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2013年9月の20件の記事

2013年9月30日 (月)

TBS系・The Partner 〜愛しき百年の友へ〜(2013年9月29日放送)〜日越友好にかえってマイナスなのでは?

ファン・ボイ・チャウ(1867ー1940)という人を知っていますか?
ベトナムの民族主義運動の指導者だった人です。
ベトナム独立といえば、ホー・チ・ミンしか知りませんでした。
日本とベトナムの国交樹立40周年を記念して作られたTBS系の2時間ドラマ、
The Partner 〜愛しき百年の友へ〜」で初めて知りました。
100年以上も前の実話を元に作られたドラマと、
現代の日本とベトナムとの関係を描いています。

ドラマ自体は、知られざる歴史に焦点を当てたものですが、
ドラマを視聴しながら、ネット検索して、
ファン・ボイ・チャウと日本の医師、浅羽佐喜太郎との関係が、
どうも史実とドラマが違うらしいというのがわかりました。
細かなところは史実に沿っていたとしても、
描き方は、戦前=悪みたいな自虐史観から抜けられないし、
日本との友好よりも、日本での苦難の方が記憶に残ってしまいます。
これでは、日本とベトナムの友好を描く、
というのに役立っていないのではないでしょうか?

なぜファン・ボイ・チャウが日本にわざわざ来たのか、
(亡命するだけならインドとかタイでもいいわけなのに・・・)
その部分には触れていないのは残念でした。
日露戦争で日本が勝利したというのが、大きな要因のはずなのに、
なんだかボート・ピープルとして「たまたま」日本に漂流した、
という描写になっていたところから、まず視聴者に歴史誤認させています。
日本は冷たかったが、「例外的に」浅羽佐喜太郎とその周辺だけは別・・・
結果として国外追放になったとはいえ、この描き方は残念です。
ベトナムでも同じ作品が放映されたそうですが、日本不信につながらないか心配です。

私が参考にしたサイトは以下の2つです。
■潘佩珠(ファン・ボイ・チャウ)と浅羽佐喜太郎の交流■
日本に学べ、潘佩珠(ファン・ボイ・チャウ)の東遊運動

ちなみに、私ども夫婦には、ベトナム人の知人がいます。
また、最近(2013年)J2のコンサドーレ札幌では、
ベトナムのサッカー英雄、レ・コン・ビン選手が活躍しています。
彼目当てにベトナムから観光客が来るほどだそうです。
今後の日本・ベトナムの友好関係の発展を祈念したいものです。

2013年9月29日 (日)

宇宙戦艦ヤマト2199最終話(2013年9月29日放送)〜概ね9割満足・・・

2013年4月から放映が始まった「宇宙戦艦ヤマト2199」。
私は全話録画して観ていました。
旧作は80年代の再放送(何回目の再放送かは知りませんが・・・)で観ました。
ヤマトやガミラス艦、コスモゼロなどのプラモデルを作ったものです。
80年代までの旧作の劇場版はテレビで観ました。
「完結編」は映画館で観ました(この作品だけテレビで観た記憶がないですが・・・)。
ガンダム、マクロスと並ぶ少年期の思い出のSFアニメ作品の一つです。
ただ、相当前なので記憶は薄れてしまい、
旧作の大まかな筋ぐらいしか覚えていませんでしたので、
今回の「2199」はまったく別物として観ることができたのは、
かえってプラスでした。
AmazonのDVDのレビューを読むと、旧作と比べて云々(概して否定的)・・・
みたいなのが多く、辟易してしまいました。
なぜなら、「2199」は基本の筋・登場人物・設定こそ、
だいたい旧作から引き継がれていますが、
まったくの新作と考えた方がいいからです。
(ガンダムで言えば、宇宙世紀とコズミック・イラぐらいの違いでしょうか・・・
あるいはZガンダムのテレビ版と新訳劇場版ぐらいの違い?
もっといえば、マクロスのTV版と映画版ぐらいの差?)


宇宙戦艦ヤマト2199 1 [Blu-ray]

※7巻まであります。


旧作では女性が森雪しかいないというのは実に不自然でしたが、
「2199」では交代要員として女性が何人も出てくるとか、
波動砲が万能兵器(一発ぶっ放せば圧倒的な勝利!)にならない所
(やむを得ない場合のみ使われる・・・)、
その他旧作の矛盾点がうまく解決されているところに、
制作者の方々のヤマト愛があふれていました。

地球側よりもガミラス側の事情の方が詳しく、
ヤマトクルーよりもガミラス側のキャラに感情移入してしまうほどでした。
2話〜8話のED曲「愛詞(あいことば)」もステキでした。


中島美嘉「愛詞」


ただ、お色気サービスシーンはあまり必要なかったかな、とも思いました。
24話のサービスカット「イスカンダルで水泳」シーンもちょっとひいてしまいました。
(こういうのは録画を早送りするしかありません・・・
ただでさえいいトシしてSFアニメ、というだけでもハードル高いのに、
お色気シーンまで出てこられると困ってしまうのデス・・・)
あと、最終26話の「ヤマトで結婚式(ついでにご懐妊〜)」とか
(宇宙で夜の営み、デスカ・・・敵襲もあるのに?)
スターシャが古代守の子を宿していた(らしい)とか
(これは旧作では古代守が生きていてスターシャとの間に子がいた、
という設定こそありましたが、
今作では古代守は瀕死の人で、ヤマトが来た時には死去していた、
という設定変更がありましたが、二人の逢瀬はいつ?
同人誌が好みそうな、あ〜んなことや、こ〜んなことまで・・・
といった余計な妄想を招くだけではないでしょうか?)
このあたりはいらなかったのでは、とも思います。
あと、デスラー総統のキャラ、20話あたりまではかなりカッコいいのですが、
ガミラス星を滅ぼしてまでヤマトを葬ろうと、
デスラー砲を発射しようとするあたりからドン引きでした。
古代のローマ皇帝の気まぐれみたいなものにしか思えませんでした。
もう少しカッコいい滅び方を描いた方がよかったのでは?

26話のエンディング、
テレビ版では19話からの「Distance」で終わったのも少し残念です。
悲劇的な結末を予感させるようなものだからです。
(25話までなら結構ステキでした・・・しっとりとして、切なさが魅力です。)
私は劇場公開版は観ていませんが、
劇場公開版では水樹奈々さんの「愛の星」が使われていたのですね。
あとでこの曲を実際に聴いてみたら、
ラストは「愛の星」の方が断然しっくりきます。
美しい地球を取り戻す場面にふさわしい曲といえます。
ヤマトは個人のラブストーリーの話ではなく
(そういう要素も多少は含まれていても)、
汚染された地球を蘇らせる、という崇高な使命がメインのはず。
「Distance」で終わってしまうと、物悲しいのと、
ラブストーリーのついでに地球も救われた、という印象にならないでしょうか?
(「Distance」自体はアニメのED曲としてはステキすぎる曲ですが・・・)

沖田艦長の辞世の言葉にはやはり泣きそうになりました・・・
結末はSFというよりはファンタジーになっていましたね。


JUJU「Distance」


水樹奈々「Vitalization」


とはいえ、4月から9月まで、日曜日の夜十分に楽しませてもらえました。
(日曜日の夕方が楽しみでした!ただし、妻からは白い目でトホホ・・・)
「宇宙戦艦ヤマト2199」は紛れもない傑作アニメと断言できます!
ストーリー展開その他総合的に考えてみても、概ね9割満足できました。
(SFアニメで夢中になったのは、「マクロスF」以来です・・・)

2013年9月28日 (土)

NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「あなたは利用条件に“同意する”? ~ネットと個人情報~」(原題:Terms and Conditions May Apply)(2013年9月24日放送)

インターネットのさまざまなサービスを利用するたびに、
長たらしくて読む気になれないプライバシーポリシーが出てきて、
面倒だからろくに読まずに「同意する」と、押してしまうこと、ありませんか?
ほかならぬ私もその一人です(でした?)。
いろいろなサービスを(たいていはタダで)享受する一方、
自分の情報を第三者に提供しているワケです。
また、そのプライバシーポリシーの中には、
わけのわからないものが紛れている可能性だってあるわけです。
2013年9月24日放送の、
NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー
あなたは利用条件に“同意する”? ~ネットと個人情報~」では、
番組序盤に、イギリスのゲーム販売会社が2009年に、
「このサイトから注文すると、あなたの不滅の魂を手にする権利を当社に与える事に同意することになります。」
という利用条項を入れていた実例が取り上げられました。
もちろんこれはジョークですが(日本だと通じないかも・・・)、
条項が撤回されるまでのたった24時間で、
会社は約7000人もの魂をかき集めたそうです。
いかに我々ネットユーザーが、
プライバシーポリシーとか利用条項をきちんと読んでいないかを、
如実に示す象徴的なケースですね。
続いてジョークでは済まないケースとして、
今や誰もが使うフェイスブックやGoogleなどの条項が紹介されました。
政府(番組ではアメリカ)にインターネット閲覧記録などの個人情報が、
いつの間にか知れ渡っているかもしれない・・・
テロ予防などの名目とはいえ、行動・思想の監視は、
ジョージ・オーウェルが描いた悪夢「1984年」をリアルにした世界が、
既に現実のものとなっているわけです。
(番組では、映画「マイノリティ・リポート」を引き合いに出していました。)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)


