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2015年2月の10件の記事

2015年2月27日 (金)

「2分の1成人式」は有益か、有害か?〜教育現場の新たなイベントを考える

<2分の1成人式>新たな学校行事 急速な拡大の是非
(毎日新聞2015年2月27日配信)

というWEB記事を読みました。
小学4年の授業で「2分の1成人式」というイベントが、
全国で拡がっているようです(「総合」扱いなのでしょう)。
だいたい参観日にあわせて行われ、
保護者と共に育てられたことへの感謝と感動を共有する、というのが趣旨のようです。
2000年以降に急速に普及し、
ベネッセが2012年に行った調査では、
9割の保護者が「満足」と答えたとか・・・
9割が満足! 親子で感涙する「2分の1成人式」とは!?

子が親に感謝する・・・
すばらしいことですが、記事の中に気になるところがありました。
現在、保護者による児童虐待が多くなっている中、
幸せな家庭だけを基準にしたイベントはどうなのか?
という疑問を投げかけているところです。
上記記事から引用します。
(引用)
◇幸せな家庭前提?

 一方、名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「親への感謝の手紙」が定番になっていることに触れて「感謝されるほど親は子どもに尽くしている、という幸せな家族像だけを前提にしていないか」と疑問を投げかける。虐待を受けている子どもは虐待に耐え、学校でそれを隠す。そのうえ、教師が「幸せな家族」しか頭にないなら逃げ場がなくなると懸念する。「幼い頃の写真の提出も、多様な家族が増える中で子どもや保護者を傷つけることがある」

 内田准教授は「家族は安心安全の場になり得るけれど、壊れることもあるし、多様な家族の形があるというメッセージをまず学校は伝えてほしい」と求めている。

 柔道による事故など学校内での事故の研究で知られる内田准教授は、2分の1成人式にも共通の構造を感じるという。「教育的意義がある、感動するなど『いいものだ』と思うと、負の側面が目に入らなくなり、ストップできなくなる。式自体が問題とは思わないが、負の側面にも目を向けて内容を考えるべきではないでしょうか」
(引用終)

まさに「幸せな家庭」に冷水をかけるようなものですが、
冷静に考えてみると、この異議は確かに一考の価値はあります。
※関連記事→「2分の1成人式」に違和感 虐待死の子供も手紙〈AERA〉
考え直してほしい「2分の1成人式」――家族の多様化、被虐待児のケアに逆行する学校行事が大流行(内田良 | 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授)
ただ、「旧来の家族観の押し付けだ!」という異議には、逆に疑問を呈したいです。
親(保護者)は、離婚や不倫や子どもほったらかしで仕事熱心、
という「好き勝手」ができますし、配偶者・パートナーを選び変えることができます。
しかし、子どもは選ぶ権利がないのです・・・
お父さん、お母さんがいて、自分は愛されている、と実感できる以上に、
子どもにとっての「幸せ」はないでしょう。
そういう意味では、単なる通過儀礼、イベントで終わらずに、
家族の歩みを再確認できるものになればいいと思います。
一方、配慮が必要な家庭も多くありますので、
絵に書いたような「幸せ家庭」だけではないことを、
実施する教師たちは留意すべきでしょう。
(この種の議論、日本ではどうも「0か100か」で考えてしまいがちです。
副作用が出る可能性があるから予防接種はすべてやめるべき、とか、
牛乳でアレルギーが出るかもしれないからすべて牛乳はやめるべき、とか・・・
何事にもリスクというものはありえるわけです。)

ところで、参考までに調べたのですが、
「2分の1成人式」はどれぐらいの時数を必要とするのでしょうか?
TOSSランドにあった「2分の1成人式を計画する」という授業プランでは、
なんと20時間かける計画とのこと・・・
(これが標準的なものかどうかはわかりませんが・・・)
他の教科の授業時数確保は大丈夫?

小学校では、どうもこの手のイベントが好きですね。
運動会と学習発表会(学芸会)の2大イベントで、
かなりの授業が潰れてしまい、結局教科書を全部終わることができなかった、
という話をよく聞きます。
数年後には、3年生からの小学校英語もスタートします。
その上、さらに新手のイベントが「制度化」されると、
ますます現場では「教科書終わらなかった・・・」という声が聞かれるのでは?
本来提供すべきサービス(=教科書を教える)を疎かにして、
任意提供のサービスをメインにするのは本末転倒です。
私の結論としては、「2分の1成人式」の授業は、
教科書をきちんと最後まで終わらせる余裕がある教師が、
1年間の最後の参観日に、余力があれば行えばいい、と思いますが、
どんなに感動的なものになったとしても、
制度化(あるいは運動会のように慣習化)すべきではないと考えます。

「2分の1成人式」を小学校で行うのは、
有益か、有害か、あなたならどう考えますか?

