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2014年2月26日 (水)

書評:瀬尾大著『不登校、その知られざる現実と正体』(扶桑社)〜不登校問題は、親子関係の問題!

平成24年度の小・中学校における、不登校児童生徒数は約11万3千人です。
(文部科学省:
平成 24 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について
実際には、この数字はカラクリがあり、
定義上では「1年間でトータル30日以上の欠席(病気や経済的理由を除く)」
とあるだけで、
学校に来てすぐ帰る、保健室登校しかできないといった、
本来上の「登校」=学校できちんと勉強する、に該当しない場合を入れたら、
実数はこの1.5倍〜3倍ぐらいになるかもしれません。

不登校の原因は多々ありますが、
よく言われるのは「学校が悪い」、「社会が悪い」、
「子どもが傷ついているから」、「受験競争で疲れた」等々・・・
確かに、学校側がいじめを放置している場合もあります。
かといって、不登校がすべて、いじめが原因ということはありませんね。
実際、上記統計によると、「いじめ」が直接原因による不登校は、
小学校では全体の1.9%しかありません。
中学校でも2.1%です。
多くは、「不安など情緒的混乱」、「親子関係をめぐる問題」で、
小学校に限って言えば、この2つだけで不登校理由の50%以上を占めます。
→平成24年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について
PDF2の方に載っています。)

今回紹介します、
不登校、その知られざる現実と正体』(扶桑社)は、
私自身、必要性に迫られて(理論武装するために)読んだ本です。
著者は、一般社団法人不登校支援センター理事長の瀬尾大氏です。


不登校、その知られざる現実と正体


本書が不登校に関する他の本と決定的に違うのは、
「不登校問題は、親子関係の問題」という単純な事実を看破したことだと、
私は思いました。
不登校児童生徒を抱える親は、ともすると学校が悪い、
クラスメイトが悪い、教師がヒドイなどと、原因を他に求めがちです。
あるいは、「発達障害だから」
「うつ病だから」などというのを理由づける場合もあります。
しかしそもそも、家ではテレビゲームやり放題、
冷凍庫にはおいしいアイスがたくさん、
朝何時に起きてもOK、昼間からデパートやスーパーに行ける等々、
家にいる=学校に行かない→メリットになっている場合が多いはずです。
(反対に、ネグレクトで、という場合もありますが・・・)

本書第2章「子供はなぜ不登校になるか」では、
不登校児童を抱える家庭の共通点として、
以下の6つを挙げています。
①過干渉
(「親の一方的な甘やかしによって子供の自立を妨げ、成長や発達を親の思いのままに操ろうとすること」同書PP.88)
②過保護
(「基本的に”子供の要求に何でも応えてあげる”行為のこと」同書PP.88)
③共依存(親離れ・子離れが共に出来ない状態)
④ネグレクト
⑤両親間の不一致
⑥両親間の不仲
そして、不登校は「子供の社会不適応」である、と論じています。
不登校の原因として取り沙汰される、
発達障害そのものが不登校の直接的な原因ではなく、
そこから生じるパーソナリティ障害が問題だ、とも説いています。
(PP.119〜127)

豊富な相談事例と改善例も具体的です。
不登校の子供との信頼関係(ラポール)を築くのに、
その子が好きなマンガを、カウンセラー(著者)が実際に読んでみて、
話をしてみる、というのも実例に出ていました。
相手がBLマンガが好き(=腐女子)なら、
自分もその分野のマンガをあれこれ読んでみる(PP.195〜199)、というところは、
新約聖書の使徒パウロの言葉、
弱い人に対しては、弱い人のようになりました。弱い人を得るためです。すべての人に対してすべてのものになりました。何とかして何人かでも救うためです。
(新約聖書コリントの信徒への手紙一9:22新共同訳)
というのを連想しました。

不登校対策として下手なフリースクールや、
「不登校でいいんだよ」と開き直らせるNPO法人、
安易な医療機関受診よりも、
もっとやるべきことがあるはずです。
本書を有効な解決手段の糸口を見い出せるものとして推薦しますが、
家庭ですぐにでもできそうな不登校解決方法を提示している本として、
以前紹介したことのある、
奥田健次著『メリットの法則〜行動分析学・実践編』(集英社新書)もオススメします。
過去記事→書評:奥田健次著『メリットの法則』(集英社新書)&『子育てプリンシプル』(一ツ橋書店)〜不登校問題等への有効なアプローチとなるか?

不登校児童生徒を抱える家庭はもちろんのこと、
不登校児童生徒の担任の教師の方々もぜひご一読を!
よくある「本人が行く気になるまで待ちましょう!」では、
改善は見込めないのです・・・

メリットの法則〜行動分析学・実践編

著者が「財界さっぽろ」(北海道のローカル月刊誌)のインタビューに答えた記事が、
「不登校支援センター」のHPに載っていましたので、
紹介します。
雑誌記事

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