マイノリティ・リポート [Blu-ray]

番組HPから、放送内容を転載します。
(引用)
インターネットのサービスを利用するたびに出てくる「同意する」ボタンをクリックするとどうなるのか?ネット上の無料サービスを利用する際、利用条件に同意したとたん、名前、住所、年齢、購入した商品、クレジットカード情報など、様々な「個人情報」が利用されることになる。多くの人は気付いていないが、無料なのはその代償だと警告する人もいる。
個人情報を収集し・分析して広告に役立てる企業。フェイスブックは、誰にでも無料で自由なコミュニケーションの場を提供する代わりに、利用者の個人情報を企業に売って大きな利益を得ているという。グーグルも閲覧履歴や検索キーワードから個人のプロファイリングを行っている。情報が、政府や警察に渡っている可能性も否定できない。9.11後、アメリカ政府はテロ対策を名目にツイッターなどのソーシャルネットワークを監視していることが知られている。
インターネットが仕事にも生活にも欠かせないものとなった今、ネット上の個人情報は蓄積される一方で、「プライバシー」は存在しなくなってきているのではないか。個人情報がどのように使われているのかを様々な実例から検証し、ネット社会の知られざるリスクを検証する。

(引用終)

自由な社会だと思っているうちに、
いつの間にか旧社会主義国みたいな全体主義国家になっているのかもしれない・・・
コワイ話ですが、時流にあらがうことはできないのでしょうか?
権力の濫用への監視こそ、我々ができる抵抗なのではないでしょうか。

(追記)
ちょうど2013年9月28日NHKBS1放送の「グローバルディベートウィズダム」で、
同様のテーマを取り上げていました。
→「監視される社会〜ネットが変える国家と民主主義

あまちゃん最終回(2013年9月28日)

あまちゃん」ついに最終回が来てしまいました・・・
私は遅ればせながら8月から観始めました。
ちょうどオキナワ旅行中あたりからです。
主人公アキが東京に出てアイドルを目指している頃の回でした。
AKB48とか秋元康さんのパロディが出ていて、
じわじわと小ネタのジャブが効いてきました・・・
ついには毎日録画して観る事態になってしまいました。
(妻はあきれ顔・・・
でもようやく最終回近くになってから一緒に観ることが多くなりましたが・・・
ちなみに、妻は「あまちゃん」の前作品、「純と愛」の方がお気に入りでした。
私は「純と愛」はパスでした・・・)

最終週は、ミュージカルのハッピーエンディングのような感じがありましたね。
薬師丸ひろ子さん演じる音痴(?)の鈴鹿ひろ美が、
見事に「潮騒のメモリー」を歌うところの演出が実に見事でした。
最終回の前日の放送回で、
宮本信子さん演じる夏ばっばが皆の前で語る長いセリフは、
まさに東北の想いを代表しているように思えました。
「被災地」「復興」=かわいそうな、困っている場所ではなく、
困難があっても明るく生き抜く地方の姿というものを、
宮藤官九郎さんは描きたかったのでしょうね。

最終回のラストで、「潮騒のメモリー」を
ユイ(橋本愛さん)→天野春子(小泉今日子さん)
→鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子さん)・・・と歌い継ぐところもステキでした。
「あまちゃん」のオープニング曲がラストに来て、
いつもはアキ(だけ)がジャンプするシーンで、
ユイとアキがジャンプするのは、未来への躍動と、
続編への期待を感じさせました。
あまちゃん」、日本を元気にしてくれて、ありがとう!


あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX1


潮騒のメモリー(CD)

2013年9月26日 (木)

ドラマ「孤独のグルメ」Season3最終回と原作マンガ

ドラマ「孤独のグルメ」Season3、ついに終わってしまいました。
2013年8月某日の深夜にこのドラマをたまたま観てしまってから、
すっかりハマってしまいました。
(既に記事を書いています→
ドラマ「孤独のグルメ」Season3〜
オジサンがメシ食って心の中でつぶやいているだけだが・・・

主人公・井之頭五郎を演じる松重豊さんの実においしそうな顔!
最近では私ども夫婦の間では、このドラマを観ることを、
「オジサン観る?」と言ってました。
(さすがにリアルタイム放送を観るのはキツイので、
毎回録画でした。
だから夜中に何か食べたくなる、という「夜食テロ」は防止されました。)
連続の話ではないので、どの回から観ても安心です。

最終回のいわし料理専門店も実においしそうで、
東京に行ったら実際に行ってみたいかも・・・
最後にはドラマ本編に原作者が客役で登場していましたね。
Season3が終わってしまうのは寂しいですが、
そのうちSeason4が始まることを期待しています。
(エンドレスストーリーみたいなものですね。)

毎回、本業の話がさわり程度に出て、
その後「腹減った・・・」ポン・ポン・ポン・・・(ズームアウトしていく)
それから、本編が始まる、というワンパターンですが、
だからこそ、安心して観ていられるのかもしれませんね。
中年オトコがメシを食いながら嬉々としている内心を覗き見する感じです。
2013年夏ドラマの我が家での大ヒットは、
「半澤直樹」ではなく、「オジサン」こと「孤独のグルメ」でした。
(「半澤直樹」は、結局第1話しか観ませんでしたが・・・)

孤独のグルメ Season3 Blu-ray BOX


なお、ドラマを観てから原作に興味を持ち、
原作も読んでみました。
それなりに面白かったです。
中には深夜にコンビニで買ったものを食べる話とかもありました。
私としては・・・
ドラマ版の方が観ていて楽しいかな・・・

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

2013年9月23日 (月)

映画「サガン -悲しみよ こんにちは-」(原題:Sagan)と、旧約聖書の「コヘレトの言葉」〜人生を満たすものとは?

2013年9月22日(21日深夜)に、テレビ北海道で、
フランス映画「サガン -悲しみよ こんにちは-」(原題:Sagan)
が放映されていました。
先日紹介した映画「ルルドの泉で」(原題:LOURDES)で、
難病女性を演じたシルヴィ・テステュー(Sylvie Testud)が、
20世紀後半のフランスを代表する作家、
フランソワーズ・サガンのデビュー当初(18歳!)から最晩年までを演じています。

DVD


小説『悲しみよこんにちは』


ベストセラー小説『悲しみよこんにちは』で一躍富と名声をモノにしたサガン。
しかし晩年は度重なる浪費の末に生活は困窮していたようです。
映画冒頭は、老いさらばえたサガンが住み慣れた屋敷を手放すところから始まります。
老いたサガンが生涯を回想する、という形で映画はあれよあれよと進みます。
まるで走馬灯のように・・・
展開の速さに多少ついていけない面がありました。
莫大な富と名声があっても、心は常にむなしく、
ドラッグやギャンブル、酒、派手な交友、男女の愛人など、
金にモノを言わせてやりたい放題の日々ですが、悦びはつかの間・・・
どこまでも心は満たされることはありません。
主演のシルヴィ・テステューの演技が見事です。
作家の心の空洞、倦怠感などを見事に体現していました。
しかし映画そのものは、どうも主人公サガンにまったく共感できないまま、
没落の道を歩むだけ、というなんとも観ていてやりきれなくなってしまいます。
最後の方はさすがに退屈してきました。

サガンの実生涯と映画はまた別物なのかもしれませんが、
映画を見終わってから、旧約聖書の「コヘレトの言葉」を思い出しました。
伝統的にはソロモン王が著したものとされますが、
実際のところはわかりません。
「コヘレト」とはわかりやすく言えば、現在の牧師みたいな人といえます。
人生のむなしさや不条理を深く知った賢人が書いたものでしょう。
2章では、あらゆる快楽や事業、知恵を追求した果てに得たのは、
しかし、わたしは顧みた
この手の業、労苦の結果のひとつひとつを。
見よ、どれも空しく
風を追うようなことであった。太陽の下に、益となるものは何もない。

(コヘレト2:11新共同訳)
太陽の下、労苦してきたことのすべてに、わたしの心は絶望していった。
(コヘレト2:20新共同訳)
まことに、人間が太陽の下で心の苦しみに耐え、労苦してみても何になろう。
(コヘレト2:22新共同訳)
という悲嘆でしかありませんでした。
作家フランソワーズ・サガンの心の中の叫びのようにも思えます。

結局、どれだけの富や名声があったとしても、
心のなかに、感謝の心・足る事を知る心がなければ、
むなしいものなのです。

食べる物と着る物があれば、わたしたちはそれで満足すべきです。
(新約聖書テモテへの手紙一6:8新共同訳)
たくさんの善いもので満たしてくださっている神様に感謝!

ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第5番聴き比べ7種類

ベートーヴェンのピアノ協奏曲聴き比べシリーズ、第3回です。
今回はピアノ協奏曲第5番Op.73です。
(順番で行くと第3番ですが、好きな順とします。)

聴き比べ対象は、第1回(ピアノ協奏曲第1番Op.15)の時に挙げた6種類と、
ルービンシュタイン/バレンボイム/ロンドン・フィル(ルービンシュタイン盤)の、
計7種類です。
ルービンシュタイン盤は輸入版よりも下の国内盤CDの方が入手しやすいです。

ルービンシュタイン盤(Blu-spec CD2/24bit/192kHz Remastering)

まずは、それぞれの演奏時間を列記します。

・バックハウス盤(1959)
1;19.41
2;07.19
3;10.33

・クレンペラー盤(1967)
1;22.55
2;09.00
3;11.06

・ルービンシュタイン盤(1975)
1;22.49
2;09.28
3;11.10

・アラウ盤(1984)
1;21.01
2;08.28
3;11.06

・内田光子盤(1997)
1;20.59
2;08.21
3;10.33

・プレトニョフ盤(2006)
1;20.03
2;07.17
3;10.26

・バレンボイム盤(2007)
1;19.38
2;05.16
3;12.56

今回の順位をつけるとしたら・・・
1位:バレンボイム盤
2位:アラウ盤
3位:プレトニョフ盤
4位:内田光子盤
5位:ルービンシュタイン盤
6位:クレンペラー盤
7位:バックハウス盤

バレンボイム盤はこの中で断トツの1位といえます。
最も剛毅で硬派な演奏です。
ピアノ・オーケストラ共に雄弁で、
見事なまでにキラキラ輝いています。
映像を観るととてもパワフルです。
ピアノとオーケストラどちらもバランスがよく、
これぞ「皇帝」!という感じです。
なお、私はブルーレイ盤で視聴していますが、
CDも発売されています。
(せっかくなら、ブルーレイの方がいいと思いますが・・・)
→最新決定盤ベートーヴェン・ベスト~ピアノ協奏曲全集


アラウ盤はCDとしてはベストといえます。
オーケストラの深みのある響きは、バレンボイム盤ほどの元気さこそないですが、
じっくりと味わうのにふさわしいものです。
演奏者を忘れて、曲そのものの美しさにひたすら浸ることができます。

プレトニョフ盤は反対に、演奏者が最も全面に出た演奏です。
往年の巨匠さながらにテンポ・ルバートの多用、
強弱の付け方など、今まで聴いたことのない響きが続出します。
一般的な演奏に飽きたら、一聴をおすすめします。
ただし、オーケストラの響きがあくまでピアニストのオマケ感が否めず、
少し物足りなさを感じてしまいます。

内田光子盤は以前の愛聴盤でした。
ザンデルリンクの包容力あふれる指揮が魅力です。
ただ「皇帝」は極めて内向的な内田光子の演奏スタイルに合わないのかもしれません。
ピアノのダイナミックさはあまり期待できないですが、
第2楽章の精神的沈滞とか、弱音の美しさは聴きものです。

ルービンシュタイン盤は、宇野センセイが以前から激賞している盤ですが、
今回改めて聴き比べても、やっぱり真価がわかりませんでした。
録音のせいなのか、
他の録音と調そのものがなんとなく違ってるようにさえ思えます。
バレンボイムが指揮者として、
巨匠ルービンシュタインをしっかりサポートしているのは評価できます。

第1番、第2番で絶賛したクレンペラー盤ですが、
第5番では、クレンペラーの雄大な指揮に対して、
若きバレンボイムのピアノが対抗できていないマイナスが露見していました。
バレンボイムのピアノを聴くよりは、クレンペラーの指揮を聴く盤といえます。

バックハウス盤は、ピアノ、オーケストラどちらも薄い響きなのが残念です。

その他としては、今手元にないですが、
グレン・グールドが指揮者として
ストコフスキーをわざわざ指名して録音したCDは、
そのゆったりとしたテンポ、
ピアノもオーケストラの楽器の一部と化してしまった感じ、
従来の「皇帝」の演奏を覆すような演奏になっています。

グールド盤(輸入盤)

この曲を初めて聴いたのはアシュケナージ/メータ/VPOの演奏によります。
(高校生の時にはよく聴いていましたが・・・これも今手元にありません。)
ロマンティックで甘口なベートーヴェンがお好みなら、こちらもオススメです。

ピアノ協奏曲全集(アシュケナージ/メータ/VPO)

2013年9月22日 (日)

カトリック新聞の見識を疑う〜ヘイトスピーチのような読者の「声」を載せる時代錯誤・・・

先日、カトリックの知人から、
カトリック新聞のバックナンバーを頂きました。
たいして読む記事などないですが、一応目を通しました。
その中で、一般の新聞での「読者の声」に相当する、
「声」という欄を何気なく読んでいると、
こんな投書があったのにはびっくりしました。
2013年9月22日発行のものです。

氏名を除いて、参考までに、投書を全文掲載します。
(引用)
プロテスタント容認は教会否定
(所属・氏名・年齢が実名で書かれています)
 7月21日付本欄(注:この「声」欄)に掲載された「分裂した教会の一致を切に願う」と題する投稿の中の「ルーテル教会でもカルヴァン・改革派でも、とにかくカトリックと同じキリスト教・・・」という認識にはびっくりしました。
 キリスト教の名に値する教会は「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」のみであり、この条件を満たさない宗教組織はいかにキリスト教を自称しても、「似非(えせ)キリスト教会」でしかありません。
 アウグスティノ会の一修道司祭マルティン・ルーテルが、時の教皇レオ10世の教導に従わず「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」から飛び出して以来、マルティン・ルーテルとその亜流の人々は自らを権威の座に付けて、さまざまなプロテスタント教会を創設してきましたが、プロテスタント教会はまさに「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」ではないので、「カトリックと同じキリスト教」ではありません。
 「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」を信じる、と言いながら、プロテスタント諸教会を容認することは、いかにも寛大で人道的な態度に見えますが、実は「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」を否定しているのです。

(引用終)

この投書をした人、自ら正統なカトリック信者を自称しながら、
第2ヴァチカン公会議の精神を全然理解しない偏狭な人なのでしょう。
たとえば、ルーテル教会とカトリック教会は、
1999年に、「義認に関する共同宣言」に調印しています。
お互いが異端呼ばわりする時代は、時代錯誤のものなのです。
ルーテル世界連盟とバチカンが宗教改革500周年を前に歴史的文書を公表
(日本福音ルーテル教会のHPから)
「義認の教理についての共同宣言」の調印
(南山大学図書館カトリック文庫通信)


義認の教理に関する共同宣言


それはともかく、個人レベルでは、
投書した人とたいして変わらない考え方をしている人が多いのは事実でしょう。
(プロテスタント的なものはなんでもNG・・・のたぐい。
※残念ながら、福音派や聖霊派で、
カトリックを異端扱いするところもありますけど・・・)
だからといって、こういう投書を、
カトリック新聞という、
日本のカトリック教会の公式声明ともいえる所に載せる必要があるのでしょうか?
私は投書主の考えを批判するつもりはありませんが、
これを掲載したカトリック新聞社の見識を疑いました。

いただいたカトリック新聞は2013年7月〜9月のものなので、
他のも読むと、同じ投書主による、
似たような内容の投書が2013年8月18日にも掲載されていました。

厳密に考えてみましょう。
投書主が主張する、
「一にして、聖なる、普遍の、使徒継承の教会」というのに、
現在のカトリック教会が本当に該当するでしょうか?
たとえば、1600年代に成立した「イエスの聖心」のような信心、
過度なマリア信仰・聖人崇敬のどこが「使徒継承の」といえるでしょうか。
「一にして」は、歴史的に言えば、
1054年以来の東西教会の分裂以来、存在しないものなのです。
正統性、というなら、正教会の方がよほど「使徒継承」に近いといえます。

投書がこんな類のものしかない、極めてお粗末な状態だ、というなら、
無理して載せる必要がないはずです。
ヘイトスピーチ(憎悪表現)さながらの投書でも載せないと、
紙面が埋まらない、とでも言うのでしょうか。
カトリック教会とプロテスタント・正教会のエキュメニズムが進められることこそ、
時代の趨勢のはずなのに、
第2ヴァチカン公会議以前の「(カトリック)教会以外に救いなし」を主張するなら、
ヴァチカンの意向とも反するはずです。
カトリック新聞の編集長は即刻辞任すべきなのでは、とさえ思いました。
時代錯誤な考えを掲載して熱心さと勘違いする、
日本のカトリックの恥さらしをやめるべきです。

兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。
(新約聖書ローマの信徒への手紙12:10新共同訳)
カトリック、プロテスタント、正教会は、
キリストにあって兄弟なのです。
強調点の違いはあっても・・・

2013年9月21日 (土)

TBS系・金曜ドラマ「なるようになるさ。」〜心あたたまる作品でした・・・

2013年7月〜9月放送のTBS系金曜ドラマ「なるようになるさ。
橋田壽賀子さん作です。
ということで、橋田さんの作品常連である泉ピン子さんなども出ていました。
今ドキ珍しい、不倫・暴力・いじめなし、
ひたすら人の幸福を築いていくような、心あたたまるドラマでした。
最終回は、なんとなくあっけなく終わってしまって、
無理やりハッピーエンドにした感があったのは残念でしたけど・・・
(家出少女の母親、構い過ぎの両親ならともかく、
DV夫の改心というのはあてにならなくて、
かなりヤバイのでは、と思いましたが・・・)

主役の二人のような人達、現実にはいないよな、と思いつつも、
いつの間にか毎回金曜日の放送を楽しみにしていました。
主役の舘ひろしさん、浅野温子さんの人間味あふれる演技も魅力でした。
元引きこもりの青年役を演じていた安田章大さんって、
ジャニーズ系のヒトだったのですね・・・
(全然気づかなった・・・)
視聴率は堅実なものだったようで、特段大ヒットしたわけではないですが、
こういう作品なら、シリーズ化しても観ちゃうかな・・・


DVDーBOX

絶品!エゾシカの燻製ハム〜さっぽろオータムフェスト2013にて

札幌市の中心、
大通公園で2008年秋から毎年開催されている秋の味覚の祭典、
「さっぽろオータムフェスト2013」へ妻と一緒に行ってきました。
今年は9月13日〜29日までです。
既に2回行きました。
大通公園(周辺)では、YOSAKOIソーラン(6月)、
さっぽろ大通ビアガーデン(7〜8月)、
さっぽろ雪まつり(2月)と、この「さっぽろオータムフェスト」(9月)が、
大きなイベントとなっていますが、
私にとっては、
この「さっぽろオータムフェスト」が大通公園での一番好きなイベントです。

いろいろおいしいそうなものが目白押しでしたが、
(仙鳳趾産蒸しカキなども食べましたが・・・)、
6丁目会場のある店に行くと、「エゾシカ燻製ハム」なるものを発見!
500円でした。
さっそく注文。
紙皿の上に10枚ほどのエゾシカの燻製ハムが載っていました。
一般的なハムというよりは、見かけはチャーシューかレバー肉みたいでした。
妻と一緒に、付属の爪楊枝で味わってみました・・・
むむむ・・・野趣に富む味、野生の味?
今まで食べたことのない味でした。
ふつうのハムの何倍も滋味があるように思えました。
妻曰く・・・
「牛肉よりもクセがなく、あまりしょっぱくない。ちょうどよい塩味」
(今回はカメラを持っていってなかったので、写真がなくてゴメンナサイ・・・)

エゾシカの燻製ハムは、スーパーで見かけるような代物ではなく、
知る人ぞ知る、といったものでしょう。
しかし、このおいしさはもっと広く道民に知られていいのでは、
と思わずにはいられませんでした。

今、北海道ではエゾシカによる農業、林業の被害が数十億円に上ります。
その他に、エゾシカと自動車との衝突事故は珍しくありません。
エゾシカの繁殖を抑制するには、人間による捕獲しかないわけです。
せっかくの天然の恵みを無駄にするよりは、
エゾシカの肉をどんどん消費される方向へ持っていった方がいいと思います。
エゾシカの燻製ハムの味なら、全国の食通をも唸らせるのではないかと期待しています。

エゾシカの食用については、下記の記事をご覧ください。
高たんぱく・低脂肪、現代人に理想的な自然食「エゾシカ」
※記事の下の方に「エゾシカのスモークハム(燻製ハム)」の写真があります。
エゾシカ肉は、高たんぱくで低脂肪、コレステロールも低くてヘルシー、
さらには鉄分がとても多いそうです。

(2013年9月21日追記)
食べたお店の名前は、「ビストロノミー アペリティフ」でした。
あと、上記HPから、エゾシカの燻製ハムが売っているところを見つけ、
実際に購入してきました。
JR札幌駅北口西改札側奥の、「北海道どさんこプラザ札幌店」です。
写真は私どもが購入したエゾシカ燻製ハムです。
約170グラムで880円でした。


20130922_deer_ham

2013年9月16日 (月)

ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第2番聴き比べ7種類

ベートーヴェンのピアノ協奏曲聴き比べシリーズ、第2回です。
今回はピアノ協奏曲第2番Op.19です。

聴き比べ対象は、前回(ピアノ協奏曲第1番Op.15)の時に挙げた6種類と、
ルービンシュタイン/バレンボイム/ロンドン・フィル(ルービンシュタイン盤)の、
計7種類です。

ルービンシュタイン盤


まずは、それぞれの演奏時間を列記します。

・バックハウス盤(1960)
1;13.27
2;07.44
3;06.19

・クレンペラー盤(1967)
1;14.39
2;09.43
3;06.08

・ルービンシュタイン盤(1975)
1;14.58
2;09.46
3;06.25

・アラウ盤(1987)
1;15.08
2;09.27
3;07.06

・内田光子盤(1997)
1;14.55
2;09.30
3;06.33

・プレトニョフ盤(2006)
1;13.45
2;08.28
3;06.11

・バレンボイム盤(2007)
1;14.48
2;09.34
3;09.17


今回の順位をつけるとしたら・・・
1位:クレンペラー盤
2位:バレンボイム盤
3位:ルービンシュタイン盤
4位:バックハウス盤
5位:プレトニョフ盤
6位:アラウ盤、内田光子盤

クレンペラー盤は、第1番と同様、がっしりとしたオーケストラ演奏が魅力です。
それでいて、バレンボイムのピアノは、
モーツァルトのピアノ協奏曲のような愉悦感があり、実に聴き応えがあります。

2位の演奏(バレンボイムの弾き振り/シュターツカペレ・ベルリン)は、
Kitaraで実演を聴いたことがあります。
今まで聴いたNo.1のコンサートでした。
その感動には及びませんが、Blu-rayで十分に美しい演奏を堪能することができます。
特に、第2楽章のロマンティックさは、
第3位のルービンシュタイン盤と甲乙つけがたいものがあります。

第3位のルービンシュタイン盤は、バレンボイム指揮のロンドン・フィルが、
クレンペラーに近いぐらい粘っこい演奏を聴かせてくれます。
最も美しいのは第2楽章です。

第4位のバックハウス盤は、バックハウスのピアノが愉悦感があり、
チャーミングな演奏となっています。
余談ですが、私が持っているバックハウス盤のCDは、
カップリングが「ディアベリ変奏曲」となっています。
「ディアベリ変奏曲」は、今までブレンデルとかリヒテルとかで聴いたことはありますが、
どうも退屈な印象が否めませんでした。
しかしバックハウス盤を聴いてようやく真価を認めることができました。

第5位のプレトニョフ盤は、ピアノが実に雄弁です。
ルバートの多用とか、往年の巨匠もビックリのやりたい放題ですが、
バレンボイムやルービンシュタインの演奏ほどの感銘は受けませんでした。

第6位の内田光子盤、アラウ盤は持っていて損はないですが、
上記5枚と比べると特長があまりありません。
強いていえば、内田光子盤のピアノの弱音の美しさぐらいでしょうか・・・

あと、現在手元にありませんが、
マルタ・アルゲリッチが珍しく弾き振りをした録音も魅力的ですよ。
カップリングのハイドンのピアノ協奏曲は絶賛に値します。

映画「ルルドの泉で」(原題:LOURDES)と「ソウル・サーファー」(Soul Surfer)〜奇跡を考えさせる2作品

芸術の秋、「奇跡」を考えさせられる対称的な映画を2つ観ました。
フランス映画「ルルドの泉で」(原題:LOURDES 2009)と、
アメリカ映画「ソウル・サーファー」(Soul Surfer 2011)です。

ルルドの泉で(DVD)


ソウル・サーファー(DVD)


「ルルドの泉で」は、カトリックの聖地の一つ、
フランスのルルドでのある巡礼団の様子をドキュメンタリー風に綴っています。
この作品についていろいろなレビューが書かれていますが、
あえて先入観なしに、旅行番組でも観るかのように観た方がいいかもしれません。
実際、ルルドの様々なところを、あたかも実際に自分も巡礼団の一員として、
旅しているかのような感じになります。
私の妻は、「トラベリックス(BS日テレの旅行番組)みたいな感じだ」
と述べていました。

