、SACD3枚組)


◯ドミトリー・キタエンコ(Dmitri Georgievich Kitaenko)指揮
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(OEHMS CLASSICS)
2011年3月
SACDハイブリッド(SACD Mulch、CD)
カップリング:歌劇「スペードの女王」序曲

☆4.5
第1楽章 15:48
第2楽章 14:40
第3楽章 06:05
第4楽章 13:01

チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64/歌劇「スペードの女王」序曲 Hybrid SACD, Import

録音が超優秀です!
この曲のスケールの大きさ、力強さ、そして繊細さがよく収録されています。
最も録音が良く、迫力ある演奏で聴きたい、というなら、
第一にオススメします。
(後述のムラヴィンスキー盤とこの盤があれば十分なのかも・・・)
ムラヴィンスキー盤より張り詰めた感じがしないので、
繰り返し聴くにも最適です。


◯ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(DG)
1960年11月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング なし

☆4.5
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章

チャイコフスキー:交響曲第5番 Limited Edition, SACD

名盤中の名盤ですね。
オケがまるで、一つの楽器であるかのように、
唖然とするしかない統率力で一丸となって感傷がみじんもない、
剛毅でパワフルな(極めて男性的な)演奏を繰り広げています。
カラヤンの演奏もすばらしいですが、
ムラヴィンスキーの辛口に比すると甘口に感じてしまいます。
チャイコフスキーの第4・5・6番といえば、
この演奏しか考えられないほどで、
一度この演奏の凄さに圧倒されてしまうと、
他は聴けなくなってしまうかもしれません・・・
あえてこの演奏の「欠点」を挙げるとすれば、
他の演奏がどれも物足りなく感じてしまうことでしょうか・・・
なお、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルの5番は、
他のレーベルでも出ていますが(Altusとか・・・)、
よほどのムラヴィンスキー・ファンでもない限り、
この1枚で十分です。
(演奏そのものはともかく、録音がどれもイマイチ・・・)

ということで、やっぱりチャイコの「第5」の極めつけは、
定盤のムラヴィンスキー盤となってしまいましたね・・・

2017年9月16日 (土)

【演奏会感想】札幌文化芸術劇場 プレイベント アンドレア・バッティストーニ指揮札幌交響楽団(2017.9.15)

指揮者アンドレア・バッティストーニが札響を初指揮!
これだけで、行かずに、聴かずにはいられませんでした。
2017年9月15日の、
札幌文化芸術劇場 プレイベント
アンドレア・バッティストーニ指揮札幌交響楽団に行ってきました。
札幌コンサートホールKitara大ホールでした。

曲目は、
(前半)
ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より”私のお父さん”
歌劇「修道女アンジェリカ」より”母もなしに”
交響的前奏曲
歌劇「トスカ」より”歌に生き、恋に生き”
歌劇「蝶々夫人」より”ある晴れた日に”
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
(後半)
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
(アンコール)
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲より”スイス軍の行進”

前半のソプラノ独唱は、木下美穂子でした。

ちなみに、札幌文化芸術劇場とは、
2018年10月にオープン予定の施設です。
(「札幌市民交流プラザ」という大型施設の中に、
オペラ上演ができる「札幌文化芸術劇場」、
札幌文化芸術交流センター、札幌図書・情報館ができる予定です。)

バッティストーニは、来年の札幌文化芸術劇場こけら落とし公演で、
ヴェルディの「アイーダ」を指揮する予定です。
そのプレイベントとして、今回のコンサートは企画されました。

今回は妻が旅行に行っていたため、一人で聴きに行きました。
私が取った席は、オーケストラの後ろ側、パイプオルガンの近くのところでした。
指揮者の指揮や表情がよく見えます。

バッティストーニは、現在30歳。
少し太り気味なのかな、と思うぽっちゃり体型です。
指揮ぶりはとてもパワフルで、ダイナミックでした。
なんとなく、「カンフー・パンダ」を連想しました(ファンのみなさん、ゴメンナサイ!)。
譜面台を置かず、指揮台の上で、まるで一人パフォーマンスか、
モダンバレエを観ているかのようでした。
(時折、一人カンフーにも見えてしまうので、「カンフー・パンダ」を連想した訳です。)

ソプラノの木下美穂子はなかなかでしたが、
やっぱり今日のメインは、情熱的な指揮に応えるオケでした!
前半の圧巻は、「ナブッコ」序曲と、「運命の力」序曲でした。
どちらかというと、普段は北欧テイストの札響が、
イタリアの情熱に染まって激しく燃えている!
フォルテッシモは、まさに音の大爆発でした!

