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2012年11月22日 (木)

書評:内藤朝雄著『いじめ加害者を厳罰にせよ』(ベスト新書)~学校を治外法権の「聖域」にするな!

昨日(2012年11月21日)、NHKでは
探検バクモンSP「いじめ × 爆笑問題」と題して、
不登校(だった)の子どもたちのための私立中学校「東京シューレ葛飾中学校」を舞台に、
学校の紹介と、いじめ問題に一家言ある著名人と、
いじめられた経験のある若者が、
いじめの問題について議論を交わす番組を放送していました。

私としては、東京シューレ葛飾中学校の校舎環境整備の徹底さと、
教育方針・教育体制に「なるほど!」と思わされることが多かった一方、
ゲストの面々(尾木ママこと尾木直樹さんやROLLYさん、
サヘル・ローズさん、志茂田景樹さん他)の発言にはやや疑問を覚えました。
特に、自分は元いじめられっ子だ、とその経験を語った著名人の発言と、
いじめや不登校を経験した若者たちとの議論は、
いじめの問題を結局「ココロ」の問題にすりかえているように思えました。
若者たちは反感を露わにしていました・・・

今回紹介する内藤朝雄著『いじめ加害者を厳罰にせよ』(ベスト新書)では、
第3章「いじめ隠蔽の構造とマスコミ報道」において、
著名人のコメントをほとんどの場合「有害」と主張しています。
(P.102~103から引用)
 何よりも有名人のコメントで有害なのは、諸悪の根源が学校制度にあることから目を逸らし、いじめ問題を「心」の問題にすり替えていく点である。
(引用終)


いじめ加害者を厳罰にせよ


NHKの番組での議論で私が特に不満に思ったのは、
学校という構造を変える、という視点がなかったことです。
一方、本当に見るべきは、
学校と言う構造を変えた東京シューレ葛飾中学校の方でした。
いじめ防止対策に、トイレの個室を増やしたり、
個室上からの攻撃を防ぐ構造になっていたり・・・

書評の方に戻りましょう。
著者は、明治大学文学部准教授で、社会学者です。
著者の主な主張をまとめてみましょう。

・学校が治外法権の「聖域」となっているため、
隠蔽体質が生まれ、いじめがはびこり、半ば「北朝鮮」化(強制収容所化)している。
・学級では「ノリ」が神聖視され、「ノリ」に合わない者はいじめの対象にされる。
・マスコミによるいじめ報道はかえっていじめ被害者を追い詰めている。
・いじめの防止には、カリスマ教員を養成するようなことに無駄なカネを使わず、
学級制度の廃止と学校への法の導入が効果的と考えられる。
・いじめ加害者を法のもとに処罰せよ。
・加害者の「教育を受ける権利」よりも、被害者を守れ!
・少年法の「可塑性」(かわりやすさ)という基準はおかしい。
・いじめや少年犯罪を何でも「心の問題」にするな。
・命や尊厳の価値を暴落させるな。

この本におけるいじめ問題解決の手立ては、
学級制度の廃止と学校への法の導入」です。
さすがに、学級制度の廃止はあまり現実的ではないと思いますが、一考に値します。
著者は大学のような単位制・選択制の授業形態にすれば、
「シカト」などの「コミュニケーション操作系のいじめ」は成立が難しくなると考えています。
難点は、安全管理をどうするのか、というところでしょうね・・・

学校への法の導入には大賛成です。
学校での傷害事件・暴行事件・恐喝にも、
法を厳正に適用させればいいのです。
犯罪を犯すことがどれだけ「損」なのか、身をもって知るべきでしょう。
また、少年法では被害者よりも加害者が守られてしまう、という不条理がありますが、
これも改正が必要でしょうね。

タイトルは過激で行きすぎ、とも思えますが、
内容の8割ぐらいは傾聴に値するものといえます。

学校を「聖域」にして、法の手を拒むところにしている限り、
いじめの問題は解決しません。
現に、こんなニュースが出ています。
小中高でのいじめ、半年で14万件超 昨年度の2倍に急増 文科省の緊急調査
(2012.11.22 17:06 MSN産経ニュース)
教育ムラの論理からすれば、いじめはもみ消したい不祥事ですから、
学校をあげて、隠蔽工作が行われるのはよくある事のようです。
また、仙台育英高校のように、甲子園出場校でいじめ問題が発生しても、
マスコミに学校名報道されない、という不当なことが行われることもあるのです。

どのような理由や、不幸な生い立ちがあろうとも、
法を厳正に適用して、いじめ加害者=犯罪者を処罰することこそ、
社会正義であり、いじめの防止につながります。
いじめの問題を単なる「心の問題」にしてはならないのです。
いじめ被害者を学校という小さな「北朝鮮」から解放する必要があるのです。
学校という「聖域」に、ぜひ法のメスを入れてほしいものですね。

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