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2013年1月15日 (火)

天国への蛇足?〜ラトル指揮ベルリン・フィルによるブルックナーの交響曲第9番・第4楽章

先日、飛行機の機内放送で、
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルによる、
ブルックナーの交響曲第9番の演奏を聴きました。
後で調べると、2012年2月のライブ録音、とのことです。
機内での退屈しのぎのBGM的に流していただけなので、
しっかりと聴く、というほどではありませんでした。
演奏はなかなかのものですが、感動するほどではなかったかな・・・

国内盤 [Hybrid SACD, SACD]

輸入盤(通常CD)

さて、第3楽章も終わり、違う曲を選ぼうか・・・と思っていた矢先、
聴きなれない不吉な感じの音楽が・・・
えっ、第4楽章?!
第3楽章コーダの「天国」での浄福から、
一気に「煉獄」か(カトリック的に言えば)、
あるいは終末の世界に突き落とされたような不穏な音楽・・・

部分的に、ブルックナーの他の交響曲からの引用らしきところがあったり、
学問的には興味深いものがあるのでしょうが、
正直、「天国」への蛇足のように思えました。
冗長で退屈、第3楽章の幸福感をぶち壊すような楽章です。
ラトルの演奏は、他の補筆版による演奏に比べれば、
かなりすばらしいものと言えましょうが、
ベルリン・フィルの美音によっても、
第4楽章の音楽的価値を伝えることはできなかったといえます。

ブルックナーの「第9」の第3楽章は、疑いなく、
彼の全作品の中で最も美しいものです。
音楽の中で、大天使や終末の救いの様子が見えてきそうなほどです。
聖書の終末の救いの様子の箇所を想起させます。

すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、それから、わたしたち生き残っている者が、空中で主と出会うために、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられます。このようにして、わたしたちはいつまでも主と共にいることになります。
(新約聖書テサロニケの信徒への手紙Ⅰ4:16〜17新共同訳)

ブルックナー自身は、この曲が完成しなかったら、
第4楽章の代わりに「テ・デウム」を演奏するよう示唆したそうですが、
(朝比奈隆指揮大阪フィルのCDで、実際にカップリングしたものがありましたが・・・)
交響曲第9番は、第3楽章で終わることこそ、最も美しい終わり方だと思います。

以前、クルト・アイヒホルンの演奏による、
「第9」第4楽章補筆完成版(サマーレ&マッツカ校訂)を聴いたことがあります。

アイヒホルンによるブルックナー・交響曲選集

フィナーレのところは確かに感動的ですが、そこに至るまでは、
やはり天才の霊感が欠けている、気の抜けたような代物に過ぎませんでした。
ブルックナー・マニアなら、聴く価値があるのかも知れませんが、
一般にはおすすめできません。
シューベルトの「未完成」と同様、この曲は第3楽章までで十分なのです。

作曲者の死後、別の作曲者・学者が補筆完成したものとしては、
モーツァルトの「レクイエム」、プッチーニの「トゥーランドット」、
マーラーの「交響曲第10番」のデリック・クック版が、
成功した例として挙げられますが、
他の場合はは大抵、「蛇足」みたいなものです。
ブルックナーは、形式的な人ですから、
第4楽章を作って完成させるのを望んでいたとは思いますが、
天がそれをストップさせたのかもしれませんね。

ブルックナーの「第9」は、ブルックナーの作品の中で最も好きな作品なので、
いろいろな指揮者の演奏で聴きました。
ヴァント(NDRとBPO)、朝比奈隆(何種類か)を始めとして、
カラヤン(二種類)、バーンスタイン、ムラヴィンスキー、
マタチッチ、ベーム、ジュリーニ(新旧)、シューリヒト、クレンペラー、
ヨッフム(新旧)、ワルター、レーグナー・・・(他にもあったはず・・・)
この中でオススメを2枚あげておきます。
ギュンター・ヴァント&BPOと、ジュリーニ&VPO盤です。
曲そのものの美しさを細部まで楽しみたいなら、ヴァント盤を、
第3楽章が最も美しい演奏なら、ジュリーニ盤です。
まるで大天使が終末のラッパを力強く高らかに奏しているのが見えるかのようです。

ヴァント盤(Hybrid SACD)

ジュリーニ盤

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