ただし、プッチーニの「交響的前奏曲」は、少し退屈な曲だったかも・・・
(ミラノ音楽院の卒業作品、とのこと。)

後半は、レスピーギのローマ三部作より、「ローマの松」。
パイプオルガンが地味に使われています。
(ほとんど重低音ばかり・・・)
「ボルケーゼ荘の松」でKitaraがすぐに音の洪水になりました。
「ジャニコロの松」では、最後にナイチンゲール(鳥)の声が使われますが、
録音が天井板の方から聴こえてきますので、
本当の鳥が飛び交っているかのようでした。
最後の「アッピア街道の松」では、客席上部に、
バンダが現れ、音の洪水が決壊(?)しました!
「これがKitara大ホールのMaxな響きか〜!!!」
どんなSACDよりも大迫力!という感じでした。
今夜のコンサートは、いかにもクラシック音楽のコンサートというよりは、
まるでサッカーの試合みたいな熱気がありました!

バッティストーニの指揮が紡ぎ出す音楽!
札響を完全に手中に収めた感じでした。
振り上げた指揮棒が一瞬宙に止まった時、
オーケストラをまるで一個の操り人形のように操る、
その糸が見える感じがしました。

ただ、あえて言えば、「ローマの松」は、
SACDでの方が素晴らしいと思いました。

バッティストーニ指揮東京フィルハーモニー交響楽団による、
ローマ三部作のSACDは、
古くからの名盤である、トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏が、
過去のものになったなぁ〜と思わせた演奏でした。

今年(2017年)の4月には、本も出版されていたのですね。
『マエストロ・バッティストーニの ぼくたちのクラシック音楽』という本です。
機会があれば、読んでみるかも?

余談ですが、現在建設中の、
札幌市民交流プラザができることで、
残念なことが一つあります。
札幌駅直結のJRタワー最上階から、
今までは札幌テレビ塔が見えていましたが、
今では札幌市民交流プラザの高層棟の陰になってしまい、
見えなくなってしまいました・・・
仕方ないですね・・・

2017年9月 1日 (金)

2017年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2017年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページ及びカテゴリを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
二位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』

三位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

四位.マーラー:交響曲第7番聴き比べ14種類
五位.オキナワ旅行記リターンズ2015夏(その1)〜旅行の経緯と1日目〜
六位.「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知
七位.どの聖書が一番いいか?(新約聖書編)
八位.希望の讃美歌~「一羽の雀(心くじけて)」(新聖歌285)※midi付
九位.ピアノ五重奏曲の甘口辛口
〜ドヴォルザーク、シューマン、フォーレ、ショスタコーヴィチ、ブラームス、フランク・・・

十位.ラヴェル:ボレロ聴き比べ〜演奏時間長→短順に・・・

聴き比べ記事と教育関係の記事が先月も多く読まれているのには感謝です。
2017年8月中に書いた記事が、
1本だけランクインしたのも嬉しかったです。(第十位)

2017年7月は異常に暑かったですが、
8月は打って変わって、涼しい日が続きました。
9月1日は、はや秋の気配です・・・
今月もご愛読よろしくお願いします。

2017年8月20日 (日)

NHKEテレ・クラシック音楽館「究極の対話~弦楽四重奏の世界~」(2017年8月20日放送)

思わず目が点になる音(音楽ではなく・・・)の連続・・・
夫婦で寛ぐ日曜の夜にすご〜く気不味い雰囲気が漂い、
家の中が宇宙空間かお化け屋敷になってしまったかのよう・・・
それにも関わらず、「さすがNHK!」と思わされました。

2017年8月20日放送の、NHKEテレ・クラシック音楽館では、
「究極の対話~弦楽四重奏の世界~」と題して、
2時間まるごと弦楽四重奏曲特集をしていました。
前半、21時台がある意味「過激」でした。
「ゲンダイオンガク」のスペシャリスト集団、
アルディッティ弦楽四重奏団による、
手始めはバルトークの弦楽四重奏曲第3番(全曲)。
バルトークの「オケコン」や「弦チェレ」はようやく好きになることができましたが、
未だ弦楽四重奏曲のジャンルは手付かずでした。
良さはさっぱりわかりませんでしたが、冒頭から攻めた内容だと思いました。

続いては、リゲティの弦楽四重奏曲第2番。
リゲティ・ジェルジュ(1923−2006)はハンガリーの作曲家で、
スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」などでその音楽が使用されました。
「2001年宇宙の旅」とは関係のない作品ですが、
宇宙空間を浮遊している時の恐怖を表しているかのような、
実にミョーな曲でした。
(正直に言えば、「早く終わってほしいなぁ・・・」というのが感想でした。)

アルディッティ弦楽四重奏団の演奏の最後は、
日本の作曲家、細川俊夫の「沈黙の花」という作品でした。
演奏前に、第1ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティ (創設者)が、
この作品について、「明瞭でわかりやすい」などと発言していましたが・・・
聴いてみると、やはり「???」でした。
日本のホラー映画に使えそうな感じの曲、といったところでしょうか。
家の中がお化け屋敷になってしまったかのような・・・

珍妙な響きが出る度に、私は不快感よりも、
失笑してしまうことが多かったです。

この3曲をなんとか我慢して聴いてしまうと、
申し訳ないですが、後半22時台の、
エマーソン弦楽四重奏団による、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ(厳粛)」や、
モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番は、
ただのBGMにしか聴こえなかったです。
(それでも、地獄から天国へ、ぐらいの心地よさがありますね(*^-^))

