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2017年10月 6日 (金)

レスピーギ:交響詩「ローマの松」(Pini di Roma)聴き比べ

レスピーギの「ローマ三部作」(Roman Trilogy)、
私が一番好きなのは、「ローマの松」です。
(以下、「ローマの松」→「松」、「ローマの噴水」→「噴水」、
「ローマの祭」→「祭」と略記)
三部作を私の好きな順に並べると、「松」→「祭」→「噴水」となりますが、
「噴水」はほぼ聴きません。

「松」は、第1部「ボルゲーゼ荘の松」(I pini di Villa Borghese)、
第2部「カタコンべ付近の松」(Pini presso una catacomba)、
第3部「ジャニコロの松」(I pini del Gianicolo)、
第4部「アッピア街道の松」(I pini della Via Appia)の4部構成となっています。
(以下、第1部→①・・・と略記)
全部で22分前後の演奏時間です。

以前は①だけが特に好きで、そこだけ聴くことが多かったでしたが、
最近では全部通して聴くようになりました。
先日(2017年9月15日)、ついに実演で聴くこともできました。
(→【演奏会感想】札幌文化芸術劇場 プレイベント アンドレア・バッティストーニ指揮札幌交響楽団(2017.9.15)

この曲の演奏では、トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏が名盤として名高く、
私もつい最近までは、この演奏以外聴く気にならなかったのでした。
しかし、バッティストーニの指揮したSACDハイブリッド盤(後述)を聴くに至って、
見事にトスカニーニの「神話的」な名盤が「非神話的」となり、
聴き比べへの道が開かれたわけです。

この曲の鑑賞ポイントは、特に①の冒頭と④の終盤で、
音の洪水のようになっているかです。
特に④ではバンダが出て来るわけですから、
それがごっちゃに聴こえるならマイナスです。
続いては、②と③で中だるみにならず、抒情性を発揮しているか。
③で出てくる、ナイチンゲールの声が効果的に使われているかもポイントです。

それでは、聴き比べです。
オススメ度低→高、録音年月古→新、の順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。


◯バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック(SONY)
1970年2月
通常CD
カップリング 「祭」、オネゲルの3作品

☆3.0
①2:32
②7:11
③7:22
④5:25

レスピーギ:ローマの松&ローマの祭り

意外と細かい音が聴こえてきますが、
(①の終わり頃のピアノなど)
イタリアの雰囲気は伝わってきません。
迫力等にしても少し物足りない感じでした。
バーンスタインがこの曲を指揮している、
あるいは、カップリング曲の方に価値を置いた方がいい盤かもしれません。


◯トスカニーニ指揮NBC交響楽団(RCAーJVC 又はSONY)
1953年3月
XRCD(または通常CD)
※ローマ三部作

☆3.5
①2:35
②6:34
③6:48
④4:55

レスピーギ:交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」(XRCD)

レスピーギ:ローマ三部作~ローマの松、ローマの噴水&ローマの祭り(通常CD)

※一応、「Blu-specCD2仕様 / 音匠仕様レーベルコート採用」

古くから、名盤として知られています。
私もつい最近までは通常CDで聴いていましたが、
先日、思い切ってXRCD盤を入手してみました。
XRCD化されてさらに音がみずみずしくなりましたが、
やはり、モノラル録音という限界を超えるものではありません。
(モノラル録音としては、かなり優秀な録音である、とはいえますが・・・)
三部作のうち、「祭」の主顕祭の迫力(思わず笑っちゃうほど「下品」!)こそ、
まだこれを凌駕する盤が現れてないように思えますが、
それ以外の「松」、「噴水」はそろそろ名盤の地位を後進に譲っていいのでは、
と思いました。
もちろん、トスカニーニの指揮の素晴らしさを堪能する、という目的なら、
この盤は最もオススメな訳ですけど・・・
なお、XRCDは通常CDより確かに音が良く聴こえるような気がしますが、
この演奏なら、通常CDでも十分楽しむことができると思います。
(XRCDにせよ、Blu-specCD2にせよ、所詮は「CD」にすぎません・・・)
無理にXRCDに手を出さなくてもよいのでは?
(とはいえ、私は通常CDの方を手放すことにしましたが。)


◯小澤征爾指揮ボストン交響楽団(DG)
1977年10月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
※ローマ三部作

☆3.5
①2:40
②7:00
③7:06
④4:57

レスピーギ:ローマ3部作 Limited Edition, SACD

①の冒頭は通常なら音の洪水になるところですが、
理路整然としすぎて、
ローマの喧騒や猥雑さがきれいさっぱり蒸留された感じになっています。
④は「アッピア街道」を超えて、
まるで「スター・ウォーズ」的な仕上がりになっています。


◯カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団(WARNER)
1958年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO/CD)
カップリング ベルリオーズ「序曲『ローマの謝肉祭』」、
リスト「交響詩『前奏曲』」

☆4.0
①2:51
②6:57
③6:50
④6:08

レスピーギ:ローマの松、ベルリオーズ:ローマの謝肉祭 他 SACD

①は標準的ですが、②は妙に迫力があり、
③はイタリアの雰囲気こそありませんが、耽美的です。
④は圧倒的な迫力で、大軍隊の後進が見えるかのようです。
ただし、録音は古いので、よく聴くとノイズがチラホラ目立ちます。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(ESOTERIC※原盤DG)
1977年、1978年1月&2月
SACDハイブリッド(SACD STEREO/CD)
カップリング 「噴水」、「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲、他2曲

☆4.0
①2:58
②6:54
③6:49
④5:16

エソテリック盤
※エソテリック盤は入手が難しいので、通常盤でもOKです。

レスピーギ:ローマの松、ローマの噴水、他

ややゆったりめに始まる①。録音はやや、もごもご感があります。
(特に金管パート)
イタリアの雰囲気は皆無です。
どちらかといえば、ロシア音楽のような重苦しさが少しあります。
②はまるで「展覧会の絵」の重苦しいところみたい・・・
③の抒情性はすばらしいです。
④は迫り来る恐怖感(まるで「ジョーズ」?)のところが圧倒的でした!


