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2012年2月25日 (土)

橋下市長の「小中学生でも留年を検討」を考える

毎日新聞 2012年2月22日 11時14分記事から引用)
 大阪市の橋下徹市長が、小中学生であっても目標の学力レベルに達しない場合は留年させるべきだとして、義務教育課程での留年を検討するよう市教委に指示していたことが分かった。法的には可能だが、文部科学省は年齢に応じた進級を基本としており、実際の例はほとんどないという。

 橋下市長は、市教委幹部へのメールで「義務教育で本当に必要なのは、きちんと目標レベルに達するまで面倒を見ること」「留年は子供のため」などと指摘。留年について弾力的に考えるよう伝えた。
(引用終)

大阪市の橋下市長には共感することが多々ありますが、
この記事を読んだときは特に「よく言ってくださった!」と思いました。
不登校で1日も学校に来ていないのに(原因はともかくとして)卒業証書が手渡されたり、
読み書き計算といった、将来的にも日常生活で必ず使う基礎能力がおろそかなまま、
進級できるという現行のシステム自体が異常であり、欠陥品なのです。
私は大いに賛成です。
大阪市のみならず、ぜひ日本全体で取り組んでほしいものです。

今朝(2012年2月25日)の読売新聞朝刊1面を読むと、
「平均」の意味、大学生の24%が理解せず
という記事が出ていました。
ゆとり教育の結果と、乱立しすぎている大学という制度の問題を、
数学的知識という側面から暴いた調査結果といえます。
上記記事から引用します。
(引用)
 大学生の24%が「平均」の意味を正しく理解していないなど、基礎的な数学力、論理力に大きな課題があることが、日本数学会(理事長・宮岡洋一東京大教授)が実施した初の「大学生数学基本調査」で明らかになった。

 ゆとり教育の影響のほか、少子化による大学全入時代の到来で入試の難易度が下がったことなどが、理由として指摘されている。
(引用終)

小中学校できちっと修得されていない数学的知識や、
場合によっては読み書きのたぐいを、大学や企業が尻拭いをするのはおかしな話です。
まして、教師の指導方法に問題があるなら(例:算数の問題解決型の授業をやっている等)、
なおさら、小中学校で責任をもって、しっかりと児童生徒に修得させるべきものです。
(教師の指導上の問題と
小中学生の留年の問題について考察しているオススメブログ記事を紹介します。
小中学生の留年について教務力を磨く日々 2012年02月24日記事)

日本の現行の義務教育制度では、飛び級は認められていないものの、
「原級留置」(平たく言えば「留年」)は制度上認められています。
なんらの法改正も必要なく、制度を運用できるのです。
しかし、適用されることは皆無に等しいのが現状です。
読み書き計算といった生活に必要な能力をきちっと身に付けさせないまま、
高校や大学といったより高度な学問の場や、
実社会に投げ出すのは、本人にとっても社会にとっても大きな損失です。

一方、日本では留年することは「キズモノ」になる、といった根深い社会風土があります。
留年した、ということが差別やいじめの対象になりえるかもしれません。
そのことを考察しているブログ記事を紹介します。

留年させるなら先輩後輩カルチャーも止めるべきでは?
プリンストン発 新潮流アメリカ by 冷泉彰彦 2012年02月24日(金)11時03分記事)
(引用)
 これも大阪の橋下市長の発案ですが、所定の学力に到達しない生徒はたとえ小中学生でも留年や科目の再履修をさせるべきだという案が議論されています。そもそものアイディアは教育評論家の尾木直樹氏で、小中学校での学力の底上げを図るには必要だというのです。(尾木氏ご本人は大げさに取り上げられて困惑しているようですが)

 確かに、今の日本の小中学校では、何らかの理由で全休しても卒業証書が出るという運用がされており、結果的に学力不足のまま高校へ行ってしまう子供が存在するのは防げないわけです。高校の「底辺校」では「6桁の数字が読めない」などという衝撃的なレポートもあるわけで、結果的には高校を中退することで貧困層を生み出しているとも言えるわけです。