NHK札幌・北海道クローズアップ「心に響く本を~ある“本屋の親父”の挑戦~」(2015年2月27日放送)

北海道砂川市。
人口約1万8千人の小さな市の、ある小さな書店が、
全国から注目を集めているそうです。
2015年2月27日に北海道内のNHKで放送された、
北海道クローズアップ「心に響く本を~ある“本屋の親父”の挑戦~」を観ました。
NHK番組表から、放送内容を転載します。
(引用)
砂川で小さな本屋を営む岩田徹さんが始めた「一万円選書」が、全国の注目を集めている。人生経験や悩みを“カルテ”と呼ばれる注文書に書いて送ると、岩田さんが選び抜いた1万円分の本を送ってくれるサービスだ。妻を亡くし、残された息子との関係に悩む男性。小学校時代からイジメにあい、今も心の傷が癒えない女性。深い悩みを抱える人たちに岩田さんはどう向き合い、どんな本を送るのか?“本屋のおやじ”の挑戦を見つめる。
(引用終)

新聞のテレビ欄を読んで、「興味深そうな内容かも?」と思い、
観てみました。
北海道の本屋(大型店ではないところ)で有名な店といえば、
なぜだ!?売れない文庫フェア」や、
本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!
などの企画で知られる、札幌市の「くすみ書房」のことかと思ったのですが、
見事に外れました・・・

既に昨年8月のある深夜番組で、この書店の取組が全国放映されたところ、
注文が殺到しているそうです。
北海道書店ナビ  第207回 いわた書店
現在では既に1000件以上の申し込みがあり、注文を一時停止しているそうです。
(2015年2月末現在)

本のソムリエ、というレベルを超えて、
もはや「読書療法」のセラピスト、という感じでした。
(「読書療法」とテキトーに「造語」したつもりでしたが、
実際にそういうのがあるのですね!!→日本読書療法学会HP
本が届くまでに、店主と注文者との心のやり取りがあり、
それに応えて、店主が注文者に合わせた本を1万円分送る、
というサービスのようです。

番組では、店主の岩田さんの様子と、
実際に注文をした人を取り上げて、
本によって新たな生きる力を得たという「証し」が出ていました。
まるで小説の世界みたいだな、とも思いました。

こういう読書サービスはなかなかステキですね。
少し話は違いますが、先日、「図書館の主」というマンガの1、2巻を読みました。
私立の児童図書館司書(かなり素っ気ない・・・)が、
児童文学を出会う人々に読み勧めることを通して、
心の問題を解決していく(というような要約でいいのか?)、という物語です。

(参考)
図書館の主 1巻

「図書館の主」は図書館、岩田さんは実際の書店という差はありますが、
膨大な読書量から来る適切な読書の「処方箋」は、
人の心を癒す力があるのかもしれませんね・・・

私は、人に本を勧めるのは好きな方ですが、
人から「これを読め!」と勧められるのはあまりないですね。
ただ、いろいろな本にある「読書リスト」の類は結構参考にすることがあります。
古くは高校時代に読んだS・モームの『読書案内ー世界文学』(岩波文庫)と、
『世界の十大小説』(現在は絶版?)、
コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』など・・・
膨大な本の森を歩くにふさわしい地図・観光ガイドになります。
(私はクラシック音楽の分野でも、ガイドブック的な本が好きですが・・・)

(参考)
サマセット・モーム『読書案内ー世界文学』(岩波文庫)

コリン・ウィルソン『アウトサイダー』(上)(中公文庫)

関連記事です。
【なぜ?】田舎にあるのに全国から注文が殺到する本屋さん【本好き必見】
あと、Facebookを使っている方なら、「(有)いわた書店」で検索をどうぞ・・・

本の売り方、ということよりも、
本を通して注文者一人ひとりの人生に向き合うからこそ、
支持されるのでしょうね・・・
尊い働きだと思いました。

(2015年3月16日追記)
NHK「おはよう日本」でも、いわた書店が取り上げられました。
“心に響く本”が人生を変える

2015年2月25日 (水)

NHKBSプレミアム・女優 満島ひかり まだ見ぬ世界へ~シェークスピアに挑む~(2015年2月25日放送)

NHKBSプレミアムで、2015年2月25日に、
女優 満島ひかり まだ見ぬ世界へ~シェークスピアに挑む~
という番組が放映されていました。
いつもなら、水曜日の夜10時なので、
「◯◯妻」を観るところですが、こちらは録画してあるので、
安心して(?)観ることができました。
(ちなみに2015年1〜3月の連続ドラマで、
見続けているのは、月曜日夜9時の「デート」と、
水曜日夜10時の「◯◯妻」、
日曜日夜9時の「流星ワゴン」です。)