◯フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(RCA→SONY)
1959年10月
SACDハイブリッド(SACD SURROUNDS/SACD STEREO/CD)
カップリング レスピーギ「ローマの噴水」、ドビュッシー「海」

☆4.5
①2:43
②6:46
③6:28
④5:12

Pines of Rome / Fountains of Rome / La Mer (Hybr) Hybrid SACD, SACD, Import

①の出だしが実にパワフル!
ややゆったりめの展開になります。
②も力強く、特に金管群に圧倒されます。
②の部分は③への通過点的に流して聴いてしまうことが多いですが、
この演奏はカラヤン盤(旧盤)と同様に迫力を感じました。
③の鳥の声もよく、目を閉じて聴くと、
夕暮れの情景が浮かんできます。
④は低音がズシズシ響き、
軍隊が容赦なく行進してくる様子がありありと見えるかのようです。
オルガンの低音もバッチリ!
録音も50年代のものなのに実に鮮明です。


◯ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Yan Pascal Tortelier)指揮
フィルハーモニア管弦楽団(CHANDOS)
1991年4月
通常CD
※ローマ三部作

☆4.5
①2:49
②6:33
③7:10
④5:14

Respighi: Roman Trilogy Import

①の出だしこそ、平均点の水準ですが、
①の終盤で加速するところから、本領発揮です!
②の深い響きと抒情性、迫力!
③の抒情性、そして④の大迫力!!!
遠くから土煙をあげて軍隊が、
圧倒的な存在感をもって近づいてくる様子が、
まるで映画を見ているかのように伝わってきます。
通常CDで「ローマの松」を聴くなら、この盤がオススメです。


◯アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィルハーモニー交響楽団(DENON)
2013年5月
SACDハイブリッド(SACD SURROUNDS/SACD STEREO/CD)
※ローマ三部作

☆4.5
①2:39
②6:33
③6:39
④5:34

レスピーギ:ローマ三部作 SACD

「ローマの松」だけなら、前述のライナー盤が最もオススメですが、
「ローマ三部作」でなおかつSACDというなら、
この盤がオススメです!
(実は、意外と「ローマ三部作」での録音は少ないのです。
往年の巨匠たちは、
三部作のうち二作(特に「祭」以外)での録音が多いです。)
若手指揮者がこれほど熱気ある見事な演奏を成し遂げたことに拍手喝采!
ようやくトスカニーニ盤が完全に過去の遺物となったな、という感じを受けました。
細部もはっきり聴こえ、実に鮮やかで、繊細かつド迫力です。
今では、「ローマ三部作」といえば、この演奏をファースト・チョイスにしています。
欲を言えば、ライブ録音の拍手はいらないかなぁ・・・

2017年10月 1日 (日)

2017年9月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2017年9月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページ及びカテゴリを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
二位.希望の讃美歌~「一羽の雀(心くじけて)」(新聖歌285)※midi付
三位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』

四位.「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知
五位.マーラー:交響曲第7番聴き比べ14種類
六位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

七位.オキナワ旅行記リターンズ2015夏(その1)〜旅行の経緯と1日目〜
八位.「九条教」では国民の平和と安全は守れない!
〜百田尚樹著『カエルの楽園』、『戦争と平和』、『大放言』を読んで

九位.ピアノ五重奏曲の甘口辛口
〜ドヴォルザーク、シューマン、フォーレ、ショスタコーヴィチ、ブラームス、フランク・・・

十位.チャイコフスキー:交響曲第5番聴き比べ(SACD編)

ブラームスの聴き比べ記事は昨年の12月以来、
ベスト3にランクインし続けています。
先月のベスト10では、
2017年9月中に書いた記事が、
2本もランクインしたのが嬉しかったです。(第八、十位)

札幌では既に9月末から雪虫を見かけました。
もしかすると、初雪は意外と早いのかも・・・
今月もご愛読よろしくお願いします。

2017年9月25日 (月)

NHKBSプレミアム・プレミアムシアター:ライプチヒ・バッハ音楽祭 2017 「ミサ曲 ロ短調」(2017年9月25日放送)

今年(2017年)90歳となった、
ヘルベルト・ブロムシュテット(Herbert Blomstedt)指揮、
ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、
ドレスデン室内合唱団他による、
バッハゆかりのライプツィヒ・聖トーマス教会での、
「ミサ曲 ロ短調」BWV 232を、
2017年9月25日、NHKBSプレミアムのプレミアムシアターで放映していました。
「ライプツィヒ・バッハ音楽祭 2017」2017年6月18日の収録です。
伝統的に、この音楽祭のファイナルが、
聖トーマス教会での「ミサ曲ロ短調」の演奏、
とのことです。
No 120 Abschlusskonzert

ソリストは以下の通りです。
ソプラノ:クリスティーナ・ランツハーマー(Christina Landshamer)
アルト:エリーザベト・クールマン(Elisabeth Kulman)
テノール:ヴォルフラム・ラトケ(Wolfram Lattke)
バス:ルカ・ピザローニ(Luca Pisaroni)