 私は留年はともかく再履修に関しては基本的には賛成です。いじめや不登校の原因になるとか、同級生意識を壊すので可哀想だという意見もありますが、生きてゆくのに最低限必要なスキルなしで社会に放り出すことの残酷さを考えれば、やったほうがいいと思うからです。
(中略)
 この大阪発のニュースと前後して、東京からは正反対の報道がありました。東京都教育委員会は、高校1、2年生時に必要な単位が取れなくても進級する制度を検討しているというのです。中退者の多い高校を対象として、留年して「後輩」と一緒に学ぶことを嫌がる生徒たちの学習意欲引き留めを狙うというのが理由です。

 大阪の場合は小中生に多少厳しくても留年をさせる、例えば苦手な科目だけ下級生と学び直すということを考えているのに、東京は高校で「後輩と学ぶのはイヤで中退につながるから」と留年を止めようとしているというわけです。

 このニュースに関してですが、大阪と比べて「東京はぬるい」という印象を持つとしたらそれは違うと思います。そうではなくて、「先輩後輩カルチャー」は高校生になるとほぼ100%子供たちの心理を支配しているので、本当に「後輩と一緒は無理」という子が多いと見るべきです。どちらも、中退者イコール貧困化という「戦い」の中で必死である中から出てきた案なのだと思います。

 要するに「先輩後輩カルチャー」を止めるしかないのです。

 具体的には、人間を年齢や学年で区別し「上下関係を規定する」コミュニケーションを止めるということです。先輩には「ですます調」で話し、後輩には「だ、である調」を基調とした権威的な話法で通す、下から上への「異議」は認めない、「先輩」の自尊心は守られ「後輩」は自尊心上の譲歩を強いられるという「無意味なヒエラルキー」を根絶するのです。

 もう一つは、その人間の能力を評価し、そこに年齢での上下関係を持ち込まないとうことです。飛び級で大学の物理の授業を受けに来た高校生を、大学生はパーソナルな人間関係でも仲間として迎え入れねばならないし、その高校生に明らかに卓越した才能があれば、大学生は素直に賞賛すべきなのです。逆に文字式の意味が分からなくて中2なのに1年生の数学を受け直している子は、中1の出来る子に丁寧に教えを請えばいいのです。
(引用終)

冷泉氏が主張した「先輩後輩カルチャー」の廃止は社会全体で取り組むべき課題ですね。

「小中学生でも留年」を本格的に実施するなら、
法改正してでも「飛び級」を認めるべきだと思います。
一方、留年してしまう原因はいろいろあると思います。
たとえば特別支援教育の範疇に入ってしまう子どもたち。
こういうところは手厚くすべきでしょう。
(特別支援教育の範囲をもっと拡げ、
障害児だけでなく通常級にいる健常児でも
必要があれば容易に範疇に入れられるような仕組みに直したほうがいいのでは?)
教師の指導方法に明らかな問題
(水準に達しない子が一定の割合以上存在する場合等)が見られる場合は、
教員に処分を下すなどのペナルティが必要かもしれませんね。
橋下市長は、
学力低い子集めた特別学校の設置」を提案しています。
これが異質者の排除ではなく、
社会全体としての教育向上への取組となることを願っています。

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コメント

ゴロ様、コメントありがとうございます。
橋下市長の政策はまだまだ目が離せないですね。
次はどんな聖域に斬り込んでくれるのでしょうか?
教育の腐った・錆び付いた領域に風穴を開けたのには、拍手喝采です。

弊ブログの記事を紹介していただき、ありがとうございます。色々な意見があっておもしろいですね。
端から無理だと決めていたこれまでに対し、みんながこうして意見を出し合い、多くが納得する案を決めるというのは非常に意味がありますよね。一般の人が教育に対して興味を持つきっかけにもなると思います。橋下市長には頭が下がる一方です。

この記事へのコメントは終了しました。

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