それはさておき、「満島ひかり」という役者は不思議な存在感がありますね。
蜷川幸雄演出の「ハムレット」のオフィーリア役に初挑戦、ということで、
どのような新しいオフィーリア像を創りだせるか、というのが、
今回の番組の中心でした。

視聴率ではイマイチだったようですが、
2014年の秋ドラマ「ごめんね青春!」でも、
満島ひかりは異彩を放っていました。
「ハムレット」でもやりすぎて蜷川幸雄から駄目だしを喰らっていましたが、
そういうところがあるからこそ、見応えのある演技につながるのでしょうね。
とにかく演技力がある人です。

NHKとしては、今回の放送は、
おそらく、来週放送される予定(3/3)の、
満島ひかり主演映画「川の底からこんにちは」を番宣したいから、
なのでしょうか・・・
(朝ドラとか、それなりにNHKとは縁があるようですね・・・)

(参考)
ごめんね青春!Blu-rayBOX

映画「川の底からこんにちは」DVD

ぜひ観てみます!

2015年2月23日 (月)

バッハの鍵盤曲、ピアノとチェンバロどちらがいいか?〜美しいければ、オリジナル楽器でなくてもいいじゃない?・・・

先月(2015年1月)タワレコで予約した、
フランスのピアニスト、クレール=マリ・ル・ゲ(Claire-Marie Le Guay)による、
バッハのアルバムが我が家に到着したので、
早速聴いてみました。
(どちらかというと、思わずジャケ買いに近いかも・・・)

Italian Con Capriccio Sinfonia 11 Partita 1 Import

ル・ゲの演奏は、
ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの三楽章」のCDで以前から注目していました。
(現在手元にはありませんが・・・)
他に何枚か購入したことがあります。
(いずれも、現在手放していますが・・・)

Ravel: Daphnis Et Chloe / Stravinsky: Petrouchka Import

全体的に穏やかな感じのアルバムです。
「イタリア協奏曲BWV971」は、グールドの演奏のような、
エネルギッシュな感じではありませんが、
なんとなく聴いていて心がリラックスできます。
刺激的なグールド、崇高なニコラーエワの演奏とは一味違った魅力があります。
このアルバムの詳細については、タワレコのサイトでどうぞ。
現代フランスを代表するピアニスト、
クレール=マリ・ル・ゲが満を持してバッハに挑む!

ところで、バッハの鍵盤曲は、オルガン用の作品を除けば、
たとえば「平均律クラヴィーア曲集」、「ゴルトベルク変奏曲」などは、
現在ではチェンバロで演奏されるのが主流となっていますね。
ピアノでバッハ、というのは、
練習用に弾く(たとえば「インヴェンションとシンフォニア」等)のを別とすれば、
時代錯誤そのものなのかもしれません。
しかし、私としては、チェンバロで演奏されたものよりも、
ピアノで演奏された方が好きです。
美しければ、オリジナルかどうかなんて、どうでもいいのではないでしょうか?

たとえば、グールドが弾く「ゴルトベルク変奏曲」は、
何度聴いてもまさに「目が冴えるような」演奏ですが
(作曲の意図とは違うのかもしれませんが・・・)、
チェンバロ、特にモダン・チェンバロ(リヒター他)で弾いた演奏は、
退屈そのものです。

ピアノでバッハ、というのでオススメCDを3枚挙げるとしたら、
上述のグールド盤「ゴルトベルク変奏曲」(81年録音の方)と、
ファジル・サイのCD、アルゲリッチの唯一のバッハのアルバムCDを挙げます。
特に「ゴルトベルク変奏曲」はいったい何回聴いたことでしょうか・・・
50分があっという間に感じるほどです。

グールド「バッハ:ゴールドベルク変奏曲(81年デジタル録音)」


ファジル・サイ「シャコンヌ!〜サイ・プレイズ・バッハ」


アルゲリッチ「バッハ:ピアノ作品集」

では、チェンバロ演奏でバッハの鍵盤曲を聴くのが好きではないかというと、
例外があります。
曽根麻矢子の演奏です。
曽根麻矢子がチェンバロで奏でる「ゴルトベルク変奏曲」は、
初めてチェンバロ演奏で退屈でない演奏だと思いました。
むしろ、グールドの演奏に劣らないほど、音のきらびやかさがあり、
聴いていて幸せな気分に浸ることができます。

曽根麻矢子「ゴルトベルク変奏曲」(旧盤)

