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2017年11月19日 (日)

映画「この世界の片隅に」

2016年公開の映画「この世界の片隅に」を、ようやく劇場で観ました。
2017年11月18日(土)、
札幌の狸小路、札幌プラザ2・5 での、1日限りの有料上映会でした。
(当日券で1200円)
日本語字幕が付いていました。
(余談ですが、アニメ作品はぜひとも字幕をつけてほしいものです。
深夜に放映するものも含めて・・・
これまた余談ですが、2017年11月12日に、「シン・ゴジラ」が地上波初放送でした。
早口で晦渋なセリフに字幕放送があって、理解が深まりました。)
午前と午後1回ずつの上映があり、私は午後の方に行きました。
場内は7〜8割の入りだったと思います。

実に淡々としたストーリー展開で、
なんとなく、のほほんと(生活の厳しさは別ですが)暮らしてきた、
普通の既婚女性の戦争前、戦時中、戦後直後を静かに描きます。
綿密な調査に基づく時代考証が、
「すずさん」という女性とその周りの人達、
そして時代と地域を、淡いタッチなのにリアリティをもたせています。

従来の、戦争映画・反戦映画(又はドラマ)=重くて暗い(「火垂るの墓」など・・・)を、
見事に覆し、「こういう描き方から戦争体験を描けるのか・・・」と、
驚嘆に値する作品となっていました。
約2時間、観ている私は、まるであの時の呉にいるかのようでした・・・

オープニングで歌われる、「悲しくてやりきれない」が、あとでじわじわと効いてきました。
前半はクスッとするところもいくらかあるのですが、
後半は、涙を流すところが何ヶ所もありました。

広島の原爆についても当然出てきますが、
残酷描写が僅かなのが、私にとってはかえって良かったです。
(ことさらに地獄絵を見せつけられるのはたまりません・・・)
主人公・すずにとって、最も悲劇的なところの象徴的な描写は、
アニメならではのとても効果的な表現になっていました。

よく、毎年8月になると、原爆の悲惨さを訴えるために、
ことさら、むごたらしい火傷を負った少年の写真とか、
その類のもので、「戦争反対!」を訴える団体がありますが、
あれは、かえって逆効果なのではないでしょうか。
正直に言いますが、私は正視に堪えません。

憎むよりも、愛すること。
恐れよりも、愛・・・

「この世界の片隅に」の主人公・すずのような、
名もなき庶民のささやかな幸せ、泣き笑いに共感することが、
高飛車な「世界平和」とか「戦争反対」よりも、もっと大事なことなのかもしれないですね。

主人公・すずの声を演じた「のん」さんは実に見事でした。
「あまちゃん」以上に、彼女の代表作になるのかも・・・

民放だとまだ「のん」さんを全面に押し出すと、いろいろしがらみがあるようですから、
ぜひNHKで、毎年8月にノーカット放映してもらいたいものです。

2017年11月 4日 (土)

実は名曲?〜ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調『1917年』Op.112

ショスタコーヴィチ(以下「ショスタコ」)の15曲の交響曲中、
最も有名で人気が高いのは、疑いなく第5番です。
では、ショスタコマニアの間で評価が高いといえば、
第4番や第8番、あるいは第10番あたりですね。
しかし私としては、それらは今のところどうも好きになれません。
今までは、第5番以外では、軽やかな第9番と、
第7番「レニングラード」の第1、第2楽章、
それと第10番の第2楽章だけが、ショスタコの交響曲で好きなところでした。

2017年9月30日放送の、BS日テレ「読響シンフォニックライブ」で、
川瀬賢太郎(以下敬称略)指揮読響による、
ショスタコーヴィチの交響曲第12番
の演奏がありました。
2017年6月7日ミューザ川崎シンフォニーホールにて収録されたものです。
録画して放送日のしばらく後に観ました。

ショスタコの第12番は、タイトルと各楽章のタイトルを見ただけで、
なにかウンザリするような、政治的で「革命バンザイ!」、
共産党体制に阿るニオイがプンプンしているので、
もともと聴くのを敬遠していた曲です。
ショスタコファンの方のいろいろなブログ記事等を拝見しても、
「空虚」「映画音楽」「中身が薄い」「駄作」・・・等々否定的な見解が多いようです。

観る前は、
「なんだ、今回の『読響シンフォニックライブ』は、ショスタコの第12番か・・・」と、
つまらなかったらさっさと録画消去するつもりでした。
しかし意外にも、聴き始めてみると、豪快でなかなか愉しげな曲でした。
第4楽章のクドすぎるフィナーレには、さすがに辟易しましたが・・・

ようやく興味をもって、我が家にあるショスタコの交響曲全集(2セット)から、
盤を取り出して聴いてみました。

我が家にある、ショスタコの交響曲全集は、2017年11月現在、
以下の2セットです。

◯ルドルフ・バルシャイ指揮ケルンWDR交響楽団(Brilliant Classics)
※通常CD11枚組

ショスタコーヴィチ:交響曲全集 (Shostakovish: Symphonies) Box set, CD, Import

◯ドミトリー・キタエンコ指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(CAPRICCIO)
※SACDハイブリッド12枚組