「ミサ曲 ロ短調」といえば、
どうしてもカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団の、
超名盤(1961年録音)と比較することになります。
特に「Kirie」冒頭の、神への痛切な叫び!
一応、カール・リヒターの1961年録音盤以外にも、
いろいろな盤を聴いてみましたが、
冒頭のなよなよとした響きでもうパス・・・

カール・リヒター盤(1961年録音)SACD
バッハ:ミサ曲 ロ短調 Limited Edition, SACD

ブロムシュテット指揮の「Kirie」も、やはり御多分に洩れず、
柔和な響きで始まります。
しかし、聖トーマス教会の豊かな響きと、
合唱の美しさゆえに(合唱だけなら、上記カール・リヒター盤よりも断然上手です。)、
引き込まれていきました。

「オレはスコアをこう読む!」というようなものはなく、
まったく自然体に、指揮者の解釈云々よりも、
曲自体の素晴らしさを力を抜いて奏でていきます。
オーケストラも合唱の引き立て役として、
控えめに喜びのメロディを響かせていました。
古楽器演奏に見られる、先鋭的な表現もないので、
天国的な響きがずっと続きました。

私としては、かなり久しぶりに、ミサ曲ロ短調を全曲通して聴くこととなりました。
(妻に解説しながら・・・)
何年ぶりでしょうか・・・
私は、前述のカール・リヒター盤でそれなりの回数を聴いていますので、
(かなり前ですが、一時期、車の中で繰り返し聴いていたことがあります。)
歌の主旋律はだいたい歌えるほどです(細かい装飾音は別として)。
それでも、このブロムシュテット指揮の演奏を、
淡々と聴いていると、改めて、
「なんて美しい曲なんだろう!」と感激するところが何回もありました。
思わず目が潤むようなところもチラホラ・・・
また、随所で一緒に歌ってしまいました・・・

合唱の美しさは特筆に値します。
ソリストは、テノール以外は合格点です。
(特に「Gloria」のテノールとソプラノの二重唱のところで違和感・・・)
曲の素晴らしさ、美しさを堪能できる演奏でした。

実は、この演奏、2017年11月に、Blu-ray及びDVDが発売予定です。
(下はAmazonですが、HMVから買った方が安いようです(2017年9月25日現在)
輸入盤なら、タワレコが一番安そうです。)

J.S.バッハ : ミサ曲 ロ短調 BWV232 (Bach : Mass in B minor / Blomstedt) [Blu-ray] [輸入盤] [日本語帯・解説付]

私は今回のNHKの放送を保存すればいいと思っているので、
たぶん購入しませんが・・・

1つ気になったところは、NHKの字幕が、
カトリック教会で使っている現在の典礼文と異なっているところです。
これは独自に訳するよりも、カトリック教会の典礼文を尊重した方がよかったと思います。

ちなみに、この演奏の後に放映された、
「五嶋みどり バッハを奏でる」
(既に一度NHKBSプレミアムで2017年1月30日に放映済ですが・・・)も、
Blu-rayが発売されます。
2017年10月30日発売予定です。

五嶋みどり、バッハを奏でる (Midori plays Bach ~ Sonatas and Partitas for Solo Violin) [Blu-ray] [輸入盤] [日本語帯・解説付]

2017年9月23日 (土)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部 「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」(2017年9月22日放送)

親子ほど離れたチェロとピアノのデュオ。
さながらクラシック音楽版「マイ・フェア・レディ」?
(ヴィジュアルだけで判断してゴメンナサイ・・・)
2017年9月22日放送の、NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」。
2017年7月8日東京のハクジュホールでの、
「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」から、
以下の曲を放映していました。

三善晃:「母と子のための音楽」
R・シュトラウス:「チェロ・ソナタ」Op.6
(アンコール)
カサド:「愛の言葉」
ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」

実際のコンサートでは、
ベートーヴェン:モーツァルトの「魔笛」の“娘か女か”の主題による12の変奏曲 ヘ長調 op.66
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
三善晃:「母と子のための音楽」
R・シュトラウス:「チェロ・ソナタ」Op.6
というプログラムだったとのこと。
ハクジュホールのHPに出ていました。
堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル
チェロ界の重鎮ときらめく感性のピアニスト、極上のデュオ

チェリストの堤剛さんのファンには申し訳ないですが、
私は萩原麻未さんの方に惹かれているので、
チェロよりもピアノの方にどうしても注目がいきました。

実は、今回のコンサートのプログラムのうち、
ベートーヴェンの曲を除いた3曲でのCDが、コンサートに先立って発売されています。

フランク& R. シュトラウス:ソナタ

私は発売されてすぐ購入して聴きました。
フランクのチェロ・ソナタ(ヴァイオリンパートをチェロで弾いているもの)は、
チェロが小粒かつ地味ですが、何度も聴くとその素晴らしさがわかります。
やはりピアノパートが煌めいています!
萩原麻未さんは、「日本のアルゲリッチ」に成れそうな感じですね。
実は、このCDが、萩原麻未さんにとってのデビュー盤となりました。
2010年にジュネーブ国際音楽コンクール・ピアノ部門で優勝、
という輝かしい経歴があるにも関わらず、
CDデビューまでかなり時間が経ってしまったのは少し残念です。
「題名のない音楽会」などで実演を視聴して以来、
いつCDが出るのだろうか、と楽しみにしていたところでした。

今回のNHKでの放送は、残念ながら、
フランクのチェロ・ソナタが割愛されていたので、
残る2つの地味な曲だけとなったのは残念です。

三善晃、R・シュトラウスの曲どちらが良かったかといえば、
三善晃の方でした。
ブラームスの「子守唄」みたいな旋律から始まる、
美しい小品です。
R・シュトラウスの曲はそれなりにきれいですが、
ちょっと退屈でした。

ピアノが大活躍だったのは、アンコールの2曲の方でした。
特にラフマニノフの「ヴォカリーズ」!
むしろ、彼女のソロだけで聴きたいぐらいでした。
NHKさん、ぜひ前半のベートーヴェンとフランクの分も放映してください!