ストーリーを要約していえば・・・
多発性硬化症で首より下が動かなくなってしまった若い女性が、
マルタ騎士団のルルド巡礼ツアーに参加し、
何度かルルドの泉を浴びたりしているうちに、
歩けるようになる、という話です。
ただ、映画の主眼は、奇跡が起こった、バンザイ!ではありません。
「聖地」ルルドの俗っぽさ(何度も「みやげものsouvenir」の場所が映る)、
あまり信仰心の篤くないような女性に与えられた奇跡を通して、
同じ巡礼団の人々に起こる嫉妬心(なぜ私やあの信仰深い人ではなく、彼女?)、
言葉にならない複雑微妙な感情、
そういったものが、緻密なカメラワークを通して、
監督が訴えたかったもののようです。

与えられた奇跡を、ただ単に自分の快楽のために使うのか、
それとも、信仰を深め、他の人の信仰の助けになるよう使うのか・・・
映画ではそこまで描かれていませんし、
少なくとも癒やされた
(これも完全な治癒なのかどうかは、映画では描かれていません)主人公は、
他の人を思いやることもなく、より熱心に祈るわけでものなく、
登山や同じ巡礼団の男性との恋、ダンスなどに使って終わりでした。
(映画中のバスに乗るシーンでは、
「早く働きたい」みたいなセリフがありましたが・・・)

この映画では、人間の心の闇が、
わずかなセリフと動作(目配せ等)で描かれています。
素直に人の喜びを喜ぶことができない心、
せっかく起きた奇跡を疑う心、
奇跡が終わることを望むような心・・・
また、ルルドの奇跡を認定する医局の医者の言葉も実に冷たいものでした。
(非公式に、癒されたとされる人は何千人といるようですが、
教会によって公式認定された奇跡は150年以上経っても
70件にも満たないものです。)
この映画の登場人物たちに欠けるのは、
聖書の言葉を借りれば、
喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。
(新約聖書ローマ人への手紙12:15新共同訳)でしょう。

ルルドという特別な場所でなくとも、
たとえばキリスト教会(カトリック・プロテスタント問わず)においても、
特別な「賜物」や奉仕の才能を持つ人への嫉妬は日常茶飯事です。

人間は、
「無条件の」愛や奇跡というものを居心地悪いものと感じるものではないでしょうか。
むしろ、働いたことへの対価としての「報酬」を喜ぶものです。
映画では、「なぜ私やあの信仰深い人ではなく、あの娘なのか」というのが、
後半の大きなテーマとなります。
「信仰深さ、信仰熱心さ」というものへの対価としての「奇跡」は、
実は「報酬」にほかなりません。
だからこそ、カトリック教会では「信仰による義」よりも、
「善い行い」が強調されるのでしょうね・・・
(そちらの方がわかりやすいから・・・)
※「善い行い」が不要だ、というつもりはありませんが、
救いの条件ではないことは聖書的に確かです。

余談ですが、20年近く前に、私はルルドに行ったことがあります。
キリストよりも巨大な聖母とか、かなり違和感を持ちましたが、
(本来のキリスト教とは別なものになってしまっています・・・)
車椅子の人やいろいろな病人・障がいを持つ人が、
実に大切にされて町を歩けるということこそ、
ルルド最大の奇跡なのではないかと痛感しました。

話は変わって、「ソウル・サーファー」の方へ移りましょう。
実在のサーファー、ベサニー・ハミルトンさんの実話に基づく映画です。
将来有望なサーファーとして輝かしい未来が待っていると思われた時に、
サメに左腕を喰われてしまう、という不幸が襲いかかります。
13歳の時でした。
しかし家族や周りの人の励ましなどにより、
事故後それほど経たないうちにサーフィンを再開しました。
彼女の諦めない姿、挑戦する姿は世界中の多くの人を励ましました。
映画では超自然的なことは何も描かれませんが、
これこそ本当の「奇跡」なのではないでしょうか?

映画では教会や聖書の話も出てきます。
事故の前に、教会の伝道師が語る御言葉が印象的でした。
わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。
(旧約聖書エレミヤ書29:11新共同訳)
北森嘉蔵の言葉を借りれば「破壊を通しての守護」というものでしょう。
(詳しくは北森嘉蔵『聖書の読み方』(講談社学術文庫)の、
「詩編第一◯五篇―ー破壊を通しての守護」(PP.56〜67)参照)

北森嘉蔵『聖書の読み方』(講談社学術文庫)

ベサニー・ハミルトンさんとその家族を支えた神への信仰、という観点で見ると、
この映画はクリスチャンの方を力づけるものとなります。
信仰という視点抜きでも、
迫力あるサーフィンの映像、
主人公を演じるアナソフィア・ロブの美少女ぶりは魅力です。
最後のシーンでは、ベサニー・ハミルトンさん本人の映像も出てきます。
なお、原作本も日本で出ています。

ソウル・サーファー―サメに片腕を奪われた13歳 (ヴィレッジブックス)


ただ単に病気が癒やされたとか、
水がぶどう酒になる、といった不思議な現象(異象)が起きたかどうかではなく、
その現象を通して、より神を求めるようになるもの、
人々に神の現存を証するものこそ、本当の奇跡といえるのではないでしょうか?

2013年9月15日 (日)

ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第1番聴き比べ6種類

ベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲のうち、
どの曲が一番好きか、順位づけするとしたらどういう順にするか、
と問われたら、皆さんならどう答えますか?

今の私なら、
1番→2番→5番→4番→3番と答えます。
特に1番と2番はよく聴きます。
最も優れているのは5番「皇帝」というのは確かですが、
私にとっては気楽には聴けないかな・・・
本を読みながら、テレビ観ながらの「ながら聴き」ができないほどの、
堂々とした作品だからです。
3番、4番も同様です。

その点、ベートーヴェン初期の作品は肩肘ばったものではなく、
モーツァルトやハイドンの作品にみられるのと同じような愉悦感があります。
聴き流すには最適です。

今回から連続記事ではありませんが、
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲の聴き比べ記事を書いてみようと思います。
第1回目は第1番についてです。

その前に・・・
我が家にあるベートーヴェンのピアノ協奏曲(集)のCDは以下のとおりです。
・ピアノ協奏曲全集
(プレトニョフ/ガンシュ/ロシア・ナショナル管弦楽団)DG
・ピアノ協奏曲全集他
(アラウ/コリン・デイヴィス/シュターツカペレ・ドレスデン)DECCA
※タワーレコード限定版
・ピアノ協奏曲全集他
(バレンボイム/クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)EMI
・ピアノ協奏曲全集他
(内田光子/クルト・ザンデルリンク/バイエルン放送交響楽団他)PHILIPS
※現DECCA
・ピアノ協奏曲全集他
(バックハウス/シュミット=イッセルシュテット/ウィーン・フィル)DECCA
・ピアノ協奏曲全集※Blu-ray
(バレンボイムの弾き振り/シュターツカペレ・ベルリン)EUROARTS

・ピアノ協奏曲第4番他
(エレーヌ・グリモー/クルト・マズア/ニューヨーク・フィル)TELDEC
※現ワーナー
・ピアノ協奏曲第2番・第5番
(ルービンシュタイン/バレンボイム/ロンドン・フィル)RCA

盤の表記は、いちいち上記のように書くのも煩わしいので、
原則はピアニスト名で表記します。
ただし、バレンボイム盤だけは2種類あるので、
指揮者名(クレンペラー、バレンボイム)とします。

第1番の各楽章の演奏時間は以下のとおりです。
第1楽章を「1;」、第2楽章を「2;」、第3楽章を「3;」と表記します。
(並び方は演奏の古い順→新しい順です。)

・バックハウス盤(1959)
1;13.41
2;09.15
3;08.53

・クレンペラー盤(1967)
1;16.17
2;13.13
3;09.20

・アラウ盤(1987)
1;17.41
2;11.07
3;09.42

・内田光子盤(1997)
1;18.15
2;10.46
3;09.28

・プレトニョフ盤(2006)
1;13.38
2;10.20
3;08.49

・バレンボイム盤(2007)
1;15.43
2;12.07
3;11.41

どの盤を買ってもオススメですが、
あえて順位をつけるとしたら・・・
1位:クレンペラー盤
2位:バレンボイム盤
3位:内田光子盤
4位:プレトニョフ盤
5位:アラウ盤
6位:バックハウス盤

以下は全て、ピアノ協奏曲全集です。
クレンペラー盤

バレンボイム盤(DVD)

バレンボイム盤(Blu-ray)