ショスタコーヴィチ:交響曲全集[SACD-Hybrid] SACD, Box set, Import

最初に聴いたのが、キタエンコ盤でした。
これがどストライク!!!
第1楽章のカッコよさ、多少沈滞気味の第2,3楽章を経て、
クドすぎるけど迫力満点の第4楽章!!!
すっかりハマってしまいました。
メロディの親しみやすさ、わかりやすさは、映画音楽みたいです。

ショスタコの作品、特に交響曲は、
政治的なものと結びついて語られることが多いです。
確かにそのとおりなのでしょう。
しかし、たとえばベートーヴェンやワーグナーがどういう政治哲学をもっていたか、
そんなことはどうでもいいように(作品そのものが素晴らしければいい!)、
ショスタコの作品も、
そろそろ20世紀の政治的呪縛から解放してあげてもいいのではないでしょうか。

この第12番、各楽章のタイトル(第1楽章「革命のペトログラード」・・・)を全く無視して、
そもそもの曲のタイトル「1917年」すら無視して、
音だけを何の固定観念をもたずに聴けば、
ショスタコの交響曲第5番に次ぐポピュラリティをもっていると私は思います。
長過ぎる「レニングラード」や、軽やかすぎる「第9番」よりも!
ハリウッドの冒険映画のサントラを聴いているような感覚です。
第4楽章のクドすぎるフィナーレも、聴くたびに好きになりました。

ショスタコの本質は、救いようのない暗さであって、
第12番のような作品は不本意なものだ、と言いたい方がおられるかもしれません。
でも私は、どうもそういう暗さが苦手だし、好きではありません。
得体の知れない絶望感とか・・・
(そういうのは、現実だけでたくさんだ、と思っています。
何も芸術でそういうのに付き合いたいとは思いません。)

あと、この曲を「映画音楽的だ・・・」と貶している方もいるようですが、
映画音楽はそんなに価値がないものなのでしょうか?
ジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」その他の映画音楽や、
伊福部昭の「ゴジラ」の曲、あるいはニーノ・ロータやモリコーネの映画音楽と、
20世紀後半のいわゆる「ゲンダイオンガク」では、
後世まで聴く人が絶えないのは、映画音楽の方だと思います。
わかりやすくて大スペクタクル、万々歳です!
音楽は、やはり聴いて愉しい、ウキウキする、高揚感があるものこそ、
私にとっては価値があります。

ところで、バルシャイ盤の方も聴いてみたのですが、
第1楽章の最初で聴くのをパスしました。
キタエンコ盤と比べると、白黒とカラー、
あるいは2Dと3Dくらいの違いがありました。
媒体(CDとSACD)の差が如実に出た結果といえます。

この曲の初演者、ムラヴィンスキー盤も機会があれば聴いてみたいとは思いますが、
私にとっては暫くはこのキタエンコ盤があれば十分です。
録音優秀です。

2017年11月 2日 (木)

仲道郁代とファジル・サイのショパン

2017年9月から、BSフジで放送されている、
仲道郁代 ロマンティックなピアノ』という5分番組を、
毎週録画して視聴しています。
仲道郁代(以下敬称略)が、
毎週ピアノの名曲の一部をちょっとした解説を加えながら弾く、という内容です。
5分番組ですが、実質上中身は2〜3分です。
(2017年11月現在、毎週金曜23:55〜0:00)

先日、この番組で、ショパンのピアノ協奏曲第1番を取り上げていました。
仲道郁代が番組中で弾いたのは、
第2楽章の冒頭部分(ピアノ・ソロが出て来るところ)でした。
(もちろん、オーケストラ伴奏はありません。)
わずかな時間で、しかも第2楽章の冒頭だけでしたが、
「なんと美しい演奏だろう!」と驚嘆しました。
思わず、彼女の弾いたショパンのピアノ協奏曲のCDを衝動買いしてしまいました・・・
(仲道郁代が弾くショパンのピアノ協奏曲第1番、第2番のCDは2種類ありますが、
今回入手したのは、古い録音の方です。
新しい録音は、SACDですが、古楽っぽい、ということなので、パス・・・)

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

(参考)新録音盤

ショパンのピアノ協奏曲第1番、第2番のCD(SACD)は何種類も所有していますが、
この仲道郁代盤は愛聴盤になるかもしれません・・・

ショパンといえば、先日、ファジル・サイが弾くショパンの夜想曲集が発売されました。

国内盤(私はこちらを買いました。SACDハイブリッド盤です。)

(参考)輸入盤※通常CD

「ファジル・サイがショパン?」と意外な組み合わせに、少しワクワクしていましたが、
実際に聴いてみると、すごくいい演奏でした!
あまりボリュームを上げないで、寝る前に聴くと、実にいいですよ。
甘口のノクターンではないですが、
まるでBARで静かに奏でられているかのような、オトナの演奏です。
こちらも気に入りました。