2017年9月17日 (日)

チャイコフスキー:交響曲第5番聴き比べ(SACD編)

チャイコフスキーの番号付交響曲全6曲(未完と「マンフレッド」は数えないとして)中、
頻繁に取り上げられ、録音が多いのが、第4・5・6番です。
そのうち、どれが一番好きか、と言われれば、
私なら、「運命動機」が全体を支配する、豪快な第5番を挙げます。
特に好きなのは、第4楽章です。
時折第4楽章だけ聴く時もあります。

実演では、十数年前(だったと記憶していますが・・・)に、
岩城宏之指揮・札幌交響楽団の演奏をKitara大ホールで聴いたことがあります。

第5番はモノラル録音時代からたくさんの盤がありますが、
今回は、SACDに限定した聴き比べとしました。

それでは、聴き比べです。
今回は、評価低→高の順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1971年9月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
※チャイコフスキー後期交響曲集(3枚組)

☆3.0
第1楽章 15:54
第2楽章 14:30
第3楽章 06:23
第4楽章 12:45

チャイコフスキー:交響曲第4番 第5番 第6番 悲愴 Hybrid SACD

録音でかなり損をしている演奏といえます。
天下のベルリン・フィルが、
なにやらガチャガチャした響きに聴こえる時がしばしばあります。
残響が多すぎ?
もちろんカラヤン・ファンにとってはお宝なのでしょうが、
同じ70年代の演奏なら、後述のDG盤の方をオススメします。
ただ、やかましいぐらいに金管パートが鳴り響くのが快感!というなら、
持っていてOKかもしれませんね・・・


◯ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団(PENTATONE)
2010年6月
SACDハイブリッド(SACD Mulch、CD)
※チャイコフスキー交響曲全集

☆3.5
第1楽章 14:48
第2楽章 13:55
第3楽章 05:43
第4楽章 12:22

Tchaikovsky: the Symphonies & Hybrid SACD, SACD, Import

標準的な録音・演奏です。
あえていえば、第2楽章の抒情性はなかなかすばらしかったです。
第4楽章のエンディングも模範的。


◯アンドレア・バッティストーニ指揮RAI国立交響楽団(DENON)
2016年7月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング なし

☆4.0
第1楽章 15:41
第2楽章 13:17
第3楽章 06:06
第4楽章 13:07

チャイコフスキー:交響曲第5番 SACD

実は初めて聴いた時は、それほど感銘を受けませんでしたが、
3回目に聴いた時、「これ、結構凄い演奏なのでは?」
と思えるようになりました。
録音のメリハリが効いて、細部もよく聴こえ、
その上、ダイナミックさに欠けることがありません。
若武者が颯爽と駆け抜けていくようなイメージです。
欲を言えば、マルチチャンネルにしてほしかったのと、
第4楽章はもっと派手でも良かったのでは、と思いました。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(DG)
1975年10月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
※チャイコフスキー交響曲全集

☆4.0
第1楽章 15:49
第2楽章 14:35
第3楽章 06:35
第4楽章 12:40

チャイコフスキー:交響曲全集 Limited Edition, SACD

カラヤンらしい、聴かせどころがたっぷりある演奏です。
弦や金管の力強さも、本場ロシアに負けていません。
第1楽章の、序盤から盛り上がってくるところが、
この盤での一番の聴きどころでしょう。
余談ですが、SACDシングルレイヤーの凄いところは、
交響曲第5番と第6番「悲愴」を1枚に収めてしまっているところです。
(チャイコフスキー交響曲全集としては、SACD3枚組)


◯ドミトリー・キタエンコ(Dmitri Georgievich Kitaenko)指揮
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(OEHMS CLASSICS)
2011年3月
SACDハイブリッド(SACD Mulch、CD)
カップリング:歌劇「スペードの女王」序曲

☆4.5
第1楽章 15:48
第2楽章 14:40
第3楽章 06:05
第4楽章 13:01

チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64/歌劇「スペードの女王」序曲 Hybrid SACD, Import

録音が超優秀です!
この曲のスケールの大きさ、力強さ、そして繊細さがよく収録されています。
最も録音が良く、迫力ある演奏で聴きたい、というなら、
第一にオススメします。
(後述のムラヴィンスキー盤とこの盤があれば十分なのかも・・・)
ムラヴィンスキー盤より張り詰めた感じがしないので、
繰り返し聴くにも最適です。


◯ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(DG)
1960年11月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング なし

☆4.5
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章

チャイコフスキー:交響曲第5番 Limited Edition, SACD

名盤中の名盤ですね。
オケがまるで、一つの楽器であるかのように、
唖然とするしかない統率力で一丸となって感傷がみじんもない、
剛毅でパワフルな(極めて男性的な)演奏を繰り広げています。
カラヤンの演奏もすばらしいですが、
ムラヴィンスキーの辛口に比すると甘口に感じてしまいます。
チャイコフスキーの第4・5・6番といえば、
この演奏しか考えられないほどで、
一度この演奏の凄さに圧倒されてしまうと、
他は聴けなくなってしまうかもしれません・・・
あえてこの演奏の「欠点」を挙げるとすれば、
他の演奏がどれも物足りなく感じてしまうことでしょうか・・・
なお、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルの5番は、
他のレーベルでも出ていますが(Altusとか・・・)、
よほどのムラヴィンスキー・ファンでもない限り、
この1枚で十分です。
(演奏そのものはともかく、録音がどれもイマイチ・・・)