内田光子盤

プレトニョフ盤

アラウ盤(タワーレコード限定)
→タワーレコードのサイトでどうぞ。

バックハウス盤

クレンペラー盤は、オーケストラの充実感が最高です。
最もシンフォニックな響きがします。
第1番でも、あたかも第5番であるかのような、
堂々とした響きが魅力的です。
中世の城や大聖堂がそびえ立つような感じさえします。
バレンボイムのピアノもロマンティックで見事です。
これぞベートーヴェン!という決定版ではないでしょうか。

バレンボイムの弾き振り盤は、CDも出ていますが、
せっかくなら、映像付で視聴した方がすばらしいです。
まるでベートーヴェン自身が弾き振りしているかのような錯覚さえ抱くほどです。
バレンボイムはベルリン・フィルとの弾き振り盤もありますが、
今ではやはりこちらの方がオススメです。
1曲でモーツァルトとベートーヴェンを一緒に聴くような感じがします。

内田光子盤は、クレンペラー盤、バレンボイム盤を手に入れる前までの愛聴盤でした。
ザンデルリンクが指揮するバイエルン放送響の響きがすばらしかったですが、
上記2枚を手に入れてからは、あまり聴く機会がなくなってしまいました・・・

プレトニョフ盤は、
宇野センセイの近著『ベートーヴェン 不滅の音楽を聴く』を
立ち読みしていた時に知りました。
宇野センセイ激賞モノです。

ベートーヴェン 不滅の音楽を聴く

実際、聴いてみると、確かにプレトニョフのピアノは、
今回聴き比べした中で最も個性的です。
特に第1番の第2楽章冒頭などは、まるでラフマニノフの曲かと思うほど、
甘美に弾いています。
ピアノの至芸を聴くなら、プレトニョフ盤はオススメですが、
オーケストラがあくまで「オマケ」的な感じがするのがマイナスです。

アラウ盤はピアノに鋭さこそないものの、
音を慈しむように弾いているところと、
シュターツカペレ・ドレスデンのオケの響きが渋いです。

バックハウス盤は録音のせいなのか、
ピアノ・オケどちらも少しぼやけ気味に聴こえてしまうのが難点です。

ピアノ協奏曲第1番を初めて聴いたのは、確かNHKFMでした。
ちょうど第3楽章がかかっていて、
初めはモーツァルトの曲かな、と思ったほどでしたが、
最後の手前で、「モーツァルトではなくこれはベートーヴェンの曲だ!」とわかりました。

全3楽章のうち、最も好きなのは第2楽章です。
その甘美さは、ベートーヴェン初期の作品の中では、
悲愴ソナタの第2楽章と双璧をなすのではないでしょうか。
もちろん第1・第3楽章の楽しさも大好きです。
第3楽章の音楽が止まりそうになってから、
また突然勢いを取り戻して終わる仕掛けなどは何度聴いても楽しいものです。

2013年9月10日 (火)

書評:三橋 貴明・さかき 漣 作『コレキヨの恋文 新米女性首相が髙橋是清に国民経済を学んだら』(小学館)

「日本政府はこれまで、皆さんを苦しめるような政策ばかりを続けてきました。(中略)
所得水準が下がり、雇用が失われ、更には自ら命を絶たれる方が増えたのは、間違いなくデフレの深刻化が大きな原因です。それにもかかわらず、政府はデフレ対策を怠ってきました。それどころか、増税や公共投資の削減など、デフレを促進する政策を遂行したのです。本当に・・・・・・」(中略)
「本当に、本当に、ごめんなさい・・・・・・日本政府が間違えた政策を打ち続け、皆さんに塗炭の苦しみを味わわせ、沢山の方々が自ら人生を終わらせてしまわれました。これは、日本政府が皆さんに与えてしまった人災に他なりません」
(『コレキヨの恋文』pp.174〜175から引用終)

デフレ経済の立て直し、TPP脱退など、
日本の政治経済にとって本当に必要な提言を、
誰にでもわかりやすく小説の形で書いています。
三橋 貴明・さかき 漣 作『コレキヨの恋文』(小学館)を読みました。

コレキヨの恋文(書籍版)

読むきっかけは、同じ著者による三部作
(コレキヨの恋文、真冬の向日葵 、希臘から来たソフィア)の最後、
『希臘から来たソフィア』の紹介記事をWEBで読んだことでした。
日本は本当に“ダメな国”なのか? 国家の本質を知る小説
興味深い内容だな、と思いましたので、
せっかくなら、第三作目の『希臘から来たソフィア』からではなく、
第一作の『コレキヨの恋文』から読んでみようと思いました。
実に読みやすく、2日ほどで通勤中に読み終えてしまいました。

この小説を分類するとしたら、どれに該当するのでしょうか。
経済小説ともいえるし、
SF小説ともいえるし(部分的なタイムスリップ)、
ファンタジー小説、
あるいはルソーの『エミール』のような思想小説ともいえます。

現代のデフレ時代と、1920年代〜1930年代前半の、
髙橋是清が首相、蔵相として活躍した時代が似ている、というヒラメキから、
現代を読み解くカギとしての過去から学ぶ仕掛けとして、
過去の人物(髙橋是清)と現代の首相(もちろん架空人物ですが)が出会う、
という物語です。

物語そのものは料理を載せる器のようなものでしょう。
そこに盛りつけられた料理=あるべき政治経済の姿、
特に国の税収・国債とその使途についての提言は実に明快です。
財政削減・増税・TPP加入はマスコミの論調では既定路線ですが、
実はもってのほかだ、と著者は主張します。

マスコミの公務員叩きや、民主党時代の「仕分け」、
もっと遡れば、小泉元首相の「構造改革」、橋本元首相の消費税増税・・・
いずれも、財務省のもくろみとは真逆に、
日本経済を疲弊させ、
多くの人々の失業・雇用不安、果ては命まで奪いました。
まさに、冒頭に小説のセリフを引用したとおりです。

本書は確かに理想論かもしれませんが、
抵抗勢力と化した政治家、既得権を守ろうとする官僚、
無責任に不安を煽るマスゴミに事実をもって対処していけば、
本書最後の方に出てくるハッピーエンドな日本が実現できるはずです。
そのためには、本書が多くの人に読まれることを望んでやみません。

2013年9月 8日 (日)

2020年東京オリンピック招致決定!〜とはいえ、安倍首相のハッタリプレゼンには道義的にがっかり・・・

2020年のオリンピック開催地は、
私の予想ではマドリードだろうと思っていました。
(個人的には、既に1回開催している東京よりも、
イスラム圏で初めてのイスタンブールでやってほしかった、
と思っていましたが・・・)
だから夜更かしなどせずに、朝起きて結果を見ることになりました。
意外にも、東京でした。
まずは一言、おめでとう!と述べたいです。

ニュース報道で、どんなプレゼンテーションが行われていたのかを知りました。
滝川クリステルさんのプレゼンなどは特に魅力かもしれませんが、
安倍首相のプレゼン及び質疑応答には疑問を感じました。
(国際的には、安倍首相のプレゼンが勝因だとしているようですが・・・)

フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。
オリンピック東京プレゼン全文、安倍首相や猪瀬知事は何を話した?
(IOC総会・プレゼン内容)
)から引用

質疑応答の方がもっとひどい・・・
汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている
健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない
祝勝ムードに水を差したくはありませんが、
現在の時点では嘘八百もいいところです。
少なくとも今後はぜひ、本腰を入れて汚染水対策や、
被曝による健康被害対策をやってほしいものです。
7年(もっとかかりそうですが)かけて、
政治の力でウソをマコトへと変えてほしいと願うしかありません。
百歩譲って、確かに「東京には」フクシマの影響はないのかもしれませんが、
当の福島県はどうなのでしょうか?

関連記事です(新聞、ブログ等)
汚染水めぐる首相発言に批判の声 福島の漁業者ら「あきれた」(09/08 21:03)
(北海道新聞)

オリンピック招致の最終プレゼンで大嘘をついた安倍首相「福島原発事故は完全にコントロールしている」
(ブログ名:Everyone says I love you !)