(2017.11.5追記)
「仲道郁代 ロマンティックなピアノ」について、
ご本人がコメントしているニュース記事を見つけましたので、紹介します。
ピアニスト・仲道郁代「真っ暗な部屋で感じた音の向こうのブラックホール」
(2017)11/4(土) 16:56配信(夕刊フジ)

2017年9月25日 (月)

NHKBSプレミアム・プレミアムシアター:ライプチヒ・バッハ音楽祭 2017 「ミサ曲 ロ短調」(2017年9月25日放送)

今年(2017年)90歳となった、
ヘルベルト・ブロムシュテット(Herbert Blomstedt)指揮、
ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、
ドレスデン室内合唱団他による、
バッハゆかりのライプツィヒ・聖トーマス教会での、
「ミサ曲 ロ短調」BWV 232を、
2017年9月25日、NHKBSプレミアムのプレミアムシアターで放映していました。
「ライプツィヒ・バッハ音楽祭 2017」2017年6月18日の収録です。
伝統的に、この音楽祭のファイナルが、
聖トーマス教会での「ミサ曲ロ短調」の演奏、
とのことです。
No 120 Abschlusskonzert

ソリストは以下の通りです。
ソプラノ:クリスティーナ・ランツハーマー(Christina Landshamer)
アルト:エリーザベト・クールマン(Elisabeth Kulman)
テノール:ヴォルフラム・ラトケ(Wolfram Lattke)
バス:ルカ・ピザローニ(Luca Pisaroni)

「ミサ曲 ロ短調」といえば、
どうしてもカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団の、
超名盤(1961年録音)と比較することになります。
特に「Kirie」冒頭の、神への痛切な叫び!
一応、カール・リヒターの1961年録音盤以外にも、
いろいろな盤を聴いてみましたが、
冒頭のなよなよとした響きでもうパス・・・

カール・リヒター盤(1961年録音)SACD
バッハ:ミサ曲 ロ短調 Limited Edition, SACD

ブロムシュテット指揮の「Kirie」も、やはり御多分に洩れず、
柔和な響きで始まります。
しかし、聖トーマス教会の豊かな響きと、
合唱の美しさゆえに(合唱だけなら、上記カール・リヒター盤よりも断然上手です。)、
引き込まれていきました。

「オレはスコアをこう読む!」というようなものはなく、
まったく自然体に、指揮者の解釈云々よりも、
曲自体の素晴らしさを力を抜いて奏でていきます。
オーケストラも合唱の引き立て役として、
控えめに喜びのメロディを響かせていました。
古楽器演奏に見られる、先鋭的な表現もないので、
天国的な響きがずっと続きました。

私としては、かなり久しぶりに、ミサ曲ロ短調を全曲通して聴くこととなりました。
(妻に解説しながら・・・)
何年ぶりでしょうか・・・
私は、前述のカール・リヒター盤でそれなりの回数を聴いていますので、
(かなり前ですが、一時期、車の中で繰り返し聴いていたことがあります。)
歌の主旋律はだいたい歌えるほどです(細かい装飾音は別として)。
それでも、このブロムシュテット指揮の演奏を、
淡々と聴いていると、改めて、
「なんて美しい曲なんだろう!」と感激するところが何回もありました。
思わず目が潤むようなところもチラホラ・・・
また、随所で一緒に歌ってしまいました・・・

合唱の美しさは特筆に値します。
ソリストは、テノール以外は合格点です。
(特に「Gloria」のテノールとソプラノの二重唱のところで違和感・・・)
曲の素晴らしさ、美しさを堪能できる演奏でした。

実は、この演奏、2017年11月に、Blu-ray及びDVDが発売予定です。
(下はAmazonですが、HMVから買った方が安いようです(2017年9月25日現在)
輸入盤なら、タワレコが一番安そうです。)

J.S.バッハ : ミサ曲 ロ短調 BWV232 (Bach : Mass in B minor / Blomstedt) [Blu-ray] [輸入盤] [日本語帯・解説付]

私は今回のNHKの放送を保存すればいいと思っているので、
たぶん購入しませんが・・・

1つ気になったところは、NHKの字幕が、
カトリック教会で使っている現在の典礼文と異なっているところです。
これは独自に訳するよりも、カトリック教会の典礼文を尊重した方がよかったと思います。

ちなみに、この演奏の後に放映された、
「五嶋みどり バッハを奏でる」
(既に一度NHKBSプレミアムで2017年1月30日に放映済ですが・・・)も、
Blu-rayが発売されます。
2017年10月30日発売予定です。

五嶋みどり、バッハを奏でる (Midori plays Bach ~ Sonatas and Partitas for Solo Violin) [Blu-ray] [輸入盤] [日本語帯・解説付]