ということで、やっぱりチャイコの「第5」の極めつけは、
定盤のムラヴィンスキー盤となってしまいましたね・・・

2017年9月16日 (土)

【演奏会感想】札幌文化芸術劇場 プレイベント アンドレア・バッティストーニ指揮札幌交響楽団(2017.9.15)

指揮者アンドレア・バッティストーニが札響を初指揮!
これだけで、行かずに、聴かずにはいられませんでした。
2017年9月15日の、
札幌文化芸術劇場 プレイベント
アンドレア・バッティストーニ指揮札幌交響楽団に行ってきました。
札幌コンサートホールKitara大ホールでした。

曲目は、
(前半)
ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より”私のお父さん”
歌劇「修道女アンジェリカ」より”母もなしに”
交響的前奏曲
歌劇「トスカ」より”歌に生き、恋に生き”
歌劇「蝶々夫人」より”ある晴れた日に”
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
(後半)
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
(アンコール)
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲より”スイス軍の行進”

前半のソプラノ独唱は、木下美穂子でした。

ちなみに、札幌文化芸術劇場とは、
2018年10月にオープン予定の施設です。
(「札幌市民交流プラザ」という大型施設の中に、
オペラ上演ができる「札幌文化芸術劇場」、
札幌文化芸術交流センター、札幌図書・情報館ができる予定です。)

バッティストーニは、来年の札幌文化芸術劇場こけら落とし公演で、
ヴェルディの「アイーダ」を指揮する予定です。
そのプレイベントとして、今回のコンサートは企画されました。

今回は妻が旅行に行っていたため、一人で聴きに行きました。
私が取った席は、オーケストラの後ろ側、パイプオルガンの近くのところでした。
指揮者の指揮や表情がよく見えます。

バッティストーニは、現在30歳。
少し太り気味なのかな、と思うぽっちゃり体型です。
指揮ぶりはとてもパワフルで、ダイナミックでした。
なんとなく、「カンフー・パンダ」を連想しました(ファンのみなさん、ゴメンナサイ!)。
譜面台を置かず、指揮台の上で、まるで一人パフォーマンスか、
モダンバレエを観ているかのようでした。
(時折、一人カンフーにも見えてしまうので、「カンフー・パンダ」を連想した訳です。)

ソプラノの木下美穂子はなかなかでしたが、
やっぱり今日のメインは、情熱的な指揮に応えるオケでした!
前半の圧巻は、「ナブッコ」序曲と、「運命の力」序曲でした。
どちらかというと、普段は北欧テイストの札響が、
イタリアの情熱に染まって激しく燃えている!
フォルテッシモは、まさに音の大爆発でした!

ただし、プッチーニの「交響的前奏曲」は、少し退屈な曲だったかも・・・
(ミラノ音楽院の卒業作品、とのこと。)

後半は、レスピーギのローマ三部作より、「ローマの松」。
パイプオルガンが地味に使われています。
(ほとんど重低音ばかり・・・)
「ボルケーゼ荘の松」でKitaraがすぐに音の洪水になりました。
「ジャニコロの松」では、最後にナイチンゲール(鳥)の声が使われますが、
録音が天井板の方から聴こえてきますので、
本当の鳥が飛び交っているかのようでした。
最後の「アッピア街道の松」では、客席上部に、
バンダが現れ、音の洪水が決壊(?)しました!
「これがKitara大ホールのMaxな響きか〜!!!」
どんなSACDよりも大迫力!という感じでした。
今夜のコンサートは、いかにもクラシック音楽のコンサートというよりは、
まるでサッカーの試合みたいな熱気がありました!

バッティストーニの指揮が紡ぎ出す音楽!
札響を完全に手中に収めた感じでした。
振り上げた指揮棒が一瞬宙に止まった時、
オーケストラをまるで一個の操り人形のように操る、
その糸が見える感じがしました。

ただ、あえて言えば、「ローマの松」は、
SACDでの方が素晴らしいと思いました。

バッティストーニ指揮東京フィルハーモニー交響楽団による、
ローマ三部作のSACDは、
古くからの名盤である、トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏が、
過去のものになったなぁ〜と思わせた演奏でした。

今年(2017年)の4月には、本も出版されていたのですね。
『マエストロ・バッティストーニの ぼくたちのクラシック音楽』という本です。
機会があれば、読んでみるかも?

余談ですが、現在建設中の、
札幌市民交流プラザができることで、
残念なことが一つあります。
札幌駅直結のJRタワー最上階から、
今までは札幌テレビ塔が見えていましたが、
今では札幌市民交流プラザの高層棟の陰になってしまい、
見えなくなってしまいました・・・
仕方ないですね・・・

2017年9月 1日 (金)

2017年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2017年8月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページ及びカテゴリを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
二位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』

三位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

四位.マーラー:交響曲第7番聴き比べ14種類
五位.オキナワ旅行記リターンズ2015夏(その1)〜旅行の経緯と1日目〜
六位.「カトリック」か「カソリック」か?~誤用に潜む軽蔑と無知
七位.どの聖書が一番いいか?(新約聖書編)
八位.希望の讃美歌~「一羽の雀(心くじけて)」(新聖歌285)※midi付
九位.ピアノ五重奏曲の甘口辛口
〜ドヴォルザーク、シューマン、フォーレ、ショスタコーヴィチ、ブラームス、フランク・・・