弦楽四重奏曲の名曲についての本(なんというタイトルかは忘れましたが)で、
アルディッティ弦楽四重奏団の初演曲として、
シュトックハウゼンの「ヘリコプター弦楽四重奏曲」が紹介されていました。
4台のヘリコプターに奏者一人ずつが乗って演奏する、というキワモノです。

前半の1時間は確かに不快で、人によっては苦痛でしかないと思います。
しかし、こういう企画は、やはりNHKでしかできないなぁ〜と改めて思いました。
朝5時からの「クラシック倶楽部」ではなく、
夜の21時〜22時に、こういう番組を時には放送する、というのは、
まさに「教育」「教養」のEテレにふさわしいと思いました。

ちなみに、恥ずかしながら、
我が家には相当のCD、SACDがあるにも関わらず、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲(2017年8月現在、全集が2セットと、
後期弦楽四重奏曲だけのセットが1セットあります。)以外では、
弦楽四重奏曲のCD、SACDは、おそらく10盤もないと思います。
(ベートーヴェン以外では、ラヴェルの弦楽四重奏曲が好きです。)
どちらかというと、苦手なジャンルの一つです。
弦楽四重奏曲よりは、ピアノ五重奏曲や、
クラリネット五重奏曲のような、色彩感が生まれるような方が好きですね。

(参考)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のアルバム所有盤

アルバン・ベルク四重奏団(全集)
Beethoven: The Complete String Quartets Box set, CD, Import

エマーソン弦楽四重奏団(全集)
Beethoven : String Quartets Box set, CD, Import

ラサール弦楽四重奏団(後期:第12番〜第16番+大フーガ)
ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(第12-16番、大フーガ)

※高校生の時の愛聴盤でした。
「ベートーヴェンの最高傑作は、第9ではなく後期の弦楽四重奏曲だ!」などと、
かなり背伸びをしていたのかもしれませんね・・・

ただ、今は滅多に弦楽四重奏曲のCDを聴くことはありません。
もっぱらオーケストラ曲ばかり・・・
(たまにピアノとヴァイオリンの曲、その程度です・・・)

2017年8月15日 (火)

ガーシュウィン:ピアノ協奏曲ヘ調(Concerto in F for Piano and Orchestra)聴き比べ

ガーシュウィンの曲といえば、
「ラプソディ・イン・ブルー」(Rhapsody in Blue)や、
「パリのアメリカ人」(An American in Paris)が有名ですが、
今回紹介するピアノ協奏曲ヘ調(Concerto in F for Piano and Orchestra)も名曲です。
「ラプソディ・イン・ブルー」の終盤に出てくる、
ラフマニノフ級の甘美なメロディはありませんが、
ジャズとクラシックを同時に楽しめるような、
聴いていてウキウキする曲です。
全3楽章です。


今回聴き比べをしてみようと思ったきっかけは、
タワレコで、ドイツのレーベルOEHMS CLASSICSのSACDセールをやっていたからです。
(※2017年7月28日(金)~2017年9月15日(金)10:00まで(予定)とのこと)
〈数量限定〉OEHMS CLASSICS レーベル SACDハイブリッド・セール〈76タイトル〉

OEHMS CLASSICSのSACDは、
シモーネ・ヤング指揮による、
ブルックナーやブラームスの交響曲の録音の優秀さで注目しています。
優秀録音のSACDが1枚1300円程度で入手できるので、
手持ちにあるもの以外で何か良い録音がないかと探していたら、
見つけたのが、後述のパスカル・ロジェ(P)他による、
ガーシュウィンのピアノ協奏曲の盤でした。
(ついでに、「ラプソディ・イン・ブルー」の盤も買ったのですが、
こちらはちょっと期待ハズレ・・・録音の迫力が全然ダメです。)
音の迫力がスゴイ!

※参考
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー (GEORGE GERSHWIN An American in Paris Rhapsody in Blue / MAURICE RAVEL Concerto pour la main gauche) Hybrid SACD, Import, SACD

※買うのはオススメしません・・・

それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。

◯アール・ワイルド(Earl Wild)(P)、
アーサー・フィ−ドラー(Arthur Fiedler)指揮ボストン・ポップス・オーケストラ(BMG→SONY)
1961年5月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:ラプソディ・イン・ブルー、パリのアメリカ人、
"I Got Rhythm"変奏曲、キューバ序曲

☆4.0
第1楽章 12:05
第2楽章 10:31
第3楽章 06:16

ラプソディー・イン・ブルー~ガーシュウィン・アルバム Hybrid SACD, SACD

録音年代は古いですが、そんなことは感じさせないほど、
音が瑞々しいです。
オケが奔流のように暴れまくっている!
いかにも、これぞアメリカン!という感じです。
多少、オケのごちゃごちゃ感がありますが、全体的な愉しさの前に、
あまり気にならないほどです。
この録音で、アール・ワイルド(Earl Wild)というピアニストを知りました。
アール・ワイルドでは、他にラフマニノフのピアノ協奏曲全集と、
映画音楽のアルバムをもっています。
どちらもステキなアルバムです。