2017年9月23日 (土)

NHKBSプレミアム・クラシック倶楽部 「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」(2017年9月22日放送)

親子ほど離れたチェロとピアノのデュオ。
さながらクラシック音楽版「マイ・フェア・レディ」?
(ヴィジュアルだけで判断してゴメンナサイ・・・)
2017年9月22日放送の、NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」。
2017年7月8日東京のハクジュホールでの、
「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」から、
以下の曲を放映していました。

三善晃:「母と子のための音楽」
R・シュトラウス:「チェロ・ソナタ」Op.6
(アンコール)
カサド:「愛の言葉」
ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」

実際のコンサートでは、
ベートーヴェン:モーツァルトの「魔笛」の“娘か女か”の主題による12の変奏曲 ヘ長調 op.66
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
三善晃:「母と子のための音楽」
R・シュトラウス:「チェロ・ソナタ」Op.6
というプログラムだったとのこと。
ハクジュホールのHPに出ていました。
堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル
チェロ界の重鎮ときらめく感性のピアニスト、極上のデュオ

チェリストの堤剛さんのファンには申し訳ないですが、
私は萩原麻未さんの方に惹かれているので、
チェロよりもピアノの方にどうしても注目がいきました。

実は、今回のコンサートのプログラムのうち、
ベートーヴェンの曲を除いた3曲でのCDが、コンサートに先立って発売されています。

フランク& R. シュトラウス:ソナタ

私は発売されてすぐ購入して聴きました。
フランクのチェロ・ソナタ(ヴァイオリンパートをチェロで弾いているもの)は、
チェロが小粒かつ地味ですが、何度も聴くとその素晴らしさがわかります。
やはりピアノパートが煌めいています!
萩原麻未さんは、「日本のアルゲリッチ」に成れそうな感じですね。
実は、このCDが、萩原麻未さんにとってのデビュー盤となりました。
2010年にジュネーブ国際音楽コンクール・ピアノ部門で優勝、
という輝かしい経歴があるにも関わらず、
CDデビューまでかなり時間が経ってしまったのは少し残念です。
「題名のない音楽会」などで実演を視聴して以来、
いつCDが出るのだろうか、と楽しみにしていたところでした。

今回のNHKでの放送は、残念ながら、
フランクのチェロ・ソナタが割愛されていたので、
残る2つの地味な曲だけとなったのは残念です。

三善晃、R・シュトラウスの曲どちらが良かったかといえば、
三善晃の方でした。
ブラームスの「子守唄」みたいな旋律から始まる、
美しい小品です。
R・シュトラウスの曲はそれなりにきれいですが、
ちょっと退屈でした。

ピアノが大活躍だったのは、アンコールの2曲の方でした。
特にラフマニノフの「ヴォカリーズ」!
むしろ、彼女のソロだけで聴きたいぐらいでした。
NHKさん、ぜひ前半のベートーヴェンとフランクの分も放映してください!

2017年8月26日 (土)

映画「ハイジ アルプスの物語」(原題『HEIDI』)2017年8月26日日本公開(2015年スイス・ドイツ製作)

2017年8月26日公開の映画「ハイジ アルプスの物語」を、
妻と一緒に早速鑑賞しました。
数ヶ月前に、Yahoo!ニュースでこの映画が公開されることを知り、
楽しみに待っていました。
北海道では、8月26日現在、ディノスシネマズ札幌劇場のみの上映です。

アニメ「アルプスの少女ハイジ」は私ども夫婦どちらも大好きな作品です。
特に妻は、DVDで全話を何度も観て、ある程度セリフを覚えているほどです。
アニメでは全52話もあるので、丁寧なエピソード展開がありますが、
映画は111分(約2時間)なので、どうしてもストーリーをなぞるだけになってしまうのは、
致し方無い事です。

入場時にチケットを切ってもらうと、
スイス政府観光局が発行した、「ハイジの愛したアルプスの世界」
という小冊子をいただきました。
表紙・裏表紙を入れて60頁の実にステキな冊子です。
単なる観光案内、名所紹介ではなく、
アニメ「アルプスの少女ハイジ」に出てくるシーンと、
そのモデルになった場所の写真との対比が興味深く、魅力的です。

さて、映画が始まりました。
映画冒頭から、アルプスの爽やかな美しい景色が拡がります。
映画全体として、
アニメ版の「アルプスの少女ハイジ」をダイジェストにして、
実写化したような展開となっています。
(公式HPによると、監督のアラン・グスポーナーは、
子どもの頃にアニメ「アルプスの少女ハイジ」を観て育った、とのこと。)

ハイジ役のアヌーク・シュテフェンは可愛らしく、
フランクフルトで綺麗な服を着て、髪を整えているところは、
クララ役以上の美少女だと思いました。

しかし圧巻は、おんじ役のブルーノ・ガンツです。
「ベルリン・天使の詩」や「ヒトラー 〜最期の12日間〜」で有名ですね。
まさにアニメ版のおんじにそっくり!
声まで似ているように思えました。
最初は人を寄せ付けない様子が、だんだんとハイジに情が移り、
冬にペーターの家へハイジと一緒にソリで滑り降りていくシーンでは、
なんだかサンタのおじさんみたいな福顔にまでなっていました。