十位.ラヴェル:ボレロ聴き比べ〜演奏時間長→短順に・・・

聴き比べ記事と教育関係の記事が先月も多く読まれているのには感謝です。
2017年8月中に書いた記事が、
1本だけランクインしたのも嬉しかったです。(第十位)

2017年7月は異常に暑かったですが、
8月は打って変わって、涼しい日が続きました。
9月1日は、はや秋の気配です・・・
今月もご愛読よろしくお願いします。

2017年8月20日 (日)

NHKEテレ・クラシック音楽館「究極の対話~弦楽四重奏の世界~」(2017年8月20日放送)

思わず目が点になる音(音楽ではなく・・・)の連続・・・
夫婦で寛ぐ日曜の夜にすご〜く気不味い雰囲気が漂い、
家の中が宇宙空間かお化け屋敷になってしまったかのよう・・・
それにも関わらず、「さすがNHK!」と思わされました。

2017年8月20日放送の、NHKEテレ・クラシック音楽館では、
「究極の対話~弦楽四重奏の世界~」と題して、
2時間まるごと弦楽四重奏曲特集をしていました。
前半、21時台がある意味「過激」でした。
「ゲンダイオンガク」のスペシャリスト集団、
アルディッティ弦楽四重奏団による、
手始めはバルトークの弦楽四重奏曲第3番(全曲)。
バルトークの「オケコン」や「弦チェレ」はようやく好きになることができましたが、
未だ弦楽四重奏曲のジャンルは手付かずでした。
良さはさっぱりわかりませんでしたが、冒頭から攻めた内容だと思いました。

続いては、リゲティの弦楽四重奏曲第2番。
リゲティ・ジェルジュ(1923−2006)はハンガリーの作曲家で、
スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」などでその音楽が使用されました。
「2001年宇宙の旅」とは関係のない作品ですが、
宇宙空間を浮遊している時の恐怖を表しているかのような、
実にミョーな曲でした。
(正直に言えば、「早く終わってほしいなぁ・・・」というのが感想でした。)

アルディッティ弦楽四重奏団の演奏の最後は、
日本の作曲家、細川俊夫の「沈黙の花」という作品でした。
演奏前に、第1ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティ (創設者)が、
この作品について、「明瞭でわかりやすい」などと発言していましたが・・・
聴いてみると、やはり「???」でした。
日本のホラー映画に使えそうな感じの曲、といったところでしょうか。
家の中がお化け屋敷になってしまったかのような・・・

珍妙な響きが出る度に、私は不快感よりも、
失笑してしまうことが多かったです。

この3曲をなんとか我慢して聴いてしまうと、
申し訳ないですが、後半22時台の、
エマーソン弦楽四重奏団による、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ(厳粛)」や、
モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番は、
ただのBGMにしか聴こえなかったです。
(それでも、地獄から天国へ、ぐらいの心地よさがありますね(*^-^))

弦楽四重奏曲の名曲についての本(なんというタイトルかは忘れましたが)で、
アルディッティ弦楽四重奏団の初演曲として、
シュトックハウゼンの「ヘリコプター弦楽四重奏曲」が紹介されていました。
4台のヘリコプターに奏者一人ずつが乗って演奏する、というキワモノです。

前半の1時間は確かに不快で、人によっては苦痛でしかないと思います。
しかし、こういう企画は、やはりNHKでしかできないなぁ〜と改めて思いました。
朝5時からの「クラシック倶楽部」ではなく、
夜の21時〜22時に、こういう番組を時には放送する、というのは、
まさに「教育」「教養」のEテレにふさわしいと思いました。

ちなみに、恥ずかしながら、
我が家には相当のCD、SACDがあるにも関わらず、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲(2017年8月現在、全集が2セットと、
後期弦楽四重奏曲だけのセットが1セットあります。)以外では、
弦楽四重奏曲のCD、SACDは、おそらく10盤もないと思います。
(ベートーヴェン以外では、ラヴェルの弦楽四重奏曲が好きです。)
どちらかというと、苦手なジャンルの一つです。
弦楽四重奏曲よりは、ピアノ五重奏曲や、
クラリネット五重奏曲のような、色彩感が生まれるような方が好きですね。

(参考)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のアルバム所有盤

アルバン・ベルク四重奏団(全集)
Beethoven: The Complete String Quartets Box set, CD, Import

エマーソン弦楽四重奏団(全集)
Beethoven : String Quartets Box set, CD, Import

ラサール弦楽四重奏団(後期:第12番〜第16番+大フーガ)
ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(第12-16番、大フーガ)

※高校生の時の愛聴盤でした。
「ベートーヴェンの最高傑作は、第9ではなく後期の弦楽四重奏曲だ!」などと、
かなり背伸びをしていたのかもしれませんね・・・

ただ、今は滅多に弦楽四重奏曲のCDを聴くことはありません。
もっぱらオーケストラ曲ばかり・・・
(たまにピアノとヴァイオリンの曲、その程度です・・・)

2017年8月15日 (火)

ガーシュウィン:ピアノ協奏曲ヘ調(Concerto in F for Piano and Orchestra)聴き比べ

ガーシュウィンの曲といえば、
「ラプソディ・イン・ブルー」(Rhapsody in Blue)や、
「パリのアメリカ人」(An American in Paris)が有名ですが、
今回紹介するピアノ協奏曲ヘ調(Concerto in F for Piano and Orchestra)も名曲です。
「ラプソディ・イン・ブルー」の終盤に出てくる、
ラフマニノフ級の甘美なメロディはありませんが、
ジャズとクラシックを同時に楽しめるような、
聴いていてウキウキする曲です。
全3楽章です。