(新盤はまだ所有していません。)
※参考 新盤


最近入手した、イギリス組曲第2番BWV807が収録されているCDでは、
マルタ・アルゲリッチのピアノ演奏に負けず劣らずの、
実にイキイキとした愉悦感ある演奏となっていました。

バッハ:イギリス組曲第2番&第3番&第6番

チェンバロか、ピアノか・・・
バッハの場合は、どちらでもいいのではないでしょうか。
もっと言えば、モダン楽器かオリジナル楽器かさえも、
美しければ、どちらでもいいと思います。
クレンペラーやカラヤンがモダンオケで演奏する管弦楽組曲や、
ブランデンブルク協奏曲だって、実はステキなのですよ・・・
(もちろんカール・リヒターも!)

2015年2月21日 (土)

映画「風立ちぬ」〜エンディングの「ひこうき雲」に落涙・・・

宮崎駿監督の長編引退作品「風立ちぬ」が、
2015年2月20日に日テレ系で地上波初放送されていましたので、
リアルタイムで観ました。
私は劇場公開時、なぜかそんなに観に行きたいとは思わなかったので、
今回のテレビ放映が初視聴となりました。

風立ちぬ(Blu-ray)

主人公の堀越二郎は、零戦を作った実在の堀越二郎の半生と、
堀辰雄の小説『風立ちぬ』からのエピソードが混合されています。
この2つを通して、実は宮﨑駿監督自身を描きたかったのかもしれません。
まさに、「宮﨑駿の、宮﨑駿による、宮﨑駿のための映画」といえましょう。
飛行(及び古風なメカ)、美少女、映像の緻密さという、
宮崎アニメの集大成が、大人向けに結晶しています。
宮崎アニメ=トトロやポニョのような子供向け、と考える人たちにとっては、
肩透かしを食らう作品です。
アニメならではのファンタジー性を活かしながらも、
(この作品で言えば、たとえば二郎の夢とカプローニの夢がつながるところなど)
小津安二郎や黒澤明のような映像表現を目指したのでしょうか・・・

主人公の声が、「エヴァンゲリオン」などで知られる庵野秀明監督なのが、
致命的な欠点かな、と思いました。
(声優としてよりも、本業の方で参加してほしかったかも・・・)
主人公に対して感情移入が難しいのです・・・
ある意味、主人公に対して思い入れができないからこそ、
映像表現がよく目立つ結果になっている、ともいえます。
実際、映画の細部は非常に見事です。
(関東大震災の描写や、飛行機が墜落していくところなど・・・)
もはや、単なるアニメというよりは、芸術作品の域に達しています。
しかし、それが感動につながっているかというと、はなはだ疑問です。

私としては、映画の3分の2を占める、二郎の飛行機への情熱のところよりも、
どちらかというとカットした方が良かったという評が多い、
薄幸の女性、菜穂子との恋愛と結婚、別れのエピソードの方が心ひかれました。
ただ、映画全体からすると、かなり違和感のある展開ですが・・・
サナトリウムにおける、野外での睡眠のエピソードは、
かなり前に読んだ、トーマス・マンの小説『魔の山』のシーンを思い出しました。
(実際、作品中でも『魔の山』への言及がありますが・・・)

トーマス・マン『魔の山』(上)岩波文庫版
(※私が読んだのは岩波文庫版。他に新潮文庫版があります。)

『魔の山』(下)岩波文庫版

映画では、あえて菜穂子の最期を描かなかったところは卓見だと思いました。
ラストシーン、夢の中で、菜穂子と二郎が再会するところは少し感動的ですが、
涙が出るほどのものではありませんでした。
なんだかよくわからない、中途半端なままのラストシーン?・・・

しかし・・・
エンディングにかかる、荒井由実(松任谷由実)の、
「ひこうき雲」が流れると、思わず落涙してしまいました・・・
「ひこうき雲」は1973年に発表された曲ですが、
実に見事なまでに、この映画を統合・総括する内容になっています!
歌詞に誰かの「死」が歌われています。
爽やかな曲なのに、暗い影があります。
この映画はまさに、最期のこの曲が流れるシーンのためにあるのでは・・・
そんな感じさえ抱いたほどでした。

映画「風立ちぬ」サウンドトラック(※「ひこうき雲」も入っています。)

もう一度観たい映画か、と言われると、私にとっては、
宮﨑駿の80年代、90年代の映画ほどの魅力はないので、
「機会があれば・・・」ぐらいにしか言えません。
しかし、アニメで往年の日本の巨匠の域に達することができた、
という面では、素晴らしい作品だと思います。
むしろ、何回も観ることによって、ジワジワと来る作品なのかもしれませんね・・・