映画前半では、アルプスの様子や、ハイジがペーターと遊ぶところに、
きちんと時間がとられていました。
中間部、フランクフルトででの生活は、
コンパクトにまとまっていました。
妻曰く、「ロッテンマイヤーさんが美人」とのこと・・・
アニメで描かれた、動物が苦手な故のコミカルなシーンも出てきました。

アニメとこの映画では、宗教的な要素はバッサリカットされています。
代わって、隠れたテーマとしては、「教育の大切さ」が描かれています。
文字が全然読めなかったし、読む必要を感じなかったハイジが、
どうして文字に興味をもち、読めるようになったか、というのも、
大事なシーンだと思いました。

映画後半、クララが立てるようになるところは、少しあっさりしていました。
アニメとは違い、
原作通りのペーターの行動(クララの車椅子をわざとに谷に落として壊す)も描かれています。

一番感動したシーンは、アニメ版と同じ、ハイジがフランクフルトから、
おんじの元に帰るところでした。
(どういう描かれ方かは、ネタバレしないよう、あえて書かないことにします。)
ここは涙が出てきました。

上映(私どもは、朝一番の回で観ました。)後、
すぐさま第2回目の上映(吹替版。私どもが観たのは字幕版。)が始まるというので、
行列ができていました。
概ね40代以上の方が多かったと思いました。

「ハイジ」の実写映画は、これまで2作品観ており、
これが3作品目になりますが、
この作品がアニメ「アルプスの少女ハイジ」に最も近い作品だと思いました。
(参考)
「ハイジ」実写版2作品
アニメ「アルプスの少女ハイジ」ファンの方にはもちろん、
「ハイジ」を知らない、観たこともない小中学生にもオススメできる、
ステキな作品だと思いました。

(参考)
アニメ版Blu-ray BOX

アニメ版DVD BOX

(こちらが我が家にあります。)

原作(映画パンフレットで紹介されていたもの)

※表紙の絵は、いわさきちひろ作、とのこと。


原作(私が読んだ方)※岩波少年文庫 上・下
上巻

下巻

2017年8月20日 (日)

NHKEテレ・クラシック音楽館「究極の対話~弦楽四重奏の世界~」(2017年8月20日放送)

思わず目が点になる音(音楽ではなく・・・)の連続・・・
夫婦で寛ぐ日曜の夜にすご〜く気不味い雰囲気が漂い、
家の中が宇宙空間かお化け屋敷になってしまったかのよう・・・
それにも関わらず、「さすがNHK!」と思わされました。

2017年8月20日放送の、NHKEテレ・クラシック音楽館では、
「究極の対話~弦楽四重奏の世界~」と題して、
2時間まるごと弦楽四重奏曲特集をしていました。
前半、21時台がある意味「過激」でした。
「ゲンダイオンガク」のスペシャリスト集団、
アルディッティ弦楽四重奏団による、
手始めはバルトークの弦楽四重奏曲第3番(全曲)。
バルトークの「オケコン」や「弦チェレ」はようやく好きになることができましたが、
未だ弦楽四重奏曲のジャンルは手付かずでした。
良さはさっぱりわかりませんでしたが、冒頭から攻めた内容だと思いました。

続いては、リゲティの弦楽四重奏曲第2番。
リゲティ・ジェルジュ(1923−2006)はハンガリーの作曲家で、
スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」などでその音楽が使用されました。
「2001年宇宙の旅」とは関係のない作品ですが、
宇宙空間を浮遊している時の恐怖を表しているかのような、
実にミョーな曲でした。
(正直に言えば、「早く終わってほしいなぁ・・・」というのが感想でした。)

アルディッティ弦楽四重奏団の演奏の最後は、
日本の作曲家、細川俊夫の「沈黙の花」という作品でした。
演奏前に、第1ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティ (創設者)が、
この作品について、「明瞭でわかりやすい」などと発言していましたが・・・
聴いてみると、やはり「???」でした。
日本のホラー映画に使えそうな感じの曲、といったところでしょうか。
家の中がお化け屋敷になってしまったかのような・・・

珍妙な響きが出る度に、私は不快感よりも、
失笑してしまうことが多かったです。

この3曲をなんとか我慢して聴いてしまうと、
申し訳ないですが、後半22時台の、
エマーソン弦楽四重奏団による、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ(厳粛)」や、
モーツァルトの弦楽四重奏曲第15番は、
ただのBGMにしか聴こえなかったです。
(それでも、地獄から天国へ、ぐらいの心地よさがありますね(*^-^))