今回聴き比べをしてみようと思ったきっかけは、
タワレコで、ドイツのレーベルOEHMS CLASSICSのSACDセールをやっていたからです。
(※2017年7月28日(金)~2017年9月15日(金)10:00まで(予定)とのこと)
〈数量限定〉OEHMS CLASSICS レーベル SACDハイブリッド・セール〈76タイトル〉

OEHMS CLASSICSのSACDは、
シモーネ・ヤング指揮による、
ブルックナーやブラームスの交響曲の録音の優秀さで注目しています。
優秀録音のSACDが1枚1300円程度で入手できるので、
手持ちにあるもの以外で何か良い録音がないかと探していたら、
見つけたのが、後述のパスカル・ロジェ(P)他による、
ガーシュウィンのピアノ協奏曲の盤でした。
(ついでに、「ラプソディ・イン・ブルー」の盤も買ったのですが、
こちらはちょっと期待ハズレ・・・録音の迫力が全然ダメです。)
音の迫力がスゴイ!

※参考
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー (GEORGE GERSHWIN An American in Paris Rhapsody in Blue / MAURICE RAVEL Concerto pour la main gauche) Hybrid SACD, Import, SACD

※買うのはオススメしません・・・

それでは、聴き比べです。
録音年月順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。

◯アール・ワイルド(Earl Wild)(P)、
アーサー・フィ−ドラー(Arthur Fiedler)指揮ボストン・ポップス・オーケストラ(BMG→SONY)
1961年5月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:ラプソディ・イン・ブルー、パリのアメリカ人、
"I Got Rhythm"変奏曲、キューバ序曲

☆4.0
第1楽章 12:05
第2楽章 10:31
第3楽章 06:16

ラプソディー・イン・ブルー~ガーシュウィン・アルバム Hybrid SACD, SACD

録音年代は古いですが、そんなことは感じさせないほど、
音が瑞々しいです。
オケが奔流のように暴れまくっている!
いかにも、これぞアメリカン!という感じです。
多少、オケのごちゃごちゃ感がありますが、全体的な愉しさの前に、
あまり気にならないほどです。
この録音で、アール・ワイルド(Earl Wild)というピアニストを知りました。
アール・ワイルドでは、他にラフマニノフのピアノ協奏曲全集と、
映画音楽のアルバムをもっています。
どちらもステキなアルバムです。

(参考)
Piano Concertos 1-4 / Rhapsody on Theme Paganini Import

Earl Wild Goes To The Movies Import

※フィギュアスケートの宮原知子さんがフリープログラムで使った、
リストの「ため息」が収録されています。


◯エレーヌ・グリモー(P)
デイヴィッド・ジンマン指揮ボルティモア交響楽団(ERATO→WARNER)
1997年5月
通常CD
カップリング ラヴェル:ピアノ協奏曲

☆3.5
第1楽章 13:46
第2楽章 11:47
第3楽章 06:54

ラヴェル&ガーシュウィン:ピアノ協奏曲

昔はこの盤だけで十分でしたが、
(聴きくらべしようとは思わなかったです・・・)
改めて、聴き比べしてみると、
音質等で小粒ぶりが耳についてしまいました・・・
SACDの録音と比較してみると、かなり色褪せてしまうというか・・・
ガーシュウィンなのに、
まるでブラームスとかのドイツ音楽みたいな内省的さが感じられます。
全体的におとなしめ・・・
グリモーがお好きならオススメですけどね。
(以前は大好きなピアニストでしたが、最近はあまり聴かなくなりました。
特に、DG移籍後は、イマイチが多いかも・・・)
「パリのアメリカ人」ならぬ「アメリカのパリジャン」という感じです。

◯パスカル・ロジェ(Pascal Roge)(P)
ベルトラン・ド・ビリー(Bertrand de Billy)指揮ウィーン放送交響楽団(OEHMS)
※”Roge"の”e"には、「´」(アクサン‐テギュaccent aigu)がつきます。
2004年2月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング ラヴェル:ピアノ協奏曲

☆4.5
第1楽章 13:45
第2楽章 12:11
第3楽章 06:53

ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 ヘ長調/ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調(GERSHWIN / RAVEL: Concertos For Piano & Orchestra) Import, SACD


SACDのスゴさを堪能することができるアルバムといえましょう。
パスカル・ロジェといえば、
DECCAでエリック・サティとかのフランスものの録音をしているのしか、
印象になかったです。
録音の豪快さが、多少のことをふっ飛ばして楽しく聴けてしまいます。
SACDなのに1300円程度で買えたのは、もうけものでした!