安倍首相が五輪招致でついた「ウソ」 “汚染水は港湾内で完全にブロック” なんてありえない
(水島宏明 | 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター)

東京五輪決定で安倍首相はマスコミをチクリ 「新聞ではなく事実を見て」
(2013年9月8日(日)19時8分配信 J-CASTニュース)

地方の息の根が止まった日(和田秀樹氏のブログ記事)
※汚染水云々の話ではなく、
東京五輪によって、ますます東京一極集中が高まり、
地方がさらに疲弊するのでは、という危惧が書かれています。
知育より体育、という傾向が強まるのでは、という危惧も・・・

東京ではなく、福島県内(政府のお偉方基準では、安全なんでしょう?)や東北各地とか、
あるいは広島・長崎でやるとかなら、道義的にも賛成だったのですが・・・
東京(やそれに準じる大都市)だけが栄え、
地方が廃れていく状況、なんとかならないものでしょうか・・・

まぁ、我が札幌市も、
サッカー会場として札幌ドームが使われる事になっています。
(どうせなら、夏が涼しい北海道でオリンピックやればいいのに・・・)
とりあえずは、「オリンピック開催決定おめでとう〜!」でシメますか・・・

NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「私を救ったショパンのバラード」(2013年9月7日放送)

ショパンの「バラード第1番」、
私にとってはそれほど好きな曲ではありませんが、
Youtubeでこの曲を演奏する動画がたくさんある、というのを、
この番組で初めて知りました。
2013年9月7日(6日深夜)放送の、
NHKBS1・BS世界のドキュメンタリー「私を救ったショパンのバラード」です。
イギリスのOxford Film and Television制作で、
原題は「Chopin Saved My Life」です。
「救う」(saved)という言葉を使うのは大袈裟かな、とも思いましたが、
実際、視聴してみると大袈裟でもなく、まさにこう表現するしかない、と痛感しました。

番組HPから、放送内容を転載します。
(引用)
動画投稿サイト上で、演奏する若者や子どもの姿が最も多く投稿されている曲の一つ、ショパンの「バラード第1番ト短調」。ショパンが祖国ポーランドから遠く離れたパリ滞在中に作曲したものだ。180年近く前に作られたこの曲の何が、時空を超えて現代社会を生きる人々の胸を打つのか。
イギリス、グラスゴーに住むポールは、音楽大学に通い始めてまもなく脳腫瘍を宣告された。手術で一命は取り留めたが、記憶の一部を失い、足と右手に後遺症が残った。そんなとき力をくれたのがこのバラード。ポールは左手だけでも演奏したいと、レッスンに通い、知人たちの前で小さな演奏会を開くことになった。
中学生のとき、津波で多くの知人を失った仙台市の泉山桃花さんも、演奏に打ち込む一人。この曲は、震災以来、心の奥に秘めていた苦悩や怒りを表現してくれると感じている。いま「亡くなった人たちのためにも生きることを真剣に考えよう」と、夢に向かって進み始めた。
浅田真央選手も、東北支援のためのアイスショーに選んだこの曲。ウラディミール・アシュケナージやラン・ランなどのピアニストも曲の持つ力について証言する。困難に直面した人々の人生をこの曲がどう“再生”させたのか、当事者たちが語るドキュメンタリー。

(引用終)

番組では、イギリスの青年と、日本の仙台在住の少女の話を軸に、
アシュケナージ、ランラン他計4名のピアニストによる「バラード第1番」への思い、
最後には全曲演奏によって構成されていました。

イギリスの青年の話はまさに「救った」という言葉がふさわしいです。
この「バラード第1番」に惚れて15歳から独学でピアノを学び、
音楽大学に入った矢先、
脳腫瘍を宣告され、手術を何度も受け、記憶の一部を失う中、
ipodで「バラード第1番」を何度も何度も聞くうちに、
失われた記憶が蘇った話、
さらに、運命が追い打ちをかけるかのように、
多発性硬化症を宣告され、右手が麻痺して使えなくなってしまってから、
「バラード第1番」を左手用に編曲して、見事に弾き切った姿は、
言葉を失うほどの感銘を受けました。

一方、日本の少女の話は、それなりの話なのですが、
番組制作者が、なぜこのエピソードを入れるのか、
あまり必然性を感じませんでした。
(生きる力になったのは事実なのでしょうが・・・)
一つのドキュメンタリーとしては、異物的な要素となってしまい、
少し残念でした。

ショパンの曲というのは、たまに聴くこともありますが、
それほど好んで聴くわけでもないし、
バラード集のようなショパン作品の中で比較的長いものは、
どちらかというと敬遠していました。
この番組を観て、ちょっと聴いて(つまり、CDを購入して)みようかな、
と思いました。
聴いてみるなら、下の盤かな・・・

ショパン:4つのバラード、幻想曲、舟歌(ツィマーマン)

2013年9月 7日 (土)

NHK・双方向クイズ  天下統一「のりもの」(2013年9月7日放送)に挑戦!〜そもそも「のりもの」とはどこまでを指す?

NHKで2013年4月から毎月第1金曜日深夜(土曜日)に放送予定の、
「双方向クイズ 天下統一」。
今月(2013年9月)のテーマは「のりもの」。
妻と一緒に夜更かして挑戦しました。
私は、特急や自動車、航空機とかに関する問題が出るものだと予想していましたが・・・

いきなり一問目で、
「ドラクエで最初に出てくる乗り物は?」というのには面食らいました。
(これは勘で正解できましたが・・・)
これが乗り物?というようなモノがいろいろ出てきました。
そもそもこの世に存在しないもの、
アニメや特撮、ゲームに出てくる「乗り物」からも、
容赦なく問題が出されました。

マジンガーZに関する問題とか、マリオカートからの問題。
銀河鉄道999の原型となったSLは?、とか。
NHKなのに他局(テレビ朝日)の人気ドラマ「相棒」にちなむ問題。
(相棒→人が乗る籠、から)
2013年8月公開の映画「パシフィック・リム」からの問題・・・
極め付きは、1970年代の日本の特撮「電人ザボーガー」からの問題!
映像があまりにもチープ、実にオカシイので、
夜中なのに夫婦で揃って笑ってしまいました・・・
(ザボーガーの頭から出てくる乗り物は?→正解はヘリコプターでした。
私どもはこれはわからなかったので、「ロケット」と答えてしまいました。)

ちなみに、電人ザボーガーについて調べてみると、
なんと、2011年に映画化されていたのですね・・・

映画版


テレビ放送版


ところで、今回このクイズの出題範囲の広さから、
そもそも「のりもの」とはどこまで指すのか、と考えされました。
電車・自動車・飛行機の類はともかく、
エスカレーター(世界一短いエスカレーターについての問題)、
宇宙ステーション(ゴミはどうやって処分する?)、
はては前述のアニメや特撮の「乗り物」・・・

これなら、ガンダムや空飛ぶじゅうたんだって、
立派な「乗り物」に入りますし、
地球自体が人間を乗せる超巨大な「乗り物」ともいえますね。
(よく「宇宙船地球号」なんて表現がありますね・・・)
「のりもの」の範囲をもう少し限定してほしかったかな・・・
実際、ウィキペディアで「乗り物」と調べてみると、
「乗り物」にカテゴライズされるものの多さに驚きました。

今回の挑戦では、全21問中、正解が12問でした・・・
全国で約4万人の参加者のうち、我が家は8000〜9000位あたりでした。
今回我が家が(というよりも、私が)選んだ家は「女性声優家」でした。
来月(2013年10月)のテーマは「アキバ」。
これは不戦敗かな・・・

2013年5月に挑戦した回の記事があります。
NHK・双方向クイズ天下統一「アニメ」(2013年5月4日放送)に挑戦してみました!

2013年9月 4日 (水)

書評:古屋安雄著『キリスト教新時代へのきざし―1パーセントの壁を超えて』(オリエンス宗教研究所)

キリスト教書店に立ち寄った際、少し立ち読みして興味深いと思い、
買ってしまった本です。
古屋安雄著『キリスト教新時代へのきざし―1パーセントの壁を超えて』です。
著者は、国際基督教大学名誉教授、聖学院大学名誉教授、
日本キリスト教団正教師(牧師)という肩書からして、
ミスター・プロテスタントといった感があるのですが、
この本の出版は、なんとバリバリのカトリック系出版社、
「オリエンス宗教研究所」です。
(カトリック教会の毎週のミサで使われている、
「聖書と典礼」を発行しています。)
オリエンス宗教研究所で発行されている雑誌
福音宣教」で掲載された記事をもとにしています。
本の帯には、「正統主義(オーソドキシー)から正しい実践(オーソプラクシー)へ」
と書かれていました。

さて、本書の主張は、次のようなものでしょう。
①キリスト教が日本で広まらなかったのは、
明治期に庶民層からではなく、士族などの知識階級から入ったため、
インテリ層にしか広がらなかった。
②戦時中、カトリック教会とプロテスタント各派は国家神道に屈し、
戦争協力した。
③日本の礼拝は、喜びがない。
④福音派・聖霊派に見られるような「リバイバル」至上主義=個人の救いではなく、
クリスチャンホームを築くことが大事。
⑤正統主義(オーソドキシー)から正しい実践(オーソプラクシー)へ〜
憲法第9条を守る、積極的な社会貢献をするなどの実践が必要。

①と②については、確かにそのとおりだとも思いますが、
あたかも「あなたの病気は遺伝性のものですよ、不治の病です」
と医師から宣告を受けるようなものです。
過去だから、我々はどうすることもできないですね。