弦楽四重奏曲の名曲についての本(なんというタイトルかは忘れましたが)で、
アルディッティ弦楽四重奏団の初演曲として、
シュトックハウゼンの「ヘリコプター弦楽四重奏曲」が紹介されていました。
4台のヘリコプターに奏者一人ずつが乗って演奏する、というキワモノです。

前半の1時間は確かに不快で、人によっては苦痛でしかないと思います。
しかし、こういう企画は、やはりNHKでしかできないなぁ〜と改めて思いました。
朝5時からの「クラシック倶楽部」ではなく、
夜の21時〜22時に、こういう番組を時には放送する、というのは、
まさに「教育」「教養」のEテレにふさわしいと思いました。

ちなみに、恥ずかしながら、
我が家には相当のCD、SACDがあるにも関わらず、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲(2017年8月現在、全集が2セットと、
後期弦楽四重奏曲だけのセットが1セットあります。)以外では、
弦楽四重奏曲のCD、SACDは、おそらく10盤もないと思います。
(ベートーヴェン以外では、ラヴェルの弦楽四重奏曲が好きです。)
どちらかというと、苦手なジャンルの一つです。
弦楽四重奏曲よりは、ピアノ五重奏曲や、
クラリネット五重奏曲のような、色彩感が生まれるような方が好きですね。

(参考)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のアルバム所有盤

アルバン・ベルク四重奏団(全集)
Beethoven: The Complete String Quartets Box set, CD, Import

エマーソン弦楽四重奏団(全集)
Beethoven : String Quartets Box set, CD, Import

ラサール弦楽四重奏団(後期:第12番〜第16番+大フーガ)
ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(第12-16番、大フーガ)

※高校生の時の愛聴盤でした。
「ベートーヴェンの最高傑作は、第9ではなく後期の弦楽四重奏曲だ!」などと、
かなり背伸びをしていたのかもしれませんね・・・

ただ、今は滅多に弦楽四重奏曲のCDを聴くことはありません。
もっぱらオーケストラ曲ばかり・・・
(たまにピアノとヴァイオリンの曲、その程度です・・・)

2017年8月 4日 (金)

ラヴェル:ボレロ聴き比べ〜演奏時間長→短順に・・・

ラヴェルの代表作といえば・・・
「マ・メール・ロワ」や「ダフニスとクロエ」、あるいはピアノ協奏曲や、
「ラ・ヴァルス」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」いろいろ挙げるかもしれませんが、
やはり「ボレロ」を挙げるのが妥当ですよね。

高校生の時に初めてラヴェルのCDを買って、最も気に入ったのが、
「ボレロ」と「ダフニスとクロエ」でした。
ちなみに、演奏はシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団でした。
(後で取り上げます。)

あと、「愛と哀しみのボレロ」(原題:Les Uns et les Autres→直訳すると「自己と他者)
という映画で、
最後に主要登場人物が一堂に会して、
ジョルジュ・ドン振付のボレロを踊るシーンが記憶に残っています。
(3時間もの上映時間で、観るのにくたびれましたが・・・)

愛と哀しみのボレロ Blu-ray


今回どうして聴き比べしてみようかと思ったかと言えば、
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、「海」の聴き比べのついでに、
よく聴いたからです。
(カップリングで「ボレロ」が収録されていることが多いです。)

ボレロといえば、最後の2小節を除いて、同じメロディ、リズムが執拗に繰り返される作品ですね。
ともすると、メカニック的なので、誰が指揮しても同じになるのかな、
と思ってしまいますが、やはり指揮者ごとの個性や受ける感銘が違ってきます。
今回は、いつもの録音年代順、あるいはオススメ度順ではなく、
録音時間の長→短という順で紹介します。

それでは、聴き比べです。
録音時間の長→短順に紹介します。
指揮者、オケ名、レーベル、録音年月、
スペック(通常CD,SACD ハイブリッドorシングルレイヤー)、
(2ch Stereo or Surround etc...) 、
カップリング曲の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
ちなみに、この曲の評価ポイントは、
①冒頭、最も音量が小さいところもはっきり聴こえる。
(残念ながら、なんとなくいつの間にか始まっている、というのが多いです・・・)
②全体的なバランス
③クライマックスの迫力
の3つです。

◯チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル(WARNER)
1994年6月
通常CD
※”French & Russian Music"

☆3.5
18:11

French and Russian Music Box set, Import

今回紹介する盤中、最もゆったりとした展開です。
重戦車が通っていくかのよう・・・
「ボレロ」にヒントを得た作品である、
ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」の第1楽章を
なんとなく想起してしまうほどでした・・・
しかし、極端にノロい、という感じは受けませんでした。
ただ、上記評価ポイントの①は弱すぎでした。


◯カラヤン指揮ベルリン・フィル(WARNER)
1977年1月
SACDハイブリッド(SACD STEREO、CD)
カップリング ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、ラヴェル:ボレロ