(参考)
Piano Concertos 1-4 / Rhapsody on Theme Paganini Import

Earl Wild Goes To The Movies Import

※フィギュアスケートの宮原知子さんがフリープログラムで使った、
リストの「ため息」が収録されています。


◯エレーヌ・グリモー(P)
デイヴィッド・ジンマン指揮ボルティモア交響楽団(ERATO→WARNER)
1997年5月
通常CD
カップリング ラヴェル:ピアノ協奏曲

☆3.5
第1楽章 13:46
第2楽章 11:47
第3楽章 06:54

ラヴェル&ガーシュウィン:ピアノ協奏曲

昔はこの盤だけで十分でしたが、
(聴きくらべしようとは思わなかったです・・・)
改めて、聴き比べしてみると、
音質等で小粒ぶりが耳についてしまいました・・・
SACDの録音と比較してみると、かなり色褪せてしまうというか・・・
ガーシュウィンなのに、
まるでブラームスとかのドイツ音楽みたいな内省的さが感じられます。
全体的におとなしめ・・・
グリモーがお好きならオススメですけどね。
(以前は大好きなピアニストでしたが、最近はあまり聴かなくなりました。
特に、DG移籍後は、イマイチが多いかも・・・)
「パリのアメリカ人」ならぬ「アメリカのパリジャン」という感じです。

◯パスカル・ロジェ(Pascal Roge)(P)
ベルトラン・ド・ビリー(Bertrand de Billy)指揮ウィーン放送交響楽団(OEHMS)
※”Roge"の”e"には、「´」(アクサン‐テギュaccent aigu)がつきます。
2004年2月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング ラヴェル:ピアノ協奏曲

☆4.5
第1楽章 13:45
第2楽章 12:11
第3楽章 06:53

ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 ヘ長調/ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調(GERSHWIN / RAVEL: Concertos For Piano & Orchestra) Import, SACD


SACDのスゴさを堪能することができるアルバムといえましょう。
パスカル・ロジェといえば、
DECCAでエリック・サティとかのフランスものの録音をしているのしか、
印象になかったです。
録音の豪快さが、多少のことをふっ飛ばして楽しく聴けてしまいます。
SACDなのに1300円程度で買えたのは、もうけものでした!


ステファノ・ボラーニ(Stefano Bollani)(P)
リッカルド・シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(DECCA)
2010年1月
通常CD(SHM-CD)
カップリング:ラプソディ・イン・ブルー、キャットフィッシュ・ロウ、リアルト・リップルズ

☆4.5
第1楽章 12:16
第2楽章 10:16
第3楽章 06:29

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー、ピアノ協奏曲 ヘ調、他


演奏家・演奏団体名を伏せて聴いたら、
たぶんアメリカのオケとアメリカのジャズ・ピアニストの共演と思うはずです。
しかし、実はイタリアのジャズ・ピアニストと、
イタリア出身の名指揮者に、世界最古のオーケストラの共演だった、というのが、
衝撃モノだと思います。
たまたまAmazonで試聴しただけで、録音のスゴさがわかりました。
通常CDですが、音の迫力はSACD並で、
もしかすると、前述のパスカル・ロジェ盤以上かもしれません。
音の鮮烈さが痛快です!
愉しさもバツグンで、ついつい最初から最後まで通して聴きたくなるCDです。
全体的にテンポが速めですが、それがプラスに作用しています。

2017年8月 4日 (金)

ラヴェル:ボレロ聴き比べ〜演奏時間長→短順に・・・

ラヴェルの代表作といえば・・・
「マ・メール・ロワ」や「ダフニスとクロエ」、あるいはピアノ協奏曲や、
「ラ・ヴァルス」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」いろいろ挙げるかもしれませんが、
やはり「ボレロ」を挙げるのが妥当ですよね。

高校生の時に初めてラヴェルのCDを買って、最も気に入ったのが、
「ボレロ」と「ダフニスとクロエ」でした。
ちなみに、演奏はシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団でした。
(後で取り上げます。)

あと、「愛と哀しみのボレロ」(原題:Les Uns et les Autres→直訳すると「自己と他者)
という映画で、
最後に主要登場人物が一堂に会して、
ジョルジュ・ドン振付のボレロを踊るシーンが記憶に残っています。
(3時間もの上映時間で、観るのにくたびれましたが・・・)

愛と哀しみのボレロ Blu-ray


今回どうして聴き比べしてみようかと思ったかと言えば、
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、「海」の聴き比べのついでに、
よく聴いたからです。
(カップリングで「ボレロ」が収録されていることが多いです。)

ボレロといえば、最後の2小節を除いて、同じメロディ、リズムが執拗に繰り返される作品ですね。
ともすると、メカニック的なので、誰が指揮しても同じになるのかな、
と思ってしまいますが、やはり指揮者ごとの個性や受ける感銘が違ってきます。
今回は、いつもの録音年代順、あるいはオススメ度順ではなく、
録音時間の長→短という順で紹介します。