2015年2月14日 (土)

ベートーヴェン:交響曲第4番聴き比べ7種〜トスカニーニ、クレンペラー2種、ムラヴィンスキー、クライバー、ヴァント、ジンマン・・・

2015年2月初めに、
カルロス・クライバー指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団による、
ベートーヴェンの交響曲第4番のCDを手に入れました。
タワレコでORFEOレーベルのバーゲンをやっていたからです。
かなり前に一時期所有していたことがありましたが、
元々ベートーヴェンの交響曲第4番自体、
カゲが薄い存在なので、曲の魅力に気づかないまま、
オサラバとなっていたわけでした。

クライバーの演奏は元々スポーツ的で、
颯爽とした感じがあります。なかなか聴き応えがありました。
そこで、久しぶりにベートーヴェンのこの曲を、
手持ちのCD7枚で聴き比べてみようと思い立ちました。
(パーヴォ・ヤルヴィのDVDや、
NHKで放送されていたマリス・ヤンソンスや、
ノリントンなどの演奏も比較の対象としたいところでしたが、
今回はCDに限定することにしました。)

実は以前、ベートーヴェンの交響曲第4番については1つ記事を書いています。
ベートーヴェンの「交響曲第4番」聴き比べ~
ノリントン&N響、パーヴォ・ヤルヴィと過去の名盤

しかし記事を読み返してみると、
厳密な意味での聴き比べになっていないようにも思えましたので、
今回改めて記事を書くことにしました。

ベートーヴェンの「4番」は、第3番「英雄」と第5番「運命」に挟まれて、
目立たない感じがしますが、
シューマンはこの曲を評して
「二人の北欧神話の巨人(3番と5番)の間にはさまれたギリシアの乙女」
と例えたと伝えられているそうです。
私にとっては、少なくとも第5番「運命」より聴いた回数は多いです。
なぜなら、第5番は緊張感が高く、ストレスを感じるほどですが、
第4番は優美で聴きやすいからです。

第1楽章の序奏の部分が少し退屈な気がしますが、
そこを抜けたら一気に大草原や冒険の世界が拡がっているように感じます。
小説で言えば(かなり不適切なたとえかもしれませんが)、
E・ブロンテの『嵐が丘』の冒頭30頁くらいみたいなものかもしれません。
退屈な部分を超えるとめくるめく世界が拡がっている・・・

今回の聴き比べCDです。録音の古い順に並べます。

◯トスカニーニ指揮NBC交響楽団(1951)SONY(旧RCA)
※ベートーヴェン交響曲全集の中の1枚。

第1楽章;9:54
第2楽章;8:46
第3楽章;4:58
第4楽章;6:57

MONO録音ながら、聴いていると、ド迫力故に、
音質の悪さなど忘れてしまうような、筋肉質な名演です。
「ギリシアの(可憐な)乙女」なんてイメージではなく、
ミケランジェロが描いた筋肉質の聖母マリア(聖家族)を連想するほどです。
今回紹介するCDの中では、熱血度No.1かもしれません。
往年の巨匠のスゴさをぜひ堪能してみてください。


◯クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(1957)WARNER(旧EMI)
※ベートーヴェン交響曲全集の中の1枚

第1楽章;12:27
第2楽章;10:01
第3楽章;05:50
第4楽章;07:30

◯クレンペラー指揮バイエルン放送交響楽団(1969)EMI
※カップリング;ベートーヴェン:交響曲第5番

第1楽章;13:58
第2楽章;11:35
第3楽章;06:58
第4楽章;08:43

クレンペラーの指揮は2種類あります。
(残念ながら、宇野センセイおすすめの、
ウィーンPOとの競演盤はまだ聴いたことがないデス・・・)

クレンペラーの指揮にかかると、「ギリシアの乙女」は、
まるでブルックナーの音楽のような、壮大な音宇宙を展開します!
今回聴き比べた中で圧倒的な存在感を示していました。
ベンツやBMWというよりは、それらを超えて、
大型リムジン車か、はたまた豪華列車か・・・
クライバーやジンマンの演奏とそもそも同じ曲なのかを疑うほどです。
スゴすぎて言葉を失いそう・・・
フィルハーモニア管弦楽団盤、バイエルン放送交響楽団盤、
どちらか1枚と言われれば、迷わずバイエルン放送交響楽団盤です。
ただし入手は少し難しいかも・・・
もう一言付け加えるとすれば、日常的に聴くには不向きかもしれません。
そう、あたかもブルックナーの交響曲1曲分(概ね70〜80分)を聴いたかのような、
聴き手のエネルギーをも要求される超名盤だからです。

