« NHK札幌・北海道クローズアップ「心に響く本を~ある“本屋の親父”の挑戦~」(2015年2月27日放送) | トップページ | 2015年2月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧 »

2015年2月27日 (金)

「2分の1成人式」は有益か、有害か?〜教育現場の新たなイベントを考える

<2分の1成人式>新たな学校行事 急速な拡大の是非
(毎日新聞2015年2月27日配信)

というWEB記事を読みました。
小学4年の授業で「2分の1成人式」というイベントが、
全国で拡がっているようです(「総合」扱いなのでしょう)。
だいたい参観日にあわせて行われ、
保護者と共に育てられたことへの感謝と感動を共有する、というのが趣旨のようです。
2000年以降に急速に普及し、
ベネッセが2012年に行った調査では、
9割の保護者が「満足」と答えたとか・・・
9割が満足! 親子で感涙する「2分の1成人式」とは!?

子が親に感謝する・・・
すばらしいことですが、記事の中に気になるところがありました。
現在、保護者による児童虐待が多くなっている中、
幸せな家庭だけを基準にしたイベントはどうなのか?
という疑問を投げかけているところです。
上記記事から引用します。
(引用)
◇幸せな家庭前提?

 一方、名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「親への感謝の手紙」が定番になっていることに触れて「感謝されるほど親は子どもに尽くしている、という幸せな家族像だけを前提にしていないか」と疑問を投げかける。虐待を受けている子どもは虐待に耐え、学校でそれを隠す。そのうえ、教師が「幸せな家族」しか頭にないなら逃げ場がなくなると懸念する。「幼い頃の写真の提出も、多様な家族が増える中で子どもや保護者を傷つけることがある」

 内田准教授は「家族は安心安全の場になり得るけれど、壊れることもあるし、多様な家族の形があるというメッセージをまず学校は伝えてほしい」と求めている。

 柔道による事故など学校内での事故の研究で知られる内田准教授は、2分の1成人式にも共通の構造を感じるという。「教育的意義がある、感動するなど『いいものだ』と思うと、負の側面が目に入らなくなり、ストップできなくなる。式自体が問題とは思わないが、負の側面にも目を向けて内容を考えるべきではないでしょうか」
(引用終)

まさに「幸せな家庭」に冷水をかけるようなものですが、
冷静に考えてみると、この異議は確かに一考の価値はあります。
※関連記事→「2分の1成人式」に違和感 虐待死の子供も手紙〈AERA〉
考え直してほしい「2分の1成人式」――家族の多様化、被虐待児のケアに逆行する学校行事が大流行(内田良 | 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授)
ただ、「旧来の家族観の押し付けだ!」という異議には、逆に疑問を呈したいです。
親(保護者)は、離婚や不倫や子どもほったらかしで仕事熱心、
という「好き勝手」ができますし、配偶者・パートナーを選び変えることができます。
しかし、子どもは選ぶ権利がないのです・・・
お父さん、お母さんがいて、自分は愛されている、と実感できる以上に、
子どもにとっての「幸せ」はないでしょう。
そういう意味では、単なる通過儀礼、イベントで終わらずに、
家族の歩みを再確認できるものになればいいと思います。
一方、配慮が必要な家庭も多くありますので、
絵に書いたような「幸せ家庭」だけではないことを、
実施する教師たちは留意すべきでしょう。
(この種の議論、日本ではどうも「0か100か」で考えてしまいがちです。
副作用が出る可能性があるから予防接種はすべてやめるべき、とか、
牛乳でアレルギーが出るかもしれないからすべて牛乳はやめるべき、とか・・・
何事にもリスクというものはありえるわけです。)

ところで、参考までに調べたのですが、
「2分の1成人式」はどれぐらいの時数を必要とするのでしょうか?
TOSSランドにあった「2分の1成人式を計画する」という授業プランでは、
なんと20時間かける計画とのこと・・・
(これが標準的なものかどうかはわかりませんが・・・)
他の教科の授業時数確保は大丈夫?

小学校では、どうもこの手のイベントが好きですね。
運動会と学習発表会(学芸会)の2大イベントで、
かなりの授業が潰れてしまい、結局教科書を全部終わることができなかった、
という話をよく聞きます。
数年後には、3年生からの小学校英語もスタートします。
その上、さらに新手のイベントが「制度化」されると、
ますます現場では「教科書終わらなかった・・・」という声が聞かれるのでは?
本来提供すべきサービス(=教科書を教える)を疎かにして、
任意提供のサービスをメインにするのは本末転倒です。
私の結論としては、「2分の1成人式」の授業は、
教科書をきちんと最後まで終わらせる余裕がある教師が、
1年間の最後の参観日に、余力があれば行えばいい、と思いますが、
どんなに感動的なものになったとしても、
制度化(あるいは運動会のように慣習化)すべきではないと考えます。

「2分の1成人式」を小学校で行うのは、
有益か、有害か、あなたならどう考えますか?

« NHK札幌・北海道クローズアップ「心に響く本を~ある“本屋の親父”の挑戦~」(2015年2月27日放送) | トップページ | 2015年2月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧 »

おすすめサイト」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

教育」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

にほんブログ村

  • にほんブログ村
無料ブログはココログ