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2016年8月20日 (土)

コルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold 1897-1957):ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35聴き比べ5盤

コルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold 1897-1957)は、
オーストリアで生まれ、ウィーンで成功を収めた後、
アメリカで映画音楽の作曲家として活躍しました。
代表作が今回取り上げる「ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35」です。

先入観や予備知識なしで聴けば、
おそらく作曲年代は19世紀終わりから20世紀初頭の頃と思うかもしれません。
マーラー、R・シュトラウスといった、
後期ロマン派の薫りがします。あるいはラフマニノフ並のロマンティックなメロディ?
しかし実際、作曲されたのは1945年で、
初演はヤッシャ・ハイフェッツの独奏、1947年でした。
20世紀に作曲されたヴァイオリン協奏曲としては、
たぶんベスト5に入る作品ではないかと思っています。
(ちなみに、あえて順をつけるとしたら・・・
シベリウス→グラズノフ→ショスタコーヴィチ第1番→ストラヴィンスキー→
コルンゴルト or エルガー or ハチャトゥリアン。)

この作品を初めて聴いたのは、
イギリスのヴァイオリニスト、ニコラ・ベネデッティ(Nicola Benedetti)の、
”The Silver Violin”というアルバムに入っていたからです(後述)。
このアルバムでのお目当ては、”Ladies in Lavender"という映画のメインテーマでした。
(コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲の第1楽章冒頭と少し似た雰囲気があります。)
とてもロマンティックな曲ではあるものの、聴き比べてみよう、とまでは思いませんでした。

聴き比べのきっかけになったのは、
ヴィルデ・フラング(Vilde Frang)独奏のCDを購入したからです。
2016年6月にNHKBSプレミアムで放送された、ベルリン・フィルとの共演で、
興味をもちました。
NHKBSプレミアム・プレミアムシアター「ヨーロッパコンサートの舞台 世界遺産レーロース ほか」(2016年6月27日放送)〜ラトル&ベルリン・フィルとヴィルデ・フラング(Vilde Frang)
聴けば聴くほど、良さがわかってきます。
R・シュトラウスとラフマニノフを足して2で割ってハリウッド化した感じ?
映画音楽ではないものの、
ロマンティックなシーンがなんとなく目に浮かんできます。
もっともっと演奏されていい作品だと思います。

それでは聴き比べです。
録音年順に紹介します。
ソリスト、指揮者・オケ名・レーベル(SACDのみ特記)・録音年月の順です。
☆5.0は満点、0.5点刻みで、☆3.0以上なら推薦盤です。
なお、カップリング曲は省略します。

◯ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn)、
アルフレッド・ウォーレンスタイン指揮ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団(SONY)
1953年1月 (MONO)

☆4.0
第1楽章 7:51
第2楽章 7:15
第3楽章 6:36

私が持っているのは、"The Heifetz Collection Volume 21"という輸入盤CDです。
(コルンゴルトの作品と、ミクロス・ローザの作品他が収録)
詳しい解説は入っていませんでした。
(おそらく、セットものをわざとバラ売りしたもの?)
入手しやすいのは、国内盤ですので、こちらで紹介します。

ハイフェッツはこの曲の初演者です。
モノラル録音ですが、若干ヒスが気になる程度で、鑑賞には十分なほどです。
まさにこの曲の演奏の基準となる名演といえます。
録音さえもっと鮮明だったら、もしかするとベスト1のCDとなっていたかも?
ハイフェッツはロマンティックな演奏というよりは、技巧派ですが、
この演奏ではロマンティックさを引き出しています。

◯ギル・シャハム(Gil Shaham)(Vn)、
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(DG)
1993年6月

輸入盤(オリジナル。カップリングはバーバーのVn協奏曲他)

輸入盤(コルンゴルトの他の作品有)

※2016年8月現在、タワレコかHMVで購入した方が安いです。

☆4.5
第1楽章 9:01
第2楽章 8:42
第3楽章 7:28

独奏、オケともに最高で、録音も優秀です。
この曲のイメージである、ハリウッド的、アメリカ的ゴージャスさが顕著に堪能できます。
この演奏と後述のニコラ・ベネデッティ盤があれば十分といえます。
どこをとってもロマンティック!
まさにこの曲の理想的・模範的演奏といえます。

◯アンネ=ゾフィ・ムター(Vn)、
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(DG)(ハイブリッドSACD)
2003年10月

SACD

通常盤


☆3.5
第1楽章 8:40
第2楽章 7:58
第3楽章 7:05

ムターとプレヴィンの蜜月時代の録音です。
この演奏は、コルンゴルトを聴くというよりは、ムターを聴くものです。
チーズでいえばブルーチーズか、
ケーキでいえば、ザッハトルテに山盛りの生クリーム付?
ヴァイオリンのクセの強さ、濃厚さは今回紹介する盤の中で随一です。
ムターのアクの強さは印象として残りますが、
曲そのものの良さ、美しさが印象に残るかといえば???です。
ただし、ムターの演奏が好きな人にとっては、たまらない名演奏なのでは?
録音は優秀です。

◯ニコラ・ベネデッティ(Vn)、
キリル・カラビツ(Kirill Karabits)指揮ボーンマス交響楽団
2012年
(アルバム名「シルヴァー・ヴァイオリン」(The Silver Violin))

☆4.5
第1楽章 9:44
第2楽章 8:25
第3楽章 7:23

曲そのものの美しさが十二分に伝わる、すばらしい演奏です。
アルバムの最初から聴くと、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は、
まるで映画音楽そのものだ、というか、
映画音楽の中に混ぜていても違和感がないことに気が付きます。
ムード音楽としての魅力を発揮しています。
なお、このアルバム、ショスタコーヴィチの「ロマンス」と、
映画音楽「Ladies in Lavender-Main Theme」が絶品です。
ギル・シャハム盤と甲乙つけがたいですが、
どちらか一枚ならギル・シャハム盤です。
(独奏者、オケともに最も甘美です!)
一方、それほどクラシックが好きではない人にも、
ベネデッティ盤ならイージーリスニングとしてオススメできます。
私ならどちらも持っていて損はないと思います。

◯ヴィルデ・フラング(Vn)、
ジェームズ・ガフィガン(James Gaffigan)指揮hr交響楽団
2015年

☆3.5
第1楽章 9:23
第2楽章 8:50
第3楽章 7:23

この演奏を聴くと、あまりハリウッド映画的なシーンは浮かんできません。
むしろ、ゲンダイ的な印象さえ受けます。
あるいは、ヨーロッパのどこかの田舎で黄昏時を迎えているかのような・・・
今まで挙げたCD・SACDとは一味ちがったアプローチとしては、特筆すべきものです。
最初に聴いた時と、2回めからの印象が少し違っているように感じました。
初めて聴いた時は、本流的演奏から離れているので、少しがっかりするかもしれません。
何日かしてから、再度聴くと、彼女の演奏の良さ、ユニークさがわかるかもしれませんね。

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