◯ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(1973)Altus
※カップリング;リャードフ:バーバ・ヤガ他

第1楽章;9:07
第2楽章;9:40
第3楽章;5:38
第4楽章;6:44

1973年5月26日、東京文化会館でのライブ録音です。
以前はとても好きな演奏でしたが・・・
クールな中にベートーヴェンの本質が香り立つようです。
クレンペラー盤を別にすればオススメに値するCDです。

◯カルロス・クライバー指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団(1982)Orfeo

第1楽章;9:33
第2楽章;9:29
第3楽章;5:31
第4楽章;5:02

今回の聴き比べ記事を書くきっかけになったCDです。
スポーツカーでアウトバーンを疾走するような爽快さがあります。
難点は、序奏部が今回紹介したCDの中で一番退屈なところだけでしょうか・・・
テニスコートで白い歯がキラリ!みたいなカッコイイ(良くも悪くも)演奏です。

ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団(1987―1988)
※ベートーヴェン交響曲全集の中の1枚

第1楽章;12:07
第2楽章;09:50
第3楽章;05:56
第4楽章;06:57

ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(1998)SONY(旧ARTE NOVA)
※ベートーヴェン交響曲全集の中の1枚

第1楽章;9:59
第2楽章;8:14
第3楽章;5:20
第4楽章;6:27

ヴァントとジンマンは芸風が違いますが、
印象が薄かったので一括りにして書きます。
たぶん、本来の「ギリシアの乙女」のイメージに近い、
こじんまりとした演奏です。
指揮者の(余計な?)解釈ではなく、
作品そのものを夾雑物なしで聴きたいときにはオススメの演奏かもしれません。
ただし、ジンマン盤は時折「あれっ?」と思うようなフレーズが出てきます。
奏者の即興演奏なのでしょうか?

今回のオススメCDはやはりクレンペラー盤です。
その他に、ムラヴィンスキー盤、クライバー盤、お好みでトスカニーニ盤があれば、
もう十分かもしれませんね・・・

2015年2月13日 (金)

書評:森本梢子『アシガール』1〜5巻

2015年1月下旬からすっかりハマったマンガが、
森本梢子の『アシガール』 (マーガレットコミックス) です。
1巻の表紙をご覧ください。


アシガール 1巻


戦国時代の足軽の兵装をした女の子が走っていますが、
よく見ると兵装の下は現代の普通の制服で、
右手にケイタイをもっています。

走ること以外取り柄がない少女、速川唯が、
弟が作ったタイムマシンでうっかり戦国時代へ。
そこで出会った若君に一目惚れ・・・
女なのに男になりすまして、
足軽として愛する若君を守ろうと走る、走る!

のほほんとした主人公が恋する若君のために猪突猛進する姿が、
とてもコミカルで、すっかり引き込まれてしまいました。
特に1巻は手にしたその日のうちに何度も読み返したほどでした。
そして一気に5巻までプチ・オトナ買いしてしまいました・・・

2015年2月現在、5巻まで出ています。
4巻は主人公・唯の代わりに若君が現代にやってきて、
現代の治療を受けてしまいます。
4巻では若君の高貴さが際立ち、シビレました・・・
続きが気になります。

同じ作者の『高台家の人々』も平行して読み進めています。
こちらもコメディとして傑作だと思います。
(別な機会に記事を書きたいですが・・・)
『アシガール』、『高台家の人々』
どちらも映像化(アニメ、実写)しても面白い作品になるのでは?


アシガール 2巻


アシガール 3巻


アシガール 4巻


アシガール 5巻


高台家の人々 1巻

2015年2月 8日 (日)

映画「バベットの晩餐会」(英題:Babette's Feast)と、ベタニアの香油〜無駄遣いという「美徳」?

NHKBSプレミアムで、2015年2月6日に、
デンマーク映画「バベットの晩餐会」(英題:Babette's Feast)
(※原題は「Babettes g※stebud」※に、aとeの合字が入りますが、
文字化け防止のため記載しません。)が放映されていました。
1987年のアカデミー外国語映画賞を受賞した作品です。
録画して妻と一緒にみました。

あらすじを、NHKBSプレミアムの映画カレンダーから転載します。
(引用)
19世紀後半のデンマークの小さな漁村。牧師であった父の遺志を継いで伝道者として暮らす老姉妹のもとへ、フランスから亡命してきた女性バベットが訪れる。それから長い年月が経過し、家政婦として姉妹に仕えてきたバベットは、宝クジで大金を当てる。かつて、パリで女性シェフだった彼女は、そのお金で食材を集め、村人たちを招いて晩さん会をひらく。バベットが腕によりをかけた超一流の料理が並ぶ食事シーンが圧巻。
(引用終)