☆3.5
16:13

ドビュッシー:海 牧神の午後への前奏曲 ラヴェル:ボレロ

チェリビダッケ盤よりは足取りが軽いですが、
フランスのエスプリよりもドイツ的重厚さを感じさせます。
(それがお好みならOKなのでしょうけど・・・)
クライマックスはさすがカラヤン!
ただ、チェリビダッケ盤同様、①冒頭部が弱すぎです。


◯ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団(LSO LIVE)
2009年12月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:「ダフニスとクロエ」(全曲)、亡き王女のためのパヴァーヌ

☆3.5
15:46

VALERY GERGIEV - RAVEL DAPHNE ET CHLOE CD, Hybrid SACD, Import, SACD, Special Edition

思ったより正統派の演奏でした。
これも①が弱すぎ・・・
録音はマルチチャンネルですが、あまり効果が出ていないかも・・・


◯ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
1974年12月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング:ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌、
ダフニスとクロエ第2組曲

☆5.0
15:37

ラヴェル:管弦楽曲集 SACD

冒頭からハッキリ、クッキリ!!!
最弱音や、今まで聴き逃していたパートもよく聴こえます。
ラストでは、音の波に飲み込まれてしまうかのようなド迫力!
ボレロはこうでなくちゃ!と言いたくなる名演です。
SACDとしての優秀録音もすばらしいです。
ブラボー!!!

◯デュトワ指揮モントリオール交響楽団
1981年7月
通常CD
※ラヴェル:管弦楽曲集 2枚組CD

☆4.0
15:05

ラヴェル:管弦楽曲集

※私が持っているのは輸入盤ですが、上記国内盤と同じ収録曲です。
輸入盤の方は2017年8月現在、Amazonでは入手不可のようです。

最も標準的、模範的な演奏といえます。
ファースト・チョイスにはぴったりかも・・・
(私もこの演奏で、ボレロを初めて聴きました。)

◯ブーレーズ指揮ベルリン・フィル
1993年3月
SACDハイブリッド(SACD Multi、SACD STEREO、CD)
カップリング:マ・メール・ロワ、海原の小舟、道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲
※SACDは2枚組。Amazonでは現在品切れ。

☆4.0
14:58

ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、他

※通常CDを紹介しています。

こちらも標準的な演奏といえます。
旧盤の方が感銘度が高いです。
なお、今手持ちのSACDハイブリッド盤ですが、
SACDとしての超優秀録音・・・というわけでもなさそうでした。
通常CDで十分なのでは、と思います。

◯ショルティ指揮シカゴ交響楽団
1976年5月
SACDシングルレイヤー(SACD STEREO)
カップリング ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」、「海」

☆4.5
14:47

ドビュッシー:交響詩「海」、ラヴェル:ボレロ、他 Limited Edition, SACD

今回紹介した盤の中で、最も演奏時間が短いです。
メカニックなまでの正確さが痛快に感じます。
ブーレーズ旧盤と同様、
最初からハッキリ、クッキリ聴こえるところが高評価のポイントです。
演奏の迫力も見事です。

ということで、「ボレロ」どれか1盤、というなら、
迷わずブーレーズ旧盤、
ついでショルティ盤、
中庸ならデュトワ盤をオススメします。

2017年7月17日 (月)

NHKEテレ・クラシック音楽館「フィルハーモニア管弦楽団演奏会」(2017年7月16日放送)

エサ・ペッカ・サロネンといえば、20世紀モノが得意な指揮者、
というイメージがありましたし、さほど期待していなかったのですが・・・
いい意味で、見事に裏切られた演奏でした。

2017年7月16日放送の、NHKEテレ「クラシック音楽館」。
2017年5月21日、横浜みなとみらいホールでの、
フィルハーモニア管弦楽団の演奏会を放映しました。
途中からリアルタイムで観ましたが、
改めて録画で最初から視聴しました。

曲目は、オール・ベートーヴェン・プログラムで、
以下の3曲でした。

1.序曲「命名祝日」ハ長調 作品115
2.ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
3.交響曲第7番 イ長調 作品92

指揮はエサ・ペッカ・サロネン。
ピアノは第17回ショパン国際コンクール(2015年)の覇者、
チョ・ソンジン。

1曲目の「命名祝日」の評はパスとします。
(曲自体がそれほどステキだとは思えないので・・・
ただし、フィルハーモニア管の音色がもう実に素晴らしい!)