それでは、聴き比べです。
録音時間の長→短順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
ちなみに、この曲の評価ポイントは、
①冒頭、最も音量が小さいところもはっきり聴こえる。
(残念ながら、なんとなくいつの間にか始まっている、というのが多いです・・・)
②全体的なバランス
③クライマックスの迫力
の3つです。

◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(WARNER)
1994年6月
通常CD
※”French & Russian Music"

☆3.5
18:11

French and Russian Music Box set, Import

今回紹介する盤中、最もゆったりとした展開です。
重戦車が通っていくかのよう・・・
「ボレロ」にヒントを得た作品である、
ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」の第1楽章を
なんとなく想起してしまうほどでした・・・
しかし、極端にノロい、という感じは受けませんでした。
ただ、上記評価ポイントの①は弱すぎでした。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆3.5
16:13

ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ

チェリビダッケ盤よりは足取りが軽いですが、
フランスのエスプリよりもドイツ的重厚さを感じさせます。
(それがお好みならOKなのでしょうけど・・・)
クライマックスはさすがカラヤン!
ただ、チェリビダッケ盤同様、①冒頭部が弱すぎです。


◯ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団(LSO LIVE)
2009年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:「ダフニスとクロエ」(全曲)、亡き王女のためのパヴァーヌ

☆3.5
15:46

VALERY GERGIEV - RAVEL DAPHNE ET CHLOE CD, Hybrid SACD, Import, SACD, Special Edition

思ったより正統派の演奏でした。
これも①が弱すぎ・・・
録音はマルチチャンネルですが、あまり効果が出ていないかも・・・


◯ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
1974年12月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング:ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌、
ダフニスとクロエ第2組曲

☆5.0
15:37

ラヴェル:管弦楽曲集 SACD

冒頭からハッキリ、クッキリ!!!
最弱音や、今まで聴き逃していたパートもよく聴こえます。
ラストでは、音の波に飲み込まれてしまうかのようなド迫力!
ボレロはこうでなくちゃ!と言いたくなる名演です。
SACDとしての優秀録音もすばらしいです。
ブラボー!!!

◯デュトワ指揮モントリオール交響楽団
1981年7月
通常CD
※ラヴェル:管弦楽曲集 2枚組CD

☆4.0
15:05

ラヴェル:管弦楽曲集

※私が持っているのは輸入盤ですが、上記国内盤と同じ収録曲です。
輸入盤の方は2017年8月現在、Amazonでは入手不可のようです。

最も標準的、模範的な演奏といえます。
ファースト・チョイスにはぴったりかも・・・
(私もこの演奏で、ボレロを初めて聴きました。)

◯ブーレーズ指揮ベルリン・フィル
1993年3月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:マ・メール・ロワ、海原の小舟、道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲
※SACDは2枚組。Amazonでは現在品切れ。

☆4.0
14:58

ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、他

※通常CDを紹介しています。

こちらも標準的な演奏といえます。
旧盤の方が感銘度が高いです。
なお、今手持ちのSACDハイブリッド盤ですが、
SACDとしての超優秀録音・・・というわけでもなさそうでした。
通常CDで十分なのでは、と思います。

◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」、「海」

☆4.5
14:47

ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD

今回紹介した盤の中で、最も演奏時間が短いです。
メカニックなまでの正確さが痛快に感じます。
ブーレーズ旧盤と同様、
最初からハッキリ、クッキリ聴こえるところが高評価のポイントです。
演奏の迫力も見事です。

ということで、「ボレロ」どれか1盤、というなら、
迷わずブーレーズ旧盤、
ついでショルティ盤、
中庸ならデュトワ盤をオススメします。

2017年8月 1日 (火)

2017年7月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2017年7月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページ及びカテゴリを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

二位.オキナワ旅行記リターンズ2015夏(その1)〜旅行の経緯と1日目〜
三位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
四位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』

五位.グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調op.16 聴き比べ7盤
六位.マーラー:交響曲第7番聴き比べ14種類
七位.ピアノ五重奏曲の甘口辛口
〜ドヴォルザーク、シューマン、フォーレ、ショスタコーヴィチ、ブラームス、フランク・・・

八位.映画「ピノキオ」に隠された神学~附:ヨナ書からの教会学校説教案
九位.どの聖書が一番いいか?(新約聖書編)
十位.希望の讃美歌~「一羽の雀(心くじけて)」(新聖歌285)※midi付
十位.NHKEテレ・クラシック音楽館「フィルハーモニア管弦楽団演奏会」(2017年7月16日放送)

聴き比べ記事と教育関係の記事が先月も多く読まれているのには感謝です。
2017年7月中に書いた記事が、
1本ランクインしたのも嬉しかったです。(第十位)
※第十位は同PV数でした。

2017年7月は異常に暑かったです。
さて、今月は?
暑中お見舞い申し上げます。
今月もご愛読よろしくお願いします。

2017年7月17日 (月)