映画前半は、荒涼としたユトランドの漁村で質素な生活をする、
信仰を中心にした人々の暮らしと、中心人物である姉妹の過去が描かれます。
若い時は、美しさが魅力だった姉妹。
姉にも妹にも、唯一のロマンスが実はありました。
(モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の曲が効果的に使われていました。)
それから50年後・・・
かつて美しかった姉妹もすっかり年老いていました。
運営する信仰共同体の中に不平不満が絶えませんでした。
そんな中、姉妹に仕えるメイド、フランスからやってきたバベットに、
宝くじがあたった、という知らせがフランスから来ます。
バベットは姉妹と信者たちのために、くじで当たった1万フラン全部を使い、
最高の晩餐会を開きます・・・
(当時の1万フランは、今なら1000万円、という記事もありました。)
料理が出てくるシーンは圧巻です。
(どんなメニューかというと・・・
以下のブログ記事に詳しく書かれていましたのでご覧ください。
「バベットの晩餐会」のフランス料理とワイン(Food Watch Japan)
頑なな信仰故に、
「料理の話はしないでおこう」という取り決めになっていた信者達も、
料理のことには触れませんでしたが、
あふれるばかりの味の饗宴の前に、
お互いのいざこざや小さな不平不満がみな吹き飛び、
笑顔のうちに和解しあえる環境ができていました。

単なるグルメ映画、というよりは、
むしろ、心の気高さこそが主題だと思いました。

映画を観終わってすぐ思い出したのは、
新約聖書のある記事でした。
イエス様が捕らえられ、十字架につけられる前に、
ベタニアにある重い皮膚病の人シモンの家にいた時に、
ある女(マタイ、マルコは無記名、ヨハネではマリア)から、
高価なナルドの香油を(たぶんたくさん)注ぎかけられます。
(マタイ、マルコは頭に、ヨハネでは足に)
香油は売れば300デナリオンになったと書かれています。
(当時、1デナリオンが1日分の給料、ということは、
ほぼ1年間分の収入に等しい、ということになります。
単純に考えれば、みなさんの年収分全部、と考えてもいいと思います。)
香油は香りをある時間残すだけで、あとは使い物になりません。
「そこにいた人の男人か」と「弟子たちが」憤慨した、
と聖書には書かれています。

「なぜ、こんなに香油を無駄遣いしたのか。この香油は三百デナリオン以上に売って、貧しい人々に施すことができたのに。」そして、彼女を厳しくとがめた。
(新約聖書マルコによる福音書14:4〜5新共同訳)

バベットの1万フラン食材による晩餐会と、
ベタニアの香油の話、どちらも無駄遣いの話です。
どちらも、時間にしてたかだか1〜2時間のために、
ものすごい出費をしたことになります。

映画のバベットであれば、フランスに戻って優雅な生活ができたことでしょう。
イエス様に香油を注いだ女だってそうです。
しかし、無駄遣いを通して、惜しみなく愛を表現することが、
まさに真の信仰(物質にとらわれない豊かさ)を実現していました。

考えてみれば、太陽の恵みだって、壮大なエネルギーの無駄遣いです。
自然界そのものが、気の遠くなるほどの無駄遣いともいえます。
我々は惜しみない気前良さの中で暮らしているのです。

もっといえば、キリストの十字架こそ、神様の最大の浪費ともいえます。
愛に値しない、愛される値のない我々を愛するために、
神の独り子であるイエス様を十字架につけられたのですから・・・
神様の愚かといえるまでの激しい愛!

神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。
(新約聖書ヨハネによる福音書3:16新共同訳)

関連するオススメ記事も紹介します。
二つのブログ記事に教えられた後藤健二さんが体現した「神の愛の愚かさ」
(命と性の日記~日々是命、日々是性)

DVD

原作

※イサク・ディーネセン作。原作はまだ読んでいませんが、
そのうち読んでみようかな・・・

2015年2月 7日 (土)

第66回さっぽろ雪まつりの夜の写真〜白いダース・ベイダー(Darth Vader)?など

札幌の冬の風物詩、「さっぽろ雪まつり」も今年(2015年)で第66回目!
さっそく妻と夜の時間帯に行きました。

1丁目会場 J:COMひろば
スケートリンクがあります。スケート靴レンタル料込で、
大人500円、子ども300円、1回30分以内です。

2015_snow_festival01

2丁目会場 道新 氷のひろば
バックのテレビ塔とのコラボがキレイでした・・・

2015_snow_festival02

3丁目会場 HTB PARK AIR広場
白い恋人 PARK AIRジャンプ台
夜9時近かったので、当然ながら、見て終わりでした。
このジャンプ台、最大斜度は38度だそうです。

