おすすめWEB記事〜結果不振選手批判はブラック企業の論理(為末大学 オリンピックを考える)
今回のソチ五輪でメダルが確実と日本中から期待され、
結果、惜しくもメダルに手が届かなかった代表的な選手といえば、
フィギュアスケート女子シングルの浅田真央選手と、
スキージャンプの高梨沙羅選手ですね。
私としては、二人共最善を尽くして頑張ったから、
結果には文句どころか、「よくがんばったね!」と言いたいほどです。
しかし一方、メダルが取れないとボロクソに言う人が出るのも残念ながら事実です。
上記の二人はまだ入賞できたからいいものの、
マイナー競技の中には、入賞はおろか、
ほとんど結果を出せないまま終わってしまう種目もいくつかあります。
2014年1月に、
たまたまちらっと観た「アスリートの魂」というNHKの番組では、
女子アイスホッケーの「スマイルジャパン」のメンバー達が、
「宅配ピザ店やスポーツ用品店のアルバイトで遠征費を賄う」
様子が映し出されていて、衝撃を受けました。
私が番組でちょうど観たのは、居酒屋でバイトしている選手の姿でした。
五輪選手になる人が、こんなところでバイトしないと、
選手としてやっていけないとは・・・
スマイルジャパンは5戦全敗と結果は散々でしたが、
五輪に出場できただけでもスゴイことだと思います。
こんな状況で、「お前たちもっと強くなれよ!」というのは、
あまりにも酷ではないでしょうか?
スノーボード女子パラレル大回転で銀メダルをとった 竹内智香選手にしても、
夏は北海道の実家で仲居さんをしていると知りました。
→智香 夏は実家の旅館で仲居さん!?でもその実力は…
今回おすすめするWEB記事、
「結果不振選手批判はブラック企業の論理」(為末大学 オリンピックを考える)は、
読んで「その通り!」と思いました。
「豊かな国」のはずの日本は、オリンピック選手の強化費に、
他のスポーツが強い国ほど、お金をかけていない、とのことです。
上記記事から引用します。
(引用)
強化費に関して計算の仕方にさまざまな考え方があるので、どの程度、正確なのか分からない。12年ロンドン五輪では、ドイツが270億円強、米国165億円、韓国150億に対し、日本は27億円という試算がある。ある程度のばらつきがあるとみても、日本の強化費はかなり少なく、その中でメダル数はよくやっていると言える。
(引用終)
明治天皇の玄孫で、
日本オリンピック委員会(JOC)会長・竹田恆和氏の息子でもある竹田恒泰氏が、
ツイッターで、
「予選落ちしてヘラヘラと『楽しかった』などと語った選手」を問題視し、負けた際のコメントとして「思い出になったとか、楽しかったなどはあり得ない」
とコメントしたのが話題になりました。
こういう圧力が、結果、選手を押しつぶしてしまっているのでは?
選手一人一人、それなりに頑張っているわけなのです。
五輪って、そもそも「参加することに意義がある」のでは?
メダルをとるだけが五輪参加ではないと思います。
(もちろんベストは尽くしてほしいですが)
再び上記おすすめWEB記事から引用します。
(引用)
メダル獲得に関して、日本はかなり不利な状況にいる。人口はそこそこながら先進国中で少子高齢化はトップを走っていて、GDPも減少しつつある。また強化費は発表している国の中では最も低い中、選手たちは努力していると言えるのではないか。夏の五輪はそれでも注目が集まり、ある程度サポート態勢が整っているが、冬季五輪は器具を使うためにかなりお金がかかるのに、サポート態勢がそれほど充実していない。
もちろんメダル数などに関係なく、ただスポーツを楽しめばいいという考え方も素晴らしいと思う。実際にそう割り切っている国もある。その場合は強化費を減らせばいいのだが、ただしメダルは望めない。「お金はないがメダルは取れ」は少々、選手に酷な状況となってしまう。
私は日本的精神論とは、(1)足りないリソース(資源)を気持ちで補わせる(2)全体的問題を個人の努力に押し付ける、だと考えている。結果が出せないことに批判が集まるたび、ここ数年続くブラック企業を想像してしまう。全体として足りないリソースを残業などの個人の努力で補う。「できる、できない」は気持ちの問題。それと似た空気を五輪の期間中も感じている。
(引用終)
冬季五輪のスポーツでは、
フィギュアスケートやスキージャンプばかりに注目が行きますが、
あまり脚光を浴びないマイナー競技や、
日本選手がまだまだ育っていない分野に、
ぜひ強化費が何らかの形で行き渡り、
スマイルジャパンの選手たちのように、
居酒屋とかでバイトしなくても五輪へ行けるような環境を作ってあげたいものです。
(参考記事)
→五輪選手に「税金無駄遣い」批判する人こそ無駄な人間と識者
→為末「選手批判はブラック」で議論
→脱「甘やかし」 アスリート社員のフルタイム勤務が企業スポーツを救う
※この記事は賛否両論あると思います。
スポーツは国が強化費を出すより、選手がスポンサーを見つけるなり、
何らかの企業に就職しながらやるべき、というなら、正論でしょうが、
たとえば冬季五輪のリュージュやスケルトンといったものなら、
かなり無理があると思います。
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