NHKEテレ・クラシック音楽館「フィルハーモニア管弦楽団演奏会」(2017年7月16日放送)

エサ・ペッカ・サロネンといえば、20世紀モノが得意な指揮者、
というイメージがありましたし、さほど期待していなかったのですが・・・
いい意味で、見事に裏切られた演奏でした。

2017年7月16日放送の、NHKEテレ「クラシック音楽館」。
2017年5月21日、横浜みなとみらいホールでの、
フィルハーモニア管弦楽団の演奏会を放映しました。
途中からリアルタイムで観ましたが、
改めて録画で最初から視聴しました。

曲目は、オール・ベートーヴェン・プログラムで、
以下の3曲でした。

1.序曲「命名祝日」ハ長調 作品115
2.ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
3.交響曲第7番 イ長調 作品92

指揮はエサ・ペッカ・サロネン。
ピアノは第17回ショパン国際コンクール(2015年)の覇者、
チョ・ソンジン。

1曲目の「命名祝日」の評はパスとします。
(曲自体がそれほどステキだとは思えないので・・・
ただし、フィルハーモニア管の音色がもう実に素晴らしい!)

2曲目、ピアノ協奏曲第3番。
出だしから、フィルハーモニア管の音色が、
実に高級感あふれる感じでした。
なんだろう、この感触・・・
そう、大袈裟な表現かもしれませんが、
クレンペラー時代のフィルハーモニア管の音のようです!
ゆったりと音楽そのものに浸っていられる感じというか・・・

指揮者、ピアノとも、「俺が、俺が」という個性やら自己主張を押し出すのではなく、
作曲家(スコア)の僕(しもべ)として、没我的に奉仕している、という感じで、
久々にベートーヴェンの音楽そのものを堪能したなぁ〜という幸福感、
満足感に浸ることができました。
アンコールのモーツァルトのピアノ・ソナタも実にステキで、
チョ・ソンジンはぜひモーツァルトのピアノ・ソナタを録音してほしいと思っています。
演奏評で言えば、☆4.0相当なのでは、と思っています。

交響曲第7番も佳演でした。
ナチュラル・トランペットを使うなど、響きにもこだわりがありましたが、
いわゆる古楽系の演奏ではなく、
中庸な響きが魅力的でした。
ただ、第4楽章冒頭の間のとり方だけは、
「???」という感じでした。
こちらは☆3.5相当だと思いました。

そういえば、どうして横浜みなとみらいホールでの収録なのだろうか、
と調べてみたら、
サントリーホールが改修中だからなのですね・・・
ただ、2017年6月18日放送の、NHKEテレ・クラシック音楽館での、
新日本フィルハーモニー管弦楽団の演奏と同じホールとは思えないほど、
今回の演奏は素晴らしい響きでした。
NHKEテレ・クラシック音楽館「新日本フィルハーモニー交響楽団演奏会」(2017年6月18日放送)

※こちらは2017年5月12日の演奏でした。
やはりオケの差なのでしょうか・・・

サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団のベートーヴェンは探してみましたが、
現在CDはないようです。
サロネンのこれからのいっそうの成熟・巨匠化に期待したいです。
(参考)
アンコール
圧倒的だったマーラー6番 サロネン指揮フィルハーモニア管
2017年6月19日 (毎日新聞 小田島 久恵氏の評)

2017年7月10日 (月)

ドビュッシー:「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描」(La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre)聴き比べ

ドビュッシーの「海」。
ドビュッシーの代表作ですね。
よく、「交響詩」と題されることが多いですが、
正確には誤りです。
「「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描
(La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre)
"esquisse"(エスキス)とは、「下絵、スケッチ」を意味するフランス語です。

曲は三部構成です。
第1曲:海の夜明けから正午(真昼)まで
第2曲:波の戯れ
第3曲:風と海(と)の対話
※CDによって多少の訳の違いがあります。
以下、便宜上、以下、第1曲を①、第2曲を②、第3曲を③と略記します。

この曲を初めて聴いたのは(ただし、全曲ではなく、部分的に)、
1990年頃でした。
当時、CD店で貰った、マイケル・ティルソン・トーマスのCDサンプルに、
「海」が含まれていました(確か③)。
何か掴みどころがなく、茫漠として、
その当時の私にとってはイマイチ理解しがたい響きでした。
そのあたりから、ドビュッシーは敬遠すべき作曲家になっていきました。

それから約27年、2017年になってから、
ようやく「海」の素晴らしさに開眼できました。
きっかけは、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏のDVDでした。
メインは、ホルストの「惑星」で、「海」はオマケの扱いでした(私にとっては・・・)
(経緯と演奏の感想は後述・・・)

ちょうど、今年の5月に、
札響の演奏による「海」の実演も聴くことができました。
【演奏会感想】第599回札幌交響楽団定期演奏会(2017年5月20日)〜ラトヴィア放送合唱団の天上の声!
「海」は20世紀前半の重要な管弦楽曲の1つだと確信しました。

それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
(なお、モノラル録音はありません。)


