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2010年8月16日 (月)

悲しみが結晶した音楽~グレツキ・交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」

8月14日深夜(8月15日午前)0:20~2:20に、
NHK総合で、
「戦地からの手紙~あなたは知っていますか~」という番組をやっていました。
私はたまたま最初の部分だけ観ました。
冒頭で、聴いたことがある神聖な響きがする曲が流れていました。
そう、それは、ポーランドの作曲家、
ヘンリク・グレツキの交響曲第3番の第2楽章冒頭でした。

A_maiden_at_prayer_2

上の写真は、「祈る花嫁」という題の写真です。
19世紀末に撮影されたものです。
この写真の顔と祈る手の部分だけをアップしたものが、
グレツキの交響曲第3番のCDジャケットに使われていました。

ポーランド系の団体がいくつかCDを出していますが、
本命は、ドーン・アップショウのソプラノ、
デイヴィッド・ジンマン指揮ロンドン・シンフォニエッタによる
1991年録音のものです。

この曲は1976年に作曲されたもので、
クラシックのジャンル分けによると、「現代音楽」に分類されます。
難解で、チンプンカンプン・・・
しかしこの曲は、イギリスのあるFM局で第2楽章がオンエアされてから、
大ヒットし、1993年にはヨーロッパで30万枚の打ち上げとなりました。
日本でも少し話題になりました。
決して難解な曲ではありません。
残念ながら、日本では今は輸入盤でしか手に入らないようですが・・・

私はこの曲の第2楽章を聴くたびに、
心を揺さぶられずにはいられません。

第2楽章の歌詞対訳には、次のように書かれています。

お母さま、どうか泣かないでください。
天のいと清らかな女王さま、
どうかいつもわたしを助けてくださるよう。
アヴェ・マリア。
(ナチス・ドイツ秘密警察の本部があったザコパネの「パレス」で、
第3独房の第3壁に刻み込まれた祈り。
その下に、ヘレナ・ヴァンダ・ブワジュシャクヴナの署名があり、
18歳、1944年9月25日より投獄される、と書かれている)

(沼野充義訳~同曲CDから引用)

その第2楽章は、まるで別世界から聞こえるような、
神聖な響きから始まります。
そして、歌が始まると、地獄の底からうめくような、苦しみのメロディになります。
途中、沈黙の後、冒頭の聖なる響きが戻ってきます。
肉体から解き放たれた魂が、天から呼びかけているような、
不思議な美しさと安らぎに満ちた曲です。

第1楽章はもすばらしいです。
低くうごめくようなメロディが徐々に増幅していって、
音の帯を形成していきます。
曲の頂点として、聖母マリアが御子の十字架の苦しみを見つめている時の
心境を想像したと思われる歌詞が歌われます。
そのあと、ちょうど山を下るように、だんだん出発点目指して
音楽は収縮していきます。

悲しみが結晶化したような、美しくも実に重たい曲です。
ぜひ機会があれば聴いてみてくださいね。

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