③も、ごもっともだと思います。
お葬式みたいな厳粛な礼拝がいかに多いことか・・・
(引用)
 私が問題にしたのは、内村鑑三の「武士道に接木されたキリスト教」が世界最善の産物である、という考え方である。私がアジア学院の校長をしていた時に、研修生、特にアフリカからの研修生が日本の教会の礼拝について言った言葉が忘れられない。「お葬式のような、喜びのない礼拝に出るよりは、一人で祈り、賛美しているほうがよい」。
 お葬式のような厳粛な礼拝、喜びのない礼拝というのは、牧師たちが武士の子弟だったからではないだろうか。武士というのは、「武士は食わねど高楊枝」のように、感情を直接出すことをはしたないと考えた。
(中略)
 礼拝はまず「福音」、すなわち「よいニュース」を聞く時なのに、そして礼拝の招詞(中略)では「喜べ」と言っているのに、しかつめ顔で言う。一つもうれしい顔をしていない。説教では「笑ってはいけない」、礼拝は厳粛なものであるべきとされた。
(PP.22〜23から引用終)

主を喜び祝うことこそ、あなたたちの力の源である。
(旧約聖書ネヘミヤ記8:10新共同訳)
先日久しぶりに、所属教会ではないある教会に行きました。
賛美のすごさに圧倒されました。
「お葬式」礼拝の対極とも言えるものでした。
(まぁ、「心の」高齢者には、
「お葬式」礼拝もいいのかもしれませんが・・・)
礼拝がイキイキとしたものであるべき、という主張は当然です。

④については、
未だに、クリスチャンを増やす=トラクトを撒いたり、
大規模な伝道集会を開く・・・というイメージが、
教会指導者(特に福音派・聖霊派)に強くあります。
韓国の教会のマネをしてみたら、24時間連続祈祷をすれば・・・

伝道を「保険の勧誘」のように考えてみればわかりやすいかもしれません。
新規飛び込み営業をするよりは、既にある契約(既契約)を大事にして、
新たな契約に結びつけた方が確実です。
そういう顧客なら、新たな客を紹介してくれるかもしれません。

一方、キリスト教会(カトリック・プロテスタント)はどうでしょうか?
カトリックの大半の教会のように、新参者に冷たい態度をとるところや、
(さすがに聖職者は別のようですが・・・)
福音派・聖霊派のように最初は「ラブシャワー」を浴びせて、
洗礼を受けるや否や、
あとはノルマのように「伝道、伝道!」とたたみかけてくる・・・
いずれも、既に教会を離れた人に対しては冷たいものです。

ところで、道端で伝道するよりも確実にクリスチャン人口を増やすには、
既に教会を離れた人や、教会員の未信者の家族が教会に来るようになることです。
たぶん、伝道のシフトを個人伝道から家族伝道に移すだけで、
あっという間に何万人もの人が教会に集うようになるのではないでしょうか?
幸福な結婚、幸福な家庭生活・・・
こういったものを、聖書から学ぶようにし、
実際に実践している夫妻・家族を紹介する。
人は神学に大して興味を抱きませんが、
具体的な目に見える幸福には心動かされるはずです。

⑤については、結構矛盾があると思います。
よく、共産党やリベラル派のクリスチャンが、
「憲法第9条を守れ!」と叫んでいますが、
そのくせ彼らは憲法第1条には大いに不満です。
できれば皇室を亡き者にしたいと願っていながら、
憲法第9条「だけ」を守れ!と主張するのは矛盾です。
現憲法を守れ、憲法改正反対!と主張するならば、
ぜひ皇室への尊敬を持っていただきたいものです。

著者は、プロテスタント系大学の学長に、
カトリック信徒の方が就任するケースが出てきたことをとらえ、
よい傾向としています。
エキュメニズムについては賛否両論あるでしょうが、
少なくとも一般の人にとっては、
カトリックかプロテスタントかなんて、実はドーでもいいことなのです。
一致できるところは一致して、互いを罵りあわずに協力していくことこそ、
今後の宣教にとって大事なことだと思います。

父よ、あなたがわたしの内におられ、わたしがあなたの内にいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちの内にいるようにしてください。そうすれば、世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを、信じるようになります。
(新約聖書ヨハネによる福音書17:21新共同訳)

結論から言えば、この本は、
私にとっては賛同するところも多いですが、違和感を抱く処も多いです。
とはいえ日本の伝道の未来像を考えたい方にはオススメです。
(確実に入手するなら、出版社HPから購入するか、
キリスト教書店で購入することをオススメします。)

2013年9月 2日 (月)

テレビ東京系・美の巨人たち「建築シリーズ 丹下健三『東京カテドラル聖マリア大聖堂』」(2013年8月31日放送)

「美の巨人たち」で、丹下健三(1913-2005)の代表的作品である、
東京カテドラル聖マリア大聖堂」が取り上げられていました。
2013年8月31日の放映(BSJAPANでは2013年9月25日)です。

東京オリンピックで沸いた1964年12月8日に竣工された、
超モダンな(まるで宇宙基地のような・・・)大聖堂。
番組では、この教会近くで生まれ育ち、建築当時の様子を知っている、
タレントの小堺一機さんの証言を交えながら、
どのように設計・建設されたのか、
また、その美しさや、
教会に入るまでの隠された仕掛けなどを取り上げていました。

今でこそ、CGを使えばかなり複雑な曲線美を持つ建築も可能ですが、
CGなどない時代に、あのような複雑な建物を築くことができたのは驚異でした。
なんと、割り箸とヘアネットを使って曲線モデルを作ったそうです。

正面から見るとテントのようですが、上空から見ると、
見事に美しい十字架の形になっています。
日本の現代建築の傑作ですね。

建物の中は無機質・モダンそのものでありながら、
中世の大聖堂の雰囲気を感じるのはさすがですね。
ゴテゴテした像がない潔さも好感を持ちました。
(個人的には教会に聖像や聖画などない方がいいと思っています。)

私は2013年9月現在、まだこの教会に行ったことはありませんが、
今度東京に行く用事があれば、ぜひ訪問してみたいと思いました。

番組HPはコチラです。
番組でも紹介されていた、上空から見た十字架の形の写真が出ています。

以前NHKで、
この教会にパイプオルガンを設置するまでのドキュメント番組をやっていました。
その番組を視聴した記事を書いています。
NHK・ハイビジョン特集「パイプオルガン誕生」
-イタリア~東京・500日の物語-(2011年1月27日再放送)

2013年9月 1日 (日)

2013年8月のアクセス数ベスト10記事一覧

2013年8月のアクセス数ベスト10記事は以下のとおりです:
(※トップページを除く)
ベスト3までは記事リンクをつけています。

一位.ウコンは肝臓に悪い?~NHK・ためしてガッテン「肝臓の健康を守れSP」
(2011年6月29日放送)

二位.オキナワ旅行記2013夏(その1)
〜旅行の経緯、プラン選択、当日まで、参考本

三位.オキナワ旅行記2013夏(その2)〜第1日目・本島南部の旅
四位.オキナワ旅行記2013夏(その3)
〜第2日目・海中道路、沖縄そば、海洋博公園とエメラルドビーチ

五位.オキナワ旅行記2013夏(その4)
〜第3日目・沖縄美ら海水族館とブセナ海中公園、万国津梁館

六位.オキナワ旅行記2013夏(その5)
〜第4日目・かりゆしビーチと万座毛、青の洞窟

七位.公立学校で習熟度別授業の導入はプラスか、マイナスか?
~読売新聞北海道版・連載「学力危機」第1部・札幌の格差 (10)を読んで

八位. オキナワ旅行記2013夏(その6)
〜第5日目・ゆいレールと壺屋やちむん通り、第一牧志公設市場、国際通り

九位.1万円の「北海道&東日本パス」で東京から札幌へ
1泊2日片道約1200kmの普通列車の旅

十位.「学びあい」という美名の下の教育の堕落
~NHKEテレ・ETV特集「輝け二十八の瞳 ~学び合い 支えあう教室~」
(2012年2月5日放送)

ベスト1はまたもや「ウコン〜」でした。
2〜9位(7位除く)までが旅行記がランクインしたのはうれしいです。
特に、オキナワ旅行記全7回のうち、6回までが入ったのは、
行った甲斐、書いた甲斐がありました。

読売新聞北海道版の連載「学力危機」はついに単行本になりました。
記事自体は既に新聞で読んだものの、そのうち読んでみようかな・・・
教育の分野で、北海道新聞に真実を覆い隠されている北海道民には、
ぜひ読んでほしい本だと思っています。
(読売新聞を読むのはせいぜい札幌圏の一部に限られていますので・・・)

学力危機 北海道 教育で地域を守れ

Kindle版

猛暑、酷暑と悲鳴が上がっていたのもつかの間、
北海道は既に秋の気配です。
今月もご愛読よろしくお願いします。

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