◯シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA→SONY)
1956年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:サン=サーンス:交響曲第3番”オルガン”、イベール:寄港地

☆4.0
①08:37
②06:15
③07:58

サン=サーンス:交響曲第3番 Hybrid SACD

雄大な演奏です!
音の迫力が凄く、録音がとても60年以上も前のものとは思えません。
③に限って言えば、「海」(荒れ狂う海)というよりは、
ストラヴィンスキーの「春の祭典」みたいな音の饗宴になっているかのようです。


◯フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(RCA→SONY)
1960年2月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:レスピーギ:ローマの噴水、ローマの松

☆3.5
①10:22
②06:31
③08:20

Pines of Rome / Fountains of Rome / La Mer (Hybr) Hybrid SACD, SACD, Import

自然界の「海」を感じさせるような演奏ではないかもしれませんが、
オーケストラの名人芸を堪能できます。
③の最後の部分は、まさにレスピーギの「ローマの祭」みたいな音響が炸裂します。


◯ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(SONY)
1963年1月
通常CD
カップリング ラヴェル「ダフニスとクロエ第2組曲」、亡き王女のためのパヴァーヌ

☆4.0
①08:43
②06:24
③07:38

ドビュッシー:海&ラヴェル:ダフニスとクロエ第2組曲他

少しも曖昧なところがない、光が降り注ぐような明快な演奏です。
普通だと、メカニックな演奏に陥ってしまうところ、
曲のダイナミックさと繊細さをうまく引き出し、
美しい海の情景が拡がります。
特に①、②が秀逸です。
③の最後のところの迫力も凄いです。


◯ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(SONY)
1966年12月
通常CD
※ドビュッシー:管弦楽曲集

☆4.5
①08:50
②07:16
③07:40

ドビュッシー:管弦楽曲集

今回紹介した盤の中では、最もジャケットが美麗ですし、
演奏・録音もダントツです。
前述の、ミュンシュ&ライナー盤のマッチョで力づくの響きとは一線を画した、
柔らかくて繊細な、まさにノーブル(高貴)な響きになっています。
どんなにフォルテの部分でも、絶叫にならず、汗一つかかない(?)・・・
そういう涼しげなところが、この曲には実にマッチしています。
③の冒頭はまるで海鳴りのようです。
③のラストはオーケストラの咆哮になりがちですが、
そういうところでもうるさくならず、それでいて迫力に不足はありません。

ブーレーズの指揮といえば、クラシック音楽を聴き始めてからつい最近まで、
どちらかというと敬遠してきましたが(宇野教に洗脳されていたから?)、
最近は結構好きな指揮者の一人です。
特に20世紀の作品演奏は、スタンダード又は頂点といったものばかりです・・・


◯シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団(Altus)
1967年11月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ベルリオーズ:幻想交響曲、
ストラヴィンスキー:レクイエム・カンティクルス

☆3.0
①09:38
②06:41
③08:55

ベルリオーズ : 幻想交響曲 Op.14 他 (Berlioz : Symphonie Fantastique | Stravinsky : RequiemCanticles | Debussy : La mer / Charles Munch , Orchestre de Paris (1967 Paris Live)) [SACDシングルレイヤー] SACD

ライブ録音です。
ボストン響との録音よりはおとなしい響き・・・
時折指揮者のうなり声が聴こえます。
③の中盤あたり(4:40〜)のゆったりさは、特異な感じです。
終盤の追い込みは、少し雑な感じで、しかも迫力がありません。
この演奏は、
力演であるベルリオーズの幻想交響曲のオマケと割り切った方がいいかも。


◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団(DECCA)
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆4.0
①08:34
②06:33
③07:50

ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD

ショルティ、といえば「パワフル」という印象ですが、
ここでは繊細な響きを堪能できます。
録音が優秀です。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆3.5
①09:45
②06:44
③08:53

ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ

ジャケットがサイケデリック風でイマイチ・・・(ユニークですが)
SACDの音質としては、あまり通常CDと変わらない気がします。
③のラストは、「海」というよりも、
「花火」というタイトルをつけた方がいいぐらいの迫力があります。


◯オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(EUROARTS)
1977年6月
DVD(PCM STEREO、DD5.1、DTS5.1)※映像付
カップリング ホルスト:惑星

☆4.0
①08:35
②06:40
③09:04

Planets / La Mer [DVD] [Import]

今回の聴き比べのきっかけとなった演奏です。
元々、ホルストの「惑星」のオマケと考えていました。
実際、買ってからしばらくは、「惑星」の方しか聴いていませんでした。
(映像はありますが、あえて観ていません。)
たまたま、「惑星」が終わってから止めずに、
流し聴きしていたところ、「素晴らしい曲だ!」と思ったわけです。
音の張り、迫力が凄いです。
③は嵐の海のように荒れ狂った様子になっています。
ライブとしては圧倒的です。
(映像としては年代相応)

◯シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団(DECCA)
1989年5月
通常CD
カップリング 牧神の午後への前奏曲、バレエ「遊戯」、夜想曲