ステファノ・ボラーニ(Stefano Bollani)(P)
リッカルド・シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(DECCA)
2010年1月
通常CD(SHM-CD)
カップリング:ラプソディ・イン・ブルー、キャットフィッシュ・ロウ、リアルト・リップルズ

☆4.5
第1楽章 12:16
第2楽章 10:16
第3楽章 06:29

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー、ピアノ協奏曲 ヘ調、他


演奏家・演奏団体名を伏せて聴いたら、
たぶんアメリカのオケとアメリカのジャズ・ピアニストの共演と思うはずです。
しかし、実はイタリアのジャズ・ピアニストと、
イタリア出身の名指揮者に、世界最古のオーケストラの共演だった、というのが、
衝撃モノだと思います。
たまたまAmazonで試聴しただけで、録音のスゴさがわかりました。
通常CDですが、音の迫力はSACD並で、
もしかすると、前述のパスカル・ロジェ盤以上かもしれません。
音の鮮烈さが痛快です!
愉しさもバツグンで、ついつい最初から最後まで通して聴きたくなるCDです。
全体的にテンポが速めですが、それがプラスに作用しています。

2017年8月 4日 (金)

ラヴェル:ボレロ聴き比べ〜演奏時間長→短順に・・・

ラヴェルの代表作といえば・・・
「マ・メール・ロワ」や「ダフニスとクロエ」、あるいはピアノ協奏曲や、
「ラ・ヴァルス」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」いろいろ挙げるかもしれませんが、
やはり「ボレロ」を挙げるのが妥当ですよね。

高校生の時に初めてラヴェルのCDを買って、最も気に入ったのが、
「ボレロ」と「ダフニスとクロエ」でした。
ちなみに、演奏はシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団でした。
(後で取り上げます。)

あと、「愛と哀しみのボレロ」(原題:Les Uns et les Autres→直訳すると「自己と他者)
という映画で、
最後に主要登場人物が一堂に会して、
ジョルジュ・ドン振付のボレロを踊るシーンが記憶に残っています。
(3時間もの上映時間で、観るのにくたびれましたが・・・)

愛と哀しみのボレロ Blu-ray


今回どうして聴き比べしてみようかと思ったかと言えば、
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、「海」の聴き比べのついでに、
よく聴いたからです。
(カップリングで「ボレロ」が収録されていることが多いです。)

ボレロといえば、最後の2小節を除いて、同じメロディ、リズムが執拗に繰り返される作品ですね。
ともすると、メカニック的なので、誰が指揮しても同じになるのかな、
と思ってしまいますが、やはり指揮者ごとの個性や受ける感銘が違ってきます。
今回は、いつもの録音年代順、あるいはオススメ度順ではなく、
録音時間の長→短という順で紹介します。

それでは、聴き比べです。
録音時間の長→短順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
ちなみに、この曲の評価ポイントは、
①冒頭、最も音量が小さいところもはっきり聴こえる。
(残念ながら、なんとなくいつの間にか始まっている、というのが多いです・・・)
②全体的なバランス
③クライマックスの迫力
の3つです。

◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(WARNER)
1994年6月
通常CD
※”French & Russian Music"

☆3.5
18:11

French and Russian Music Box set, Import

今回紹介する盤中、最もゆったりとした展開です。
重戦車が通っていくかのよう・・・
「ボレロ」にヒントを得た作品である、
ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」の第1楽章を
なんとなく想起してしまうほどでした・・・
しかし、極端にノロい、という感じは受けませんでした。
ただ、上記評価ポイントの①は弱すぎでした。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆3.5
16:13

ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ

チェリビダッケ盤よりは足取りが軽いですが、
フランスのエスプリよりもドイツ的重厚さを感じさせます。
(それがお好みならOKなのでしょうけど・・・)
クライマックスはさすがカラヤン!
ただ、チェリビダッケ盤同様、①冒頭部が弱すぎです。


◯ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団(LSO LIVE)
2009年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:「ダフニスとクロエ」(全曲)、亡き王女のためのパヴァーヌ

☆3.5
15:46

VALERY GERGIEV - RAVEL DAPHNE ET CHLOE CD, Hybrid SACD, Import, SACD, Special Edition

思ったより正統派の演奏でした。
これも①が弱すぎ・・・
録音はマルチチャンネルですが、あまり効果が出ていないかも・・・


◯ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
1974年12月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング:ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌、
ダフニスとクロエ第2組曲

☆5.0
15:37

ラヴェル:管弦楽曲集 SACD

冒頭からハッキリ、クッキリ!!!
最弱音や、今まで聴き逃していたパートもよく聴こえます。
ラストでは、音の波に飲み込まれてしまうかのようなド迫力!
ボレロはこうでなくちゃ!と言いたくなる名演です。
SACDとしての優秀録音もすばらしいです。
ブラボー!!!

◯デュトワ指揮モントリオール交響楽団
1981年7月
通常CD
※ラヴェル:管弦楽曲集 2枚組CD

☆4.0
15:05

ラヴェル:管弦楽曲集

※私が持っているのは輸入盤ですが、上記国内盤と同じ収録曲です。
輸入盤の方は2017年8月現在、Amazonでは入手不可のようです。

最も標準的、模範的な演奏といえます。
ファースト・チョイスにはぴったりかも・・・
(私もこの演奏で、ボレロを初めて聴きました。)

◯ブーレーズ指揮ベルリン・フィル
1993年3月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:マ・メール・ロワ、海原の小舟、道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲
※SACDは2枚組。Amazonでは現在品切れ。

☆4.0
14:58

ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、他

※通常CDを紹介しています。

こちらも標準的な演奏といえます。
旧盤の方が感銘度が高いです。
なお、今手持ちのSACDハイブリッド盤ですが、
SACDとしての超優秀録音・・・というわけでもなさそうでした。
通常CDで十分なのでは、と思います。

◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」、「海」

☆4.5
14:47

ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD

今回紹介した盤の中で、最も演奏時間が短いです。
メカニックなまでの正確さが痛快に感じます。
ブーレーズ旧盤と同様、
最初からハッキリ、クッキリ聴こえるところが高評価のポイントです。
演奏の迫力も見事です。

ということで、「ボレロ」どれか1盤、というなら、
迷わずブーレーズ旧盤、
ついでショルティ盤、
中庸ならデュトワ盤をオススメします。

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