2015_snow_festival03

雪まつりにあわせて完成された、地下鉄大通駅の新しい5番出口。
緩やかならせん階段になっています。
外観のガラスのデザインはなかなかです。

2015_snow_festival04

4丁目会場 STV広場
大雪像 雪のスター・ウォーズ

今回の雪まつりで最も注目を浴びている会場です。
ダース・ベイダーといえば、漆黒のイメージですが、
見事なまでに純白の巨大ダース・ベイダーとなっていました。
手のところは迫力があります。
これを作るのには、
たくさんの「ホース」じゃなくて「フォース」が必要だったのかも?
ストーム・トルーパーは元々白ですね・・・
時間によって色付きのライトアップがされていました。

2015_snow_festival05


2015_snow_festival06


2015_snow_festival07

5丁目会場西 毎日氷の広場
大氷像 台湾-行天宮(台北市)
ちなみに東側はまた別の大雪像がありましたが、写真は撮っていません。
帰宅してから、BSフジの『一滴の向こう側』という番組で、
雪まつり史上初… 大雪像の上で挑むオペラ】というのをやっていました。
東側のアートな雪像が、人形劇の舞台になるのですね・・・

2015_snow_festival08

7丁目会場 HBCフィリピン広場
大雪像 マニラ大聖堂
ちょっと地味な題材かも・・・

2015_snow_festival09

8丁目会場 雪のHTB広場
大雪像 春日大社・中門
プロジェクション・マッピングをやっている時の写真です。
もう少しファンタジー感がある映像なら、拍手喝采だったのでしょうが・・・
現実から飛躍できない感じでした。

2015_snow_festival10

2015_snow_festival11

9丁目会場 市民の広場
市民による雪像。
ジバニャン、コマさん、オラフが何体もあったズラ〜。
もんげー?(*^-^)

2015_snow_festival12

ラブライブ!
カワイイので人気でした。

2015_snow_festival14

ジバニャンとふなっしーの共演?

2015_snow_festival15

10丁目会場 UHBファミリーランド
大雪像 楽しいサザエさん一家 inさっぽろ雪まつり
少し地味・・・
11丁目会場、12丁目会場は見ていません。

2015_snow_festival13

会場に行かれる際は、くれぐれも足元に注意!
結構滑りやすいですよ。

2015年2月 1日 (日)

2015年1月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧

2015年1月のページビュー(PV)数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.「学び合い学習」は日本の義務教育崩壊を招く!
~おすすめ記事『【解答乱麻】 TOSS代表・向山洋一 亡国の教育「学び合い学習」』
(MSN産経ニュース2012年11月24日掲載)

二位.映画「サン・オブ・ゴッド」(原題:SON OF GOD)
〜イエス・キリストの生涯を2時間弱で描くのはやっぱり無理?

三位.インクルーシブ(インクルージョン)教育は子どもにとって本当に幸福なのか?
~おすすめブログ記事「脱インクルージョン教育」(ブログ名:斜に構えてみる)

四位.「学びあい」という美名の下の教育の堕落~
NHKEテレ・ETV特集「輝け二十八の瞳 ~学び合い 支えあう教室~」
(2012年2月5日放送)

五位.映画「世界の果ての通学路」(2012年仏)〜NHKEテレ2015年1月3日放送
六位.年末年始に読んだ本2014-2015
七位.謹賀新年2015&2014年12月のページビュー(PV)数ベスト10記事一覧
八位.どの聖書が一番いいか?(新約聖書編)
九位.ブラームス:交響曲第1番聴き比べ12種〜カラヤン盤5種を中心に・・・
十位.ウコンは肝臓に悪い?~NHK・ためしてガッテン「肝臓の健康を守れSP」
(2011年6月29日放送)

先月は教育関係の記事が4本ランクインしました。
八位の「どの聖書が一番いいか?(新約聖書編)」は、
「現改訳聖書」に関するところ等など、抹消した方がいいようですので、
今回ランクインしたついでに、一部記事を改定しました。
(その記事を書いたのが2010年3月・・・
なのに、2015年1月末現在、「現改訳聖書」は未だに発刊されていないとは!
一方、日本聖書協会の新しい翻訳の方は、着々と進んでいるようです。)

北海道はこれからが寒さと大雪本番かも?
札幌では2月5日(木)から11日(水・祝)まで今年も「雪まつり」が開催されます。
インフルエンザが流行っていますね。
お体に気をつけて・・・
今月もご愛読よろしくお願いします。

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