☆3.5
①08:49
②06:11
③07:57

ドビュッシー:海/牧神の午後への前奏曲/夜想曲/遊戯

「曖昧模糊」たる典型的な演奏といえましょう。
「曖昧模糊」なドビュッシー像こそ理想的な演奏、というなら、
この盤は最高にオススメです。
全体的にふわっとした感じがします。
ただ、私としては、ブーレーズやセルの明快な演奏の方が好みなので、
少し低い評価になってしまいました・・・


◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(WARNER)
1992年8月
通常CD
※”French & Russian Music"

☆3.5
①13:09
②08:42
③11:17

French and Russian Music Box set, Import

保有盤中最遅。
(通常の演奏が22〜24分程度に対して、
チェリの演奏は30分以上!)
「海」は「海」でも、この世の海ではなく、
「あの世」の「海」なのかも・・・
テンポは極めて遅いですが、弛緩した感じはしません。
聴き逃していた細かなパッセージなどがよく聴こえてきます。
いざという時の迫力は凄いです。
ただ、「海」の理想的な演奏かと言われれば、
やはり「否」ではないでしょうか。
ドビュッシーよりチェリを聴くべき演奏です。


◯ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団(DG)
1993年3月
通常CD
※Boulez Conducts Ravel and Debussy

☆3.0
①08:45
②07:05
③07:41

Boulez Conducts Ravel and Debussy Box set, CD, Import

旧盤のシャープさが薄れ、少しぼやけた感じです。
スケールも小さいです。
SONY旧盤があれば所有不要かも・・・

2017年7月 9日 (日)

第7回真駒内花火大会(2017年7月8日)〜ついに有料観覧席で観ました!

札幌市南区の真駒内セキスイハイムスタジアムで毎年7月に行われる、
「真駒内花火大会」。
約2万2千発(主催者の挨拶では、2万3千発)の花火が夜空を彩ります。
今年(2017年)で第7回目です。
私ども夫婦は、毎年観に行っていますが、
去年までは、会場の真駒内公園近くのどこかから観ていました。
もちろん、タダで・・・
(なにせチケットが結構高いですから・・・)

しかし、今年は、思い切って、有料観覧席で観ることにしました。
理由は、当初8月に行われる、帯広の勝毎花火大会に行こうとしていたところ、
宿が全然とれないので、
そちらはあきらめて、代わりに真駒内花火大会を有料観覧席で観よう、
ということになったからです。
(チケット単体で考えたら、もちろん高いですが、
帯広までの交通費&宿泊費を考えたら、安いものです。)
私どもはアリーナ席をとりました。

主催者の挨拶にもありましたが、なぜかこの真駒内花火大会、
すっきりとした天気に恵まれないことが何度もありましたが、
今年は絶好の花火日和でした。
おまけに今日はほぼ満月でした(正確には、月齢は14.01)。
(時折、花火の煙で 月がオレンジ色に見えました・・・)

さて、今回とったアリーナ席、
打ち上げ現場から100〜200メートルしか離れていないので、
まさに火の粉が降ってくるようでした!
大、大、大迫力!!!!!!
今まで観たどの花火大会よりも迫力があり、
途中、身の危険さえ感じるほどでした・・・
(実際、もっていたパンフレットに若干ホコリのようなものが付いていたほどです。)
また、有料会場でしか見られない、
レーザー光線と音のショー及びバイクアトラクションも凄かったです!
(花火大会の途中で、「もう終わりかな」と思うぐらいのインターバルがあった理由が、
会場でアトラクションをやっていたから、ということがわかりました。)

圧巻は、X JAPANの「紅」に合わせて打ち上げられる花火でした!
「くれないだぁ〜〜」という叫びとともに、
花火でないものが炸裂して空からふわふわと舞い落ちてきました。
何かな、とよく見ると、長い長〜いテープでした。
アリーナ席いっぱいにテープは拡がっていました。
その後の花火の展開が、まさにロックでした!
美しさに圧倒されながらも、同時に怖さも感じていました・・・

さて、会場で撮った写真です。
写真に撮っている時間や、目をつぶっている時間がもったいないほど、
興奮に満ちた迫力と感動、そして美の世界が拡がっていました・・・
なお、最後の1枚は、花火ではなく、
当日スタンド席にいた人たちが、
花火師のすばらしさへ感謝を表すために、
自分のペンライトやスマホ等で「光の拍手」(のようなもの)をしているところです。

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実は、花火大会の会場のすぐとなり、
真駒内セキスイハイムアイスアリーナでは、
ほぼ同じ時間に、星野源さんのコンサートをやっていました。
花火終演時と、星野源さんのコンサートの終わる時間がほぼかぶってしまい、
会場付近の交差点は大混雑でした!
妻と「今日は凄かったね〜」と何度も語りながら、家路につきました。
今まで、「有料で花火を観るなんて〜」と抵抗感がありましたが、
やはり、お金を払ってでも観る価値があるのだな、と実感しました。
(ちなみに、今回のチケット、1枚3800円でした。)

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