2曲目、ピアノ協奏曲第3番。
出だしから、フィルハーモニア管の音色が、
実に高級感あふれる感じでした。
なんだろう、この感触・・・
そう、大袈裟な表現かもしれませんが、
クレンペラー時代のフィルハーモニア管の音のようです!
ゆったりと音楽そのものに浸っていられる感じというか・・・

指揮者、ピアノとも、「俺が、俺が」という個性やら自己主張を押し出すのではなく、
作曲家(スコア)の僕(しもべ)として、没我的に奉仕している、という感じで、
久々にベートーヴェンの音楽そのものを堪能したなぁ〜という幸福感、
満足感に浸ることができました。
アンコールのモーツァルトのピアノ・ソナタも実にステキで、
チョ・ソンジンはぜひモーツァルトのピアノ・ソナタを録音してほしいと思っています。
演奏評で言えば、☆4.0相当なのでは、と思っています。

交響曲第7番も佳演でした。
ナチュラル・トランペットを使うなど、響きにもこだわりがありましたが、
いわゆる古楽系の演奏ではなく、
中庸な響きが魅力的でした。
ただ、第4楽章冒頭の間のとり方だけは、
「???」という感じでした。
こちらは☆3.5相当だと思いました。

そういえば、どうして横浜みなとみらいホールでの収録なのだろうか、
と調べてみたら、
サントリーホールが改修中だからなのですね・・・
ただ、2017年6月18日放送の、NHKEテレ・クラシック音楽館での、
新日本フィルハーモニー管弦楽団の演奏と同じホールとは思えないほど、
今回の演奏は素晴らしい響きでした。
NHKEテレ・クラシック音楽館「新日本フィルハーモニー交響楽団演奏会」(2017年6月18日放送)

※こちらは2017年5月12日の演奏でした。
やはりオケの差なのでしょうか・・・

サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団のベートーヴェンは探してみましたが、
現在CDはないようです。
サロネンのこれからのいっそうの成熟・巨匠化に期待したいです。
(参考)
アンコール
圧倒的だったマーラー6番 サロネン指揮フィルハーモニア管
2017年6月19日 (毎日新聞 小田島 久恵氏の評)

2017年6月20日 (火)

NHKEテレ・クラシック音楽館「新日本フィルハーモニー交響楽団演奏会」(2017年6月18日放送)

指揮者の上岡敏之さん登場、ということで録画して視聴しました。
(以下敬称略)
2017年6月18日放送のNHKEテレ・クラシック音楽館で、
2017年5月12日・横浜みなとみらいホールで収録された、
新日本フィルの演奏会を放映していました。
曲目は、
ヴァーグナー:「タンホイザー」序曲、
「ヴェーゼンドンクの五つの詩」(ソプラノ:カトリン・ゲーリング)、
ブルックナー:交響曲第3番」、
アンコールとして、J・S・バッハ:「アリア」(管弦楽組曲第3番より)。

ホールの音響の問題なのか、録音がイマイチなのか、
全体的に音質がパッとしなかった印象を受けました。

この演奏会でのメインプログラムである、
ブルックナーの交響曲第3番についてのみコメントします。
(「ヴェーゼンドンクの五つの詩」での、
ソプラノのカトリン・ゲーリングの声は美しかった、とだけ書いておきます。)

ギュンター・ヴァントや朝比奈隆、
あるいはカール・ベームらが指揮した名盤から、
ブルックナーの交響曲第3番は、
ゴツゴツ、トゲトゲした印象をもっていました。
ブルックナーらしさがついに全開した、記念碑的な作品です。

しかし、上岡敏之指揮新日本フィルの演奏は、
どこもトゲトゲしたところやゴツゴツしたところがなく、
まるで磨いた玉のようでした。
チェリビダッケの指揮ぶりが一番近いかも・・・
それがプラスに作用していればいいのですが、
ブルックナーのこの曲に関しては、マイナスに働いているように思えました。
あと、印象的だったのが、タメすぎるブルックナー休止・・・
(特に第1楽章・・・)
ここまでやり過ぎると、ちょっとなぁ・・・と思いますが、
もし宇野功芳センセイが生きていて、この演奏を聴いたら、
なんとおっしゃるのだろう、と思わず考えてしまいました。
「ブルックナーの本質を外している」というのか、
それとも、「クナやチェリビダッケ、シューリヒト以来の凄演!」とベタ褒めするのか・・・
今時の指揮者としては、相当に個性的な演奏であったのは確かです。
そういう意味では、次に何をやってくれるか、ワクワクすることができる、
日本人指揮者の中では稀有な存在ではあります。

上岡敏之指揮の演奏では、シューマンやベートーヴェンの「第9」、
マーラーの第1、第5などの盤を持っていますが、
いずれも名演です。
しかし、ブルックナーはどうなのでしょう?
史上最遅のブル7と言われた盤、私は未だに手を出していませんし、
たぶんパスかもしれませんね・・・
上岡敏之指揮では、ブルックナー以外に期待した方がいいかも・・・

ブルックナー:交響曲第7番(2枚組!収録時間92分!)

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ハース版)

以前ブルックナーの交響曲第3番について記事を幾つか書いていますので、
よろしければお読みください。

シモーネ・ヤング(Simone Young)指揮ハンブルク・フィル(Philharmoniker Hamburg)による、ブルックナー:交響曲第3番(1873年初稿版)
ブルックナー:交響曲第3番(1889年第3稿)聴き比べ4盤〜朝比奈、ヴァント、セル、ベーム・・・

より以前の記事一覧

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